わけあって美少女達の恋を手伝うことになった隠キャボッチの僕、知らぬ間にヒロイン全員オトしてた件

果 一 【弓使い】第1巻発売中!!

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第二章 孤高のヤンキー先輩はチョロすぎる

第29話 思い人(?)と接触しました

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《境楓サイド》

 なぜか吹っ切れたような笑みを浮かべる南嶋先輩を疑問に思いつつ、モール内を歩く。
 日曜日のお昼時、ともなれば混み合うのも必然と言えよう。
 
「他、何か行きたい場所あります?」
「そうだな……お前と回っていれば、大体楽し――いや、なんでもない」
「?」

 何か言いかけたみたいだが、小声だったからわからなかった。
 と、そのとき。
 
「あれ? 柚香か?」

 どっかで聞き覚えのある声が、聞こえてきた。
 
 ――運命の悪戯って、あるもんなんだな。
 僕と柚香の目の前には、爽やか系のイケメンがいた。

「な……なぁ!?」

 その偶然に、南嶋先輩は顔を真っ赤にして、酸素を求める金魚のように口をパクパクとさせる。

「な、なな、なんで燐斗がここに!?」
 
 唖然とする僕達。
 それに対し、目の前に急に現れたイケメンこと粕壁燐斗は、白い歯を見せて笑った。

「いやぁ、実はヤロウ3人で来たんだけど、いつの間にかはぐれちゃって」

 燐斗は、頭の後ろを掻きながら、そんな風に答える。

 くっ、陽キャめ。
 男子3人でニャンニャンモールとか、高度な遊びをしやがる。
 僕なんか、自室に籠もって編み物をしているかラノベ読んでるだけだぞ。

「それより、柚香はどうしてここに? そこにいる彼は誰なんだ?」

 燐斗は、不思議そうにこちらを見てくる。
 おっとイケメンに僕の存在が認知されましたよ。
 彼氏じゃなさそうだし……一体彼はどこの馬の骨なんだ? とでも思っているんだろう(偏見)

 まあ、ここは誤解を与えないようにテキトーに立場をでっち上げておくか。

「初めまして。南嶋柚香の弟の南嶋楓ですよろしくお願いします」
「ふぇっ!?」

 もしもーし。
 なんで南嶋先輩がそんな驚いてるんですかね? 別に弟設定で驚く要素はないでしょうが。

「(あ、あわわ……南嶋楓って、そ、それはつまり苗字がお揃いになってて、みょ、苗字が……そ、それってつまり、か、楓とウチがけ、結婚を!?)」
「もしもーし。お姉ちゃん~、帰ってきてくださ~い」

 目をグルグルさせて何やら呟いている南嶋先輩に、僕は声をかける。
 
「ああ、弟くんか。初めまして、柚香の友達の粕壁燐斗です」
「これはどうもご丁寧に」

 僕は、すっと差し出された手を握り返す。
 全然初めましてじゃないけど、こうして話すのは初めてだからセーフか。

 そして、ここから先は愚鈍な僕でもわかる。
 急にバッティングした思い人。つまり、お邪魔な人間が1人いる。

「あ、姉さん。僕買い忘れたものがあるから、ちょっと買ってくるね」
「あ、ちょ! 楓!」

 驚く南嶋先輩から離れ、僕はその場を離脱する。
 あとは若いお二人に任せるとしよう。
 清楚系ファッションで、思い人に出会う。こんなサイコーのシチュエーション、逃す手はないだろう。

 どこか寂しそうな南嶋先輩の様子に後ろ髪を引かれたが、この選択は間違っていないはずだ。
 僕は1人、雑踏の中へと身を隠した。

――。

 ――問題。
 ただでさえコミュ症で陰キャな僕が、モールで1人になったらどうなるか?

「……することが、ない!」

 こればっかりは、どうしようもない。
 そもそも、南嶋先輩とデートまがいのことをしていたときすらすることがなかったのだ。
 1人になったら何もすることがないなんて、火を見るよりも明らかだった。

「どうするかなぁ?」

 途方に暮れていたそのとき、

「あ、あの……楓くん!」

 不意に、聞き馴染んだ声が聞こえた。
 驚いて声のした方を振り返ると、一人の少女が立っていた。
 可愛らしいスカートと、薄緑色のブラウスを羽織った少女だ。

 その少女を見たとたん、あまりの美少女具合に僕は唖然としてしまい……しかし、なんとか平静を装って呟いた。

「り、梨子さん?」

 そこにいたのは、私服姿の朝比奈梨子だった。
 
 
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