198 / 304
第2章 黒い風と金のいと
それでも理想はお祖父さま 2
しおりを挟む
ザカリーに、ジョーの作ったケーキを、お土産に持たせた。
夕食を取るには取ったが、何を食べたのか、思い出せない。
マルクには申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
が、あまりのショックに、倒れずにいるのだけで精一杯だった。
祖父は、父と話すため、食堂から出ていた。
あとはもう黙々と料理を口にして、夕食を終わらせている。
「大丈夫ですか? レティシア様」
「大丈夫じゃないけど……グレイのほうが重症なんじゃない?」
声をかけてきたサリーに、そう聞いてみた。
屋敷のみんなは、それぞれに休憩室や厨房などで、ザワザワしている。
レティシアは小ホールで、ぼ~っとしていたのだけれども。
「そうですね……あの人が、始終、この屋敷にいると思うと、心穏やかではいられないと思います」
「だよね~」
グレイは、王子様をやめたらしい王子様に、キツい1発を食らっている。
完全にノックアウトされていた。
この先、いつまでかは知らないが、ずっと一緒なのだと思うと、気が滅入るのも、わかる。
レティシアだって楽しいとは思えずにいる。
王子様もといユージーンは、悪人ではない。
さりとて、好感度の高い人物でもないのだ。
「てゆーか、なんでウチに勤めに来るのかな? 働き口なんて、いくらでもありそうじゃん」
王宮にも仕事はあるだろう。
王子様をやめたとしても、王族としての付加価値までなくなるとは思えない。
公爵令嬢ですら働かずして暮らしていけている。
王族が金に困るとは考えにくかった。
働き口どころか、働く必要さえない気がする。
「レティシア様に粘着したいから、ではないですか?」
「怖いこと言わないでよ、サリー……王子様をやめてまでって……それはないと思いたい……そんな責任取れないもん」
「なにもレティシア様が、責任を感じられることはございません。王太子をやめたのは、あの人の勝手なのですから」
サリーの言う通りではあった。
レティシアが、やめてくれと頼んだわけではない。
もとより、王子様をやめたことすら知らなかったのだ。
やめようと悩んでいたのかも、わからない。
(でもなぁ……サイラスのこととか……あったし……)
あれは自分の責任だ、とユージーンは言っている。
レティシアが責任を感じること自体、不敬だ、とも言われた。
だとしても、サイラスが死んだ原因の中には、自分の選択も含まれていると、レティシアは感じている。
それでも、目の前にいるサリーを見れば、後悔はできない。
同じことが起きれば、やはり同じ選択をするだろうから。
「レティ、ザックから事情を聞いてきたのでね。少し話そうか」
小ホールに、祖父が顔を出していた。
レティシアは、扉に向かって駆けて行く。
早く、状況を知りたかったのだ。
祖父と2人で、中庭に出る。
中庭に作られた小道には、街灯も備えられていた。
どのように明かりが灯されているのか、2人が中庭に入ったとたん、ぱぁっと光が街灯に宿る。
少し赤味を帯び始めた背の低い木々が、光の中で、浮かび上がっていた。
レティシアは、自然に、祖父の手を握る。
本当に、何気ない仕草で、無意識だった。
すぐに、大きな手に握り返される。
歩きながら、祖父が、おおまかに事情を話してくれた。
「ふーん。なるほどねぇ。そーいうコトかぁ」
意外と、王子様ではなくユージーンは、真面目に国のことを考えているらしい。
理由を聞けば、一理ある、と思ってしまった。
「あの人、世間知らずにもほどがあるからね。あのままじゃダメ過ぎるっていうのは、わかるよ」
祖父が、くすくすと笑う。
いつものごとく、耳に心地いい笑い声だ。
心が、すうっと軽くなる。
祖父の笑える世界は、いい世界だと感じられた。
それは、祖父が持つ大きな力を使わずにすんでいる、ということだから。
「でも、ちゃんと勤まるのかなぁ。てゆーか、なにするの?」
「そうだねえ。まずは、薪割りからかな」
「薪割りっ? えー、お祖父さま、それは、ちょっと無理なんじゃない?」
「無理でも、だよ、レティ。そのくらいしか、やらせることがない」
確かに、とレティシアも笑う。
ユージーンは、王宮で生きてきた。
尊大で、横柄で、とんでもなく無礼だ。
