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ランディとエリック?
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ランディの「使用人に紛れて潜入し、リラを連れ出す」という第一の方法は頓挫した。何せ他の使用人どころかひとっ子一人見つからないのである。こんなところに一人立っているだけで不審者の出来上がり、だ。
どうしたものかと考えていると、不意に人の動く気配がして、ランディは咄嗟に身を隠した。
話し声に耳を澄ますと、お探しのリラと、誰かの声がする。耳を澄ませてみると、その誰かは確かに聞いたことのある声という以外には思うことはなかった。
エリック以外にリラに会いに来る人物がいるのなら、突破口になるのかもしれない。ランディは、微かな希望を頼りに声の主の後を尾けた。
その人物はよほどエリックの信頼の厚い人物らしい。伯爵家の様々な用事を一手に引き受けている。もしかして、今屋敷にはエリックと、リラが二人きりなんじゃなかろうか、と考えて、ランディは彼の尾行を切り上げて、屋敷にトンボ帰りした。
良い方法など思いつかずに正面突破を試みたランディだが、意外にもリラはランディを見るなり、恐怖の様相になり、頭を床に擦り付けんばかりに倒れ込み、謝罪の構えを見せた。
「え、え?どうしたの?」
ランディはまさか、リラが公爵家に恐れをなしているとは知らない。ランディを見ると、迎え入れてくれるだろうと安易に考えていたのだが。
ガタガタと、震えて小さくなっている様は見ていてとても痛々しい。公爵家の不手際を詫びなければならないのは、此方の方なのに。しかもどうにかエリックに気づかれないうちに、彼女を救い出さなければならないというのに。
ランディは取り乱す彼女を諭し、何とか誤解を解こうとする。
リラは、公爵が怒っていないことと、自分が不敬を働いてこうなっている訳ではないことを知ると一旦落ち着いて話を聞く姿勢になってくれた。
「エリックはいつ帰ってくるの?できれば彼には会いたくないんだけど。」
「エリック様でしたら、多分もうすぐ帰ってこられます。先程、すぐに戻ると仰っていたので。」
リラの話ではエリックは先程までリラの近くにいたようである。
ランディに気取られずにリラと接触したということは、やはり只者ではない、とランディが勝手にエリックに対する評価を上書きしていたところで、ガチャン、と音がして、誰かが屋敷に入って来た。
「噂をすれば、ですね。」
リラが迎えた先には、先程尾行した見知らぬ男が立っていた。
「「誰?」」
男とランディの声が重なる。
「あ、こちら、以前お世話になった公爵家のランディ様です。そして此方はエリック様。私の雇い主です。」
次の瞬間、ランディは、スライディング土下座なるものを学園を卒業して初めて直に見た。
「すみませんすみませんすみませんすみません。」
「お前、何してるんだ?」
そこにいたのは、エリックなどではない。学生時代、エリックに良いようにあしらわれていたエリックの取り巻きがエリックのふりをしていた。
ランディの姿を彼も見たことがある、と思ったのだろう。彼は確か子爵家の次男だったような気がする。
「聞いてやるから話せ。」ランディは呆れながらその男に向き直る。男の話は概ね、想像通りだった。
どうしたものかと考えていると、不意に人の動く気配がして、ランディは咄嗟に身を隠した。
話し声に耳を澄ますと、お探しのリラと、誰かの声がする。耳を澄ませてみると、その誰かは確かに聞いたことのある声という以外には思うことはなかった。
エリック以外にリラに会いに来る人物がいるのなら、突破口になるのかもしれない。ランディは、微かな希望を頼りに声の主の後を尾けた。
その人物はよほどエリックの信頼の厚い人物らしい。伯爵家の様々な用事を一手に引き受けている。もしかして、今屋敷にはエリックと、リラが二人きりなんじゃなかろうか、と考えて、ランディは彼の尾行を切り上げて、屋敷にトンボ帰りした。
良い方法など思いつかずに正面突破を試みたランディだが、意外にもリラはランディを見るなり、恐怖の様相になり、頭を床に擦り付けんばかりに倒れ込み、謝罪の構えを見せた。
「え、え?どうしたの?」
ランディはまさか、リラが公爵家に恐れをなしているとは知らない。ランディを見ると、迎え入れてくれるだろうと安易に考えていたのだが。
ガタガタと、震えて小さくなっている様は見ていてとても痛々しい。公爵家の不手際を詫びなければならないのは、此方の方なのに。しかもどうにかエリックに気づかれないうちに、彼女を救い出さなければならないというのに。
ランディは取り乱す彼女を諭し、何とか誤解を解こうとする。
リラは、公爵が怒っていないことと、自分が不敬を働いてこうなっている訳ではないことを知ると一旦落ち着いて話を聞く姿勢になってくれた。
「エリックはいつ帰ってくるの?できれば彼には会いたくないんだけど。」
「エリック様でしたら、多分もうすぐ帰ってこられます。先程、すぐに戻ると仰っていたので。」
リラの話ではエリックは先程までリラの近くにいたようである。
ランディに気取られずにリラと接触したということは、やはり只者ではない、とランディが勝手にエリックに対する評価を上書きしていたところで、ガチャン、と音がして、誰かが屋敷に入って来た。
「噂をすれば、ですね。」
リラが迎えた先には、先程尾行した見知らぬ男が立っていた。
「「誰?」」
男とランディの声が重なる。
「あ、こちら、以前お世話になった公爵家のランディ様です。そして此方はエリック様。私の雇い主です。」
次の瞬間、ランディは、スライディング土下座なるものを学園を卒業して初めて直に見た。
「すみませんすみませんすみませんすみません。」
「お前、何してるんだ?」
そこにいたのは、エリックなどではない。学生時代、エリックに良いようにあしらわれていたエリックの取り巻きがエリックのふりをしていた。
ランディの姿を彼も見たことがある、と思ったのだろう。彼は確か子爵家の次男だったような気がする。
「聞いてやるから話せ。」ランディは呆れながらその男に向き直る。男の話は概ね、想像通りだった。
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