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◇120◇不安の方が大きいけれど
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「何、真剣に見ているの? 薬剤師?」
イラーノが本を覗いて来た。
「うん。どうせならって思っていたんだけど。まずは、薬草ソムリエを取得しないといけないみたい」
「え? 薬草ソムリエ? そんなのもあるんだ」
「うん。まずこれ取得してみるよ」
「そっか。俺も何かあるかな? それってスキル関係なくだもんね」
僕が本を渡すと、真剣な顔つきで今度はイラーノが本とにらめっこ。
ダイドさんは、お金がかかるって言っていたし、剣士よりは薬剤師の方がなんとなくいいよね?
よくわからないけど、商人ギルドのスキルとか書いてあったし、街に行ったら色々調べてみよう。
だいぶ薄暗くなってきたな。
僕は、空を見上げた。西の空が赤くなりはじめている。
「ライト」
ぽわっとイラーノの左手に乗せた石が光を帯びた。
明かりを点ける為に、落ちていた石を拾ったみたい。物を光らせないといけないけど、便利だな。
「だめだ。両手使えないと本が読みづらい」
「あ、押えてる?」
「いや、いいよ。本は明るい時に見る事にするよ。それより明日からの事を話し合わない?」
「あ、そうだね」
そう言えば漠然と街に行くとしか思ってなかったけど。
「どうやって行こうか? 馬もないし、途中で馬車を拾う?」
馬車は下りる場所は決まっているけど、停留所じゃなくても乗せては貰える。
僕は、ジーンに乗って移動しようと思っていたけど……イラーノ、承諾してくれるかな。
「あのさ、ジーンで移動ってどう?」
「え? どうやって? 犬に見えたとしてもそれにまたがって移動していたら凄い注目浴びると思うけど」
「うーん。じゃ、森の中を移動だね。それなら見つからない」
「……そうだけど」
やっぱり無理か。馬車で移動しかないのかな。歩いてって言うのもあるけど、きっとそっちは僕が無理だ。体力がもたない。
「一応それで移動してみる?」
「いいの?」
「出来そうならね。無理なら馬車で移動しよう。俺は歩いてはきっと無理」
あ、イラーノも無理なんだ。
まあ僕達体力ないよね……。イラーノは、あの大きなリュック背負っているし歩きは大変か。
「じゃ、まずはジーンで移動で。ジーン。明日はジーンに乗って移動しようと思うんだけどいいかな?」
『了解した』
「ありがとう」
「たぶん、馬車で半日以上かかると思うからそれぐらいは見た方がいいね。明日は、出来るだけ早く立とうか」
「うん。じゃ、もう寝る?」
「そうだね。布団以外で寝るの初めてだけど、疲れているから寝れそう。ねえ、ジーンと一緒に寝てもいいかな?」
「いいよ。お願いしてみる」
やっぱりモンスターだとわかっていても犬に見えれば平気なんだ。まあ、ぽつんと一人寝るよりはいいのかもね。
「ジーンお願いがあるんだけど。イラーノと一緒に寝てもらってもいいかな?」
『……クテュールも一緒ならかまわん』
「わかった……」
「えへ。ごめんね」
イラーノは嬉しそうだ。
キュイと一緒に寝るのはまた今度って事で。
伏せをしたジーンにイラーノと二人してもたれ掛かる。リリンは、僕の腕の中。
「ねえ。俺達ちゃんと冒険者としてやっていけるかな?」
「え?」
まさかイラーノがそんな事を言うとは思わなかった。
僕は、冒険者になるつもりがなかったから知識も何もない。あるとしたら薬草の事が少しわかるだけ。
確かに一緒に組む相手としたら頼りないかもしれない。
イラーノも街から出るつもりなかったみたいだし、ヒールできるけどそれを役立てる仕事があるかどうかわからないもんね。
僕がテイマーだからモンスターに襲われないからモンスターがいる場所には、安全に行けるってだけだもんな。
食べるのにも寝泊りするのにもお金がかかる。
きっと、色んな物も買いそろえないといけないかもしれない。
……考えるのをやめよう。何か行くのが嫌になる。
「僕がついてるって言えたらいいんだけど。どうしてもダメなら戻ろう。笑われるかもしれないけど」
「そうだね。何とか一か月頑張ってみよう。一年経たなくてもって、俺達もうすでに諦めモード? 本当のお父さんこれじゃ探せないね」
「そうだった。まああれだよ。レベル上がらなくても僕2になったし。お金だけ工面できれば大丈夫かな? でも依頼受けないと稼げないよね? うーん。そうだ。イラーノってレベルいくつ?」
「レベル3。ここからはなかなか上がらないらしいよ。でも指名貰える様になると上がりやすくなるって。お父さんが言っていた」
なるほど。レベルは信頼度みたいなもんだもんね。指名を貰えるって事は、信頼されているって事か。
なら同じ系統の仕事を受けて信頼を得た方がいいかも。やっぱり剣士より薬草ソムリエにジョブ変えた方がいいよね。
イラーノが明かりを消すと、夜空の星が凄く綺麗だ。
「わぁ。すごーい」
イラーノが感動して呟く。
この星空を見つつ、僕は眠りに落ちた。
イラーノが本を覗いて来た。
「うん。どうせならって思っていたんだけど。まずは、薬草ソムリエを取得しないといけないみたい」
「え? 薬草ソムリエ? そんなのもあるんだ」
「うん。まずこれ取得してみるよ」
「そっか。俺も何かあるかな? それってスキル関係なくだもんね」
僕が本を渡すと、真剣な顔つきで今度はイラーノが本とにらめっこ。
ダイドさんは、お金がかかるって言っていたし、剣士よりは薬剤師の方がなんとなくいいよね?
