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◇240◇魔女の行方
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「主様!」
「クテュール……」
震える声でロドリゴさんが、僕の名を呼んだ。僕が、魔法を体で受け止めたからだ。
「大丈夫です。僕には、魔法は効かないので」
「……え?」
少し茫然としていたロドリゴさんだけど切り替えが早かった。襲って来るエルフに身構える。
ドーン!
「ルイユ! うわぁ」
凄い音と共に砂ぼこりが舞い、イラーノの叫び声が聞こえた。
何が起きたの? 魔法?
ルイユは? イラーノは?
《やられました。動けません……変化が解けます》
変化が解ける!?
「ク、クテュール。け、剣を持って……に……」
砂埃の中、弱弱しいロドリゴさんの声が足元から聞こえた。辺りがクリアになって驚いた。
立っていたのは、僕とエルフだけだった!
「ほう。魔法が効かないと言うだけあるな」
ロドリゴさんは剣を握りしめ足元で倒れ、アベガルさんはイラーノを抱きしめて倒れている。たぶん、馬ごと空から墜落したんだ。
ルイユもそう。
そして、キュイまでも……あの森の結界だ! 魔力を吸い取る結界。
「もしかして、森でしていた事って……」
「あぁ。結界を張る準備さ。ルイユがこの森で何かをしようとしているようだからな。調べる為にな」
「さて、何をしようとしていたんだ? 答えろ!」
ど、どうしたらいいんだ。動けるのが僕だけなんて!
「知らない。知っていたとしても教えるわけないじゃないか!」
僕は、ロドリゴさんが握りしめている魔女が封印された剣を手に取った。
「見たところ、剣に長けているわけでもなさそうだが、歯向かうか? チュトラリーも倒れた今、どうするというのだ?」
倒れた? 誰の事? ロドリゴさん? イラーノ? それともまさかのアベガルさん?
「なるほど。チュトラリーすら知らないか」
僕が困惑した顔をしていたからなのか、そうとったみたい。
「見るがいい。君と一緒にいた女は今、モンスターだ。ルイユの正体だ。そして、ルイユが主様と呼んでいたのがチュトラリーで、君の足元で寝ている奴だ」
僕は、自然とロドリゴさんに視線を移す。
そっか。僕に言っていたけど、彼らはロドリゴさんに言っていると思ったんだ。
「で? 何しに来たの?」
「ルイユとチュトラリーは、我らの主様を邪魔する者達だ。消えてもらう」
「それって魔女の事? だったらもういないよ。倒したからね」
「……あははは。何を言っている? 彼女は、目覚めた!」
「目覚めた? 会いに行かないの?」
ギロリと睨まれた。
やっぱりそうだ。ルイユだと気がついていて、ただ様子を見ていただけなんておかしい。
人間のルイユを追っていたのならチュトラリーもいると睨んでいたはず。そして、ロドリゴさんをチュトラリーだと思っていて、すぐに殺そうとしていない。
「ここに閉じ込めたのではないか?」
封印されたと思っているんだ。
合っている。それが剣だとは知らないんだ。
だとすると、この剣の事を悟られなければ何とかなるかも。
でもどうしたら僕一人じゃ……。
《主様、たぶん飛べはしませんが、キュイも動けると思います。奇襲を掛けましょう。キュイに、攻撃するように言って下さい。それを合図に、私も動きます》
そう言えば、動ける事は動けるんだっけ。
キュイも動けるけど、様子を伺っているって事?
僕じゃ勝てないし、やってみるかな……。
「キュイ! あのエルフ達を攻撃して!」
大人しくしていたキュイがパチッと目を開けた。真っ赤な瞳を動かし、エルフを捉えると、起き上がった。
そして、羽根を広げ振る。
「何!」
疾風が、エルフ達を襲う!
「まさか、お前がチュトラリーか!」
そう叫ぶエルフをルイユが襲い掛かる。
《この結界自体は、そんなに長く持たないと思います。効果が切れれば、私も全力とは行かないまでもまともに戦える様になりますので!》
そう話しかけてきた通り、不意を突いたけどルイユは苦戦していた。
キュイもその場から攻撃になるので、疾風のみの攻撃だ。決定打に掛ける。
って、気づくと一人がこっちに向かって来ていた。
エルフが魔法を使っていないという事は、彼らでもこの結界の中では魔法を使えないのかも。それとも何か意図が?
エルフが僕に剣を振り下ろす! それを僕はスッとかわす。
倒れたのは、エルフだ。
教わった受け流しが実戦でも出来た!
「なるほど! 魔法も効かない上に剣の腕もあると……」
「おい! おかしいぞ。やっぱりあのチュトラリーから我らの主様の力を感じる!」
エルフの一人が何かを持って見ながら言った。
それは、オーブの様な丸い物だ。
魔女を探していたんだ!
と、突然残りの二人も僕の方へと向かってきた!
