~マザー·ガーディアン~

ヒムネ

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    デート【プール】

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 ――土曜日、先週デートして楽しかったから私は、
「ねえ徹、今日デートどこ行く?」
「えっ」
「『えっ』、じゃなくて――それとも今日止めるの?」
「う~ん、そうだな~」
 ワクワクしていた。

「そういえば今年プール行ってないな~」

「あっ、そういえば」
 七月くらいだと八月じゃないしと思って行かなかったけど······まさか八月に忙しくなるとは考えてなかったしなぁ、
「じゃ、プールねっ、私水着用意するわ」
「うん、え~っとプールはっと······」
 プール・ブッドレアは、地図アプリで言うと蝶々駅の左側にあるの。
「そうだそうだ、道こんな感じだったな」
 私達二人は午後にブッドレアに向かった······。

「いやー、懐かしいなー!」
「そうね、去年も来てるのに!」
「よ~し――あ、未来、妊娠してるんだからはしゃぎ過ぎるなよ」
「うん」
 そう言って二人でプールに入る徹、

「気持ちいいー!」

「ホントッ、これよこれっ!」
 人も、まあまあいる感じで沢山いなくて助かる。私は浮き輪に乗って、
「徹、おして~」
「押すよ~」
 ゆったりして、ウォータースライダーで遊んだりもした。

「徹、泳ごう」
「うん、未来泳ぐの上手いからな~」
 私は中学一年の時から、水泳を習ってたの。だから徹と付き合って泳げないのが分かり、私が教えていた······。
 
 夢中になっていると時間は早いもので五時くらいに私達はブッドレアを出る。
「あー、気持ちよかった」
「ホントだね」
「明日なんだけど······」
「ん、何?」

「またブッドレアにしない?」

「え――いいけど」
「やった」
 私はまだ泳ぎ足らなかった······。
 
「ふ~」
 次の日もプールでひたすら泳ぐ。

「未来、少し休んだら」

「ハァ、ハァ、そうね」
「どうしたの? そんなに張り切って」
「ハァ······ハァ、明日またマザー·ガーディアンに乗るから」
「悪いこと考えないように、かい?」

「それもあるけど、楽しめる時に楽しんでおきたくて」

「そうだね、オレも泳ごう」
「競争よっ――」
 余裕は出来たかもしれない、けれど不安がないわけでもない。そういう状況の中で私は自分の本能で泳いだ······。

 ――九月一日午後一時頃、三重県に台風が上陸する。私はマザー·ガーディアンと三重県の岩井崎に待機していた。

「イタタタッ」

「無理はよくありませんよ」
「ホントね、イタタッ」
 先週二日続けてプールで泳いだため腕や脚に筋肉痛が、ツケが回ったのだ。
 その間、雨風が強くなって来たので台風の目になるまではひたすら耐えて、

「晴れてきたわ、チャイルドお願いね」
「······いました。キリンです」
「キリンの気候獣ねっ、行くわよ――」

 ――キリンとの同調を無事に終え、
「失礼します」
「無事成功か······辛そうじゃないね」
「完全ではないですが大丈夫です」
「······まあ、そんな事はどうでもいいが、んでっ、今回も何か見えたのか?」
「はい、キリンと同調した時、そのキリンは私ぐらいの大きさで子供でした。そこで、分かりあったとき、地球が見えました」
「······地球ねぇ~、随分ぶっ飛んだ事だな、他には?」
「いえ、何も」
「そうかい、じゃあ帰れ」
「はいっ、失礼しました」
 伝えるべき事を伝え社長室を出る。

「ふ~、あっ、そうだ」
 今日は生月先生に診察してもらう日なので見てもらったら、
「問題ないわ、でも自身を大切にね。じゃないと赤ちゃんに影響でるんだから」
 何の問題もなく良好だった······。

 一階のオフィス、
「未来」
「徹、ごめん待った? 生月先生の所に行ってたの」
「そうか、で、どうだった?」
「問題ないわ」

「よかった――未来、何か普通だね」

「普通って、どういう事?」
「今日マザー·ガーディアン乗ったのに落ち着いてるからさっ」
「そういえば、そうなのよねー。やっぱり慣れてきたのかも、人って凄いわね」
「さすがだよ」
「ハハッ」

 こうして、一週間周期で台風はやって来ると気候獣が現れ、同調する。そんな事が続いていくの······。

 未来がマザー·ガーディアンに乗って一ヶ月くらい経つ。それでも母さんの許しどころか、全然態度も変わってはくれない。
 このままではと九月に入ってからオレは、ある行動に出ていたのだ······。

「はぁ~」

 オレはスマホを見ながらある人にLINEを送る事に緊張していた。

「やっぱり止めようかな~、いやいやダメだっ、ここでやらないと」

 そうこう悩んでる間にお昼休みが終わってしまい、結局送れず······。
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