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集う勇者の仲間
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「――じゃあ行ってくるよシスター・カルタ」
「楽しいお話になるといいわね、いってらっしゃいアヴエロ、ネモネア」
あたいとアヴエロは早朝にシスター・カルタ教会を出た。実は一昨日アクアン老師の伝書鳩が教会に届いてクリスロッサの城下町で集合することになったんだ。
「これから皆に会うなんて楽しみですね」
「ちまちま会ってたじゃん」
「それはそうですが、皆で集まるのは魔王を倒してから丁度1ヶ月ぶりですから」
「そう、か……もうそんなになるんだ」
魔王に仕えていたのがもう1ヶ月前、時が流れるのは早い。あたいにとってはとても濃厚でシスター・カルタやブリジットにジュリ、あと勇者の仲間たちと出会えて笑みが自然と溢れるほど嬉しい。
「老師は顔戻りましたかね、あのワニ顔は好きなんですが」
「え~……でも」
顔だけワニで身体は人間って、思い出すと面白い。
「ププッ、あたいも好きかも」
「ネモネア、可愛そうですよ、ハハッ」
「アヴエロも笑ってんじゃん」
世間話をしながら歩くと何故か着くのが早いもんですぐクリスロッサの村でスオーロと合流。あっという間にクリスロッサの城下町に着いた。
「――おっ、ひさしぶりじゃなアヴエロ、スオーロ」
「アクアン老師、元気そうで何よりです。顔はまだなんですね」
「はっはっ、残念じゃがまだ研究前にやることがあるからの」
「それは?」
「今回のことじゃ」
真剣に言ったつもりだろうけどワニ顔にあたいはまだなれない。
「ネモネア、お前笑ってないか?」
「スオーロ……そんなことは……ププッ、ないよ」
「はぁ~、緊張感のないやつだ」
あと1人を待つあたい達だったが遠くから馬の力強い足音が徐々に大きくなってきて、
「遅れてすまない、待たせたな皆」
女騎士ソレイルが到着、勇者の仲間が揃う……。
――テーブルを囲んだここはクリスロッサ城下町のレストラン。そこで話をすることにした。
1ヶ月前まで敵だったあたいの目の前に勇者アヴエロ、回復師スオーロ、騎士ソレイル、魔法使いアクアンという紛れもない魔王ルモールを倒して世界を救った者たち。
「みんな変わらずに元気そうでなによりです。僕はこの1ヶ月間ネモネアとともに教会の子たちと過ごしました。子どもたちの笑顔は空に照らされた太陽と変わらない元気の出る天使の笑顔で、最高でした」
「そうか、お主も変わらずで何よりじゃ」
「アクアン老師、恐縮です……それで本題ですが、僕たちを呼んだ経緯を聞かせてください」
「うぬ……まずはわしは魔王を倒したあと、諸事情で魔法の研究を再開したのだ」
諸事情……顔のことだろう。
「ワシもウキウキして研究に没頭しとったんだが、その3日後の事じゃった。北のキングロビウ城に研究の薬草集めをしとった時」
北のキングロビウ城の砂漠、そこの遺跡であたいはアヴエロと2回目の戦いをした場所で思い出すとちょっと辛い。
「ワシは魔獣キリンに襲われた」
「魔獣キリンって……アクアン老師も魔獣に襲われたのか」
「そうじゃネモネア……ワシは魔獣を倒したあと疑問が浮かんでどうしても研究に没頭できんかった」
みんなも各々に考えがあるようだった、もちろんあたいも頭の片隅にあったことだ。
「……私のところにも」
険しい顔でスオーロが口を開いた。
「私はクリスロッサ村で回復師の仕事をしているが、そこの怪我人も言っていた『魔物に襲われ怪我をした』と、気になって村人が襲われた場所に行ってみたが魔物が現れ倒した」
思わず口を開いたあたいに目を向けたスオーロ。
「そして……もしやと思い私は……最初にネモネアを疑った」
「え……」
