『10年隠した執着愛。元婚約者に捨てられた私は、ハイスペ同級生の甘い檻で二度と逃げられないほど塗り潰される』

小木楓

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第11話-1 【屈辱の光景】窓際のシルエット

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「……行くか」

低く、楽しげに告げた蒼の手が、私の手首を掴んだ。

 エントランスへ降りるのかと思って靴を履こうとした私の身体は、予想に反してリビングの奥へと引かれた。

「え? ちょっと蒼、どこ行くの?」 

「ここだよ」

彼が足を止めたのは、リビングの一番奥。

 床から天井までガラス張りになった、タワマン特有の大きな窓際だった。 

眼下には、宝石を散りばめたような東京の夜景と、遥か下を走る車のライトが川のように流れている。

「ほら、見てみろよ」

蒼に顎でしゃくられ、私は恐る恐るガラスに近づき、真下を覗き込んだ。 

マンションの敷地境界線あたり。

街灯の下に、豆粒のように小さな人影がウロウロしているのが見える。

 スマホを耳に当てたり、苛立ったように蹴る動作をしたり。

「……あ」

距離は離れていても分かる。

あれは間違いなく元カレだ。

「見えたか?」

 「う、うん……でも、ここからじゃ声も届かないし……」

「だから、いいんじゃねぇか」

「へ?」

疑問符を浮かべた瞬間、背後からガバッと覆いかぶさるように抱きすくめられた。 

逃げ場のない窓際。 目の前はガラス越しの夜景と元カレ。背後は蒼の熱い身体。

「ひゃっ……!?」

蒼の手が、私のニットの裾から躊躇なく滑り込み、一瞬で敏感な場所を鷲掴みにした。

「んあっ!?」

「……あいつ、ここ見てるな。俺たちの部屋の明かり、ついてるから」

蒼は冷静な声で解説しながら、指先だけで私を弄び始めた。

 昨夜の開発で敏感になりきった身体は、それだけでビクリと跳ねて反応してしまう。

「あ、蒼っ!? 見せてやるって……ここで!?」

彼の意図を理解して、私はパニックになって叫んだ。

 顔が一瞬で沸騰する。 正気じゃない。外だよ!? しかも、元カレが見てる前で!?

「ば、バカじゃないの!? 見えちゃうよ……っ!」

 「安心しろって」

私の抗議なんてどこ吹く風。

 蒼は私の耳元に唇を寄せ、クスクスと悪魔のように笑った。

「この距離なら……『黒い人影が窓際でナニかやってんな』ぐらいにしか分かんねぇから」

「~~ッ!!」

「むしろ、その方が想像力掻き立てられて……地獄だろ?」

「て、照れんなよ?」と囁きながら、彼の手つきはいっそういやらしく、深く、私の理性を揺さぶりにくる。

 私は口をパクパクさせて、言葉にならない喘ぎを漏らすことしかできない。

ガラスに映る自分たちの姿。 

密着する二つの影。 

下から見上げている元カレには、私たちが重なり合って、窓際で愛し合っているシルエットがはっきりと見えているはずだ。

「萌の可愛い顔は見えないけど……」

蒼の手が、さらに際どい一線を越えようとする。

「俺に抱かれてンのは、分かるだろ?」

あまりに卑猥で、あまりに独占欲に塗れたその一言に、私は絶句した。

 頭の中が真っ白になる。 

羞恥心と、背徳感と、どうしようもない興奮が混ざり合って、膝から崩れ落ちそうになるのを、彼のアームロックが許してくれない。

「ぜ、絶対だめっ……!! だめだよっ!!」

私は窓ガラスに手をつき、涙目で必死に首を振った。 

けれど、私の「だめ」が、彼にとっては最高の着火剤にしかならないことを、この時の私はまだ知らなかった。



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お読みいただきありがとうございます! 

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