勇者に恋した魔王の配下

ヒムネ

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邪獣

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「これは、一体何が起きるんだっ」

 模様から声がすると赤紫色の空間が出現、そこから巨大な一つ眼の魔物と思われるものが現れた。

「封印? こいつ、私たちを何かと勘違いしてるのか」

「いや、おそらくここに来た者に反応するように出来てるのだろう」

 ソレイルとスオーロは危険を察知し武器を構える。


「マッ殺っ」


「骨……うわぁっ!」


 全方向すべてに尖った骨があたいらを襲ってきた。

「「ランド・ウォールッ!」」

 素早くスオーロとアクアン老師が魔法で壁を作りあたいはアクアン老師の後ろに、アヴエロはスオーロと避難する。

「ありがとうアクアン老師……」

「だめじゃっ、貫かれるっ!」

 飛んできた骨は一撃に止まらずな10、100個と出し続けて土の壁を破壊。
「うおぉぉぉっ!」
 あたいはアクアン老師の前に立ち両手の爪を伸ばして薙ぎ払うことにした。


「おさまった……ハァ、ハァ……」

「すまん、助かったぞネモネア」

 だが全てを防げたわけじゃなかった。左脚と肩に一本ずつ骨が刺さっていてアクアン老師はそれを治癒。しかし回復もつかの間、再び一つ眼の魔物から尖った骨が現れあたいら容赦なく襲う。

「スオーロっ!」
「老師っ!」

 今度はスオーロとアクアン老師2人で分厚いランド・ウォールで骨を防いでいく。

「ネモネアッ、大丈夫ですか?」

「アヴエロ、肩と足に一本ずつくらっただけさ、それよりこの強さは魔物じゃなくて邪獣だ」

 心配するアヴエロも頬や肩に骨をかすった跡がある。

「ん……ソレイルはっ!」

「ソレイルは、女神の盾で防いでます。アレは貫かれることはないと思いますが」

 壁から覗くと決して貫かれることのない伝説の女神の盾で少しずつ一つ眼邪獣に近づこうとしている。

「ぐっ……なんて力だっ」

「あれじゃソレイルが先に力尽きちゃうよ」

「かと言って一つ眼邪獣やつに死角はない」

「それにこの骨、飛ばす一つひとつに魔力がこもっておる。だから威力が桁違いなのじゃ」

 このままじゃ2人の魔力もいずれ尽きてしまうと不安な中あたいの目は地面に置かれた骨に。

 カタカタッ、骨が動いた。

「やばいっ、落ちた骨が動き出すっ、ソレイルッ、こっちにっ!」

「まずいっ、スオーロ、ワシらを囲むようランド・ウォール操るんじゃっ」

「はいっ」

 魔力を帯びた骨を盾で防ぎながらソレイルがランド・ウォールに手を伸ばすとあたいはその手を引っ張って無事壁際に。するとスオーロとアクアン老師のランド・ウォールはあたいらを囲むドームのようになった。


「助かった、ありがとうネモネア」

「フフッ、仲間なんだから当然でしょ」

 自分で仲間と言っといてなんか照れてしまうが、そう言えるのが今は嬉しく感じる。

「ぬくぐっ、そうも言っておれんぞ」

「くっ、魔力を帯びた骨が、このドームを壊そうとしているんだからな、くっ……」

「でもこれじゃ、反撃出来ないし」

 悩んでいる間にも魔力を帯びた骨はひたすら無限に召喚されドームを隙間なく攻撃。やがて埋め尽くされていくドームに放たれる骨の重さに耐えきれず崩れた……。
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