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第三章
留学生
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パンドラ乙女の主人公達は高等部へと進学して行き、早いもので一年が経った。
アリアローズは無事4年生へと進級し、間もなく新学期を迎える。
高等部では中々熾烈攻略争いをしている様だがアリアローズは直接巻き込まれる事が無い為3年生はとても穏やかに過ごすことができた。
リリアンヌとは宿舎が隣なので休日にお茶をしながら攻略状況を聞いたり愚痴に付き合ったりして進行状況を確認している。
この前は肩を落としてニースベル以外の評価が上がらないと落ち込んでいた。確かにニースベルとは順調そうだが狙うルートとしては他の対象者の好感度も必要なのだから頑張らないといけない。
そういえばカインザークの好感度は?と聞いたらどうやらアリアローズと仲良くなってから何故だか好感度が鰻登りで上がっていくらしい。
私が何かの鍵だったのかは分からないがリリアンヌは勝手に上がるのなら楽なものだとこうしてアリアローズとお茶をしている様だ。
「あ、そうですアリア様最近カインザーク殿下に会いましたか?何だかこの所疲れている様ですけど?」
「ああ、それならこの前お茶をした時に確か隣国から留学生が来られるとか言ってましたね…何かその手続きやら歓迎会やらでお忙しいようですよ」
「あら、それは…」
リリアンヌが何かいい途中ではあったがそれから先は言わなかった。
新学期、アリアローズは教室へと向かうと何やらザワザワと落ち着きない様子だった。
「おはようセリーヌ。如何したの?何か皆浮き足立ってる感じ?」
「アリアおはようございます。そうみたいですね、実は」
「今日転入生が来るんだってよ!」
おはようと口を挟んできたのはジョナサンだった。流石クラスの人気者だけあって誰にでも平等に接してくる。まあ、この人懐っこい性格でなければ幾ら階級は関係ない学園内とはいえ誰にでもは親しまれないだろうが…
「転入生って珍しいですね。この学園は入園から卒園までずっと面子は変わらない物だと思ってたから、辞退者で減ることはあっても入るのは中々大変とも聞いたし、それを踏まえると中々転入生様は優秀なんですね」
「そうそう、実はその転入生って」
席につけーと教室の扉が開きジョナサンは途中で席へと戻ってしまった。
そう言えば転入生って何処かで聞いた様な…
「さて、早速だがこのクラスに転入生を紹介する。入ってー」
ガラガラと扉が開き教師の隣に来た人を見るや否や女生徒が目の色を変えた。転入生は見るからに艶やかな黒髪にシャープな輪郭、目つきは鋭いが少し垂れ目がちになっておりそれですら顔を形成する素敵すぎるパーツの一つに過ぎないと言わせる様な美形である。
これは殿下方に引けを取らないくらい美形だわ…
「アルベルト・ダナ・セクタールです。どうぞよろしく」
ん?アルベルト、、、セクタール!?