「だが邪悪な念はなかった。それで村の様子を見ることにした」
「やっぱりか……」
「疑って悪かったネモネア」
「え、そんな、あたいは疑われて当然だから」
「わしも前にあったときお主を疑ってしまった。すまんかったネモネアよ」
やっぱり疑われてたんだ。最初は哀しいと思ったけど何だか疑いが晴れて不思議な気持ちになって笑顔で返した。
「ではここで私から話しをさせてもらう」
今度はソレイル、いつもの笑顔ではなく真剣な顔。
「私はクリスロッサ南のグランジウム城の騎士をしているのだが、この前ネモネアの話しを聞いて集めた資料を睨んだ。それはツオーゴに存在する王城の付近全てに魔獣が確認されているんだ」
「なんだとっ、本当かソレイル」
「ああ本当だスオーロ、私は派遣で全ての城に周ってきて情報を共有しているから間違いない」
「あたいもブリジットを教会の森で助けたとき魔物トカゲを倒した……」
「ふ~む、やはりこうして魔王ルモールを倒したのにも関わらず、魔物や魔獣が現れるということは……」
「魔王……ルモールは、生きてる……」
ソレイルの言葉であたいは青ざめた。また魔王ルモールが生きているってことは、また教会の子たちが辛い思いをするかもと。みんなも静かになった。だってせっかく平和にしたと思ったのに魔王なんて洒落にならない。
「なるほど……やはり、行くしかないですね」
「ア、アヴエロ」
「魔王が生きてるにしろ違うにしろ、私たちがその情報を得るには崩壊した魔王の城に行ってみるしかないかと」
「やはりお主もそう考えたか実はわしもそう考えておった。真相が違っても手がかりはないかとの」
「では私はそのことを王様に伝えよう」
「とすると明日がいいかソレイル」
「では明日、崩壊した魔王の城に向かうということで」
意見が流れるようにまとまっていく、さすが魔王ルモールを倒した勇者たち。でもあたいはまだ不安が拭えない。
「でも、やるしかない」
「……ネモネア」
「ん、なんだよアヴエロ」
「君は教会に残ってください」
「……どうして……」
「楽しいお話になるといいわね、いってらっしゃいアヴエロ、ネモネア」
あたいとアヴエロは早朝にシスター・カルタ教会を出た。実は一昨日アクアン老師の伝書鳩が教会に届いてクリスロッサの城下町で集合することになったんだ。
「これから皆に会うなんて楽しみですね」
「ちまちま会ってたじゃん」
「それはそうですが、皆で集まるのは魔王を倒してから丁度1ヶ月ぶりですから」
「そう、か……もうそんなになるんだ」
魔王に仕えていたのがもう1ヶ月前、時が流れるのは早い。あたいにとってはとても濃厚でシスター・カルタやブリジットにジュリ、あと勇者の仲間たちと出会えて笑みが自然と溢れるほど嬉しい。
「老師は顔戻りましたかね、あのワニ顔は好きなんですが」
「え~……でも」
顔だけワニで身体は人間って、思い出すと面白い。
「ププッ、あたいも好きかも」
「ネモネア、可愛そうですよ、ハハッ」
「アヴエロも笑ってんじゃん」
世間話をしながら歩くと何故か着くのが早いもんですぐクリスロッサの村でスオーロと合流。あっという間にクリスロッサの城下町に着いた。
「――おっ、ひさしぶりじゃなアヴエロ、スオーロ」
「アクアン老師、元気そうで何よりです。顔はまだなんですね」
「はっはっ、残念じゃがまだ研究前にやることがあるからの」
「それは?」
「今回のことじゃ」
真剣に言ったつもりだろうけどワニ顔にあたいはまだなれない。
「ネモネア、お前笑ってないか?」
「スオーロ……そんなことは……ププッ、ないよ」
「はぁ~、緊張感のないやつだ」
あと1人を待つあたい達だったが遠くから馬の力強い足音が徐々に大きくなってきて、
「遅れてすまない、待たせたな皆」
女騎士ソレイルが到着、勇者の仲間が揃う……。
――テーブルを囲んだここはクリスロッサ城下町のレストラン。そこで話をすることにした。
