~赤き龍が町娘に恋をした~

ヒムネ

文字の大きさ
11 / 20

町の外へ

しおりを挟む
「くらえ!」


 ブルー·ドラゴンはクジラの噴気のような勢いのウォーター·ブレスを吐くが、やはりレッド·ドラゴンの尻尾に払われてしまう。


「おのれ、レッドめが」


 忌々しいと感じつつも戦っていくうちに彼女も少しずつ冷静さを取り戻して睨み、



「······レッドよ、お前にしてはやや攻めあぐねているな」



 精神感応テレパシーを送ったその時、豪快にも目の前へと突っ込んできた赤い龍、咄嗟に上へと回避する青い龍だが、


「逃さん!」


 尻尾を掴み、


「グオォォーッ!」


 雄叫びとともに斜め下へと大きな龍を大海に投げ飛ばすレッド·ドラゴン。


 水飛沫も大きくだがフローティアの事も忘れずなるべく遠くに投げていた。


 すぐさま海から上昇してきたブルー·ドラゴンだったがすかさずファイヤー·ブレスが襲われる。


「レッド、貴様~······」



「攻めあぐねているのは貴様の方じゃないのかブルー、それとも我が怖いのか? クックックッ」



「なめるなーっ!」


 うまく挑発し町の事を頭から離させ時間を稼でいくのだった。


 一方でフィンは、


「父さん!」


 赤い龍の要件を伝えると父から隣人そしてまた隣人と伝わり町長達も皆フローティアの町から避難していった。


 だがフィン及び男達は取り残しの人や閉じ込められてる人、動けない人などを確認すらるため町を周る。 


 特に下りの方の一階の家は完全に浸かってしまっている。


「誰か居ませんかー?」


 そう叫ぶと、


「助けてください」と二階にいるお年寄りのおばあちゃんは怖くて避難できず他の人達とフィンで担ぎながら避難させるなどしていた······。



「――すまないね~、ロマーヌちゃん」


 謝りながらも、


「大丈夫、焦らないで町を出ましょう」


 ロマーヌとお母さんとで走れないブレットおばあちゃんとフローティア北の門まで歩いていたのだ。


 ゆっくりでも確実に、さらには、


「ロマーヌ、おばあちゃんと街を出なさい」


「え、お母さんは?」


「私は近所の人達に避難するように言ってくるから······」


 そして二人と一羽になった彼女達は、


「すまないね~」


「避難はここら辺で良いと思います」


「ピィ」


 門を抜け、そこから百メートルくらい離れた草原でブレットおばあちゃんを待機させる。


「じゃあ、おばあちゃん、私はお母さんやフィンを手伝ってきます」


「分かったよ、気をつけて行き、ロマーヌちゃん――」



「もう、ほとんどの人は避難させたはず」


 住民の男達のおかげでさほど時間も掛からずに避難を終えた。


 あとはレッド·ドラゴンの邪魔にならないようにとフィン達も避難を始める。


「待っててね~、ロマーヌさん、ん?」



「ピィ」



「ブルー·バード!」


「ピィピィ」


「分かってるよ、案内してくれ」


 ブルー·バードが来て彼を追いロマーヌ達の所まで走った。


 門を抜け進むと、なぜかブレットおばあちゃんがこっちに向かって来るので、


「ブレットおばあさん、何してるんですか、こっちじゃないですよ」


 フィンの目の前で止まる。


「ハア、ハア、大変、じゃ」


「何がですか?」



「ロマーヌちゃんが、攫われてしもうた!」



 それは、



「――じゃあ、おばあちゃん、私はお母さんやフィンを手伝ってきます」


「分かったよ、気をつけて行き、ロマーヌちゃん」


「······てめえがロマーヌっていう町娘か」


 草原の先の木々から怪しい二人組が、


「間違いねえよアニキ、あいつが弟を殺したんだ!」


 ロマーヌが殺したという一人の小柄な男。


「何なんですかあなた達は、私は人殺しなどしていません! 変な言いがかりはよしてください、今はフローティアが大変なんですよ」


「ロマーヌちゃん、抑えて」


 何されるか分からないと思い、怒りを抑えるよう彼女を肩を叩く、


「オレは見たのさっ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

何もしない公爵夫人ですが、なぜか屋敷がうまく回っています

鷹 綾
恋愛
辺境公爵カーネル・クリスの妻となったフィレ・バーナード。 けれど彼女は、屋敷を仕切ることも、改革を行うことも、声高に意見を述べることもしなかった。 指示を出さない。 判断を奪わない。 必要以上に関わらない。 「何もしない夫人」として、ただ静かにそこにいるだけ。 それなのに―― いつの間にか屋敷は落ち着き、 使用人たちは迷わなくなり、 人は出入りし、戻り、また進んでいくようになる。 誰かに依存しない。 誰かを支配しない。 それでも確かに“安心できる場所”は、彼女の周りに残っていた。 必要とされなくてもいい。 役に立たなくてもいい。 それでも、ここにいていい。 これは、 「何もしない」ことで壊れなかった関係と、 「奪わない」ことで続いていった日常を描く、 静かでやさしい結婚生活の物語。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

愛しの第一王子殿下

みつまめ つぼみ
恋愛
 公爵令嬢アリシアは15歳。三年前に魔王討伐に出かけたゴルテンファル王国の第一王子クラウス一行の帰りを待ちわびていた。  そして帰ってきたクラウス王子は、仲間の訃報を口にし、それと同時に同行していた聖女との婚姻を告げる。  クラウスとの婚約を破棄されたアリシアは、言い寄ってくる第二王子マティアスの手から逃れようと、国外脱出を図るのだった。  そんなアリシアを手助けするフードを目深に被った旅の戦士エドガー。彼とアリシアの逃避行が、今始まる。

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

処理中です...