9 / 14
第一章 18歳 キスで補給
第9話 幼馴染2人の恋のABC
しおりを挟む
「奈々ー! おはよー!」
背後から元気な声が響き、親友のミカがタッタッタと駆け寄ってくる。
彼女は奈々の肩に勢いよく腕を回すと、カバンからラッピングされた小さな箱を取り出した。
「改めて、18歳の誕生日おめでとう! これ、欲しがってた限定のブックカバー」
「あ……ありがとう、ミカちゃん」
受け取ったプレゼントよりも、ミカの言葉に含まれた『18歳』という響きに、奈々の胸がドキンと跳ねる。
「もう18歳なんだからさぁ。
本ばっかり読んでないで、今年は彼氏の一人も作って、キスくらい経験しなよ?
大人の階段、上っちゃいなさいって!」
ニヤニヤと茶化すようなミカの言葉。
いつもなら「もう、そんなの無理だよ」と苦笑いで返すはずだった。
けれど、奈々の反応はミカの予想を遥かに超えていた。
「……っ!!」
奈々の顔が、一瞬で沸騰したように真っ赤に染まる。
視線は泳ぎ、指先がブックカバーの包みをぎゅっと握りしめて震えている。
「え……。ちょっと、奈々? 何その反応」
ミカの目が鋭く細められた。
恋愛に疎い親友が、ここまで露骨に動揺するなんて異常事態だ。
「まさか……。奈々、あんた。……したの?」
「えっ、何、何を……」
「キスだよ! え、嘘でしょ!? 彼氏できたの!?
誰? 塾の先輩? ……いや、そんなわけないか。あ、じゃあ……まさか、ユウ!?」
「ユウ」という名前が出た瞬間、奈々の顔から火が出るのではないかというほど、さらに赤みが深まった。
耳の付け根まで真っ赤にして、パクパクと口を動かすが、言葉が出てこない。
「……ビンゴかーーー! あのがさつ男、ついに決めたね?!」
ミカは興奮して拳を握りしめたが、奈々の様子がただの「照れ」だけではないことに気づく。
奈々の瞳には、どこか追い詰められたような、それでいて誰かに助けを求めるような、切実な光が宿っていた。
奈々は周囲に誰もいないことを確認すると、ミカの制服の袖をそっと引いた。
「あのね……ミカちゃん。実は、昨日……」
校門へと続く坂道の陰で、奈々は声を潜めて語り出した。
18歳になった夜に、自分の瞳が赤く染まったこと。
母から告げられたサキュバスとしての宿命。
そして、自分を制御できなくなった時、ベランダから現れたユウに……自分から縋り付いてしまったこと。
「ユウくんが……『非常食』でいいから、協力するって、言ってくれて……」
話し終える頃には、奈々は恥ずかしさと申し訳なさで消えてしまいそうだった。
ミカは、口を半開きにしたまま完全に固まっていた。
奈々がサキュバスだったという衝撃の事実はひとまずおいて、あの女心に疎いふりをしていた幼馴染のユウが、獲物がかかるのを待っていたかのように、その「美味しい契約」を二つ返事で引き受けたこと。
「……ちょっと待って。整理させて」
ミカはこめかみを押さえ、天を仰いだ。
「つまり、奈々は『本能だから仕方なく』で、ユウは『友達のピンチだから助ける』っていう建前で……これから毎月、キスするってこと?」
こくり、と奈々が殊勝に頷く。
ミカの口元が、リリアのそれと同じように、意地悪く、けれど祝福に満ちた形に歪んだ。
背後から元気な声が響き、親友のミカがタッタッタと駆け寄ってくる。
彼女は奈々の肩に勢いよく腕を回すと、カバンからラッピングされた小さな箱を取り出した。
「改めて、18歳の誕生日おめでとう! これ、欲しがってた限定のブックカバー」
「あ……ありがとう、ミカちゃん」
受け取ったプレゼントよりも、ミカの言葉に含まれた『18歳』という響きに、奈々の胸がドキンと跳ねる。
「もう18歳なんだからさぁ。
本ばっかり読んでないで、今年は彼氏の一人も作って、キスくらい経験しなよ?
