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第三十三話 ケイと三人で作戦会議

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 夢乃真夏が夕子に尋ねる素振りを見せて躊躇ためらう。
「真夏ちゃん、なんかある?」

「先生、この間は悪天候に阻まれ、今日は時空の落とし穴でしょう。
ーー なんか偶然には思えないわ」

「そうね、世の中の偶然の殆どは起こるべくして発生しているわね」
「そうなの? 星乃先生」

「占い部の星乃先生の言葉って重いなあ」
「ヒメ兄、また変な言い方して」

「でもね、私が昼間先生と何度も巡り逢ったのも不思議と思っていたわ。
ーー さっきの神主さんの話で筋が通ったわ」

 昼間夕子は日向黒子の話で、このミステリーの顔触れがそろった気がした。

「昼間先生、私ね、別の日にこのメンバーでもう一度、神社に行きたいんだけど」
「そうね、みんながいいなら異論はないわ。
ーー 但し、酒田さんは外してね」

「昼間先生、私もあの男性を除いた方が無難と思うわ」
「星乃先生の意見に同意するわ」

 六人は、次の休日に神社に行くことを決めて昼間夕子が神主さんに連絡を入れることになった。

 夕子たち三人は、神聖学園前駅で生徒たちと別れた。


 東富士見町駅に着いた教師三人は東富士見町スーパーマーケットに寄った。
(夕子たち三人は生徒たちと別れたあと前世名で呼び合う)


「今夜も寝酒を飲まないとスッキリしないわね」
星乃ケイもお酒好きよね」

「今夜も昼間未来のお部屋でいい」
「いいなんて、姫さま、いいに決まっているじゃないですか」

三人は買い物を終えて未来の部屋に移動した。

星乃ケイ朝霧三日月、ちょっとネットでも見ていて、酒田さんに連絡しておくから」

 夕子未来は出版社の酒田昇の携帯に連絡を入れスケジュールを確認した。
「分かったわ。じゃあ、神主さんに連絡しておくわね」

 連絡を終えて、夕子未来はダイニングルームに戻る。

星乃ケイ朝霧三日月、お待たせしました。
ーー 今夜は、みんなの無事に感謝してビールで乾杯しましょう
ーー 今日は、エールと黒ビールもあるよ」

「ええ、夕子未来、いつの間に買ったの?」
朝霧三日月、前に買っておいたのよ」

夕子未来は、気が利くわね」
「そりゃあ、朝霧三日月の従者ですから当然よ」

星乃ケイ朝霧三日月が顔を合わせて笑い出す。

「まあ、いいわ、星乃ケイ朝霧三日月、どっち飲むの?」
星乃ケイがエールを指差して、朝霧三日月もエールを選んだ。
夕子未来が冷蔵庫からエールを二本取り出し星乃ケイ朝霧三日月に渡した。

「じゃあ、みんな、改めて乾杯ね」
 
クリスタルグラスのビアグラスがコツンとぶつかる。
[カンパイ!]

 夕子未来がキッチンに移動して小皿を持って来る。
冷蔵庫を開けてトリュフを星乃ケイと三日月に見せる。

夕子未来、それ、なあに」
星乃ケイ、これね、ネットで購入したトリュフよ」

夕子未来、高いんでしょう。
ーー さては、お主、本で儲かっているな!」

「そうよ、朝霧三日月、お主も勘が鋭い」
「私のは、シックスセンスです」

星乃ケイ朝霧三日月変なことを言っていますが」
「第六勘は、誰にでもあるわね。
ーー でも私たちの場合は特殊かも知れないわ」

「そうなの・・・・・・」
夕子未来朝霧三日月のお猪口に日本酒を注ぐ。



「ところで、トリュフどう」
「匂いは強いけど・・・・・・味は微妙ね」

「世界三大珍味も蓋を開ければアレね」
「同じキノコなら、松茸の方がいいわね。未来、ごめん、ごめん」

「大丈夫よ、私も星乃ケイと同じことを思っていたから、
ーーでも日本人って三大とか、限定に弱いのよね」

「珍味って言うキーワードが想像に肥やしを与えるのよね」

夕子未来は再び、キッチンから野沢菜漬けを運んで来た。

「やっぱり、お酒には野沢菜漬けね」
「冷や奴と野沢菜のコンビネーションは音楽に似ているわ」

朝霧三日月、お洒落な表現ね」
朝霧三日月星乃ケイをみて手を振る。

「日本酒って、いくら飲んでも酔わないのよね」
夕子未来もそう思う?実はわたしもよ」

「さすが、酒豪の星乃ケイ様ね」
朝霧三日月、あなたね。あなた変わらないじゃあない」

「そうかしら、私はか弱い乙女よ」

 夕子未来星乃ケイは、お腹を抑えながら笑いを堪えている。

朝霧三日月、お腹が痛くなるから勘弁してよね」



「ところで夕子未来、あの酒田昇って、本当は誰なの?」
星乃ケイ夕子未来に疑問をぶつける。

「実はね、私の本の編集担当で、たまたま今日の書店で遭遇」

夕子未来、多分、それも偶然では無いわね。
ーー 神主さんが言うように、酒田さんに今日の謎があるわ」

星乃ケイ、分からないわ。神社と酒田さんがどう繋がるのよ」

夕子未来、未来の小説なら、このあと、どう展開する」

朝霧三日月、いい質問よ。
ーー 私の小説なら、あの七人は前世の生まれ変わりだった。
ーー そして・・・・・・」

「それじゃあ、神主さんと同じじゃない」
「いいえ、違うわ。
ーー あの神社には霊道があって前世の街と繋がっているのじゃあ、どうかしら朝霧三日月

 星乃ケイが、両腕を組んで考えている。

「そうね、無理が無くて自然かもしれないけど・・・・・・」
「けど、なあに」

「けどさ、なんで酒田さんなのかがわからないわ。整理してみると、
ーー 双子の三日月姉の星乃ケイと妹の三日月の朝霧三日月
ーー 従者の夕子未来、三人の生徒と酒田さん
ーー 役者は、この七人よね」
星乃ケイが整理している。

「じゃあ、星乃ケイ、帝は誰、生徒たちは誰」
「そこなのよね、辻褄つじつまが難しいのは」

星乃ケイと巡り逢った、あの神社にはまだ秘密があるわね」
「きっと、あそこだけ、タイムスポットかもしれないわね。
ーー神主さんの応対を待ちましょう」

星乃ケイに賛成して、お酒をもっと飲みましょう!」

夕子未来がワイングラスを持って来た。
「今日は、ブルゴーニュの赤ワインよ」
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