悪役皇女は二度目の人生死にたくない〜義弟と婚約者にはもう放っておいて欲しい〜

abang

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利害の一致と婚約者の嫉妬2

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「姉様、どこに行っていたの?」


「ウェヌスよ、あのお店が好きなの。」



ジェレミアはシエラが帰るなり、待っていたように現れたがいつもの雰囲気とは違い、主人を待つ飼い犬のようにも見えた。







(やっぱり、知っているのね。)



「お店の方に引き渡して、後はお願いしたわ。」



「そう…。」




「けれど、買い物の途中に彼が目を覚ましたらしくて…私って幸運だわ。」


「?」



「彼の家が所持する荒れた山々が近頃ダイヤモンド鉱山だった事が分かったらしいの…ウェレス鉱山っていうらしいんだけれど…。」





「姉様は、それが欲しいの?」



「….そんな、でもダイヤモンドは好きね。」




「じゃあ姉様の手を汚した不敬で僕が、クレマン家を…、」




「いいえ、これ以上仕事が増えるのは御免よ。私は管理を任せられる家門ごと欲しいの…。」




「…!なるほど、ウェレス鉱山ならば得て損はないだろう。国境に近く場所も良い。それならば当主をすぐに呼ぼう。」




「そうね…けれど私が助けたのは長男のグレンという方で…、父である当主は継母に騙されて言いなりらしいの…すぐにじゃなくても、彼がグレンが当主になってくれれば助かるのだけれど。」




「そうだね、が一番良い。…姉様、僕が姉様の欲しいものをプレゼントできたら…その、…許してくれる?ああするしか無かったんだ。」




ジェレミーは俯きながら、辛そうな表情でシエラのドレスの袖を少し摘んだ。



(ジェレミーだってまだ今は辛いはず。イカれた父と、嫉妬深く欲深い母の操り人形…彼がシエラを完璧に自分の武器モノにする迄は彼の立場はまだまだ足場がゆるい。)



ジェレミアもまた、欲望と権力によって孤独を強いられた被害者なのだ。


だからこそ、シエラは過去にも彼だけは嫌いになれずに居た。




(最後は、皇后そっくりな手法を使うのだけれど)



「もう、怒って居ないわ。負けないで、きっと父よりも偉大な皇帝となってねジェレミー。」




ジェレミアの耳元で優しく囁いたシエラに、彼は耳まで赤くしながらもしっかりと頷いて小さな声で「姉様を守るよ。」と言った。



「ねえ、姉様…っ」


呼ばれて見上げると、ジェレミアの物欲しげな表情を見てと感じた。



引き寄せられた腰は意外にも硬くホールドされており、片手は背中を固定する。


貪るように絡められる舌、柔らかい唇がシエラを刺激して身体が覚えてしまっている刺激に反応する。



「姉様、愛してるよ。」



「ジェレミー、私もあなたを弟として愛して…っん!」


「…シエラ姉様、」


「ジェレミー、姉弟でこんな事はしないの。」



「リヒトがそう言っていたから?」



「違っ、それに此処じゃ一目が多いわ….!」



「……。」



「いい子。クレマン夫人については私に任せてくれる?合法的に手に入れるために行き詰まったら貴方を頼るかもしれない。」


「ああ、僕に任せて。皇太子という肩書きが無駄にならなくていい。」


「ふふ、ありがとう。」



そして暫くは忙しい日々を過ごした。


ジェレミアの協力があったので準備は案外簡単に整った。



グレンにも、ウェヌスへと招待していた。


公務でジェレミアは数日居ない為に、本日は見張りが居ない。




念の為正面から、時間をずらして入店すると先に入店したグレンが待っておりシエラに礼をした。





「グレン…先に行って良かったのよ?」


「いえ…少し殿下とショッピングがしたくて…。」



「え…、」



「それは許容しかねるな。」




ふと、聞き慣れた居るはずのない人の声。



「……マッケンゼン公爵。なぜ此処に…?」


「いくら手紙を出しても返事を貰えないので…此処なら貴女に会えるのでは無いかと思いました。」



「……マッケンゼン、公爵。お初にお目にかかります、グレン・クレマンと申します。」




「ああ、知っている。婚約者と何か用事が?」


「いえ…。」


シエラに一瞬視線を移して、シエラの様子を確認するとちゃんと意図を読み取ったのか、グレンは何も話さなかった。


「ただ、皇女殿下にお礼がしたくて…。」


「それなら気持ちだけで大丈夫だ。近頃親しくしているようだが….」



「マッケンゼン公爵、何のつもり?彼は友人よ。」



「…、私は婚約者ですが。」


「はぁ…分かったわ。場所を変えましょう。また連絡をします。」



「仕方ありませんね、承知しました。お気をつけて。」





どことなくムッとした表情でグレンを見てから、シエラをエスコートするリヒトの姿に店の中は色めき立った。


不仲だと言われている筈の、リヒトの予想外の行動に皆が注目していた。





「此処では目立ちます。何処かに入りましょう。」


「では、ウチにいらして下さい。」


「それは、侮られているのかしら?どこかお店を、」


「…わかりました。彼の事はファーストネームで呼んでいるのですね。」


「友人ですので。」


「……俺は婚約者ですが。」


「ええ、今は。」



不服そうなリヒトを見ないフリして、エスコートを受けると何故かそこはまるで恋人達がデートでもするようなお洒落なお店であった。




(不審に思っているのか?)


「気負わないで下さい。婚約者として相応しい店を選んだだけです。」


「そう。わかったわ。」


「………見目は良いようですね。」


「は?」


リヒトが悔しげに顔を歪める前で、思わず訳がわからないと言うような表情のまま素っ頓狂な声を上げたシエラはただ意図が分からずにリヒトを見つめたのだった。




(見目なら、この国で一番セクシーな男性は貴方だと思うけどリヒト。……ジェレミーも負けていないわね。)








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