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次にジルベルト。
年齢は確か400近い300歳で、このゲームで二番目に年を食っているキャラだ。
容姿は、美しいプラチナブロンドを撫でつけた髪にサファイアの様な瞳の中性的な美人。兄が男らしい美しさだとすると、彼は少し女性的な柔らかさもある中性的な美しさだ。どちらも言葉で表せないほどに見目麗しいことは事実なのだが。
BEST ENDでわかるのだが、実は彼は天使族なのだ。今の段階だと私達には悪魔族の端くれということで通している。このキャラのとんでもない所がゲームのシナリオ。彼のシナリオは、途中からホラーゲーム仕様になる上にBEST ENDも正直BEST ENDとは言い難い。
これはBEST END直前のシナリオの一部なのだが……。
私は逃げる……ただひたすら彼の愛から逃げ出す事だけを考えて逃げ続けていた。
逃げているはずなのに、彼が段々と近づいてきていることに勘付いた私は途中で目についた部屋に逃げ込み、瞬時にそこにあったベッドの下に隠れた。
そのすぐ後に部屋に彼も入ってきて、私を探すために押し入れの中やら何やらを調べているが、此方には気づいていないようだ。
バタンッ
足音の後に扉が閉まる音が聞こえた。彼はそのまま出ていったようだ。
……よかった。気づかれなかった。
私は安心して、溜息を吐きながらベッドの下から出ようと横を向く。しかし、そこには
「みぃつけたぁ」
満面の笑みを張り付けたジルベルトがいた。
……このシナリオを読んだ時、私は心臓が止まるかと思いました。
そしてこの後ヒロインは両手両足をジルベルトに切り落とされ、両の目も抉られて、彼しか感じられない世界で生きていくのでした的なENDが、BEST ENDなのだ。超ヤンデレである。
いや、でもこれにたどり着く前のエロシーンとかはすっごく萌えたんだよ!?ジルベルトとの逆主従プレイとか……。
でも途中から段々とホラーテイストになってきて、ジルベルトが重度の嫉妬で狂っていくのだ。最後の方なんて、何故か絵柄が変わって、典型的なホラーゲームの絵のスチルになっている程だ。
色んな意味でホラーである。しかも途中の逃げ回る要素も、第三者視点ではなくヒロイン視点で、無駄に全方向から聞こえる音声システムを採用されていたので、彼の足音や吐息等がもろに伝わってきて……動く時は、かなり心臓に悪かった。
ただしこれは当然ドキドキではなく嫌なハラハラの方でである。
それにBEST ENDという名ばかりのBAD ENDにたどり着くのは意外に簡単なのだが、TRUE ENDが難しすぎて私にもたどり着けなかった。
ネットで見た情報なので定かではないが、たどり着くには実は何個も必要な動作があるらしく、その工程も女性向けエロゲとしてはあり得ないくらいに長い。例えば戸棚を何回開け閉めしたか、途中工程でどの廊下を通るかなど……それを順番通りに正確にすべてクリアしないとTRUE ENDにはたどり着けないのだ。
噂では、百以上の工程があるらしい。
こんなにも長々と語ってしまったが、これの大前提としてジルベルトルートは、攻略対象のうち誰かしらのTRUE ENDを見た後に解放されるルートなので、多分攻略できないだろう。……正直、ジルベルトのBEST ENDという名のBAD ENDにたどり着きたくないので、元々攻略する気はないが。
その他に攻略対象は三人いる……のだが、そのどれもが現実的に考えて酷すぎた。
まず、一度スイッチが入ると一週間は当たり前の精力絶倫魔王・エルティナ=サクリフィス。25歳。
これは現実的に淫魔とはいえ休まずぶっ続けで一週間は辛過ぎる。致している最中は特に増す魔王のドSな性格は意外においしいからともかくとして。それ以前に、魔王で女が大量に群がっているので、同性からの嫌がらせがかなりえげつないルートで、攻略したくない。だってライバルの女の策略で娼館に売られて一生ハードなプレイでレイプされ続けるルートとかあるし……死に方にしてもグロいかつえげつない。女って怖いな、と思ったルートだった。
そして魔狼族の魔王補佐エヴァンジェリン=オルフェイン。386歳。
アナル・玩具が大好きで、色々あり性格が若干子供じみた男である。
こいつは、最終的には獣姦プレイに加え、アナルと玩具で二穴挿しという変態度が高すぎる最期を迎えるのだ。要は前に玩具、後ろにエヴァンジリンのケモチンである。スチルのヒロインのお尻の穴の開き具合がトラウマレベルで開いていたので、正直怖い。あんなに自分のお尻の穴が開くだなんて考えたくない。