それが許されるほどには、苦労せずに過ごしてきたのだろう。
薪割り用の斧があることすら、知らないかもしれない。
(薪を知ってるかどうかってトコからだよね、たぶん)
釣りに、釣り道具を持って来ないような人なのだ。
暖炉は勝手に火がつくもの、ぐらいに思っていても不思議ではなかった。
ユージーンが薪割りをしているところなんて、想像もできずにいる。
だいたい、似合わないし。
「世の中を知りたいっていうのは、悪いことじゃないけどさ。なんで、今さらって感じなんですケド」
「なんでも、彼は宰相になりたいらしくてね」
「宰相? お父さまの仕事だよね?」
レティシアに合わせ、ゆっくり歩いてくれている祖父を見上げる。
気づいて、祖父も視線を合わせてくれた。
「ザックは馘首だと言っていたよ」
「ぅえっ?! そんなの……っ……」
酷い、と言おうとしてやめる。
祖父が、軽く肩をすくめた。
「……お父さま、仕事、辞めたいんだっけ」
「馘首でも、ザックは喜ぶさ」
「そっか。いいのか、馘首でも」
「王宮を辞するのは面倒だからね。理由には、こだわらないのじゃないかな」
父は、なにかと言えば、王宮を辞めたがっている。
祖父の言うように、理由にこだわりはしないだろう。
辞められるのならなんでもいい、と思うに違いない。
「お父さま、お母さまと一緒にいたがりだからなぁ」
同じ王宮内の別宅で暮らしているものの、父は、とても忙しいようだ。
一緒に夕食を取る時間も少ない、と、こぼしていた。
母は、社交に精を出している。
面倒には感じているらしいが、それをサラリとやってのけるのが母だった。
現代日本風に言えば、キャリアウーマンというところ。
憧れずにはいられないくらい、颯爽としていて、仕事のできる女性なのだ。
父が、思わず結婚を申し込んだ気持ちも、わからなくはない。
母は社交という仕事をしていても、庭仕事をしていても、変わらず、輝ける人だと思う。
「フラニーほどの女性は、なかなかいないね。我が息子ながら、なぜザックのところに嫁いでくれたのか、未だに不思議でならないよ」
「今度、お母さまに聞いてみる。お父さまのどこが良かったのかって」
「そうしてくれると、謎が解明されて、私もすっきりできそうだ」
祖父の笑顔につられて、レティシアも、また笑った。
ユージーンのことは面倒だが「まぁ、いいか」と思えてきた。
ずっと一緒に暮らすわけではないのだし。
(宰相になるまで、我慢すればいいや。お父さまも王宮を辞められるしね)
そうなれば、両親との時間も増える。
家族で暮らせる日まで、自分も頑張るのだ。
「勤め人かぁ……てことは、特別扱いは、しなくていいの?」
「特別扱いされたくないから、ローエルハイドに来るのだよ」
「ああ……ほかの貴族の屋敷だと厳しくできないんだね」
「レティは察しがいい」
それならば、遠慮をする必要はない。
新入社員の教育とでも思えば、レティシアも気が楽だった。
「みんなにも、そう言っとこう。甘やかすのはナシ! ビシバシ厳しくしよう」
ユージーンが、まともな宰相になれなければ、父は王宮に留まらなければならなくなる。
娘としては、早く父の願いを叶えてあげたかった。
王子様の根性を叩き直す義理はない、と考えていたレティシアだったが、その考えを改める。
「よし! イチから鍛え直しだね」
ユージーンを、まともな「社会人」にしなければ、と思った。
家族の幸せのため、使命感に燃える。
「私も、彼から目を離さないようにするつもりだよ」
そう言えば、祖父は大人の男性には塩対応なところがあった。
ぴりっとした祖父を見られると思うと、ちょっぴり嬉しくなる。
ほとんどの場合、祖父は優しいので、そういう姿は貴重なのだ。
夕食を取るには取ったが、何を食べたのか、思い出せない。
マルクには申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
が、あまりのショックに、倒れずにいるのだけで精一杯だった。
祖父は、父と話すため、食堂から出ていた。
あとはもう黙々と料理を口にして、夕食を終わらせている。
「大丈夫ですか? レティシア様」
「大丈夫じゃないけど……グレイのほうが重症なんじゃない?」
声をかけてきたサリーに、そう聞いてみた。
