16 / 66
魔王城の地下
しおりを挟む
――空の下、ガランッと瓦礫の音。ここはシスター・カルタ教会から真逆の最西端にある崩れた魔王の城。見る影もなくボロボロで地面の上に壁が砂利のよう。
「やっぱ魔王ルモール復活とかはないのかな?」
「う~む……しかし何だな、ネモネアも付いてくるとはな」
「私は思ってたよ」
「さすがソレイルだよ。あたいだって大切な人たちのために不安を拭いたいから」
「……話す暇があったらちゃんと手がかり一つでも探せ」
変わらず厳しい言葉のスオーロ。探すと言っても皆ほとんど瓦礫の絨毯に乗ってるだけで手間はかからないし、何もない。
「――う~ん、海に顔入れてみようかな」
何となくジャポンッ。目をパチクリするが普通に魚が泳いでて美味しそう。
「おい……まったく遊びにきたんじゃないんだぞ。ネモネアおい聞こえてるのか、ネモネアッ!」
「ぷ~、気持ちい」
「おいネモネア遊ぶなら帰っ……」
「悪かったよスオーロ……地震?」
ゴゴゴッと地鳴りが響き、鳥たちも飛び去った。
「みんなっ、離れてっ!」
アヴエロの声も聞こえて急いで瓦礫の近くを離れた。だが瓦礫は意志を持ったのかと勘違いするくらい崩れた魔王の城の中心を避けていく。
「おさまっ……た」
アヴエロの元に集まるが、勇者の目が鋭い。
「地下、じゃな」
それは奥が深く真っ暗な地下へと続く階段。
「……これは」
「ネモネアなにか知ってるのか?」
「ソレイル……ああ、あたいが先頭で行くからみんな付いてきて」
黙って頷き、奈落へと続きそうな階段を慎重に下っていった……。
「――うむ、火が必要じゃな」
と杖の先端に火を灯すアクアン老師。
「ここは一体、教えてくださいネモネア」
「……ここは魔王ルモールの実験場だ」
そう、あたいが魔王の仲間になったとき一度案内してもらった場所、そしてここの最奥には。
「みんなストップ、ここの先は左右とも牢屋だ、あたいが見てくる」
「いやネモネア、私が」
「ここはあたいのがなれてる。アヴエロたちは待ってて」
「……気をつけてください」
一歩づつ慎重に、それには理由があるんだけど……。
「みんな来て、大丈夫だ」
あたいの合図で下りてきたアヴエロたちも牢屋を覗く。
「……なにもないですね」
「いや、変なんだ。ここにはあたいも関わったことのある邪恐竜や魔獣たちが入れられていた……実験体として」
「実験体ですか……」
「それにご丁寧に鍵が掛けられているわね、掛け直したのか?」
「それはあたいにも……」
誰かが開いたのか、でもこの不気味な牢屋には入れたのはあたいや魔王の部下くらい。でも部下の中にはあたいが死にかけた邪恐竜を従えられるやつなんていない。
「う~む、いや、これが普通かもしれん」
「どういうこと、ワニ……アクアン老師」
「そもそもワシらは魔王ルモールを倒している。ならここの牢屋に入れられていた邪恐竜や魔獣も消えるのは自然なことじゃないかの」
なるほどさすがワニ老師、でも外の魔物や魔獣は消えてなかったし……止まって考えたところで結論は出ないとまたあたいを先頭に進んだ。この先もよく知っている……。
「扉ですか」
「じゃあけるよ」
「ネモネア、ちょっと慎重に……」
「大丈夫、この扉の先もよく知ってるから」
「どういうことですか?」
扉を開けたそこは、真っ暗い広場で灯りで見える血痕。
「ここはあたいが力を得るために邪恐竜と死闘を繰り広げた広場」
「この血は……」
「ああ、多分あたいのだ、死にかけだったし……」
「こんなになってまで……必死に」
「どうしたアヴエロ」
「スオーロ、いや」
それで力を手に入れてアヴエロたちを殺そうと……なんか思い出していると気分が悪くなってくる。
「
妙だな……陣がある」
地面を調べていたのかソレイルは続いている線をたどるように歩くとそれは円となっていた。
「これは……スオーロやアクアン老師のほうが詳しいのではないか?」
「アクアン老師これは……まるで……」
「うむ、封印を施してあるといったほうが良いかもしれん」
その時また2度目の地震が。
「みんな魔法をっ!」
アヴエロたちは“ウイング”っと唱え翼を広げるが。
「あたいはその魔法覚えてないよ~っ!」
「ネモネアッ!」
ガバッ、アヴエロが両手であたいをキャッチ、抱きしめられる結果に。
「すいません魔法が使えないのを知らなくて、大丈夫ですかネモネア」
「……こ、怖いし、このままおろして」
本当は怖くないんだけど、ここは嘘をついておこう。しかし幸せな時間は短く無事着地。
「……もう終わりか……もうちょっと」
「ネモネア、どうしました?」
「え、いや、なんでもないよ、ハハッ……そんなことより、調べよう」
「――1部屋分くらい落とされたか、ネモネアここは知ってる?」
「ううん、あたいもここは初めて見るよソレイル」
周りを見渡すと壁、壁、か……いや何かの模様が。丸の中に丸、目みたいだ。その模様を見た瞬間だった。