よくわからないけど、商人ギルドのスキルとか書いてあったし、街に行ったら色々調べてみよう。
だいぶ薄暗くなってきたな。
僕は、空を見上げた。西の空が赤くなりはじめている。
「ライト」
ぽわっとイラーノの左手に乗せた石が光を帯びた。
明かりを点ける為に、落ちていた石を拾ったみたい。物を光らせないといけないけど、便利だな。
「だめだ。両手使えないと本が読みづらい」
「あ、押えてる?」
「いや、いいよ。本は明るい時に見る事にするよ。それより明日からの事を話し合わない?」
「あ、そうだね」
そう言えば漠然と街に行くとしか思ってなかったけど。
「どうやって行こうか? 馬もないし、途中で馬車を拾う?」
馬車は下りる場所は決まっているけど、停留所じゃなくても乗せては貰える。
僕は、ジーンに乗って移動しようと思っていたけど……イラーノ、承諾してくれるかな。
「あのさ、ジーンで移動ってどう?」
「え? どうやって? 犬に見えたとしてもそれにまたがって移動していたら凄い注目浴びると思うけど」
「うーん。じゃ、森の中を移動だね。それなら見つからない」
「……そうだけど」
やっぱり無理か。馬車で移動しかないのかな。歩いてって言うのもあるけど、きっとそっちは僕が無理だ。体力がもたない。
「一応それで移動してみる?」
「いいの?」
「出来そうならね。無理なら馬車で移動しよう。俺は歩いてはきっと無理」
あ、イラーノも無理なんだ。
まあ僕達体力ないよね……。イラーノは、あの大きなリュック背負っているし歩きは大変か。
「じゃ、まずはジーンで移動で。ジーン。明日はジーンに乗って移動しようと思うんだけどいいかな?」
『了解した』
「ありがとう」
「たぶん、馬車で半日以上かかると思うからそれぐらいは見た方がいいね。明日は、出来るだけ早く立とうか」
「うん。じゃ、もう寝る?」
「そうだね。布団以外で寝るの初めてだけど、疲れているから寝れそう。ねえ、ジーンと一緒に寝てもいいかな?」
「いいよ。お願いしてみる」
やっぱりモンスターだとわかっていても犬に見えれば平気なんだ。まあ、ぽつんと一人寝るよりはいいのかもね。
「ジーンお願いがあるんだけど。イラーノと一緒に寝てもらってもいいかな?」
『……クテュールも一緒ならかまわん』
「わかった……」
「えへ。ごめんね」
イラーノは嬉しそうだ。
キュイと一緒に寝るのはまた今度って事で。
伏せをしたジーンにイラーノと二人してもたれ掛かる。リリンは、僕の腕の中。
「ねえ。俺達ちゃんと冒険者としてやっていけるかな?」
「え?」
まさかイラーノがそんな事を言うとは思わなかった。
僕は、冒険者になるつもりがなかったから知識も何もない。あるとしたら薬草の事が少しわかるだけ。
確かに一緒に組む相手としたら頼りないかもしれない。
イラーノも街から出るつもりなかったみたいだし、ヒールできるけどそれを役立てる仕事があるかどうかわからないもんね。
僕がテイマーだからモンスターに襲われないからモンスターがいる場所には、安全に行けるってだけだもんな。
食べるのにも寝泊りするのにもお金がかかる。
きっと、色んな物も買いそろえないといけないかもしれない。
……考えるのをやめよう。何か行くのが嫌になる。
「僕がついてるって言えたらいいんだけど。どうしてもダメなら戻ろう。笑われるかもしれないけど」
「そうだね。何とか一か月頑張ってみよう。一年経たなくてもって、俺達もうすでに諦めモード? 本当のお父さんこれじゃ探せないね」
「そうだった。まああれだよ。レベル上がらなくても僕2になったし。お金だけ工面できれば大丈夫かな? でも依頼受けないと稼げないよね? うーん。そうだ。イラーノってレベルいくつ?」
「レベル3。ここからはなかなか上がらないらしいよ。でも指名貰える様になると上がりやすくなるって。お父さんが言っていた」
なるほど。レベルは信頼度みたいなもんだもんね。指名を貰えるって事は、信頼されているって事か。
なら同じ系統の仕事を受けて信頼を得た方がいいかも。やっぱり剣士より薬草ソムリエにジョブ変えた方がいいよね。
イラーノが明かりを消すと、夜空の星が凄く綺麗だ。
「わぁ。すごーい」
イラーノが感動して呟く。
この星空を見つつ、僕は眠りに落ちた。
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