屋敷のみんなは、それぞれに休憩室や厨房などで、ザワザワしている。
レティシアは小ホールで、ぼ~っとしていたのだけれども。
「そうですね……あの人が、始終、この屋敷にいると思うと、心穏やかではいられないと思います」
「だよね~」
グレイは、王子様をやめたらしい王子様に、キツい1発を食らっている。
完全にノックアウトされていた。
この先、いつまでかは知らないが、ずっと一緒なのだと思うと、気が滅入るのも、わかる。
レティシアだって楽しいとは思えずにいる。
王子様もといユージーンは、悪人ではない。
さりとて、好感度の高い人物でもないのだ。
「てゆーか、なんでウチに勤めに来るのかな? 働き口なんて、いくらでもありそうじゃん」
王宮にも仕事はあるだろう。
王子様をやめたとしても、王族としての付加価値までなくなるとは思えない。
公爵令嬢ですら働かずして暮らしていけている。
王族が金に困るとは考えにくかった。
働き口どころか、働く必要さえない気がする。
「レティシア様に粘着したいから、ではないですか?」
「怖いこと言わないでよ、サリー……王子様をやめてまでって……それはないと思いたい……そんな責任取れないもん」
「なにもレティシア様が、責任を感じられることはございません。王太子をやめたのは、あの人の勝手なのですから」
サリーの言う通りではあった。
レティシアが、やめてくれと頼んだわけではない。
もとより、王子様をやめたことすら知らなかったのだ。
やめようと悩んでいたのかも、わからない。
(でもなぁ……サイラスのこととか……あったし……)
あれは自分の責任だ、とユージーンは言っている。
レティシアが責任を感じること自体、不敬だ、とも言われた。
だとしても、サイラスが死んだ原因の中には、自分の選択も含まれていると、レティシアは感じている。
それでも、目の前にいるサリーを見れば、後悔はできない。
同じことが起きれば、やはり同じ選択をするだろうから。
「レティ、ザックから事情を聞いてきたのでね。少し話そうか」
小ホールに、祖父が顔を出していた。
レティシアは、扉に向かって駆けて行く。
早く、状況を知りたかったのだ。
祖父と2人で、中庭に出る。
中庭に作られた小道には、街灯も備えられていた。
どのように明かりが灯されているのか、2人が中庭に入ったとたん、ぱぁっと光が街灯に宿る。
少し赤味を帯び始めた背の低い木々が、光の中で、浮かび上がっていた。
レティシアは、自然に、祖父の手を握る。
本当に、何気ない仕草で、無意識だった。
すぐに、大きな手に握り返される。
歩きながら、祖父が、おおまかに事情を話してくれた。
「ふーん。なるほどねぇ。そーいうコトかぁ」
意外と、王子様ではなくユージーンは、真面目に国のことを考えているらしい。
理由を聞けば、一理ある、と思ってしまった。
「あの人、世間知らずにもほどがあるからね。あのままじゃダメ過ぎるっていうのは、わかるよ」
祖父が、くすくすと笑う。
いつものごとく、耳に心地いい笑い声だ。
心が、すうっと軽くなる。
祖父の笑える世界は、いい世界だと感じられた。
それは、祖父が持つ大きな力を使わずにすんでいる、ということだから。
「でも、ちゃんと勤まるのかなぁ。てゆーか、なにするの?」
「そうだねえ。まずは、薪割りからかな」
「薪割りっ? えー、お祖父さま、それは、ちょっと無理なんじゃない?」
「無理でも、だよ、レティ。そのくらいしか、やらせることがない」
確かに、とレティシアも笑う。
ユージーンは、王宮で生きてきた。
尊大で、横柄で、とんでもなく無礼だ。
それが許されるほどには、苦労せずに過ごしてきたのだろう。
薪割り用の斧があることすら、知らないかもしれない。
(薪を知ってるかどうかってトコからだよね、たぶん)
釣りに、釣り道具を持って来ないような人なのだ。
暖炉は勝手に火がつくもの、ぐらいに思っていても不思議ではなかった。
ユージーンが薪割りをしているところなんて、想像もできずにいる。
だいたい、似合わないし。
「世の中を知りたいっていうのは、悪いことじゃないけどさ。なんで、今さらって感じなんですケド」
「なんでも、彼は宰相になりたいらしくてね」
「宰相? お父さまの仕事だよね?」
レティシアに合わせ、ゆっくり歩いてくれている祖父を見上げる。
気づいて、祖父も視線を合わせてくれた。
