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第一章 18歳 キスで補給
第10話 (ミカ視点)透けて見える下心
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「……奈々、あんたたち、それ、詰んでるわよ」
口から出た言葉とは裏腹に、私の脳内では高速の演算処理が始まっていた。
詰んでる。
果てしなく詰んでる。
まず、ユウ。
あのがさつな単細胞男が、奈々をどう思ってるかなんて、同じ時間を過ごしてきた私からすれば丸見えだ。
奈々が他の男子に話しかけられただけで、教科書を読むふりをして聞き耳を立てていたのを私は知っている。
あの視線は、大型犬なんて可愛いものじゃない。
自分のテリトリーを侵された猛獣のそれだ。
そんな奴が、長年焦がれた相手から「エネルギーが必要なの」なんて頼られて、断るわけがない。
「助ける」なんて涼しい顔をしているが、あいつの腹の中は今頃、長年の忍耐が報われた歓喜で煮えくり返っているに違いない。
友達のピンチ? 笑わせる。
あれは、獲物が自ら檻に入ってきてくれたことを、全能の神に感謝している心だ。
そして、問題は奈々だ。
本人は「種族の宿命だから」「友達に迷惑をかけた」って泣きそうな顔をしてるけど……。
よく考えて。
いくら本能で誰かのエネルギーが必要だからって、あんな潔癖で人見知りの奈々が、好きでもない男に自分からキスする?
(……いや、しないでしょ。絶対に)
サキュバスの本能がどうこう以前に、奈々の無意識がユウを選んだんだ。
本人はまだ「恋」なんて言葉にたどり着いてないみたいだけど、それって要するに……。
(……あれ? これって、詰んでないどころか、オールOKじゃない?)
ユウは好きな子と公認でイチャつける。
奈々は命の危機(?)を大好きな幼馴染に救ってもらえる。
お互い「協力」っていう最強の言い訳(建前)があるから、シャイな二人にはむしろ好都合すぎる環境。
「……あは、あははは!」
思わず乾いた笑いが漏れた。
なんだこれ。
何この超展開。
ラブコメの神様が、全力で二人の背中を蹴飛ばしたような状況じゃない。
「ミ、ミカちゃん? 急に笑ってどうしたの……?」
不安そうに私の顔を覗き込んでくる奈々。
このピュアな美少女が、これから一ヶ月に一度、あの男に「補給」されるのかと思うと、親友として少しだけユウの顔を殴りたくなったけど。
「ううん、なんでもない! 詰んでない、全然詰んでないよ奈々! いやー、良かった。うん、本当に良かったね!」
私は奈々の肩をバンバンと叩きながら、軽快な足取りで学校への坂道を上り始めた。
「いい? 奈々。ユウには遠慮しなくていいからね。あいつはああ見えて頑丈だし、奈々の役に立てるなら本望なんだから。しっかり『補給』してもらいなさい!」
「も、もう! 声が大きいよ、ミカちゃん……っ」
顔を真っ赤にして俯く奈々の隣で、私はニヤニヤが止まらなかった。
さて、教室に行ったらどんな顔をしてユウがあの席に座っているのか。
拝んでやろうじゃないの、その「聖人君子」を気取ったスケベ面を。
口から出た言葉とは裏腹に、私の脳内では高速の演算処理が始まっていた。
詰んでる。
果てしなく詰んでる。
まず、ユウ。
あのがさつな単細胞男が、奈々をどう思ってるかなんて、同じ時間を過ごしてきた私からすれば丸見えだ。
奈々が他の男子に話しかけられただけで、教科書を読むふりをして聞き耳を立てていたのを私は知っている。
あの視線は、大型犬なんて可愛いものじゃない。
自分のテリトリーを侵された猛獣のそれだ。
そんな奴が、長年焦がれた相手から「エネルギーが必要なの」なんて頼られて、断るわけがない。
「助ける」なんて涼しい顔をしているが、あいつの腹の中は今頃、長年の忍耐が報われた歓喜で煮えくり返っているに違いない。
友達のピンチ? 笑わせる。
あれは、獲物が自ら檻に入ってきてくれたことを、全能の神に感謝している心だ。
そして、問題は奈々だ。
本人は「種族の宿命だから」「友達に迷惑をかけた」って泣きそうな顔をしてるけど……。
よく考えて。
いくら本能で誰かのエネルギーが必要だからって、あんな潔癖で人見知りの奈々が、好きでもない男に自分からキスする?
(……いや、しないでしょ。絶対に)
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奈々は命の危機(?)を大好きな幼馴染に救ってもらえる。
お互い「協力」っていう最強の言い訳(建前)があるから、シャイな二人にはむしろ好都合すぎる環境。
「……あは、あははは!」
思わず乾いた笑いが漏れた。
なんだこれ。
何この超展開。
ラブコメの神様が、全力で二人の背中を蹴飛ばしたような状況じゃない。
「ミ、ミカちゃん? 急に笑ってどうしたの……?」
不安そうに私の顔を覗き込んでくる奈々。
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「ううん、なんでもない! 詰んでない、全然詰んでないよ奈々! いやー、良かった。うん、本当に良かったね!」
私は奈々の肩をバンバンと叩きながら、軽快な足取りで学校への坂道を上り始めた。
「いい? 奈々。ユウには遠慮しなくていいからね。あいつはああ見えて頑丈だし、奈々の役に立てるなら本望なんだから。しっかり『補給』してもらいなさい!」
「も、もう! 声が大きいよ、ミカちゃん……っ」
顔を真っ赤にして俯く奈々の隣で、私はニヤニヤが止まらなかった。
さて、教室に行ったらどんな顔をしてユウがあの席に座っているのか。
拝んでやろうじゃないの、その「聖人君子」を気取ったスケベ面を。
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