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父様の協力もあり、私は父と話した二日後……無事見合いの席を設けることができた!
そうして、お見合い当日――。
ああああああぁぁぁぁぁぁぁ!なにあれすっごい気になるっ。っていうか、気になり過ぎて過ぎて無理っ。
……私はあることが気になり過ぎて一種のパニック状態に陥っていた。
あの、額の……黒子!!!
そう、私が今日お見合いをする相手であるレキシール伯爵家の長男は顔は非常に綺麗に整っているのだ。
だがしかし、その顔には大きな……物理的にも大きな欠点があった。額の真ん中。
丁度眉毛と眉毛の間、即ち眉間に大きなイボっぽいほくろがあるのだ。大きさは、私の親指の先端程あった。額の大半が黒子なのである。あり得ない大きさに、ちょっと怖くなる。
そして私はソレが原因で最初から盛大にやらかしていた。
「えっと、額に虫がついていますよ……お取りしましょうか」
私はそもそも結婚する気がなかったので、彼のことを話で聞くだけで肖像画などと言った彼の容姿を直接知れるようなものは一切見ていなかったのだ。
そして二人きりにされた数分後。思ったほど異性経験が自分にないことに気が付き、緊張と混乱の末、私がが発した第一声がこれだった。
「これは虫ではありません。……私の黒子です」
この会話から私達の間には気まずい空気が流れ始める。
それに加え、彼は緊張すると眉間の黒子を触る癖があるようで、黒子をずっといじり倒している。
きっとこんなことを言ってしまったのには、私が最近欠点のない美しいものしか見ていなかったのも原因なのだろう。私の従者・ジルベルトやキース兄様といった、本当に顔面だけは欠点が一つもない美しいものを……。
しかしながら私が更にパニックに陥るのにはもう一つ理由があった。
彼は緊張から黒子をいじり過ぎて微妙に黒子から血が出ているのだ。
そして、冒頭の場面に戻る。
***
「あの、なにか?」
しかし私は、彼のその一言で一気に冷静になった。黒子が気になり過ぎていた余りにガン見していた視線をそれとなく外すと、本来の目的である隠れ蓑婚約について話し始める。
「……ということなのです。是非とも私と婚約関係を結んでいただけませんか。」
彼はしばしの間考える様な素振りを見せる。もう黒子は気にならない。……うん、見慣れると案外チャーミングだ……多分。
「そんなことをして、貴方にどのような利があるのですか」
根は冷静な人物のようで、当然気になるであろうことを聞いてきた。それに対しては私自身が疑われないように予め作ってきた言葉を伝える。
「私、実は好きになってはいけない人を好きになってしまって……」
私の考えてきた理由はこうだ。立場的に好きになってはいけない人を好きになってしい、叶わない恋をしてしまったが、今更政略結婚で好きじゃない人と結婚するなんて言うのは嫌だ。なので傷が癒えるまでこの隠れ蓑婚約で周りの目を誤魔化したい。
叶わない恋という部分に大きく反応を示した彼を私は見逃さなかった。そして、そのまま事前に調べていた情報を利用して一気に畳みかける。
「レキシール様も今、叶わない恋に悩んでいるのに、結婚を迫られる身。私は貴方の気持ちが分かる。だから自分自身の保身もありますが、貴方をお助けもしたいのです」
この一言で全てが決した。
二週間後には婚約式が行われることになり、私は満面の笑みで家に帰ったのだった。このことを後々後悔することになるとも知らずに……。
そうして、お見合い当日――。
ああああああぁぁぁぁぁぁぁ!なにあれすっごい気になるっ。っていうか、気になり過ぎて過ぎて無理っ。
……私はあることが気になり過ぎて一種のパニック状態に陥っていた。
あの、額の……黒子!!!
そう、私が今日お見合いをする相手であるレキシール伯爵家の長男は顔は非常に綺麗に整っているのだ。
だがしかし、その顔には大きな……物理的にも大きな欠点があった。額の真ん中。
丁度眉毛と眉毛の間、即ち眉間に大きなイボっぽいほくろがあるのだ。大きさは、私の親指の先端程あった。額の大半が黒子なのである。あり得ない大きさに、ちょっと怖くなる。
そして私はソレが原因で最初から盛大にやらかしていた。
「えっと、額に虫がついていますよ……お取りしましょうか」
私はそもそも結婚する気がなかったので、彼のことを話で聞くだけで肖像画などと言った彼の容姿を直接知れるようなものは一切見ていなかったのだ。
そして二人きりにされた数分後。思ったほど異性経験が自分にないことに気が付き、緊張と混乱の末、私がが発した第一声がこれだった。
「これは虫ではありません。……私の黒子です」
この会話から私達の間には気まずい空気が流れ始める。
それに加え、彼は緊張すると眉間の黒子を触る癖があるようで、黒子をずっといじり倒している。
きっとこんなことを言ってしまったのには、私が最近欠点のない美しいものしか見ていなかったのも原因なのだろう。私の従者・ジルベルトやキース兄様といった、本当に顔面だけは欠点が一つもない美しいものを……。
しかしながら私が更にパニックに陥るのにはもう一つ理由があった。
彼は緊張から黒子をいじり過ぎて微妙に黒子から血が出ているのだ。
そして、冒頭の場面に戻る。
***
「あの、なにか?」
しかし私は、彼のその一言で一気に冷静になった。黒子が気になり過ぎていた余りにガン見していた視線をそれとなく外すと、本来の目的である隠れ蓑婚約について話し始める。
「……ということなのです。是非とも私と婚約関係を結んでいただけませんか。」
彼はしばしの間考える様な素振りを見せる。もう黒子は気にならない。……うん、見慣れると案外チャーミングだ……多分。
「そんなことをして、貴方にどのような利があるのですか」
根は冷静な人物のようで、当然気になるであろうことを聞いてきた。それに対しては私自身が疑われないように予め作ってきた言葉を伝える。
「私、実は好きになってはいけない人を好きになってしまって……」
私の考えてきた理由はこうだ。立場的に好きになってはいけない人を好きになってしい、叶わない恋をしてしまったが、今更政略結婚で好きじゃない人と結婚するなんて言うのは嫌だ。なので傷が癒えるまでこの隠れ蓑婚約で周りの目を誤魔化したい。
叶わない恋という部分に大きく反応を示した彼を私は見逃さなかった。そして、そのまま事前に調べていた情報を利用して一気に畳みかける。
「レキシール様も今、叶わない恋に悩んでいるのに、結婚を迫られる身。私は貴方の気持ちが分かる。だから自分自身の保身もありますが、貴方をお助けもしたいのです」
この一言で全てが決した。
二週間後には婚約式が行われることになり、私は満面の笑みで家に帰ったのだった。このことを後々後悔することになるとも知らずに……。
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