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第三話
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結局、昨日の夜。
部屋に行った俺は、ベッドの縁に腰掛けて足を組む莉那に、「お兄ちゃん、レンタル彼氏を許可します!」と、ビシッ! と指を突き付けられて許可された。
レンタル彼氏にあまり乗り気じゃなかった莉那が、風呂に入って出てきたら乗り気になっていた理由はわからないが、とりあえずホッとした。
さらに加えて、莉那はこんなことも提案してくれた。
「お兄ちゃんって、洋服とか、髪のセットの仕方とか、分からないよね? だから、その点は私がフォローする、っていうのはどうかな? ほら、お兄ちゃんにはお金を稼いでもらうんだし、このくらいはね?」
と。
これは、俺にとってめちゃくちゃありがたい提案だった。というのも、起きてから『株式会社レンタル彼氏』に電話をしたのだが。
「お? レンタル彼氏になりたい感じぃ? いいよいいよッ! やろうよ!」
そんな、かっるい言葉と共に、「後日ウェブ面談するから、その時にはキメキメのデートコーデで決めてきてね!」と言われたのだ。
……キメキメのデートコーデってなんだ?
と、言われた時は悩んだので、莉那の提案はまさに、渡りに船というやつである。
後日のウェブ面談として提案されたのは、明日の午後。ちょうど、学校から帰ってきて少し経ったぐらいの時間だった。
なので、その事を莉那に相談した。すると、
「じゃあ、今日デッ……、お買い物行こうか?」
と言ってくれた。
という訳で、現在。俺は、持っている中で一番清潔感のあるファッションに加えて、出来る限り髪をセットしてくるように莉那に命じられ、その準備を整えた上で、待ち合わせ場所である駅前にある、噴水前に来ていた。
俺としては、一緒に家を出ればよくないか? とも思ったのだが。
「デートの練習も兼ねてるからね。待ち合わせした彼女を出迎える、っていう経験も必要じゃない?」
と言われて、その意見を採用した。
現在時刻は、十一時半。この後は、一緒にお昼ご飯を食べてから、俺のデートコーデを見に行く予定となっている。
「お兄ちゃん、お待たせ」
そんな声が左から聞こえてきて、目を向ける。そこには、笑みと共に手を振って近づいてくる、莉那がいた。
「おう、遅かったな?」
莉那が待ち合わせ時間ぎりぎりとは珍しい。いつもなら、十分前行動を心掛けているのに。
そう思っての発言だったのだが、いきなり莉那が溜息を吐いた。
「なんだ?」
「お兄ちゃん? デートの定番と言えば?」
「定番?」
莉那に半眼で睨まれて、記憶を探る。
……定番、定番、定番?
「大丈夫。今来たところだよ?」
「そう、それ!」
ビシッ! と指を突き付けられる。どうやら、お気に召したらしい。
「良い? 彼氏なら、彼女の失敗は笑って受け止められないとダメだよ? 間違っても、遅かったな? なんて言っちゃダメ!」
「わ、悪かった……。えっと、じゃあ。全然待ってないから、大丈夫だよ」
若干棒読みになったが、言い直した。
すると、莉那が笑みを浮かべて、
「よろしい。じゃあ、いこ。お兄ちゃん♪」
そう言って、俺の腕を引いて歩き出す。
「あ、おい。いきなり引っ張るなッ」
「えっへへ~。遅いお兄ちゃんが悪いんだよ♪」
普段よりも楽しそうな表情を浮かべる莉那と共に、歩き出す。
……デートって大変だな。
経験ゼロの俺には、まだまだ分からないことだらけだ。だから、相手は妹だが、本当のデートをしていると思って、頑張ってみよう。
俺は気合を入れ直して、莉那の隣に並ぶのだった。
部屋に行った俺は、ベッドの縁に腰掛けて足を組む莉那に、「お兄ちゃん、レンタル彼氏を許可します!」と、ビシッ! と指を突き付けられて許可された。
レンタル彼氏にあまり乗り気じゃなかった莉那が、風呂に入って出てきたら乗り気になっていた理由はわからないが、とりあえずホッとした。
さらに加えて、莉那はこんなことも提案してくれた。
「お兄ちゃんって、洋服とか、髪のセットの仕方とか、分からないよね? だから、その点は私がフォローする、っていうのはどうかな? ほら、お兄ちゃんにはお金を稼いでもらうんだし、このくらいはね?」
と。
これは、俺にとってめちゃくちゃありがたい提案だった。というのも、起きてから『株式会社レンタル彼氏』に電話をしたのだが。
「お? レンタル彼氏になりたい感じぃ? いいよいいよッ! やろうよ!」
そんな、かっるい言葉と共に、「後日ウェブ面談するから、その時にはキメキメのデートコーデで決めてきてね!」と言われたのだ。
……キメキメのデートコーデってなんだ?
と、言われた時は悩んだので、莉那の提案はまさに、渡りに船というやつである。
後日のウェブ面談として提案されたのは、明日の午後。ちょうど、学校から帰ってきて少し経ったぐらいの時間だった。
なので、その事を莉那に相談した。すると、
「じゃあ、今日デッ……、お買い物行こうか?」
と言ってくれた。
という訳で、現在。俺は、持っている中で一番清潔感のあるファッションに加えて、出来る限り髪をセットしてくるように莉那に命じられ、その準備を整えた上で、待ち合わせ場所である駅前にある、噴水前に来ていた。
俺としては、一緒に家を出ればよくないか? とも思ったのだが。
「デートの練習も兼ねてるからね。待ち合わせした彼女を出迎える、っていう経験も必要じゃない?」
と言われて、その意見を採用した。
現在時刻は、十一時半。この後は、一緒にお昼ご飯を食べてから、俺のデートコーデを見に行く予定となっている。
「お兄ちゃん、お待たせ」
そんな声が左から聞こえてきて、目を向ける。そこには、笑みと共に手を振って近づいてくる、莉那がいた。
「おう、遅かったな?」
莉那が待ち合わせ時間ぎりぎりとは珍しい。いつもなら、十分前行動を心掛けているのに。
そう思っての発言だったのだが、いきなり莉那が溜息を吐いた。
「なんだ?」
「お兄ちゃん? デートの定番と言えば?」
「定番?」
莉那に半眼で睨まれて、記憶を探る。
……定番、定番、定番?
「大丈夫。今来たところだよ?」
「そう、それ!」
ビシッ! と指を突き付けられる。どうやら、お気に召したらしい。
「良い? 彼氏なら、彼女の失敗は笑って受け止められないとダメだよ? 間違っても、遅かったな? なんて言っちゃダメ!」
「わ、悪かった……。えっと、じゃあ。全然待ってないから、大丈夫だよ」
若干棒読みになったが、言い直した。
すると、莉那が笑みを浮かべて、
「よろしい。じゃあ、いこ。お兄ちゃん♪」
そう言って、俺の腕を引いて歩き出す。
「あ、おい。いきなり引っ張るなッ」
「えっへへ~。遅いお兄ちゃんが悪いんだよ♪」
普段よりも楽しそうな表情を浮かべる莉那と共に、歩き出す。
……デートって大変だな。
経験ゼロの俺には、まだまだ分からないことだらけだ。だから、相手は妹だが、本当のデートをしていると思って、頑張ってみよう。
俺は気合を入れ直して、莉那の隣に並ぶのだった。
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