「シンニューシャ、シンニューシャ、コノ封印ヲ 解ク者ヲ 排除スル……」
「やっぱ魔王ルモール復活とかはないのかな?」
「う~む……しかし何だな、ネモネアも付いてくるとはな」
「私は思ってたよ」
「さすがソレイルだよ。あたいだって大切な人たちのために不安を拭いたいから」
「……話す暇があったらちゃんと手がかり一つでも探せ」
変わらず厳しい言葉のスオーロ。探すと言っても皆ほとんど瓦礫の絨毯に乗ってるだけで手間はかからないし、何もない。
「――う~ん、海に顔入れてみようかな」
何となくジャポンッ。目をパチクリするが普通に魚が泳いでて美味しそう。
「おい……まったく遊びにきたんじゃないんだぞ。ネモネアおい聞こえてるのか、ネモネアッ!」
「ぷ~、気持ちい」
「おいネモネア遊ぶなら帰っ……」
「悪かったよスオーロ……地震?」
ゴゴゴッと地鳴りが響き、鳥たちも飛び去った。
「みんなっ、離れてっ!」
アヴエロの声も聞こえて急いで瓦礫の近くを離れた。だが瓦礫は意志を持ったのかと勘違いするくらい崩れた魔王の城の中心を避けていく。
「おさまっ……た」
アヴエロの元に集まるが、勇者の目が鋭い。
「地下、じゃな」
それは奥が深く真っ暗な地下へと続く階段。
「……これは」
「ネモネアなにか知ってるのか?」
「ソレイル……ああ、あたいが先頭で行くからみんな付いてきて」
黙って頷き、奈落へと続きそうな階段を慎重に下っていった……。
「――うむ、火が必要じゃな」
と杖の先端に火を灯すアクアン老師。
「ここは一体、教えてくださいネモネア」
「……ここは魔王ルモールの実験場だ」
そう、あたいが魔王の仲間になったとき一度案内してもらった場所、そしてここの最奥には。
「みんなストップ、ここの先は左右とも牢屋だ、あたいが見てくる」
「いやネモネア、私が」
「ここはあたいのがなれてる。アヴエロたちは待ってて」
「……気をつけてください」
一歩づつ慎重に、それには理由があるんだけど……。
「みんな来て、大丈夫だ」
あたいの合図で下りてきたアヴエロたちも牢屋を覗く。
「……なにもないですね」
「いや、変なんだ。ここにはあたいも関わったことのある邪恐竜や魔獣たちが入れられていた……実験体として」
「実験体ですか……」
「それにご丁寧に鍵が掛けられているわね、掛け直したのか?」
「それはあたいにも……」
誰かが開いたのか、でもこの不気味な牢屋には入れたのはあたいや魔王の部下くらい。でも部下の中にはあたいが死にかけた邪恐竜を従えられるやつなんていない。
「う~む、いや、これが普通かもしれん」
「どういうこと、ワニ……アクアン老師」
「そもそもワシらは魔王ルモールを倒している。ならここの牢屋に入れられていた邪恐竜や魔獣も消えるのは自然なことじゃないかの」
なるほどさすがワニ老師、でも外の魔物や魔獣は消えてなかったし……止まって考えたところで結論は出ないとまたあたいを先頭に進んだ。この先もよく知っている……。
「扉ですか」
「じゃあけるよ」
「ネモネア、ちょっと慎重に……」
「大丈夫、この扉の先もよく知ってるから」
「どういうことですか?」
扉を開けたそこは、真っ暗い広場で灯りで見える血痕。
「ここはあたいが力を得るために邪恐竜と死闘を繰り広げた広場」
「この血は……」
「ああ、多分あたいのだ、死にかけだったし……」
「こんなになってまで……必死に」
「どうしたアヴエロ」
「スオーロ、いや」
それで力を手に入れてアヴエロたちを殺そうと……なんか思い出していると気分が悪くなってくる。
「
妙だな……陣がある」
地面を調べていたのかソレイルは続いている線をたどるように歩くとそれは円となっていた。
「これは……スオーロやアクアン老師のほうが詳しいのではないか?」
「アクアン老師これは……まるで……」
「うむ、封印を施してあるといったほうが良いかもしれん」
その時また2度目の地震が。
「みんな魔法をっ!」
アヴエロたちは“ウイング”っと唱え翼を広げるが。
「あたいはその魔法覚えてないよ~っ!」
「ネモネアッ!」
ガバッ、アヴエロが両手であたいをキャッチ、抱きしめられる結果に。
「すいません魔法が使えないのを知らなくて、大丈夫ですかネモネア」
「……こ、怖いし、このままおろして」
本当は怖くないんだけど、ここは嘘をついておこう。しかし幸せな時間は短く無事着地。
「……もう終わりか……もうちょっと」
「ネモネア、どうしました?」
「え、いや、なんでもないよ、ハハッ……そんなことより、調べよう」
「――1部屋分くらい落とされたか、ネモネアここは知ってる?」
「ううん、あたいもここは初めて見るよソレイル」
周りを見渡すと壁、壁、か……いや何かの模様が。丸の中に丸、目みたいだ。その模様を見た瞬間だった。
「シンニューシャ、シンニューシャ、コノ封印ヲ 解ク者ヲ 排除スル……」
0
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる