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第4章 新たなる敵
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ダムの緊急放流について疑問の声が上がってきた。
実際にTRYDIRECTの周辺では浸水被害が3000棟に及び
亡くなった方は2人いた。
住宅の浸水被害や農業被害また 水につかって使えなくなった車などは
かなりの被害額がいずれ算出されるだろう。
ダムの放流自体は問題ないのだが市のほうで支流への水門の操作がなされたか?
その判断は正しかったのかが議論された。
結果は担当者が自宅の様子を見に帰り、ダムからの放流の連絡を受けていながら
何もしなかったことに問題があった。
また、取材に対し 担当者も家が心配だろうからなどと
2人が亡くなったことに対する謝意もなく、まるで他人事のように答えた市長に批判が集中した。
翌日、浸水被害復興に対して取材に答える市長の姿はあまりにお粗末であった。
「それでは被害者に対してなにもしないってことじゃないですか?」記者が詰め寄る。
「私の家だって浸水してるんだ。」と答える市長。
「公私混同はやめて市民のために何が出来るか考えてください。」
「忙しいんだ 私だって寝てないんだ。」聞いたようなセリフである。
「浸水被害で、避難所にいて夜も眠れない人達にそんなこというんですか?」
「避難者に行ったわけではない。」
まったく要領を得ない。
朝倉は自身が濁流にのまれ死にかけたこともあって
その怒りがそのニュースを見て爆発した。
朝倉は店舗の駐車場に出る。
隅に、まだまだ堆積している泥と泥水を見て
その片付けに途方に暮れた。
村山本部長からは早くかたずけるように、
また、その間も店を開けるように。
スコップ、ブルーシート、ガムテープなど切らさず発注するようにと矢継ぎ早に支持を受けた。
発注など本部で勝手に送り込んでくれればいいのに。
バイト達も被害にあった者もいてシフトが埋まらない。
応援も出さないで電話一本かよ!と思うと朝倉は怒りが湧いてきた。
本部長は電話で言いたい放題。
行政は無責任。
朝倉はしこたま飲み込んだ汚泥の味が口内に拡がるようだった。
テレビ売り場で流れているニュース番組。
市長への会見が生中継されていた。
「まったくこの市長は無責任よねえ。」客の年配の夫人が言った。
「自分が泥水被ればいいのよ。私なんか朝から片付けで泥だらけ ほんと嫌になっちゃう」別の女性が言う。
朝倉はひらめいた。
俺は魔法が使えるんだ!!!!
朝倉は駐車場の泥水を思い浮かべた。
そしてそれを画面の市長に転送した。
画面の中で突然、市長は頭から汚泥をかぶった。
口の中にも入ったようで げぼっ げぼっ っとむせていた。
記者たちも何が起きたかわからない様子だった。
そしてそれは報道され全国に広がった。
だが、全国ニュースはなぜ突然泥が降ってきたかより、市長の対応のまずさばかりが取り上げられた。
ネットの住人達は
「天罰か?」
「魔法じゃね。」
「誰かバケツでかけたのかなあ?」
など話題になった。
そんな不思議な現象も手伝って連日、検索ランキングは1位
ついでに市長の支持率は急降下。
駅前インタビューではまさかの支持者ゼロ。
市の電話は市長への抗議でパンク。
やがて、市長と水門を管理する担当者たちが一斉に辞任した。
あとを引き継いだ副市長の対応は素晴らしく、その後の復興は加速度をあげて進んでいった。
実際にTRYDIRECTの周辺では浸水被害が3000棟に及び
亡くなった方は2人いた。
住宅の浸水被害や農業被害また 水につかって使えなくなった車などは
かなりの被害額がいずれ算出されるだろう。
ダムの放流自体は問題ないのだが市のほうで支流への水門の操作がなされたか?
その判断は正しかったのかが議論された。
結果は担当者が自宅の様子を見に帰り、ダムからの放流の連絡を受けていながら
何もしなかったことに問題があった。
また、取材に対し 担当者も家が心配だろうからなどと
2人が亡くなったことに対する謝意もなく、まるで他人事のように答えた市長に批判が集中した。
翌日、浸水被害復興に対して取材に答える市長の姿はあまりにお粗末であった。
「それでは被害者に対してなにもしないってことじゃないですか?」記者が詰め寄る。
「私の家だって浸水してるんだ。」と答える市長。
「公私混同はやめて市民のために何が出来るか考えてください。」
「忙しいんだ 私だって寝てないんだ。」聞いたようなセリフである。
「浸水被害で、避難所にいて夜も眠れない人達にそんなこというんですか?」
「避難者に行ったわけではない。」
まったく要領を得ない。
朝倉は自身が濁流にのまれ死にかけたこともあって
その怒りがそのニュースを見て爆発した。
朝倉は店舗の駐車場に出る。
隅に、まだまだ堆積している泥と泥水を見て
その片付けに途方に暮れた。
村山本部長からは早くかたずけるように、
また、その間も店を開けるように。
スコップ、ブルーシート、ガムテープなど切らさず発注するようにと矢継ぎ早に支持を受けた。
発注など本部で勝手に送り込んでくれればいいのに。
バイト達も被害にあった者もいてシフトが埋まらない。
応援も出さないで電話一本かよ!と思うと朝倉は怒りが湧いてきた。
本部長は電話で言いたい放題。
行政は無責任。
朝倉はしこたま飲み込んだ汚泥の味が口内に拡がるようだった。
テレビ売り場で流れているニュース番組。
市長への会見が生中継されていた。
「まったくこの市長は無責任よねえ。」客の年配の夫人が言った。
「自分が泥水被ればいいのよ。私なんか朝から片付けで泥だらけ ほんと嫌になっちゃう」別の女性が言う。
朝倉はひらめいた。
俺は魔法が使えるんだ!!!!
朝倉は駐車場の泥水を思い浮かべた。
そしてそれを画面の市長に転送した。
画面の中で突然、市長は頭から汚泥をかぶった。
口の中にも入ったようで げぼっ げぼっ っとむせていた。
記者たちも何が起きたかわからない様子だった。
そしてそれは報道され全国に広がった。
だが、全国ニュースはなぜ突然泥が降ってきたかより、市長の対応のまずさばかりが取り上げられた。
ネットの住人達は
「天罰か?」
「魔法じゃね。」
「誰かバケツでかけたのかなあ?」
など話題になった。
そんな不思議な現象も手伝って連日、検索ランキングは1位
ついでに市長の支持率は急降下。
駅前インタビューではまさかの支持者ゼロ。
市の電話は市長への抗議でパンク。
やがて、市長と水門を管理する担当者たちが一斉に辞任した。
あとを引き継いだ副市長の対応は素晴らしく、その後の復興は加速度をあげて進んでいった。
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