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66 ミリーサイド
しおりを挟む★ミリーサイド
「おかげで俺がペンダントを取り上げてからアリーヤは悪夢を見なかった。『今日』までな」
「……っっ!!」
「マーチンから貰ったペンダントを渡せ」
ミリーは、オーランドには見せるなと言われたマーチンの言葉を思い出し服の上からペンダントを守るようにぎゅっと握る。
「……そうか。渡したくないなら、取り上げるまでだ」
オーランドが指を動かすと、ミリーはオーランドの魔法によって体を操つられるのが分かる。
オーランドは嫌味でナルシストな発言をする女好きな舞台俳優のような大袈裟な人間だが、使用人(自分)にも気遣ってくれる憎めず、そこにいるだけで空気が明るくなる素敵な紳士だと思っていた。
それが真実はアリーヤに害する人間には、いとも簡単に倫理など関係なく、体を操ることの出来る苛烈な人間だった。まるで知らない人で自分が見限られた事に絶望する。
「お、お渡しします!お渡ししますので!おやめ下さい!」
ミリーは泣き震えながら服の下からピンクの可愛らしい花の形のペンダントを取り出す。そんな訳ない。マーチンがそんな事するはず無い。彼は自分を思って買ってくれたのだ。
(……でも、なぜ?あの時はなぜ緑のペンダントを付けていないと分かったの?)
一瞬だけミリーに小さな疑問がよぎる。オーランドはピンクのペンダント受け取ると
「緑の石より格段に『歪んだ魔力』が強い」
と口にする。自分には単なる可愛らしいペンダントにしか見えないが、オーランドの魔法を幾つも目にした今、彼の言葉は事実なのだろうと分かる。
「ピンクかぁ。リリアーナ嬢が好きそうな色だね。殿下とお揃いで付けそうだね」
アレンが呑気に話すが、実際それは有り得る話だ。国王と王妃にも渡っているだろう。伯爵の意図が依然として分からない。
「アリーヤに悪夢を見せるには媒介を起動させる呪文、トリガーが必要です」
「寧ろ、それを知ったからこそミリーを狙ったと言う方が正しいかもしれんな」
オーランドの言葉にアルバートが続く。ミリーはアルバートの言葉にまた体が跳ねる。本当に自分はアリーヤを害する為だけに選ばれた人間なのか……自分が無価値だと言われているように思えてしまう。
「私達は……私とマーチンは!愛し合っています!恋人です!」
ミリーは思わず声を上げる。ミリーは周囲をキッと睨む。アリーヤの侍女だからじゃない。マーチンは『自分』だから告白してくれたのだ。
唯一の女性であるオリヴィエが、苦しそうに自分の名前を呼び、アレンとアルバートは同情するように見つめる。オーランドだけは冷たい表情のまま
「そうか。それで?お前とアリーヤの間には毎日寝る前に行われる何かがあるのだろう?」
「!!!」
別に同情されたい訳じゃない。それでもここまで淡々と冷徹に話せるものなのかとミリーはオーランドにゾッとする。
「……お嬢様に寝る前に建国物語の一文を言うのが習慣でした。私の母がしてくれたように……ただお嬢様の幸せを願って……それだけです」
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