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第二章 孤高のヤンキー先輩はチョロすぎる
第22話 いろいろメンドイ姉がいる
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1週間とは、長いようで短いものだ。
あっという間に週末の土曜日に突入してしまった。
それにしても、なぜか今週から梨子が部室に入り浸るようになった。
本人いわく、ウチの高校のテニス部は弱く、練習も緩いから週三回(火、木、土曜日の午前のみ)らしい。
対してウチの手芸愛好会は、金曜のみ参加強制の週一部活。しかし、僕は平日ずっと部室にいるため、実質週五部活だ。
その関係で、五日間のうち三日間は梨子との時間を過ごすことになっていた。
「ある意味、よかったかもなぁ」
僕は、クローゼットの中を漁りながら、そうぼやいていた。
明日、南嶋先輩と洋服選び……という名の実質デートに誘われている。
南嶋柚香。いろいろと怖がられているが、あれで結構な美人である。
誘われた日の夜は、緊張で眠れなかった。最近女子と縁が出来ただけの僕には、刺激が強すぎるのだ。
しかし、梨子や蜜柑、綾乃達と親しくなっていなければ、もっとガチガチになっていただろうから、感謝しなければ。
とはいえ――
「う~ん、着ていく服どうすればいいんだ?」
クローゼットの中に眠っているのは、部屋着として買った服の数々。
正直、コーディネイト、などという単語とは無縁の人生を送ってきたのだ。女子の服を選ぶ以前に、自分の服すら選べないとか、とんだポンコツコンサルタントである。
――と。
「さっきからガサゴソうるさいぞ~眠れないでしょーが」
ガチャリと音を立て、自室の扉が開いた。
顔を出したのは、ショートパンツにパーカーという、部屋着のまま寝落ちしていた感満載の女性。
一部青メッシュが入ったボブカットの黒い髪を「寝起きです」と言わんばかりに跳ねさせたこの女の名は、境紅葉。
正真正銘、僕の五歳年上の姉である。
「眠れないって……今何時だと思ってるんだよ、もう昼の11時だよ」
「大学生はいろいろ忙しいんだよ。サークルの飲み会とか、ゼミの飲み会とか、あとは有志の飲み会とか」
「うんわかった、少し飲み会から離れようか」
この感じからするに、昨晩も友達と飲んできたようだ。
昨日は日付が変わる前には寝たけど、そういえばまだ姉は帰ってきていなかったな。
「そんで? かえくんは一体何をしてるわけ?」
「いや、明日着ていく服をどうしようかと……」
「へぇ、出掛けるんだ。まあ、なんでもいいんじゃない? 誰もかえくんの服装なんか興味ないって」
この姉殴り倒してやりたい。
まあ、僕も今までそういう考えだったから、服装なんて気を遣ったことがないのだが。
「まあそうなんだけど。明日は僕1人ってわけじゃないし」
「え、うそ。あのかえくんに友達ができたの!?」
「おいこらどういう意味だよ」
眠気なんて吹っ飛びましたとでも言わんばかりに目を見開いて驚く姉に、思わず突っ込んでしまう。
「だって、今まで誰かと遊びに行く姿なんて見たこと無かったから……おねえちゃん、感激」
事実だが傷付くな。
「まあとにかくそういうわけだから。……あ、そうだ。よかったら姉さんに意見聞きたい。女子に見せても恥ずかしくない格好をして行きたいんだ」
「はぁ??」
姉は眉根をよせると、僕の方に近づいてきて、肩に手を載せた。
「いいかよく聞け。……ナンパは、かえくんにはハードルが高い」
「いやそんなことしないって。明日会うのが女子だから」
そこまで言うと、姉はなんだか可哀想な子を見るような目をして、
「……見栄をはらなくてもいいんだぞ」
この姉ほんとどうしてくれようか。
あっという間に週末の土曜日に突入してしまった。
それにしても、なぜか今週から梨子が部室に入り浸るようになった。
本人いわく、ウチの高校のテニス部は弱く、練習も緩いから週三回(火、木、土曜日の午前のみ)らしい。
対してウチの手芸愛好会は、金曜のみ参加強制の週一部活。しかし、僕は平日ずっと部室にいるため、実質週五部活だ。
その関係で、五日間のうち三日間は梨子との時間を過ごすことになっていた。
「ある意味、よかったかもなぁ」
僕は、クローゼットの中を漁りながら、そうぼやいていた。
明日、南嶋先輩と洋服選び……という名の実質デートに誘われている。
南嶋柚香。いろいろと怖がられているが、あれで結構な美人である。
誘われた日の夜は、緊張で眠れなかった。最近女子と縁が出来ただけの僕には、刺激が強すぎるのだ。
しかし、梨子や蜜柑、綾乃達と親しくなっていなければ、もっとガチガチになっていただろうから、感謝しなければ。
とはいえ――
「う~ん、着ていく服どうすればいいんだ?」
クローゼットの中に眠っているのは、部屋着として買った服の数々。
正直、コーディネイト、などという単語とは無縁の人生を送ってきたのだ。女子の服を選ぶ以前に、自分の服すら選べないとか、とんだポンコツコンサルタントである。
――と。
「さっきからガサゴソうるさいぞ~眠れないでしょーが」
ガチャリと音を立て、自室の扉が開いた。
顔を出したのは、ショートパンツにパーカーという、部屋着のまま寝落ちしていた感満載の女性。
一部青メッシュが入ったボブカットの黒い髪を「寝起きです」と言わんばかりに跳ねさせたこの女の名は、境紅葉。
正真正銘、僕の五歳年上の姉である。
「眠れないって……今何時だと思ってるんだよ、もう昼の11時だよ」
「大学生はいろいろ忙しいんだよ。サークルの飲み会とか、ゼミの飲み会とか、あとは有志の飲み会とか」
「うんわかった、少し飲み会から離れようか」
この感じからするに、昨晩も友達と飲んできたようだ。
昨日は日付が変わる前には寝たけど、そういえばまだ姉は帰ってきていなかったな。
「そんで? かえくんは一体何をしてるわけ?」
「いや、明日着ていく服をどうしようかと……」
「へぇ、出掛けるんだ。まあ、なんでもいいんじゃない? 誰もかえくんの服装なんか興味ないって」
この姉殴り倒してやりたい。
まあ、僕も今までそういう考えだったから、服装なんて気を遣ったことがないのだが。
「まあそうなんだけど。明日は僕1人ってわけじゃないし」
「え、うそ。あのかえくんに友達ができたの!?」
「おいこらどういう意味だよ」
眠気なんて吹っ飛びましたとでも言わんばかりに目を見開いて驚く姉に、思わず突っ込んでしまう。
「だって、今まで誰かと遊びに行く姿なんて見たこと無かったから……おねえちゃん、感激」
事実だが傷付くな。
「まあとにかくそういうわけだから。……あ、そうだ。よかったら姉さんに意見聞きたい。女子に見せても恥ずかしくない格好をして行きたいんだ」
「はぁ??」
姉は眉根をよせると、僕の方に近づいてきて、肩に手を載せた。
「いいかよく聞け。……ナンパは、かえくんにはハードルが高い」
「いやそんなことしないって。明日会うのが女子だから」
そこまで言うと、姉はなんだか可哀想な子を見るような目をして、
「……見栄をはらなくてもいいんだぞ」
この姉ほんとどうしてくれようか。
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