ルイユが止めに入るけど、一人しか止められない。
『主様! 逃げて下さい!』
ルイユが叫んだ。
「クテュール……」
震える声でロドリゴさんが、僕の名を呼んだ。僕が、魔法を体で受け止めたからだ。
「大丈夫です。僕には、魔法は効かないので」
「……え?」
少し茫然としていたロドリゴさんだけど切り替えが早かった。襲って来るエルフに身構える。
ドーン!
「ルイユ! うわぁ」
凄い音と共に砂ぼこりが舞い、イラーノの叫び声が聞こえた。
何が起きたの? 魔法?
ルイユは? イラーノは?
《やられました。動けません……変化が解けます》
変化が解ける!?
「ク、クテュール。け、剣を持って……に……」
砂埃の中、弱弱しいロドリゴさんの声が足元から聞こえた。辺りがクリアになって驚いた。
立っていたのは、僕とエルフだけだった!
「ほう。魔法が効かないと言うだけあるな」
ロドリゴさんは剣を握りしめ足元で倒れ、アベガルさんはイラーノを抱きしめて倒れている。たぶん、馬ごと空から墜落したんだ。
ルイユもそう。
そして、キュイまでも……あの森の結界だ! 魔力を吸い取る結界。
「もしかして、森でしていた事って……」
「あぁ。結界を張る準備さ。ルイユがこの森で何かをしようとしているようだからな。調べる為にな」
「さて、何をしようとしていたんだ? 答えろ!」
ど、どうしたらいいんだ。動けるのが僕だけなんて!
「知らない。知っていたとしても教えるわけないじゃないか!」
僕は、ロドリゴさんが握りしめている魔女が封印された剣を手に取った。
「見たところ、剣に長けているわけでもなさそうだが、歯向かうか? チュトラリーも倒れた今、どうするというのだ?」
倒れた? 誰の事? ロドリゴさん? イラーノ? それともまさかのアベガルさん?
「なるほど。チュトラリーすら知らないか」
僕が困惑した顔をしていたからなのか、そうとったみたい。
「見るがいい。君と一緒にいた女は今、モンスターだ。ルイユの正体だ。そして、ルイユが主様と呼んでいたのがチュトラリーで、君の足元で寝ている奴だ」
僕は、自然とロドリゴさんに視線を移す。
そっか。僕に言っていたけど、彼らはロドリゴさんに言っていると思ったんだ。
「で? 何しに来たの?」
「ルイユとチュトラリーは、我らの主様を邪魔する者達だ。消えてもらう」
「それって魔女の事? だったらもういないよ。倒したからね」
「……あははは。何を言っている? 彼女は、目覚めた!」
「目覚めた? 会いに行かないの?」
ギロリと睨まれた。
やっぱりそうだ。ルイユだと気がついていて、ただ様子を見ていただけなんておかしい。
人間のルイユを追っていたのならチュトラリーもいると睨んでいたはず。そして、ロドリゴさんをチュトラリーだと思っていて、すぐに殺そうとしていない。
「ここに閉じ込めたのではないか?」
封印されたと思っているんだ。
合っている。それが剣だとは知らないんだ。
だとすると、この剣の事を悟られなければ何とかなるかも。
でもどうしたら僕一人じゃ……。
《主様、たぶん飛べはしませんが、キュイも動けると思います。奇襲を掛けましょう。キュイに、攻撃するように言って下さい。それを合図に、私も動きます》
そう言えば、動ける事は動けるんだっけ。
キュイも動けるけど、様子を伺っているって事?
僕じゃ勝てないし、やってみるかな……。
「キュイ! あのエルフ達を攻撃して!」
大人しくしていたキュイがパチッと目を開けた。真っ赤な瞳を動かし、エルフを捉えると、起き上がった。
そして、羽根を広げ振る。
「何!」
疾風が、エルフ達を襲う!
「まさか、お前がチュトラリーか!」
そう叫ぶエルフをルイユが襲い掛かる。
《この結界自体は、そんなに長く持たないと思います。効果が切れれば、私も全力とは行かないまでもまともに戦える様になりますので!》
そう話しかけてきた通り、不意を突いたけどルイユは苦戦していた。
キュイもその場から攻撃になるので、疾風のみの攻撃だ。決定打に掛ける。
って、気づくと一人がこっちに向かって来ていた。
エルフが魔法を使っていないという事は、彼らでもこの結界の中では魔法を使えないのかも。それとも何か意図が?
エルフが僕に剣を振り下ろす! それを僕はスッとかわす。
倒れたのは、エルフだ。
教わった受け流しが実戦でも出来た!
「なるほど! 魔法も効かない上に剣の腕もあると……」
「おい! おかしいぞ。やっぱりあのチュトラリーから我らの主様の力を感じる!」
エルフの一人が何かを持って見ながら言った。
それは、オーブの様な丸い物だ。
魔女を探していたんだ!
と、突然残りの二人も僕の方へと向かってきた!
ルイユが止めに入るけど、一人しか止められない。
『主様! 逃げて下さい!』
ルイユが叫んだ。
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