家出迷子のお兄ちゃん

ヒムネ

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迷いの森

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「――ふんふ~ん」

 オレは鼻歌、機嫌がいいわけではない家出は超続けたいけど頭は切り替えなきゃねということ・・・まああんな手紙を置いてきたけど母さんも許してくれるだろう。またチャンスがあったら家出をすればいいし。と、



「・・・あれ、まだつかない」



 帰ろうと歩いてから30分寒さもアップしてきた。もう抜け道が見えていい頃なんだけど奥は同じような木々。



「おかしいな~」



 ただ来た道を戻ってるはずなのに。不安になって何度か後ろを振り返ると何故かゾッとする。日も隠れて空は紫色に一度不安に感じると今見ていた世界が違った。


 昼間はあんなに気持ちよかったのに木が突然揺れだしたりすると「何か動物が、まさか・・・熊」なんて想像しちゃうし、あとなんかスゲー孤独みたいな気持ちに。



「・・・やべーよ、はやく帰らなくちゃ!」



 木の枝を踏んで後ろに飛ばすくらい走れどはしれど変わらない森、



「なんでだよ!」



 こんなはずじゃなかったのに、



「いてっ」



 なり振り込まわず走っているせいで枝には当たるは草で肌もいつの間にか切れている、それでも構いなしに逃げる。
 息も切れてきて、空もますます不気味に暗くなると小さく心に『オレって死ぬのかな』そうよぎっちまった。


 こんなところで、


 真っ暗な場所で、


 誰にも発見されずお腹空いても食べられず骸骨とかになったりして・・・、


 イヤだ・・・とにかくそんな惨めで寂しく死んでいくなんて、


「神様どうかちゃんと勉強しますから・・・あと皿洗いとか、弟にもっと優しくするから・・・ん~あと~、母さんの言うこと聞くからとか」


 なんでもいいから祈る思いで走る・・・。


 ――それから30分後。


「はぁ・・・はぁ、光だ」


 木々の間に微かな光がここから抜けたいというただ一つの思いで息切れしながら走って、


 ついに森を抜け出した。


「やっと・・・ぬけれた・・・」


 でもオレは自分の家に着いたと幻覚を観て安心と疲れで気絶しちゃった。自分の家じゃなくどこかもわからない場所で・・・。
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