1ヶ月前まで敵だったあたいの目の前に勇者アヴエロ、回復師スオーロ、騎士ソレイル、魔法使いアクアンという紛れもない魔王ルモールを倒して世界を救った者たち。
「みんな変わらずに元気そうでなによりです。僕はこの1ヶ月間ネモネアとともに教会の子たちと過ごしました。子どもたちの笑顔は空に照らされた太陽と変わらない元気の出る天使の笑顔で、最高でした」
「そうか、お主も変わらずで何よりじゃ」
「アクアン老師、恐縮です……それで本題ですが、僕たちを呼んだ経緯を聞かせてください」
「うぬ……まずはわしは魔王を倒したあと、諸事情で魔法の研究を再開したのだ」
諸事情……顔のことだろう。
「ワシもウキウキして研究に没頭しとったんだが、その3日後の事じゃった。北のキングロビウ城に研究の薬草集めをしとった時」
北のキングロビウ城の砂漠、そこの遺跡であたいはアヴエロと2回目の戦いをした場所で思い出すとちょっと辛い。
「ワシは魔獣キリンに襲われた」
「魔獣キリンって……アクアン老師も魔獣に襲われたのか」
「そうじゃネモネア……ワシは魔獣を倒したあと疑問が浮かんでどうしても研究に没頭できんかった」
みんなも各々に考えがあるようだった、もちろんあたいも頭の片隅にあったことだ。
「……私のところにも」
険しい顔でスオーロが口を開いた。
「私はクリスロッサ村で回復師の仕事をしているが、そこの怪我人も言っていた『魔物に襲われ怪我をした』と、気になって村人が襲われた場所に行ってみたが魔物が現れ倒した」
思わず口を開いたあたいに目を向けたスオーロ。
「そして……もしやと思い私は……最初にネモネアを疑った」
「え……」
「だが邪悪な念はなかった。それで村の様子を見ることにした」
「やっぱりか……」
「疑って悪かったネモネア」
「え、そんな、あたいは疑われて当然だから」
「わしも前にあったときお主を疑ってしまった。すまんかったネモネアよ」
やっぱり疑われてたんだ。最初は哀しいと思ったけど何だか疑いが晴れて不思議な気持ちになって笑顔で返した。
「ではここで私から話しをさせてもらう」
今度はソレイル、いつもの笑顔ではなく真剣な顔。
「私はクリスロッサ南のグランジウム城の騎士をしているのだが、この前ネモネアの話しを聞いて集めた資料を睨んだ。それはツオーゴに存在する王城の付近全てに魔獣が確認されているんだ」
「なんだとっ、本当かソレイル」
「ああ本当だスオーロ、私は派遣で全ての城に周ってきて情報を共有しているから間違いない」
「あたいもブリジットを教会の森で助けたとき魔物トカゲを倒した……」
「ふ~む、やはりこうして魔王ルモールを倒したのにも関わらず、魔物や魔獣が現れるということは……」
「魔王……ルモールは、生きてる……」
ソレイルの言葉であたいは青ざめた。また魔王ルモールが生きているってことは、また教会の子たちが辛い思いをするかもと。みんなも静かになった。だってせっかく平和にしたと思ったのに魔王なんて洒落にならない。
「なるほど……やはり、行くしかないですね」
「ア、アヴエロ」
「魔王が生きてるにしろ違うにしろ、私たちがその情報を得るには崩壊した魔王の城に行ってみるしかないかと」
「やはりお主もそう考えたか実はわしもそう考えておった。真相が違っても手がかりはないかとの」
「では私はそのことを王様に伝えよう」
「とすると明日がいいかソレイル」
「では明日、崩壊した魔王の城に向かうということで」
意見が流れるようにまとまっていく、さすが魔王ルモールを倒した勇者たち。でもあたいはまだ不安が拭えない。
「でも、やるしかない」
「……ネモネア」
「ん、なんだよアヴエロ」
「君は教会に残ってください」
「……どうして……」
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