しかも、好感度の調整が上手くかないと遊びの延長線上で殺されることもある……これは、色んな意味で無理すぎる。
最後、こいつが一番ヤバい。ユーリアス=アクエリア、通称・変態ゲイジジイ。
812歳というこのゲームでは最年長なのだが、こいつが地雷すぎた。こいつはBLゲーム的なテイスト……他の男とやっている現場を目撃してしまうことで始まる。
一応、両想い(?)にはなれはする。だが、主人公とやっている時でもあのアナルを掘られる感じが忘れられないと喚いて、最終的に主人公には薬でチンコが生えてくるのだ。そうチンコが生えてくるのだ!!チンコがヒロインの股から生えてくる!(大事なことなので三回言いました)
恐ろしいことに、BEST ENDでそれだ。別名・フタナリENDと呼ばれている。
正直自分の股からアレが生えてくることを想像しただけで吐き気がする。
それにこいつは色んな意味で最初から生理的に受け付けなくて、このゲームで唯一嫌いなキャラだった……。
このようにシナリオ・キャラクターのやばい性癖等もろもろで世の乙女たちにとんでもないトラウマを植え付けたゲームだったのだ。
しかしこのゲームには私の様な根強いファンも多く、人気が高かった。それはなぜか。
このゲームのキャラ絵がとても美しかったからだ。それにキャラだけではない。背景・音楽すべてに於いて他を抑えて無双していた。それはもう、他のゲームが全て霞んで見えるくらいに美しかったのだ。
……一部には作中のハードなプレイ内容が自分の性癖ど真ん中だという特殊な人もいたらしいが。
とにかく、そのような理由でストーリーやらもろもろはともかく、発売されてから数年たっても色褪せない程に根強い人気があった。
しかし冷静になってみて自分が転生してみると……本当にとんでもない。絶望などという言葉で表しきれないほどの絶望感。
普通は『キャー!!ゲームの世界に転生なんて……誰を選ぼう!?』や『大好きな〇〇とリアルでくっつくチャンス!!』と喜びの方が大きいだろうが、このゲームだけはない。絶対にありえない。
だから私は耐えきれなくなって泣き叫ぶ。
「変なプレイとか死亡する可能性がない、普通の人と恋愛させてください!!」
私は本当にこれからどうなってしまうのだろう……。
年齢は確か400近い300歳で、このゲームで二番目に年を食っているキャラだ。
容姿は、美しいプラチナブロンドを撫でつけた髪にサファイアの様な瞳の中性的な美人。兄が男らしい美しさだとすると、彼は少し女性的な柔らかさもある中性的な美しさだ。どちらも言葉で表せないほどに見目麗しいことは事実なのだが。
BEST ENDでわかるのだが、実は彼は天使族なのだ。今の段階だと私達には悪魔族の端くれということで通している。このキャラのとんでもない所がゲームのシナリオ。彼のシナリオは、途中からホラーゲーム仕様になる上にBEST ENDも正直BEST ENDとは言い難い。
これはBEST END直前のシナリオの一部なのだが……。
私は逃げる……ただひたすら彼の愛から逃げ出す事だけを考えて逃げ続けていた。
逃げているはずなのに、彼が段々と近づいてきていることに勘付いた私は途中で目についた部屋に逃げ込み、瞬時にそこにあったベッドの下に隠れた。
そのすぐ後に部屋に彼も入ってきて、私を探すために押し入れの中やら何やらを調べているが、此方には気づいていないようだ。
バタンッ
足音の後に扉が閉まる音が聞こえた。彼はそのまま出ていったようだ。
……よかった。気づかれなかった。
私は安心して、溜息を吐きながらベッドの下から出ようと横を向く。しかし、そこには
「みぃつけたぁ」
満面の笑みを張り付けたジルベルトがいた。
……このシナリオを読んだ時、私は心臓が止まるかと思いました。
そしてこの後ヒロインは両手両足をジルベルトに切り落とされ、両の目も抉られて、彼しか感じられない世界で生きていくのでした的なENDが、BEST ENDなのだ。超ヤンデレである。
いや、でもこれにたどり着く前のエロシーンとかはすっごく萌えたんだよ!?ジルベルトとの逆主従プレイとか……。
でも途中から段々とホラーテイストになってきて、ジルベルトが重度の嫉妬で狂っていくのだ。最後の方なんて、何故か絵柄が変わって、典型的なホラーゲームの絵のスチルになっている程だ。
色んな意味でホラーである。しかも途中の逃げ回る要素も、第三者視点ではなくヒロイン視点で、無駄に全方向から聞こえる音声システムを採用されていたので、彼の足音や吐息等がもろに伝わってきて……動く時は、かなり心臓に悪かった。
