上 下
21 / 146

【二十一】神社で打ち合わせでござる!

しおりを挟む
 神聖神社の社務所に田沼光博士と若宮咲苗助手が遅れて到着した。
陰陽師と新政府の女子高生キャビネットは先に到着している。

陰陽師の安甲晴美神主
天女の天宮静女
徳田康代大統領
前畑利恵副大統領

織畑信美首相
豊下秀美副首相
明里光夏大統領補佐官

いつもの顔ぶれが揃っていた。


 徳田康代が田沼に話掛ける。

『田沼博士、永畑火山は、その後どうですか』
「次の月の最大離脱ポイントを通過するまでは分かりません」
『どういうことですか?』

「宇宙では、星団同士が衝突したり離れたりするのを知っていますか」
『はい』

「その原因は引力などのエネルギーの影響と推測されています」
『はい』

「地球と月も例外に漏れず、影響を受けています」
『はい、地球で起こる天災などですね』

「そうです。まるで予め決まっていたように起きます」
『永畑火山も、西和帝国の火山もです』

「負のエネルギーも絡むでござる」
「はい、静女さんの言う通りです」

「ただ・・・・・・」
『ただ、なんでしょうか』

「両方とも、まるで狙われたような感じで被害規模が一致しません」
『と言うと』

「永畑もシントンも本来なら、小規模被害なんですが不思議なんです」
「天罰でござるな」

『博士に質問があるのですが』
「なんでしょうか」

『もしも、西和大陸でアトランティス大陸のようなことが起きた場合ですが』
「伝説の天災ですね」


 神使のセリエが黒猫の姿で田沼たちの前に突然現れた。

「伝説では無いにゃあ!真実だにゃあ!」
田沼と若宮は耳を疑った。

『神使のセリエさまです』
康代がフォローする。

「そうじゃ、地球の守護神に仕える神使のセリエじゃ」
田沼たちは何が起きたのかが、わからない。

セリエは、康代と静女、安甲にだけ聞こえる波長に変えて続ける。
田沼たちは、蚊帳の外になった。

「康代よ、科学と言うのは発展途上なのだよ。
ーー人間たちは神の手のひらの中からは出れないのじゃ」

「結果、天災と言う形の天罰が実施されている。
ーー創造主が地球を造り直すのも自由なのじゃ」

「その結果、地獄に行く者、天界の天国に行く者、生まれ変わる者に分かれる。
ーー人間どもは、生死で区別するが、それは肉体レベルの戯言なんじゃ」

「其方らの魂は全てを記録しているのじゃ。
ーー神の前での嘘が通用しないのもそのためじゃ」

「康代よ、心配するでない。
ーーお前たちは守られている。
ーー関わるなと言うのは其方たちと皇国を守るためじゃ」

「今、皇国の八百万やおよろずの神々も準備しているのじゃよ」

『セリエさま、ご心配をお掛けしました』
静女と安甲も頭を下げた。

セリエは口調を戻した。

「じゃあにゃあ」

神使のセリエは消えて光になった。


田沼が康代に質問する。

「黒猫って・・・・・・」
『守護神に仕える神使のセリエさまです』

『心配するなとの伝言がありました』
田沼たちは、話の続きに戻った。

「数週間の間、地球は地獄となるでしょう」
『そうですか、残念です』

「徳田さんの未来予知ですか」
『いいえ、胸騒ぎです』

「その場合、人類に逃げ場はありませんね」
『そうですか』

「永畑火山の事件が、微震レベルに感じることでしょう」
『そうですね』

「方舟があっても不可能でしょう」
『科学的見解をありがとうございます』

「大統領、何か起きるのですか」
『セリエさまとの約束なので、今は口外できません』

「私たちのできることはなんですか」
『セリエさまの件も秘密でお願いします』

「口外は、出来ません。超常現象扱いにされますから」
「左様でござるな」

『田沼先生のお陰で事態の全体像が見えました。
ーー永畑火山の疵痕も未解決ですし・・・・・・』

『田沼先生たちは、山崎線内の火山の動きに注意してください』
「分かりました。何か動きあれば、報告します」

『本日は、ありがとうございます』
 田沼と若宮が社務所を後にしたあと、康代がみんなに伝える。


『神聖女学園生徒会は国民感情をニュートラルにするように努力しましょう』
「波動調整でござるな」

「康代、そのための宝田劇団の臨時公演ですね」
信美が話すと秀美が続いた。

「康代さん、公演を成功させましょう」
利恵と光夏が康代の手を握る。

『ところでさ、静女にピッタリのアニメがあるのよ』
「なんでござるか」

『そのタイトルが、”異世界に舞い降りた美人天女”なの』
「拙者に似ているでござるな」
神社の社務所内に笑い声が響く。

『学園寮に戻ったら、みんなで見ましょう』
「精神の栄養でござるな」

  織畑、前畑、豊下、明里も康代の提案に乗り、康代と静女の寝室に押しかけることになった。


 康代たちが去った後、陰陽師の安甲晴美は境内で夜空にキラキラと輝く星を眺めながら目を閉じた。

 瞼の裏に真っ直ぐに伸びた黄土色の土の廊下が伸びている。
両側には切り立った垂直の土の壁が上へと伸びていて廊下の中央には人が倒れ重なっている。
視界の意識を後退りすると倒れた人たちが段々小さくなる。
再び視界を近づけると同じ光景だ。

 安甲は瞑想の幻影なのかと思って目を開け武者震いをした。
安甲は天を仰ぎ心から八百万やおよろずの神に祈るのだった。
皇国三千万人の平和と東都三百万人の命を守るために・・・・・・。


 その頃、康代たちは、静女のリクエストでパジャマパーティーを検討中だった。

「腹が減っては戦ができぬ」
「秀美は、相変わらずだな」

 信美の言葉を合図に康代たちは学園寮の食堂に向かった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

兎人ちゃんと異世界スローライフを送りたいだけなんだが

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:446

職業賢者、魔法はまだない ~サバイバルから始まる異世界生活~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:130

異世界バーテンダー。冒険者が副業で、バーテンダーが本業ですので、お間違いなく。

Gai
ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:10,106pt お気に入り:295

処理中です...