「ザックは馘首だと言っていたよ」
「ぅえっ?! そんなの……っ……」
酷い、と言おうとしてやめる。
祖父が、軽く肩をすくめた。
「……お父さま、仕事、辞めたいんだっけ」
「馘首でも、ザックは喜ぶさ」
「そっか。いいのか、馘首でも」
「王宮を辞するのは面倒だからね。理由には、こだわらないのじゃないかな」
父は、なにかと言えば、王宮を辞めたがっている。
祖父の言うように、理由にこだわりはしないだろう。
辞められるのならなんでもいい、と思うに違いない。
「お父さま、お母さまと一緒にいたがりだからなぁ」
同じ王宮内の別宅で暮らしているものの、父は、とても忙しいようだ。
一緒に夕食を取る時間も少ない、と、こぼしていた。
母は、社交に精を出している。
面倒には感じているらしいが、それをサラリとやってのけるのが母だった。
現代日本風に言えば、キャリアウーマンというところ。
憧れずにはいられないくらい、颯爽としていて、仕事のできる女性なのだ。
父が、思わず結婚を申し込んだ気持ちも、わからなくはない。
母は社交という仕事をしていても、庭仕事をしていても、変わらず、輝ける人だと思う。
「フラニーほどの女性は、なかなかいないね。我が息子ながら、なぜザックのところに嫁いでくれたのか、未だに不思議でならないよ」
「今度、お母さまに聞いてみる。お父さまのどこが良かったのかって」
「そうしてくれると、謎が解明されて、私もすっきりできそうだ」
祖父の笑顔につられて、レティシアも、また笑った。
ユージーンのことは面倒だが「まぁ、いいか」と思えてきた。
ずっと一緒に暮らすわけではないのだし。
(宰相になるまで、我慢すればいいや。お父さまも王宮を辞められるしね)
そうなれば、両親との時間も増える。
家族で暮らせる日まで、自分も頑張るのだ。
「勤め人かぁ……てことは、特別扱いは、しなくていいの?」
「特別扱いされたくないから、ローエルハイドに来るのだよ」
「ああ……ほかの貴族の屋敷だと厳しくできないんだね」
「レティは察しがいい」
それならば、遠慮をする必要はない。
新入社員の教育とでも思えば、レティシアも気が楽だった。
「みんなにも、そう言っとこう。甘やかすのはナシ! ビシバシ厳しくしよう」
ユージーンが、まともな宰相になれなければ、父は王宮に留まらなければならなくなる。
娘としては、早く父の願いを叶えてあげたかった。
王子様の根性を叩き直す義理はない、と考えていたレティシアだったが、その考えを改める。
「よし! イチから鍛え直しだね」
ユージーンを、まともな「社会人」にしなければ、と思った。
家族の幸せのため、使命感に燃える。
「私も、彼から目を離さないようにするつもりだよ」
そう言えば、祖父は大人の男性には塩対応なところがあった。
ぴりっとした祖父を見られると思うと、ちょっぴり嬉しくなる。
ほとんどの場合、祖父は優しいので、そういう姿は貴重なのだ。
1
あなたにおすすめの小説
0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。
アズやっこ
恋愛
❈ 追記 長編に変更します。
16歳の時、私は第一王子と婚姻した。
いとこの第一王子の事は好き。でもこの好きはお兄様を思う好きと同じ。だから第二王子の事も好き。
私の好きは家族愛として。
第一王子と婚約し婚姻し家族愛とはいえ愛はある。だから何とかなる、そう思った。
でも人の心は何とかならなかった。
この国はもう終わる…
兄弟の対立、公爵の裏切り、まるでボタンの掛け違い。
だから歪み取り返しのつかない事になった。
そして私は暗殺され…
次に目が覚めた時0歳児に戻っていた。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。こういう設定だとご了承頂けると幸いです。
治療係ですが、公爵令息様がものすごく懐いて困る~私、男装しているだけで、女性です!~
百門一新
恋愛
男装姿で旅をしていたエリザは、長期滞在してしまった異国の王都で【赤い魔法使い(男)】と呼ばれることに。職業は完全に誤解なのだが、そのせいで女性恐怖症の公爵令息の治療係に……!?「待って。私、女なんですけども」しかも公爵令息の騎士様、なぜかものすごい懐いてきて…!?
