キスだけの契約だったのに。幼馴染に美味しく食べられて、溺愛されています

小木楓

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第一章 18歳 キスで補給

第4話 ♥初めてのキス

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(……ごめん、ユウ君。最低だよね、私……)

脳裏で母の言葉がリフレインする。

『記憶は消せる』

でも、忘れるのはユウだけで、私はこの感触を、自分の犯す罪を、一生覚えていなきゃいけない。

それでも、もう限界だった。

体の奥から突き上げてくる渇望が、焼けるような飢餓が、奈々の細い指先に力を込めさせた。

「……ユウ、くん……っ」

奈々は、泣いていた。 

大粒の涙が、緋色に輝く瞳からこぼれ落ち、シーツにシミを作っていく。 

ユウのシャツを掴んでいた手が、吸い寄せられるように彼の逞しい首筋に回った。

「なな、……っ」

驚きで固まるユウを引き寄せる。 

自分の中に潜む「魔物」が、歓喜の声を上げていた。

 奈々は、震える唇を、ユウの熱い唇に重ねた。

「っ……!?」

ユウの体が、ビクンと大きく跳ねる。

初めて触れる、柔らかくて、けれど驚くほど熱い皮膚の感触。

奈々の口内から溢れる吐息は、熱に浮かされたように甘く、ユウの理性を強引に掻き乱していった。

奈々は泣きながら、必死に彼を求めた。

ただのキスではない。

彼の体温を、生命力を、魂ごと吸い取らんとするような、激しくて切実な渇き。

 ユウの肩に回された腕が、しがみつくように力を帯びていく。

「ふ、……ぅ、ん……」

奈々の小さな喘ぎが、ユウの口内へ直接流れ込む。

ユウは混乱の極みにいた。なぜ奈々がこんなことをするのか、その瞳がなぜ赤いのか。

何も分からない。 

けれど、腕の中で震え、涙を流しながら自分を求める奈々の姿は、あまりにも危うくて、今にも壊れてしまいそうだった。

「……奈々」

ユウの大きな手が、奈々の背中に回った。 混乱よりも、戸惑いよりも、目の前で泣いている彼女を、この熱を、放っておけないという本能が勝った。

ユウはぎこちなく、けれど包み込むように、奈々の唇を奪い返した。

友情という柔らかな殻を、二人の熱気が内側から焼き切っていく。

重なり合う唇から、奈々の体内へ、ユウの若く力強いエネルギーが奔流となって流れ込んできた。

「は……っ、ぁ……」

奈々の背筋を、今まで経験したことのない快楽が駆け抜ける。

同時に、彼女の理性の最後の一片が、暗い欲望の海へと沈んでいった。

二人の唇が離れる気配はなく、ただひたすらに熱だけが混ざり合っていく。

初めて知る、他人の粘膜の柔らかさと、鼻腔を突く濃密な匂い。

奈々はユウの首にしがみついたまま、無意識に彼の生命力を吸い上げていた。

ドクドクと、ユウの心臓が奏でる力強い鼓動が、唇を通じて奈々の体内の渇きを癒やしていく。

どれほどの時間が経っただろうか。

やがて、奈々の視界を覆っていた不気味なほどの紅い色が、ゆっくりと凪いでいった。

身体を焼き焦がしていた飢餓感が、嘘のように引いていく。

「……あ、……っ」

不意に、奈々の身体から力が抜けた。 

密着していた二人の身体に、わずかな隙間ができる。

「はぁ、……はぁ、……っ」

肩を上下させ、荒い息を吐くユウ。

その顔は、耳の付け根まで見たこともないほど真っ赤に染まっていた。

二人とも、異性との交際経験など一度もない。

キスの作法も、その先に続くはずの「行為」も、知識として知っているだけで、身体は完全にフリーズしていた。

暗い部屋の中、気まずいほどの沈黙が流れる。

ユウは奈々の肩を掴んだまま、視線をどこにやっていいのか分からず、激しく動揺していた。

「……奈々、お前、……今のは……」

ユウの掠れた声が、奈々の脳を冷やした。

たった今まで自分が何をしていたのか。

幼馴染の彼を「餌」として扱い、欲望のままにその唇を奪った。

自分への嫌悪感が、冷たい波のように押し寄せる。

「ごめん……、ごめんなさい……っ!」
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