「あー、皆は知っていると思うが隣国より留学生として来られたセクタール王国の王太子殿下だ。今日からクラスメイトとしてよろしく頼むぞ」
頼むって、他人事だな…
そうか朝のザワつきようは隣国の王太子とお近付きになりたい人達だったのか。
チラッとジョナサンの方を見るとアリアローズに気づいたらしくパチリとウインクを投げてくれた。いや、その目くばせは要らないんだけどね。
今日の授業が終わると殿下の周りには人だかりが出来ていた。勿論、取り巻きになりたい令息にあわよくばお相手として名乗りをあげたい令嬢やらが殆どだ。皆一様に欲望が透けている様だったが王太子ともなれば慣れているのか軽くあしらっていた。
そのうち遂に席を立ち何処に行くのかと思うとアルベルトはそのまま教室から出ずに真っ直ぐにアリアローズとセリーヌ目掛けて歩いてきた。
「ねえ君達、どっちがレネティシス男爵令嬢?あ、そうだ。この学園案内してもらえる?」
アリアローズは無事4年生へと進級し、間もなく新学期を迎える。
高等部では中々熾烈攻略争いをしている様だがアリアローズは直接巻き込まれる事が無い為3年生はとても穏やかに過ごすことができた。
リリアンヌとは宿舎が隣なので休日にお茶をしながら攻略状況を聞いたり愚痴に付き合ったりして進行状況を確認している。
この前は肩を落としてニースベル以外の評価が上がらないと落ち込んでいた。確かにニースベルとは順調そうだが狙うルートとしては他の対象者の好感度も必要なのだから頑張らないといけない。
そういえばカインザークの好感度は?と聞いたらどうやらアリアローズと仲良くなってから何故だか好感度が鰻登りで上がっていくらしい。
私が何かの鍵だったのかは分からないがリリアンヌは勝手に上がるのなら楽なものだとこうしてアリアローズとお茶をしている様だ。
「あ、そうですアリア様最近カインザーク殿下に会いましたか?何だかこの所疲れている様ですけど?」
「ああ、それならこの前お茶をした時に確か隣国から留学生が来られるとか言ってましたね…何かその手続きやら歓迎会やらでお忙しいようですよ」
「あら、それは…」
リリアンヌが何かいい途中ではあったがそれから先は言わなかった。
新学期、アリアローズは教室へと向かうと何やらザワザワと落ち着きない様子だった。
「おはようセリーヌ。如何したの?何か皆浮き足立ってる感じ?」
「アリアおはようございます。そうみたいですね、実は」
「今日転入生が来るんだってよ!」
おはようと口を挟んできたのはジョナサンだった。流石クラスの人気者だけあって誰にでも平等に接してくる。まあ、この人懐っこい性格でなければ幾ら階級は関係ない学園内とはいえ誰にでもは親しまれないだろうが…
「転入生って珍しいですね。この学園は入園から卒園までずっと面子は変わらない物だと思ってたから、辞退者で減ることはあっても入るのは中々大変とも聞いたし、それを踏まえると中々転入生様は優秀なんですね」
「そうそう、実はその転入生って」
席につけーと教室の扉が開きジョナサンは途中で席へと戻ってしまった。
そう言えば転入生って何処かで聞いた様な…
「さて、早速だがこのクラスに転入生を紹介する。入ってー」
ガラガラと扉が開き教師の隣に来た人を見るや否や女生徒が目の色を変えた。転入生は見るからに艶やかな黒髪にシャープな輪郭、目つきは鋭いが少し垂れ目がちになっておりそれですら顔を形成する素敵すぎるパーツの一つに過ぎないと言わせる様な美形である。
これは殿下方に引けを取らないくらい美形だわ…
「アルベルト・ダナ・セクタールです。どうぞよろしく」
ん?アルベルト、、、セクタール!?
「あー、皆は知っていると思うが隣国より留学生として来られたセクタール王国の王太子殿下だ。今日からクラスメイトとしてよろしく頼むぞ」
頼むって、他人事だな…
そうか朝のザワつきようは隣国の王太子とお近付きになりたい人達だったのか。
チラッとジョナサンの方を見るとアリアローズに気づいたらしくパチリとウインクを投げてくれた。いや、その目くばせは要らないんだけどね。
今日の授業が終わると殿下の周りには人だかりが出来ていた。勿論、取り巻きになりたい令息にあわよくばお相手として名乗りをあげたい令嬢やらが殆どだ。皆一様に欲望が透けている様だったが王太子ともなれば慣れているのか軽くあしらっていた。
そのうち遂に席を立ち何処に行くのかと思うとアルベルトはそのまま教室から出ずに真っ直ぐにアリアローズとセリーヌ目掛けて歩いてきた。
「ねえ君達、どっちがレネティシス男爵令嬢?あ、そうだ。この学園案内してもらえる?」
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