前職キャバ嬢、異世界に来たら悪女になっていた。あんまり変わらないのかな?

ミミリン

文字の大きさ
199 / 215

ケティとディル

しおりを挟む
ある日の晩、ディルと食事をとっていると



「そう言えば、今日ケイトが訓練に参加していたな。
ものすごい熱気で俺の部下が何人も救護班に送られていたぞ。
こちらで何かあったのか?」



と聞かれた。



鬼の形相で詰め寄られたはしたけどそれ以外は特に彼女を怒らせるようなことはしていない。


「う~ん、まあ、どうなんだろう。
ここ最近は良い感じよ。」



そうなのだ。

彼女と仕事を進めるのはとても効率が良い。



重要書類は流石に自分で処理するけど、外注先の些細な報告や提案など細々した内容は彼女がてきぱきと良い感じに処理してくれている。



この前は商品のラインナップを悩んでいたら、女性貴族の流行を押さえたカタログを大量に持ってきてくれた。



ローゼ家の奥様、つまり侯爵夫人からもらってきてくれたらしい。



『ルキア様、私のセンスは壊滅ですが、情報収集は得意と言うことが分かりました。
ここから選び抜くご判断はルキア様の仕事でございます。』


とギラギラした目で言ってたな。



女性貴族特有の着飾るセンスのなさは壊滅でもそれ以外はハイスペックな人材だ。



彼女自身も
『男に生まれてきたら良かったと思うことがあります。』
と寂しい目で言っていた。



…いかん、いかん、いかん。



ほだされては…いかん!



彼女の狙いはディルなはずなのだから。



無意識に頭を横に振っていたみたい。




「ルキア…大丈夫か?」


ディルに心配されて気が付いた。




「ええ、大丈夫。
ケティはよくやってくれているわ。」



実際、ディルに悪口を吹き込む隙のない程頑張ってくれいてる。



「…ケイトの事、ケティって呼んでいるのか?」




「え、ええ。
彼女がどうしてもそう呼んで欲しいって言うから。」




「ふ~ん…。そうなのか。」


何となくディルがつまんなそうな表情をしている。




「ディルはケティと喋ったりしないの?」



「まあ、喋りはするが戦い方の相談が多いな。
ケイトは事情があるから色々な戦法を試したいみたいだ。
訓練の話しかしないよ。」



「へえ、そうなの。
私の事はなにか言ってなかった?」



「いや、全く聞いていない。
俺の方から様子を聞いても良くしていただいています。
としてか言わないんだ。
少しくらい教えてくれてもいいのにな。」



「ふ、ふ~ん。そうなんだ…。」



「妙に秘密にしたがるんだよな。
まあ、ルキアと上手く行っているのであれば良いんだが。」



「そ、そうね…。」



やはり、謎な女だ。



普通なら私の悪口を吹き込んで私たちを仲たがいさせるか、逆に私を持ち上げてディルの警戒心を解く戦法に出そうなところを…

謎過ぎる。


女の戦い方に慣れていないだけ?



「ルキア…最近悩んでいないか?
それか、疲れたりしていないか?」



「え?特には仕事でトラブルもないしケティのおかげで順調よ。
疲れているように見える?」



「いいや、それなら良いんだ。」




何かディルの歯切れ悪いなあ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

【12月末日公開終了】これは裏切りですか?

たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。 だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。 そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?

騎士団寮のシングルマザー

古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。 突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。 しかし、目を覚ますとそこは森の中。 異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる! ……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!? ※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。 ※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。

【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

処理中です...