前職キャバ嬢、異世界に来たら悪女になっていた。あんまり変わらないのかな?

ミミリン

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理解できない思考

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先日、私はディランに初体験のお相手をお願いした。


ディランからも体を重ねたいと希望があったので、今後の人生を考えると渡りに船だった。

今のディランであれば優しく抱いてくれるとは予想していたしね。


ディランとの行為をいい思い出に脳内保存させてもらえれば、今後何かしら女としての尊厳を踏みにじられるような辛いことがあっても自分の中では心の尊厳を保つことが出来るような気がするから。



ザック子爵のようなクズ男がこの世の中どうしても存在する。

自己防衛は必須だけど、女である以上リスクは付いて回るもの。


ディランを利用した感は否めないけどさ…。



けど、予想外だったのはあの行為が聞いていたようなシンプルなものじゃなかったことだ。

あんな…溶かされるような感覚なんて初めてだったし、普段のディランからは想像できないような情欲的な一面があったなんて…。


女性関係、すごく我慢してたのかな。



私は未経験者だったし、あまりにも刺激が色々強すぎてヘタレと言われても仕方がないくらいヘタレだったと思う。


ディランにとってはつまんなかったんじゃないかと。



私としてはもともと初めてを貰ってもらう事が大きな目的だったから、目的は達成したし、ディランも一度私を抱けばもう関心はなくなると思っていた。

…はずなんだけど。


私の部屋に来たディランはちょっとおかしかったぞ。



行為で使用したシーツは保管すると言ってみたり、後ろから抱きしめてきたり、う、うなじにキスしてきたり…それに一週間後にまたアレをすると言ってきたり。


なぜだ?
何故なんだ?



いやいやいや、ディンの事だから一週間後には『そんな発言したっけ?』

って忘れてるはずだ。

きっとそうだ。うん、あまり深く考えないようにしよう!




だけど、この一週間ディランは以前よりも増して距離感がバグっていた。



確かに今までも手を繋ぎたがったり手にキスを落としていたけどそれ以上に私に触れてくる。


朝のお見送りでは「いってきます。」と言いながら私を真正面から抱きしめて頬にキスをしてくる。

ち、近い…。


ディランの顔面が近づていて来るたび心臓が胸から飛び出してくるくらいドキドキするから困る。


この前は食器を洗っていると、そっと近づき後ろからバックハグをされた。


「体は辛くないか?どこか痛むところはないか?」

と心配してはくれるんだけどすごい耳元で話しかけてくる。

低音ボイスが直に響くんですけど…。


「だ、だいじょうぶ…。」

としか言えない。

きょ、距離がおかしいですよ。



それに私がリビングで仕事をしていると隣に座りぴったりとくっついてくる。


「何か、用があるの?」と聞くと


「いや、取り立ててない。
ルキアの傍に居たいだけだ。
邪魔はしない。」


「???はあ…。おかまいできませんがけど。」


「いいんだ。
ここに居るだけでルキアの体温が伝わるからな。」



どうした、どうしちゃったんだディラン。



キャラが違いすぎるぞ。

それか、寒いのかしら?
今日そんな寒かったっけ?


気が付くとディランの顔が私の首筋にまで近づいていた。


「ど、どうしたの?」



「ん?いや、ルキアの香りをかいでいるだけだ。」


ひ~~~~~。


近い、近いし人の匂いかぐのってそんな平常運転じゃないよね。


今は優しいディランの事だ。

遠回しに私の体臭を指摘してくれているのかもしれない。


「ディラン、私臭い?」


「いいや、他の男に嗅がせてはいけないくらい、いい匂いがする。」


「そ、そう。それなら良かったわ。」

臭くないのなら良いのか?

いや、これは良い事なのか?

会話として成立していないよね。


頭がプチパニックになっていると首筋にくすぐったい刺激が来た。


「ひゃっ…。」

思わず声が出る。


なになに?

何があったの?

く、首を舐められた?



ディランの方を見ると彼は口を手で押さえて真っ赤になっている。


そして、何だか顔が辛そうだ。


「ディラン、大丈夫?」

本当は首を舐めるとかやめて欲しいと言おうとしたけどあまりにもディランが辛そうだったので違う声かけになってしまった。


ディランは無言でまだ手で顔を覆っている。


無許可で私に何かしらちょっかいを出してきたのを反省しているのかしら?


であればいいんだけど…。


「…。」

しばらく黙っていたディランだがすっと立ち上がる。


なになに?次は何が起こるの?


無意識に身構える。


「その…先ほどのは…。」


ディランが何かごにょごにょ言っているけどよく聞き取れない。


「えっと、ごめん。何て言ってるか聞き取れないんだけど。」


「っ…。何でもない!失礼する!」


そう言ってそそくさとこの場を去って行った。


1人残された私は仕事道具が広がった机を見てため息をつく。


一体何だったのよ。


勝手に隣に座って勝手に匂いをかがれて、勝手にく、首を舐められて…。



そして、謝ってどこかに行くってさ。




ディランの思考が全く理解できないわ。


ー------------------
(ディラン視点)

やってしまった…。




ルキアを前にすると、どうしても触れてしまいたくなる。



体を繋げれば余裕ができると思ったのだが、逆だった。



あの夜を経て更にルキアを体が無意識に求めてしまっている。


こんな状態になるとは自分でも予想外だ…。



早く、早く次の約束の夜を迎えなければ自分が壊れそうだ。
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