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26.キミがいるから
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「――王都に?」
「うん。父の具合がよくないらしくてね」
「まあ……」
夜。
暗く静かな寝台の上。
もう冬の入口だというのに、暖炉を焚き過ぎてるわけでもないのに互いの晒した素肌が汗ばんでいるのは、まあ、そういうことをした後だから。
心地よい疲れと、多幸感。
そんな気だるい時間に、彼が今後の予定を話す。
「大丈夫なの?」
具合がよろしくないのなら、早く王都に行って差し上げたほうが……。
「大丈夫だよ。父さんにあっちでの仕事を任せただろ? それで、年甲斐もなく張り切りすぎちゃってさ。それでちょっと倒れただけ」
「倒れただけって……」
倒れるほど頑張っちゃうのは、大丈夫じゃないのでは?
「あの人は、仕事バカだから」
「いや、そういう問題じゃないでしょ」
シオンのお父様。
仕事が好きで好きで、仕事漬けの仕事バカなのは、わたしも知っている。
仕事ばかりの生活で、自分の母親の見舞いに行けないからって、代わりに幼かったシオンをこの町によこしてたぐらいだもの。
シオンが成人して。お父上の年齡も考えて、仕事を辞めてもらって、隠棲してもらってたのだけど。(それでも、相談役として仕事に関わってた)
「お父様が無理なさったのは、わたしたちのせいでもあるんだし……」
わたしと結婚すると決めたシオン。
シオンは、結婚後の新居をこの町に決めた。仕事はこの町でもできるからと、ここに住むことを決めたのだけど。万が一の連絡役、王都での仕事を引退させていたお父様に任せた。
それが、お父様の張り切りすぎて倒れた原因になってるのなら。
「心配してくれてありがとう、リューリア」
わたしの前髪を掻き上げたシオン。額から、チュッとやさしい口づけの音がした。
「それで、明日からしばらく、王都に戻ってくるよ」
「うん、そうしたほうがいいわ」
大した事ないって言われても、やっぱり気になるし。
お父様だって、お体の弱った時に息子がそばにいてくれたら、何かと心強いだろうし。
でも……。
「どうしたの? リューリア」
「あ、えっと……」
ちょっと考えごとしてただけ。なのだけど。
「僕と離れるのが寂しい……とか?」
「――へ?」
どうしてそういうことになるの?
少しも考えていなかったから、ビックリ。
「僕の父まで気遣ってくれる、そのやさしさはうれしいし、大好きだけどさ。僕がいなくて、寂しいとかないわけ?」
「は? え? ちょっ、シオンっ!?」
「僕は寂しい。父は心配だけど、キミと離れるのは身を斬られるより辛い」
モソモソと上掛けのなかで動いたシオン。わたしを抱きしめてくれるのはいいんだけど。
(当たってる――!)
硬いナニが! わたしの下腹部に!
クッキリ、ハッキリわかるぐらいに、見なくても存在を確認できるぐらいに、熱く当たってる!
「し、シオン?」
さっき、あんなに出したのに、まだ硬いって? なんでまだ萎えてないのよ!
「違うわよ! わたしが考えてたのは、お義父様にわたしもお会いしたほうがいいんじゃないかってこと!」
あわてて、グイグイとシオンを押しのける。
「わたしたち、結婚するんでしょ? だったら、一度お義父様にご挨拶したいなって思っただけ!」
だから、変な空気に持ち込まない!
親族への挨拶。
わたしの両親に挨拶はいらないけど、シオンのご家族、お義母様はシオンが幼い頃に亡くなられてるけど、ご存命のお義父様にはきちんとご挨拶したいの!
お体のことも気になるし。この機会に、見舞いも兼ねてご挨拶したいなって。
「律儀だね、リューリアは」
「それが普通だと思うけど?」
クスクスと笑うシオンに、ムッとむくれてみせる。
結婚のご挨拶をってのは、常識の範疇でしょ。
「わかった。じゃあ、いっしょに王都に行こうか」
「いいの?」
「ああ。父さんもリューリアに会いたいだろうし。でも――」
一瞬、シオンが言葉を置く。
真顔に戻って。
「本当いいの? 王都に行って」
「え?」
「父さんを見舞ってくれるのはうれしいけど、王都に行くのは……。キミがよければいいんだけど……」
(あ――)
心配してくれてるんだ、シオン。
わたしが王都に戻って。また辛い目に遭わないか、悲しい気分にならないか、気にしてくれてるんだ。
新居を王都じゃなくこの町に決めたのも、おそらくそういう配慮があってのことだ。
王都に戻れば、両親に会うこともあるかもしれない。アイツらの噂を知ることもあるかもしれない。
それらに触れることで、わたしが傷つくのを心配してくれている。
「大丈夫よ、シオン。わたし、そこまで弱くないわ」
安心してほしくて、わたしからギュッと彼に抱きつく。
ありがとう。
そこまで気遣ってくれて。
でもね。
わたし、もうそこまで弱くないのよ?
だって、アナタがそばにいてくれるもの。アナタが愛してくれるもの。
「人ってね、誰かに愛されると、それも自分の愛しい人に大切にされると、それだけで、不思議と強くなれるのよ」
「リューリア……」
「以前なら、きっと泣いて悲しんだかもしれないけど。今は平気。それよりも、アナタのお父様にお会いしたいわ」
「強いね、キミは」
「アナタが強くしたのよ」
わたしが強いとしたら、それはアナタのおかげ。アナタが愛してくれるから、わたしは強くなれるの。どんな困難にだって、必ず打ち勝ってみせるわ。
アナタが愛してくれる限り、わたしは泣き虫弱虫じゃなくなるの。
「じゃあ、いっしょに王都に、父さんに会いに行こうか」
「ええ!」
うれしい! けど……。
「お義父様、わたしのこと、受け入れてくださるかしら」
「不安?」
「ええ、やっぱりそれは……」
シオンはわたしを愛してくれたけど、だからって彼のお父様までわたしを家族として受け入れてくれるかどうかはやっぱり不安。
「杞憂だよ。父さんなら、絶対リューリアのこと気にいるから。それこそ最高の嫁だって、方方に自慢しに歩き回るかもしれない」
「それは……」
わたしに会ったぐらいで、そこまで元気になってくださったらいいのだけど。
「――ってことで、もう一回、いい?」
いや、だからなんでそんなに元気なのよ!
というか、どのへんが「ってことで」になるのよ!
一旦、そういうことから遠ざかることに成功したと思ったのに!
「王都の家では、そういうことできないから」
いや、たかだか数日の話でしょ!
そりゃあ、お義父様の屋敷で、そういうことはお預けになっちゃうけど。ここに帰ってくるまでの我慢になっちゃうけど。
「ンッ、アッ、フッ……」
わずかに身を起こしたシオン。わたしの頬を押さえ、想いのままに口づけられると……。
(お預けは、寂しいかも……)
そばにはいてくれるだろうけど。でも、こうして欲情をともなったふれあいは控えなきゃいけない。
だから、今のうちにタップリ愛されたい。もっとたくさん、わたしにその愛を注いでいって。わたしのアナタを刻んで。
そんな言い訳を自分で生み出す。
疲れていても、愛されることはやぶさかではないわ。
それどころか、口づけられるたび、シオンの手がわたしの肌をなぞるたび、「もっと」という感情がわたしのなかで渦巻き始める。
(シオンが上手だから、かしら……)
もう何度も重ねた体。
そのせいか、シオンは、わたしのどこに触れれば、わたしが身悶え、彼を求めるようになるか、完璧に知り尽くしている。いや。
「アッ、シオンっ、そこっ、そこはぁ……」
「気持ちいいの? だったら、そのまま感じていてよ」
シオンの手は、唇は、日々新たなわたしの気持ちいいところを探し当てる。なんでもなかった体の部分を、気持ちよすぎてどうにななりそうな部分に塗り替えていく。
「シオンっ、シオンゥッ……」
愛撫に負け、体を陸にあがった魚みたいにビクビク震わせて、彼を求め手を伸ばす。
欲しい。満たして。一つになりたい。
「スゴいね、腰が動いてる」
「動い……て?」
「自覚ない? ヘコヘコ動いてるよ」
へ、ヘコっ!?
「僕、指動かしてないのにさ、ほら、キミが腰を動かすから」
ズチュ。グチュ。グチ。グチュ。
彼の触れてる膣から、淫らな音が響く。
「いやらしいよね。自分で感じるように動いちゃってる」
「や、ヤだ! これ、シオンがやってるんじゃ、ないのぉっ!?」
「違うよ。キミが勝手に僕の指を咥えこんでるんだよ。僕は、そこに指を添えただけ。動かしてるのはキミだよ」
「やっ、ヤだぁっ!」
自分で腰を動かしてるなんて。自分で彼の指を咥えこんでるなんて。自分で、自分で気持ちよくなってるなんて!
「淫らでかわいいよ、リューリア」
褒められてもうれしくない!
イヤイヤと首をふり、手で顔を隠す。
こんな恥ずかしいの、こんな淫らなの。わたし、シオンの前だと、とんでもない痴女になっちゃう!
「恥ずかしがらずに。もっと乱れていいよ」
シオンが笑う。
「ここ。キミが腰を動かすたびに、蜜が溢れてきてるの――わかる?」
グチョ。グチュ。グチュ。
「やっ、ヤあっ!」
お願い、そんな淫らな音、聞かせないで!
「あふれて、こぼれて。誘うような甘い匂いを充満させて」
「アッ、イッ、アッ、アアッ……」
「これで興奮しない男はいないよ。すごく、そそられる」
「そ、そう、なのっ……!? アアッ!」
背を反らし、身を捩らせ襲う快感に耐える。
「うん。キミを抱きたい、キミを愛したいって。挿れたくて、我慢できなくなる」
そ、そうなの? シオン、乱れたわたしを「はしたない」じゃなくて、そんなふうに欲情してくれるの?
「だったら……、ちょうだ、い」
乱れた息で懇願する。
挿れたいのなら、挿れて。
「まだ、ダメだよ」
「アァン……!」
指が動く。
襲った快感に、敷布を強く握りしめる。
「僕は、まだ、キミをもっと乱したいんだ」
「み、乱すっ!?」
充分乱れてると思うけどっ!?
「ほら」
「アグッ!」
わたしが腰を動かしてるんじゃない。彼が突き入れた指を(二本!)淫らに動かし始めた。それだけじゃない。
「そ、それっ、ヒグッ……、ウッ」
「触ってって、ツンって勃って主張してたからね」
彼の親指が、花芽を押し潰す。指の腹を使って、こねて、潰して……。
「アッ、そっ、両方はっ、ダ、ダメェッ……」
「ダメじゃないだろ? 腰が浮いてきてる」
「だからダメなのぉっ! イく! イッちゃう! イッちゃうのぉっ!」
膣のなかと外。両方からの責めに、た、耐えられない!
「いいよ。イきなよ」
残酷な宣言。そして容赦ない手淫。
「アッ、アアッ、ア――ッ!」
プシャッ。
なにかが、脚の間で勢いよく吹き出る。
「アッ……、ヒ……、ア、ア……」
「イッたね、リューリア」
カクカクと揺れる腰。満足そうにシオンが指を引き抜く。
すると、コポリコポリと膣から蜜が溢れ、おしりに向かって流れ落ちていく。
「キミのその顔、その表情、たまらなく愛しいよ」
今のわたし、どんな顔してるの? わかんないけど、彼が愛しいと言ってくれるのなら、それでいいか。
それよりも。
「シオン……」
来て。
もっとわたしを愛して。
「リューリア……」
腕を伸ばすと、抵抗することなく、わたしの腕のなかに抱かれてくれたシオン。
それだけじゃない。求めるままに、口づけを何度もしてくれる。
(愛してる。愛してるわシオン)
どれだけイジワルなことをされても。アナタになら許してしまえるほど愛してるの。
さっきは下腹にイチモツが当たっただけで抵抗したけど、今は自ら脚を広げて、それを求める。
ねえ、それを突き入れて。わたしのなかをもっと乱して。愛して。満たして。
ズプリ。
「アアッ!」
容赦なく挿ってきたもの。欲しかったもの。
それを与えられて、目の前チカチカする。息ができない。体が強張る。
心臓が一瞬止まり、その後、ものすごい強さと速さで脈動を打つ。
「し、シオン……」
助けて。気持ちよすぎて苦しい。頭がどうにかなる。
欲しかったはずなのに。挿れてほしかったはずなのに。
「なか、ものすごいドロドロ。キュッと締まって、襞が絡みついてきて。これは……」
「ヤッ、アッ、アアッ……!」
膣の具合を確かめるように、ネットリ腰を動かされる。
そんなにされたら、また――イくっ!
「グッ……! 締めすぎだよ、リューリア!」
「アッ、アアッ、ヒッ、ダメ、ダメェッ!」
イッてる! イッてるからあ! そんなに激しく穿たれたら、わたし、わたし……っ!
言いたいのに。伝える余裕なんて残ってなくて。
彼が起こす縦横無尽な律動に、激しく胸が揺れる。
パチュパチュ、グチュグチュと肉の破裂音、淫らな水音が脚の間から聞こえる。
もうダメ。わたし、もう……っ!
「グッ! リューリアッ!」
限界はシオンも同じだったらしい。
顔を歪ませ、彼が最奥を穿つ。
「アッ、アッ、アア――ッ!」
ビュルビュルと吹き出した彼の精。何度目かのそれを受け止める。
「アッ、ヒッ、イッ、ア、ア……」
熱い精に、体が震える。体を喜び満たす、彼の精。
「ア、ア……」
ピンっと伸びたつま先が震える。受け入れた悦びにグッと力がこもった体が、クタッと崩れていく。
「愛してるよ、リューリア」
情欲が去って、やさしさだけが残った彼の声。なんどもわたしの髪を梳く、彼の手。
わたしをいたわり見つめる彼の眼差し。
――わたしも。
伝えたいのに。
限界を超えた体は、そんな短い言葉ですら声にできなくて。
――愛してるわ。
茫洋と溶けていく意識のなかで、精一杯思いを込めて彼に笑いかけた。
「うん。父の具合がよくないらしくてね」
「まあ……」
夜。
暗く静かな寝台の上。
もう冬の入口だというのに、暖炉を焚き過ぎてるわけでもないのに互いの晒した素肌が汗ばんでいるのは、まあ、そういうことをした後だから。
心地よい疲れと、多幸感。
そんな気だるい時間に、彼が今後の予定を話す。
「大丈夫なの?」
具合がよろしくないのなら、早く王都に行って差し上げたほうが……。
「大丈夫だよ。父さんにあっちでの仕事を任せただろ? それで、年甲斐もなく張り切りすぎちゃってさ。それでちょっと倒れただけ」
「倒れただけって……」
倒れるほど頑張っちゃうのは、大丈夫じゃないのでは?
「あの人は、仕事バカだから」
「いや、そういう問題じゃないでしょ」
シオンのお父様。
仕事が好きで好きで、仕事漬けの仕事バカなのは、わたしも知っている。
仕事ばかりの生活で、自分の母親の見舞いに行けないからって、代わりに幼かったシオンをこの町によこしてたぐらいだもの。
シオンが成人して。お父上の年齡も考えて、仕事を辞めてもらって、隠棲してもらってたのだけど。(それでも、相談役として仕事に関わってた)
「お父様が無理なさったのは、わたしたちのせいでもあるんだし……」
わたしと結婚すると決めたシオン。
シオンは、結婚後の新居をこの町に決めた。仕事はこの町でもできるからと、ここに住むことを決めたのだけど。万が一の連絡役、王都での仕事を引退させていたお父様に任せた。
それが、お父様の張り切りすぎて倒れた原因になってるのなら。
「心配してくれてありがとう、リューリア」
わたしの前髪を掻き上げたシオン。額から、チュッとやさしい口づけの音がした。
「それで、明日からしばらく、王都に戻ってくるよ」
「うん、そうしたほうがいいわ」
大した事ないって言われても、やっぱり気になるし。
お父様だって、お体の弱った時に息子がそばにいてくれたら、何かと心強いだろうし。
でも……。
「どうしたの? リューリア」
「あ、えっと……」
ちょっと考えごとしてただけ。なのだけど。
「僕と離れるのが寂しい……とか?」
「――へ?」
どうしてそういうことになるの?
少しも考えていなかったから、ビックリ。
「僕の父まで気遣ってくれる、そのやさしさはうれしいし、大好きだけどさ。僕がいなくて、寂しいとかないわけ?」
「は? え? ちょっ、シオンっ!?」
「僕は寂しい。父は心配だけど、キミと離れるのは身を斬られるより辛い」
モソモソと上掛けのなかで動いたシオン。わたしを抱きしめてくれるのはいいんだけど。
(当たってる――!)
硬いナニが! わたしの下腹部に!
クッキリ、ハッキリわかるぐらいに、見なくても存在を確認できるぐらいに、熱く当たってる!
「し、シオン?」
さっき、あんなに出したのに、まだ硬いって? なんでまだ萎えてないのよ!
「違うわよ! わたしが考えてたのは、お義父様にわたしもお会いしたほうがいいんじゃないかってこと!」
あわてて、グイグイとシオンを押しのける。
「わたしたち、結婚するんでしょ? だったら、一度お義父様にご挨拶したいなって思っただけ!」
だから、変な空気に持ち込まない!
親族への挨拶。
わたしの両親に挨拶はいらないけど、シオンのご家族、お義母様はシオンが幼い頃に亡くなられてるけど、ご存命のお義父様にはきちんとご挨拶したいの!
お体のことも気になるし。この機会に、見舞いも兼ねてご挨拶したいなって。
「律儀だね、リューリアは」
「それが普通だと思うけど?」
クスクスと笑うシオンに、ムッとむくれてみせる。
結婚のご挨拶をってのは、常識の範疇でしょ。
「わかった。じゃあ、いっしょに王都に行こうか」
「いいの?」
「ああ。父さんもリューリアに会いたいだろうし。でも――」
一瞬、シオンが言葉を置く。
真顔に戻って。
「本当いいの? 王都に行って」
「え?」
「父さんを見舞ってくれるのはうれしいけど、王都に行くのは……。キミがよければいいんだけど……」
(あ――)
心配してくれてるんだ、シオン。
わたしが王都に戻って。また辛い目に遭わないか、悲しい気分にならないか、気にしてくれてるんだ。
新居を王都じゃなくこの町に決めたのも、おそらくそういう配慮があってのことだ。
王都に戻れば、両親に会うこともあるかもしれない。アイツらの噂を知ることもあるかもしれない。
それらに触れることで、わたしが傷つくのを心配してくれている。
「大丈夫よ、シオン。わたし、そこまで弱くないわ」
安心してほしくて、わたしからギュッと彼に抱きつく。
ありがとう。
そこまで気遣ってくれて。
でもね。
わたし、もうそこまで弱くないのよ?
だって、アナタがそばにいてくれるもの。アナタが愛してくれるもの。
「人ってね、誰かに愛されると、それも自分の愛しい人に大切にされると、それだけで、不思議と強くなれるのよ」
「リューリア……」
「以前なら、きっと泣いて悲しんだかもしれないけど。今は平気。それよりも、アナタのお父様にお会いしたいわ」
「強いね、キミは」
「アナタが強くしたのよ」
わたしが強いとしたら、それはアナタのおかげ。アナタが愛してくれるから、わたしは強くなれるの。どんな困難にだって、必ず打ち勝ってみせるわ。
アナタが愛してくれる限り、わたしは泣き虫弱虫じゃなくなるの。
「じゃあ、いっしょに王都に、父さんに会いに行こうか」
「ええ!」
うれしい! けど……。
「お義父様、わたしのこと、受け入れてくださるかしら」
「不安?」
「ええ、やっぱりそれは……」
シオンはわたしを愛してくれたけど、だからって彼のお父様までわたしを家族として受け入れてくれるかどうかはやっぱり不安。
「杞憂だよ。父さんなら、絶対リューリアのこと気にいるから。それこそ最高の嫁だって、方方に自慢しに歩き回るかもしれない」
「それは……」
わたしに会ったぐらいで、そこまで元気になってくださったらいいのだけど。
「――ってことで、もう一回、いい?」
いや、だからなんでそんなに元気なのよ!
というか、どのへんが「ってことで」になるのよ!
一旦、そういうことから遠ざかることに成功したと思ったのに!
「王都の家では、そういうことできないから」
いや、たかだか数日の話でしょ!
そりゃあ、お義父様の屋敷で、そういうことはお預けになっちゃうけど。ここに帰ってくるまでの我慢になっちゃうけど。
「ンッ、アッ、フッ……」
わずかに身を起こしたシオン。わたしの頬を押さえ、想いのままに口づけられると……。
(お預けは、寂しいかも……)
そばにはいてくれるだろうけど。でも、こうして欲情をともなったふれあいは控えなきゃいけない。
だから、今のうちにタップリ愛されたい。もっとたくさん、わたしにその愛を注いでいって。わたしのアナタを刻んで。
そんな言い訳を自分で生み出す。
疲れていても、愛されることはやぶさかではないわ。
それどころか、口づけられるたび、シオンの手がわたしの肌をなぞるたび、「もっと」という感情がわたしのなかで渦巻き始める。
(シオンが上手だから、かしら……)
もう何度も重ねた体。
そのせいか、シオンは、わたしのどこに触れれば、わたしが身悶え、彼を求めるようになるか、完璧に知り尽くしている。いや。
「アッ、シオンっ、そこっ、そこはぁ……」
「気持ちいいの? だったら、そのまま感じていてよ」
シオンの手は、唇は、日々新たなわたしの気持ちいいところを探し当てる。なんでもなかった体の部分を、気持ちよすぎてどうにななりそうな部分に塗り替えていく。
「シオンっ、シオンゥッ……」
愛撫に負け、体を陸にあがった魚みたいにビクビク震わせて、彼を求め手を伸ばす。
欲しい。満たして。一つになりたい。
「スゴいね、腰が動いてる」
「動い……て?」
「自覚ない? ヘコヘコ動いてるよ」
へ、ヘコっ!?
「僕、指動かしてないのにさ、ほら、キミが腰を動かすから」
ズチュ。グチュ。グチ。グチュ。
彼の触れてる膣から、淫らな音が響く。
「いやらしいよね。自分で感じるように動いちゃってる」
「や、ヤだ! これ、シオンがやってるんじゃ、ないのぉっ!?」
「違うよ。キミが勝手に僕の指を咥えこんでるんだよ。僕は、そこに指を添えただけ。動かしてるのはキミだよ」
「やっ、ヤだぁっ!」
自分で腰を動かしてるなんて。自分で彼の指を咥えこんでるなんて。自分で、自分で気持ちよくなってるなんて!
「淫らでかわいいよ、リューリア」
褒められてもうれしくない!
イヤイヤと首をふり、手で顔を隠す。
こんな恥ずかしいの、こんな淫らなの。わたし、シオンの前だと、とんでもない痴女になっちゃう!
「恥ずかしがらずに。もっと乱れていいよ」
シオンが笑う。
「ここ。キミが腰を動かすたびに、蜜が溢れてきてるの――わかる?」
グチョ。グチュ。グチュ。
「やっ、ヤあっ!」
お願い、そんな淫らな音、聞かせないで!
「あふれて、こぼれて。誘うような甘い匂いを充満させて」
「アッ、イッ、アッ、アアッ……」
「これで興奮しない男はいないよ。すごく、そそられる」
「そ、そう、なのっ……!? アアッ!」
背を反らし、身を捩らせ襲う快感に耐える。
「うん。キミを抱きたい、キミを愛したいって。挿れたくて、我慢できなくなる」
そ、そうなの? シオン、乱れたわたしを「はしたない」じゃなくて、そんなふうに欲情してくれるの?
「だったら……、ちょうだ、い」
乱れた息で懇願する。
挿れたいのなら、挿れて。
「まだ、ダメだよ」
「アァン……!」
指が動く。
襲った快感に、敷布を強く握りしめる。
「僕は、まだ、キミをもっと乱したいんだ」
「み、乱すっ!?」
充分乱れてると思うけどっ!?
「ほら」
「アグッ!」
わたしが腰を動かしてるんじゃない。彼が突き入れた指を(二本!)淫らに動かし始めた。それだけじゃない。
「そ、それっ、ヒグッ……、ウッ」
「触ってって、ツンって勃って主張してたからね」
彼の親指が、花芽を押し潰す。指の腹を使って、こねて、潰して……。
「アッ、そっ、両方はっ、ダ、ダメェッ……」
「ダメじゃないだろ? 腰が浮いてきてる」
「だからダメなのぉっ! イく! イッちゃう! イッちゃうのぉっ!」
膣のなかと外。両方からの責めに、た、耐えられない!
「いいよ。イきなよ」
残酷な宣言。そして容赦ない手淫。
「アッ、アアッ、ア――ッ!」
プシャッ。
なにかが、脚の間で勢いよく吹き出る。
「アッ……、ヒ……、ア、ア……」
「イッたね、リューリア」
カクカクと揺れる腰。満足そうにシオンが指を引き抜く。
すると、コポリコポリと膣から蜜が溢れ、おしりに向かって流れ落ちていく。
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今のわたし、どんな顔してるの? わかんないけど、彼が愛しいと言ってくれるのなら、それでいいか。
それよりも。
「シオン……」
来て。
もっとわたしを愛して。
「リューリア……」
腕を伸ばすと、抵抗することなく、わたしの腕のなかに抱かれてくれたシオン。
それだけじゃない。求めるままに、口づけを何度もしてくれる。
(愛してる。愛してるわシオン)
どれだけイジワルなことをされても。アナタになら許してしまえるほど愛してるの。
さっきは下腹にイチモツが当たっただけで抵抗したけど、今は自ら脚を広げて、それを求める。
ねえ、それを突き入れて。わたしのなかをもっと乱して。愛して。満たして。
ズプリ。
「アアッ!」
容赦なく挿ってきたもの。欲しかったもの。
それを与えられて、目の前チカチカする。息ができない。体が強張る。
心臓が一瞬止まり、その後、ものすごい強さと速さで脈動を打つ。
「し、シオン……」
助けて。気持ちよすぎて苦しい。頭がどうにかなる。
欲しかったはずなのに。挿れてほしかったはずなのに。
「なか、ものすごいドロドロ。キュッと締まって、襞が絡みついてきて。これは……」
「ヤッ、アッ、アアッ……!」
膣の具合を確かめるように、ネットリ腰を動かされる。
そんなにされたら、また――イくっ!
「グッ……! 締めすぎだよ、リューリア!」
「アッ、アアッ、ヒッ、ダメ、ダメェッ!」
イッてる! イッてるからあ! そんなに激しく穿たれたら、わたし、わたし……っ!
言いたいのに。伝える余裕なんて残ってなくて。
彼が起こす縦横無尽な律動に、激しく胸が揺れる。
パチュパチュ、グチュグチュと肉の破裂音、淫らな水音が脚の間から聞こえる。
もうダメ。わたし、もう……っ!
「グッ! リューリアッ!」
限界はシオンも同じだったらしい。
顔を歪ませ、彼が最奥を穿つ。
「アッ、アッ、アア――ッ!」
ビュルビュルと吹き出した彼の精。何度目かのそれを受け止める。
「アッ、ヒッ、イッ、ア、ア……」
熱い精に、体が震える。体を喜び満たす、彼の精。
「ア、ア……」
ピンっと伸びたつま先が震える。受け入れた悦びにグッと力がこもった体が、クタッと崩れていく。
「愛してるよ、リューリア」
情欲が去って、やさしさだけが残った彼の声。なんどもわたしの髪を梳く、彼の手。
わたしをいたわり見つめる彼の眼差し。
――わたしも。
伝えたいのに。
限界を超えた体は、そんな短い言葉ですら声にできなくて。
――愛してるわ。
茫洋と溶けていく意識のなかで、精一杯思いを込めて彼に笑いかけた。
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あなたに嘘を一つ、つきました
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登場人物
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