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第57話 初商売の結果は…?
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とはいえ、時刻は昼に差し掛かる事で一時的に人通りは少なくなり、それにつれて売れ行きも渋り始めていた。
「もうこんな時間か。
店を離れる訳にはいかないから、今日は干し肉とサイダーで済ませよう」
「いいのか?売り物なんじゃろ?」
もっともだけど売れ残ってしまえば同じ事、あまり気にせずに休憩して午後から頑張れば良い。
ギンレイも食事の気配を察したのか、リュックから顔を出して催促してきた。
「あいよ、美味しい干し肉だよ。
サイダーは…ギンレイはやめとこうな」
「ならワシにくれ~」
すっかり味を覚えた初音が干し肉片手に、氷でキンキンに冷やされた竹筒入りのサイダーを口にする。
俺も大声を挙げ続けた事で疲れが出てきた喉を潤す為、サイダーを飲みながらじっくりと町並みを眺めた。
こんな光景を目にできるだなんて思ってもいなかった、これだけでも来た甲斐があるというものだ。
しばらく干し肉を食べて初音と談笑していると、周りに人が集まっている事にようやく気付く。
「にいちゃん、それ売りもんか?
なんか旨そうだけど高ぇな」
来た!!
俺達が実際に飲み食いしている所を見て興味を持ってくれたようで、物見遊山といった感じで寄ってきたのだろう。
すかさず初音に合図を送り、第2の作戦を実行する。
「あの…よければどうぞ、なのじゃ」
おずおずとした仕草で見目麗しい少女が差し出す飲み物、午前の一仕事を終えた男達は顔を見合せ、こぞってサイダーを手にしていく。
あの独特の語尾は結局直らなかったが狙いは上々だ。
初めて見る物や食べ物に関心を示すのは当然の事、しかし実際にお金を払ってまで手に取るかと言われると話は別。
だが、タダならどうだろう?
しかも可愛い女の子が薦めてきたら?
単純だが一定の効果が期待できる。
その為に試供用の竹コップを用意したのだ。
さぁ、どうなる…?
「その…干し肉も美味しいです、のじゃ」
初音は恥ずかしがりながらも、二の足を踏む客達へ次々と試供用を配っていく。
受け取った人達は干し肉を口にすると意外そうな表情をみせ、『酒の肴に良い』と気に入った様子で買っていくが、試供品サイダー飲んだ客は渋い表情を浮かべていた。
見込みが外れたか…そう思っていたが、さっき干し肉だけを買った客が戻ってきてサイダーを追加で頼みだした!
どうやら最初は炭酸に面食らっていた人達も、その不思議な魅力を話の種にしようと興味本意で求めたのだ。
加えて5月とは思えぬ夏日。
朝から続く炎天下で自然と喉が渇き、氷で冷やされた飲み物を求めて手が伸びるのは当然と言える。
こうなると口々にサイダーの噂が広まり、あっと言う間に店はごった返す程の客が押し寄せ、飛ぶように売れていく。
正午を過ぎた頃にはサイダーを含め、殆どの商品が完売する程の盛況で幕を閉じる事ができた。
「あしな!もう干し肉も全部売れてしもうたぞ、大成功じゃ!」
「あぁ……なんか…疲れたけど、文化祭みたいで楽しかったな」
まさか売り切れるとは思っておらず、心地よい疲労感の中で残しておいたサイダーを取り出し、初音との乾杯で今日の喜びを分かち合った。
「もうこんな時間か。
店を離れる訳にはいかないから、今日は干し肉とサイダーで済ませよう」
「いいのか?売り物なんじゃろ?」
もっともだけど売れ残ってしまえば同じ事、あまり気にせずに休憩して午後から頑張れば良い。
ギンレイも食事の気配を察したのか、リュックから顔を出して催促してきた。
「あいよ、美味しい干し肉だよ。
サイダーは…ギンレイはやめとこうな」
「ならワシにくれ~」
すっかり味を覚えた初音が干し肉片手に、氷でキンキンに冷やされた竹筒入りのサイダーを口にする。
俺も大声を挙げ続けた事で疲れが出てきた喉を潤す為、サイダーを飲みながらじっくりと町並みを眺めた。
こんな光景を目にできるだなんて思ってもいなかった、これだけでも来た甲斐があるというものだ。
しばらく干し肉を食べて初音と談笑していると、周りに人が集まっている事にようやく気付く。
「にいちゃん、それ売りもんか?
なんか旨そうだけど高ぇな」
来た!!
俺達が実際に飲み食いしている所を見て興味を持ってくれたようで、物見遊山といった感じで寄ってきたのだろう。
すかさず初音に合図を送り、第2の作戦を実行する。
「あの…よければどうぞ、なのじゃ」
おずおずとした仕草で見目麗しい少女が差し出す飲み物、午前の一仕事を終えた男達は顔を見合せ、こぞってサイダーを手にしていく。
あの独特の語尾は結局直らなかったが狙いは上々だ。
初めて見る物や食べ物に関心を示すのは当然の事、しかし実際にお金を払ってまで手に取るかと言われると話は別。
だが、タダならどうだろう?
しかも可愛い女の子が薦めてきたら?
単純だが一定の効果が期待できる。
その為に試供用の竹コップを用意したのだ。
さぁ、どうなる…?
「その…干し肉も美味しいです、のじゃ」
初音は恥ずかしがりながらも、二の足を踏む客達へ次々と試供用を配っていく。
受け取った人達は干し肉を口にすると意外そうな表情をみせ、『酒の肴に良い』と気に入った様子で買っていくが、試供品サイダー飲んだ客は渋い表情を浮かべていた。
見込みが外れたか…そう思っていたが、さっき干し肉だけを買った客が戻ってきてサイダーを追加で頼みだした!
どうやら最初は炭酸に面食らっていた人達も、その不思議な魅力を話の種にしようと興味本意で求めたのだ。
加えて5月とは思えぬ夏日。
朝から続く炎天下で自然と喉が渇き、氷で冷やされた飲み物を求めて手が伸びるのは当然と言える。
こうなると口々にサイダーの噂が広まり、あっと言う間に店はごった返す程の客が押し寄せ、飛ぶように売れていく。
正午を過ぎた頃にはサイダーを含め、殆どの商品が完売する程の盛況で幕を閉じる事ができた。
「あしな!もう干し肉も全部売れてしもうたぞ、大成功じゃ!」
「あぁ……なんか…疲れたけど、文化祭みたいで楽しかったな」
まさか売り切れるとは思っておらず、心地よい疲労感の中で残しておいたサイダーを取り出し、初音との乾杯で今日の喜びを分かち合った。
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