ただしこれは当然ドキドキではなく嫌なハラハラの方でである。
それにBEST ENDという名ばかりのBAD ENDにたどり着くのは意外に簡単なのだが、TRUE ENDが難しすぎて私にもたどり着けなかった。
ネットで見た情報なので定かではないが、たどり着くには実は何個も必要な動作があるらしく、その工程も女性向けエロゲとしてはあり得ないくらいに長い。例えば戸棚を何回開け閉めしたか、途中工程でどの廊下を通るかなど……それを順番通りに正確にすべてクリアしないとTRUE ENDにはたどり着けないのだ。
噂では、百以上の工程があるらしい。
こんなにも長々と語ってしまったが、これの大前提としてジルベルトルートは、攻略対象のうち誰かしらのTRUE ENDを見た後に解放されるルートなので、多分攻略できないだろう。……正直、ジルベルトのBEST ENDという名のBAD ENDにたどり着きたくないので、元々攻略する気はないが。
その他に攻略対象は三人いる……のだが、そのどれもが現実的に考えて酷すぎた。
まず、一度スイッチが入ると一週間は当たり前の精力絶倫魔王・エルティナ=サクリフィス。25歳。
これは現実的に淫魔とはいえ休まずぶっ続けで一週間は辛過ぎる。致している最中は特に増す魔王のドSな性格は意外においしいからともかくとして。それ以前に、魔王で女が大量に群がっているので、同性からの嫌がらせがかなりえげつないルートで、攻略したくない。だってライバルの女の策略で娼館に売られて一生ハードなプレイでレイプされ続けるルートとかあるし……死に方にしてもグロいかつえげつない。女って怖いな、と思ったルートだった。
そして魔狼族の魔王補佐エヴァンジェリン=オルフェイン。386歳。
アナル・玩具が大好きで、色々あり性格が若干子供じみた男である。
こいつは、最終的には獣姦プレイに加え、アナルと玩具で二穴挿しという変態度が高すぎる最期を迎えるのだ。要は前に玩具、後ろにエヴァンジリンのケモチンである。スチルのヒロインのお尻の穴の開き具合がトラウマレベルで開いていたので、正直怖い。あんなに自分のお尻の穴が開くだなんて考えたくない。
しかも、好感度の調整が上手くかないと遊びの延長線上で殺されることもある……これは、色んな意味で無理すぎる。
最後、こいつが一番ヤバい。ユーリアス=アクエリア、通称・変態ゲイジジイ。
812歳というこのゲームでは最年長なのだが、こいつが地雷すぎた。こいつはBLゲーム的なテイスト……他の男とやっている現場を目撃してしまうことで始まる。
一応、両想い(?)にはなれはする。だが、主人公とやっている時でもあのアナルを掘られる感じが忘れられないと喚いて、最終的に主人公には薬でチンコが生えてくるのだ。そうチンコが生えてくるのだ!!チンコがヒロインの股から生えてくる!(大事なことなので三回言いました)
恐ろしいことに、BEST ENDでそれだ。別名・フタナリENDと呼ばれている。
正直自分の股からアレが生えてくることを想像しただけで吐き気がする。
それにこいつは色んな意味で最初から生理的に受け付けなくて、このゲームで唯一嫌いなキャラだった……。
このようにシナリオ・キャラクターのやばい性癖等もろもろで世の乙女たちにとんでもないトラウマを植え付けたゲームだったのだ。
しかしこのゲームには私の様な根強いファンも多く、人気が高かった。それはなぜか。
このゲームのキャラ絵がとても美しかったからだ。それにキャラだけではない。背景・音楽すべてに於いて他を抑えて無双していた。それはもう、他のゲームが全て霞んで見えるくらいに美しかったのだ。
……一部には作中のハードなプレイ内容が自分の性癖ど真ん中だという特殊な人もいたらしいが。
とにかく、そのような理由でストーリーやらもろもろはともかく、発売されてから数年たっても色褪せない程に根強い人気があった。
しかし冷静になってみて自分が転生してみると……本当にとんでもない。絶望などという言葉で表しきれないほどの絶望感。
普通は『キャー!!ゲームの世界に転生なんて……誰を選ぼう!?』や『大好きな〇〇とリアルでくっつくチャンス!!』と喜びの方が大きいだろうが、このゲームだけはない。絶対にありえない。
だから私は耐えきれなくなって泣き叫ぶ。
「変なプレイとか死亡する可能性がない、普通の人と恋愛させてください!!」
私は本当にこれからどうなってしまうのだろう……。
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