男装の魔法使い(職業誤解)×女性が大の苦手のはずなのに、ロックオンして攻めに転じたらぐいぐいいく騎士様!?
※小説家になろう様、ベリーズカフェ様、カクヨム様にも掲載しています。
異世界転移した私と極光竜(オーロラドラゴン)の秘宝
饕餮
恋愛
その日、体調を崩して会社を早退した私は、病院から帰ってくると自宅マンションで父と兄に遭遇した。
話があるというので中へと通し、彼らの話を聞いていた時だった。建物が揺れ、室内が突然光ったのだ。
混乱しているうちに身体が浮かびあがり、気づいたときには森の中にいて……。
そこで出会った人たちに保護されたけれど、彼が大事にしていた髪飾りが飛んできて私の髪にくっつくとなぜかそれが溶けて髪の色が変わっちゃったからさあ大変!
どうなっちゃうの?!
異世界トリップしたヒロインと彼女を拾ったヒーローの恋愛と、彼女の父と兄との家族再生のお話。
★掲載しているファンアートは黒杉くろん様からいただいたもので、くろんさんの許可を得て掲載しています。
★サブタイトルの後ろに★がついているものは、いただいたファンアートをページの最後に載せています。
★カクヨム、ツギクルにも掲載しています。
【完結】恋につける薬は、なし
ちよのまつこ
恋愛
異世界の田舎の村に転移して五年、十八歳のエマは王都へ行くことに。
着いた王都は春の大祭前、庶民も参加できる城の催しでの出来事がきっかけで出会った青年貴族にエマはいきなり嫌悪を向けられ…
公爵令嬢は嫁き遅れていらっしゃる
夏菜しの
恋愛
十七歳の時、生涯初めての恋をした。
燃え上がるような想いに胸を焦がされ、彼だけを見つめて、彼だけを追った。
しかし意中の相手は、別の女を選びわたしに振り向く事は無かった。
あれから六回目の夜会シーズンが始まろうとしている。
気になる男性も居ないまま、気づけば、崖っぷち。
コンコン。
今日もお父様がお見合い写真を手にやってくる。
さてと、どうしようかしら?
※姉妹作品の『攻略対象ですがルートに入ってきませんでした』の別の話になります。
【完結】小公爵様、死亡フラグが立っています。
曽根原ツタ
恋愛
ロベリア・アヴリーヌは前世で日本人だった。恋愛小説『瑠璃色の妃』の世界に転生し、物語には登場しない公爵令嬢として二度目の人生を生きていた。
ロベリアには、小説のエピソードの中で気がかりな点があった。それは、主人公ナターシャの幼馴染で、尚且つ彼女に恋心を寄せる当て馬ポジションのユーリ・ローズブレイドについて。彼は、物語の途中でナターシャの双子の妹に刺殺されるという数奇な運命を迎える。その未来を知るのは──ロベリアただひとり。
お人好しの彼女は、虐げられ主人公も、殺害される当て馬も、ざまぁ予定の悪役も全員救うため、一念発起する。
「ユーリ様。あなたにはナターシャに──愛の告白をしていただきますわ!」
「…………は?」
弾丸令嬢のストーリー改変が始まる──。
-----------------
小説家になろう様でも更新しております。
(完結保証)
目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
楠ノ木雫
恋愛
病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。
病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。
元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!
でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?
※他の投稿サイトにも掲載しています。
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる