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11 媚薬よりもこわいもの ★

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「い……っ、あぁっ、……っく」
 一際強く吸われて、ミリアムの全身に力が入る。
 少しの空白の後、ぐったりと弛緩してシーツの上に手足を投げ出したミリアムを見て、イヴァンがようやく身体を起こした。
「可愛い、ミリアム。気持ち良かった?」
「……死ぬかと、思った」
 きっとだらしない表情をしているから、顔を隠したいのに、腕を上げることすら億劫だ。せめて顔を見られないように横を向いて、ミリアムは呼吸を整えようと努力する。
「死ぬほど気持ち良かったって?」
 くすくすと笑いながら、イヴァンがミリアムの頬に口づける。そしてそのまま耳元に唇を寄せた。
「でも、まだ始まったばかりだから」
 吐息混じりに、いつもよりも低い声で囁かれて、ミリアムの身体がびくりと震える。
「イヴァ、んんっ、待っ」
 声を上げようとしたら唇を塞がれて、滑り込んできた舌がミリアムから言葉を奪っていく。呼吸さえも奪われそうなキスに溺れているうちに、イヴァンの指がゆっくりとミリアムの中に入ってきた。

「……っ、や、あぁっ」
 かすかな違和感と、それを上回るぞくりとした感覚。確かめるように何度もゆっくりと抜き差しされて、ミリアムの肌が粟立つ。
「痛くはなさそうだな。気持ちいい?ミリアム」
「分かんない……っ、なんか、変っ」
「それは多分、そのうち気持ちいいに変わるやつだな」
「あぁ、んっ」
 指を中に埋めたまま、もう片方の手が花芽をいじるから、ミリアムは首を振って快楽を逃そうと努力する。
 
「……早く挿れたい」
 ふと、熱いため息と共に漏れた声に、ミリアムは小さく笑ってイヴァンの身体を抱き寄せた。
「いいよ。して?」
「まだ、だめだ。ミリアムが少しでも痛い思いをしないようにしたいんだよ」
「大丈夫よ、身体は丈夫な方だし、痛み止めとか治療薬だってすぐに調合できるから」
 得意げに笑って見上げると、イヴァンが困ったような顔で笑った。
「本当、おまえは……。だけど、せめてあと一本指が入らないとな」
「じゃあ、早く……」
 ねだるように囁くと、イヴァンが小さく息を詰めた。
「思い切り良すぎだろ、ミリアム」
 ため息混じりに笑ったイヴァンの指が、数を増やしてミリアムの中に入ってくる。
「……痛い?」
 気遣うような言葉に無言で首を振って、ミリアムはイヴァンの首裏に手を回して引き寄せた。
「大丈夫だから、もっとして。早くイヴァンが欲しいの」
「……っ、媚薬よりおまえの方が恐ろしいな。我慢できなくなる」
「我慢なんてしないで」
 囁いて、そっと耳元に口づけると、イヴァンの身体が震えた。駄目押しとばかりにぎゅうっと抱きついて、胸も押しつけてみると、低く唸ったイヴァンが噛みつくようにキスをしてきた。まるで食べられてしまうのではと思うほどの口づけに、自分が求められていることを感じて嬉しくなる。
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