大人の階段、上っちゃいなさいって!」
ニヤニヤと茶化すようなミカの言葉。
いつもなら「もう、そんなの無理だよ」と苦笑いで返すはずだった。
けれど、奈々の反応はミカの予想を遥かに超えていた。
「……っ!!」
奈々の顔が、一瞬で沸騰したように真っ赤に染まる。
視線は泳ぎ、指先がブックカバーの包みをぎゅっと握りしめて震えている。
「え……。ちょっと、奈々? 何その反応」
ミカの目が鋭く細められた。
恋愛に疎い親友が、ここまで露骨に動揺するなんて異常事態だ。
「まさか……。奈々、あんた。……したの?」
「えっ、何、何を……」
「キスだよ! え、嘘でしょ!? 彼氏できたの!?
誰? 塾の先輩? ……いや、そんなわけないか。あ、じゃあ……まさか、ユウ!?」
「ユウ」という名前が出た瞬間、奈々の顔から火が出るのではないかというほど、さらに赤みが深まった。
耳の付け根まで真っ赤にして、パクパクと口を動かすが、言葉が出てこない。
「……ビンゴかーーー! あのがさつ男、ついに決めたね?!」
ミカは興奮して拳を握りしめたが、奈々の様子がただの「照れ」だけではないことに気づく。
奈々の瞳には、どこか追い詰められたような、それでいて誰かに助けを求めるような、切実な光が宿っていた。
奈々は周囲に誰もいないことを確認すると、ミカの制服の袖をそっと引いた。
「あのね……ミカちゃん。実は、昨日……」
校門へと続く坂道の陰で、奈々は声を潜めて語り出した。
18歳になった夜に、自分の瞳が赤く染まったこと。
母から告げられたサキュバスとしての宿命。
そして、自分を制御できなくなった時、ベランダから現れたユウに……自分から縋り付いてしまったこと。
「ユウくんが……『非常食』でいいから、協力するって、言ってくれて……」
話し終える頃には、奈々は恥ずかしさと申し訳なさで消えてしまいそうだった。
ミカは、口を半開きにしたまま完全に固まっていた。
奈々がサキュバスだったという衝撃の事実はひとまずおいて、あの女心に疎いふりをしていた幼馴染のユウが、獲物がかかるのを待っていたかのように、その「美味しい契約」を二つ返事で引き受けたこと。
「……ちょっと待って。整理させて」
ミカはこめかみを押さえ、天を仰いだ。
「つまり、奈々は『本能だから仕方なく』で、ユウは『友達のピンチだから助ける』っていう建前で……これから毎月、キスするってこと?」
こくり、と奈々が殊勝に頷く。
ミカの口元が、リリアのそれと同じように、意地悪く、けれど祝福に満ちた形に歪んだ。
0
あなたにおすすめの小説
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ブラック企業を退職したら、極上マッサージに蕩ける日々が待ってました。
イセヤ レキ
恋愛
ブラック企業に勤める赤羽(あかばね)陽葵(ひまり)は、ある夜、退職を決意する。
きっかけは、雑居ビルのとあるマッサージ店。
そのマッサージ店の恰幅が良く朗らかな女性オーナーに新たな職場を紹介されるが、そこには無口で無表情な男の店長がいて……?
※ストーリー構成上、導入部だけシリアスです。
※他サイトにも掲載しています。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
数年振りに再会した幼馴染のお兄ちゃんが、お兄ちゃんじゃなくなった日
プリオネ
恋愛
田舎町から上京したこの春、5歳年上の近所の幼馴染「さわ兄」と再会した新社会人の伊織。同じく昔一緒に遊んだ友達の家に遊びに行くため東京から千葉へ2人で移動する事になるが、その道中で今まで意識した事の無かったさわ兄の言動に初めて違和感を覚える。そしてその夜、ハプニングが起きて………。
春にぴったりの、さらっと読める短編ラブストーリー。※Rシーンは無いに等しいです※スマホがまだない時代設定です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる