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第2話 タイムリープ。
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「さあさ、お嬢さま。早くお着替えになって準備をなさらないと」
「準備?」
「そうでございますよ。今日は王太子殿下が視察からお戻りになる日でございましょう? キチンと準備してお出迎えに上がるのだと、昨日おっしゃっていたではありませんか」
私から身を離したコリンヌが困ったように笑う。
「出迎え……。そうね、殿下のお出迎えをしなくっちゃね」
「そうですよ。いつまでも寝ぼけてなんていられませんわよ」
コリンヌに促され、冷たい水で顔を洗う。
寝ぼけてなんかいない。私はどこまでも冷静だ。
――殿下の、フェルディナンの出迎え。奴が視察から戻ってくる日。
奴は、視察先で出会った可憐な乙女(笑)、アンジェリーヌを連れて帰ってくる。
なんでも、視察中、川で釣りをしていたアンジェリーヌの釣り針にフェルディナンの服が引っかかったとかで。「すみません、どうしましょう」と泣きそうなぐらいうろたえる彼女に、フェルディナンが惚れたとかどうとか。
(バッカバカしい)
そんなの、アンジェリーヌの作戦に決まってるじゃない。
フェルディナンを釣り上げるために、ワザと、そのタイミングで釣り竿を振ったのよ。というか、王太子が通るような道の脇で釣りってなに? そもそも、アンジェリーヌって釣りとかアウトドアなキャラじゃないでしょ。あまりに古典的で、わかりやすい稚拙な作戦だわ。
それに、その直前にフェルディナンの暗殺未遂騒ぎがあったって聞いている。それでも、まったくアンジェリーヌを警戒しないフェルディナンもどうかしていると思うわ。
(まあ、そのあたりはどうでもいいんだけど)
とにかく、一目で気に入ったアンジェリーヌを、フェルディナンが連れ帰ってくる。
それが、今日だというのだ。
(すると、あと3か月ほどで、私、断罪されるのね)
ここから、私の転落は速い。
フェルディナンは、夜会のたびにアンジェリーヌをエスコートし、新しい恋人を披露するような行動に出る。
それだけじゃない。
二人して私を陥れるだけの罪状をせっせと作り上げてくれる。
・ アンジェリーヌを暗い部屋に閉じ込めた。→異変に気づいたフェルディナンが救出。
・ アンジェリーヌの食事に石を入れた。→知らずに噛んだことで唇を切る。
・ アンジェリーヌのドレスを引き裂いて、夜会に出られなくした。→フェルディナンが新しいドレスを急遽用意させ事なきを得る。
・ アンジェリーヌを階段から突き落とした。→階下にいたフェルディナンが彼女を受け止め、ケガなくすんだ。
・ アンジェリーヌを暴漢に襲わせた。→胸騒ぎを感じ、駆けつけたフェルディナンによって暴漢は成敗される。
他にも、私が田舎出身のアンジェリーヌを作法がなってないとなじったり、取り巻きを使って、彼女を集団で取り囲んで嘲笑するんだそうで。
よくもまあ、ここまでいろんなものをでっちあげてくれたもんだわと感心したくなる。
ああ、そうだわ。
私が、アンジェリーヌが身に着けていた真珠の首飾りに嫉妬して、それを引きちぎったってのもあったわね。
……誰が、嫉妬するかっつーの。
確かに大粒でキレイな真珠ではあったけど、それぐらいの真珠、ウチの公爵家なら普通に手に入いるもの。ダテに筆頭公爵家なんてやってないわよ。代々王室の姫君の降嫁先にも選ばれるぐらい身分も高く、その財力も半端ないって、あの二人は知らないのかしら。
……知らないのよね、きっと。
だから、幼稚な嫌がらせをしたと訴える。大切なのは血による契約、結婚であって、子孫さえ残せれば、あとは自由に恋人なり愛人なりを侍らせても構わなかったのに。
それすらもあの二人は拒んだというわけだ。
愚かな恋と、稚拙な欲のために。
「お嬢さま、どうかなさったんですか?」
黙り込んでしまった私を不審に思ったらしい。コリンヌが、不安そうに私の顔を覗き込む。
「なんでもないわ。それより、おかしなところはないかしら」
着つけてもらったドレスを確かめるように、少しだけ身を揺らす。
「問題ありませんわ。いつも通り、いえ、いつも以上にお美しゅうございます」
その言葉に満足するかのように、コリンヌに促され、部屋を出る。
あの最悪最低のバカップルのために、誰も死なせやしない。
せっかくタイムリープした上に、前世のことも思い出したんだもの。
必ず、絶対運命を書き換えてやるっ!
そんな覚悟とともに、敵の待つ王宮へと乗り込む。
* * * *
「はじめまして、エリーズさま。アンジェリーヌ・ロジエールと申します」
フェルディナンの紹介とともに、アンジェリーヌが軽く膝を折って挨拶してきた。
その薄ピンクのドレスは、彼女の可憐さを最大限引き出すように、高級そうなレースがふんだんに使われている。ドレスだけじゃない。真珠を散りばめた髪飾り、大粒真珠の首飾り――私が引きちぎると言われた、アレ――が襟元で輝いている。そんなの、田舎の男爵令嬢が簡単に手に入れられるようなシロモノじゃない。ということは、フェルディナンが鼻の下を伸ばしながら、彼女に与えたものってことね。
つまりは、すでにこの二人はラブラブで、私を追い落とす気満々ってことだ。
ふぅん。上等じゃない。
そっちがその気なら、こちらにも考えがあるってものよ。
「エリーズ・ルロワですわ。アンジェリーヌさまと呼んでもよろしくて?」
「ええ。エリーズさまにお呼びいただけるなど、光栄ですわ」
言うわね、この子。
そんなこと、欠片も思ってもいないくせに。
ふんわりと結い上げたストロベリーブロンド。パッチリお目めの青い瞳。白くきめの細かい肌、潤った桜色の唇。少し小柄な体格のクセに胸だけはよく育ってる。
男の庇護欲をそそるような容姿。そして、栗色の髪に茶色の瞳、背が高いだけの私が嫉妬すると言われて、さもありなんと誰もが納得するその姿。
可憐? 控え目? 大人しい?
とんでもないわ。この女は、これから私を追い落とすために、いろいろ画策してくれるのよ。
そこまでして手に入れたいような男かしらね。
チラリと、その隣に立つフェルディナンを盗み見る。
王太子らしく、それなりに整った容姿。背も高く、少し鷲鼻気味ではあるものの、プラチナブロンドのその髪と、堂々としたその顔立ちは未来の王者の威厳を感じさせるに充分ではあるのだけど。
中身は非情、残酷、そして浮気性。
よくもまあ、こんな男を夫にするのだと思っていたものね。タイムリープ前の私を笑ってやりたくなるわ。
アンジェリーヌの場合、この男の王太子という肩書に惚れたのかもしれないけれど。
この二人は、これから三か月、私と私の家を嵌めるためにせっせとありもしない罪状を作り上げていく。自分たちの独善的な恋のために、なんの罪もない私たちを殺すのだ。
この出会いは、二人からの宣戦布告。
ここからが、私の戦い。
勝って、大切な人たちを守る戦い。
――いいわ。私の持てるすべてを駆使してアナタたちを倒してやる。
「ざまぁ」で「プギャア」となるのは、この二人のほうよ。
まばゆいばかりのシャンデリアの下。人々が笑いさざめく舞踏会の会場で。
私は一人、その戦いに身を投じることを覚悟した。
「準備?」
「そうでございますよ。今日は王太子殿下が視察からお戻りになる日でございましょう? キチンと準備してお出迎えに上がるのだと、昨日おっしゃっていたではありませんか」
私から身を離したコリンヌが困ったように笑う。
「出迎え……。そうね、殿下のお出迎えをしなくっちゃね」
「そうですよ。いつまでも寝ぼけてなんていられませんわよ」
コリンヌに促され、冷たい水で顔を洗う。
寝ぼけてなんかいない。私はどこまでも冷静だ。
――殿下の、フェルディナンの出迎え。奴が視察から戻ってくる日。
奴は、視察先で出会った可憐な乙女(笑)、アンジェリーヌを連れて帰ってくる。
なんでも、視察中、川で釣りをしていたアンジェリーヌの釣り針にフェルディナンの服が引っかかったとかで。「すみません、どうしましょう」と泣きそうなぐらいうろたえる彼女に、フェルディナンが惚れたとかどうとか。
(バッカバカしい)
そんなの、アンジェリーヌの作戦に決まってるじゃない。
フェルディナンを釣り上げるために、ワザと、そのタイミングで釣り竿を振ったのよ。というか、王太子が通るような道の脇で釣りってなに? そもそも、アンジェリーヌって釣りとかアウトドアなキャラじゃないでしょ。あまりに古典的で、わかりやすい稚拙な作戦だわ。
それに、その直前にフェルディナンの暗殺未遂騒ぎがあったって聞いている。それでも、まったくアンジェリーヌを警戒しないフェルディナンもどうかしていると思うわ。
(まあ、そのあたりはどうでもいいんだけど)
とにかく、一目で気に入ったアンジェリーヌを、フェルディナンが連れ帰ってくる。
それが、今日だというのだ。
(すると、あと3か月ほどで、私、断罪されるのね)
ここから、私の転落は速い。
フェルディナンは、夜会のたびにアンジェリーヌをエスコートし、新しい恋人を披露するような行動に出る。
それだけじゃない。
二人して私を陥れるだけの罪状をせっせと作り上げてくれる。
・ アンジェリーヌを暗い部屋に閉じ込めた。→異変に気づいたフェルディナンが救出。
・ アンジェリーヌの食事に石を入れた。→知らずに噛んだことで唇を切る。
・ アンジェリーヌのドレスを引き裂いて、夜会に出られなくした。→フェルディナンが新しいドレスを急遽用意させ事なきを得る。
・ アンジェリーヌを階段から突き落とした。→階下にいたフェルディナンが彼女を受け止め、ケガなくすんだ。
・ アンジェリーヌを暴漢に襲わせた。→胸騒ぎを感じ、駆けつけたフェルディナンによって暴漢は成敗される。
他にも、私が田舎出身のアンジェリーヌを作法がなってないとなじったり、取り巻きを使って、彼女を集団で取り囲んで嘲笑するんだそうで。
よくもまあ、ここまでいろんなものをでっちあげてくれたもんだわと感心したくなる。
ああ、そうだわ。
私が、アンジェリーヌが身に着けていた真珠の首飾りに嫉妬して、それを引きちぎったってのもあったわね。
……誰が、嫉妬するかっつーの。
確かに大粒でキレイな真珠ではあったけど、それぐらいの真珠、ウチの公爵家なら普通に手に入いるもの。ダテに筆頭公爵家なんてやってないわよ。代々王室の姫君の降嫁先にも選ばれるぐらい身分も高く、その財力も半端ないって、あの二人は知らないのかしら。
……知らないのよね、きっと。
だから、幼稚な嫌がらせをしたと訴える。大切なのは血による契約、結婚であって、子孫さえ残せれば、あとは自由に恋人なり愛人なりを侍らせても構わなかったのに。
それすらもあの二人は拒んだというわけだ。
愚かな恋と、稚拙な欲のために。
「お嬢さま、どうかなさったんですか?」
黙り込んでしまった私を不審に思ったらしい。コリンヌが、不安そうに私の顔を覗き込む。
「なんでもないわ。それより、おかしなところはないかしら」
着つけてもらったドレスを確かめるように、少しだけ身を揺らす。
「問題ありませんわ。いつも通り、いえ、いつも以上にお美しゅうございます」
その言葉に満足するかのように、コリンヌに促され、部屋を出る。
あの最悪最低のバカップルのために、誰も死なせやしない。
せっかくタイムリープした上に、前世のことも思い出したんだもの。
必ず、絶対運命を書き換えてやるっ!
そんな覚悟とともに、敵の待つ王宮へと乗り込む。
* * * *
「はじめまして、エリーズさま。アンジェリーヌ・ロジエールと申します」
フェルディナンの紹介とともに、アンジェリーヌが軽く膝を折って挨拶してきた。
その薄ピンクのドレスは、彼女の可憐さを最大限引き出すように、高級そうなレースがふんだんに使われている。ドレスだけじゃない。真珠を散りばめた髪飾り、大粒真珠の首飾り――私が引きちぎると言われた、アレ――が襟元で輝いている。そんなの、田舎の男爵令嬢が簡単に手に入れられるようなシロモノじゃない。ということは、フェルディナンが鼻の下を伸ばしながら、彼女に与えたものってことね。
つまりは、すでにこの二人はラブラブで、私を追い落とす気満々ってことだ。
ふぅん。上等じゃない。
そっちがその気なら、こちらにも考えがあるってものよ。
「エリーズ・ルロワですわ。アンジェリーヌさまと呼んでもよろしくて?」
「ええ。エリーズさまにお呼びいただけるなど、光栄ですわ」
言うわね、この子。
そんなこと、欠片も思ってもいないくせに。
ふんわりと結い上げたストロベリーブロンド。パッチリお目めの青い瞳。白くきめの細かい肌、潤った桜色の唇。少し小柄な体格のクセに胸だけはよく育ってる。
男の庇護欲をそそるような容姿。そして、栗色の髪に茶色の瞳、背が高いだけの私が嫉妬すると言われて、さもありなんと誰もが納得するその姿。
可憐? 控え目? 大人しい?
とんでもないわ。この女は、これから私を追い落とすために、いろいろ画策してくれるのよ。
そこまでして手に入れたいような男かしらね。
チラリと、その隣に立つフェルディナンを盗み見る。
王太子らしく、それなりに整った容姿。背も高く、少し鷲鼻気味ではあるものの、プラチナブロンドのその髪と、堂々としたその顔立ちは未来の王者の威厳を感じさせるに充分ではあるのだけど。
中身は非情、残酷、そして浮気性。
よくもまあ、こんな男を夫にするのだと思っていたものね。タイムリープ前の私を笑ってやりたくなるわ。
アンジェリーヌの場合、この男の王太子という肩書に惚れたのかもしれないけれど。
この二人は、これから三か月、私と私の家を嵌めるためにせっせとありもしない罪状を作り上げていく。自分たちの独善的な恋のために、なんの罪もない私たちを殺すのだ。
この出会いは、二人からの宣戦布告。
ここからが、私の戦い。
勝って、大切な人たちを守る戦い。
――いいわ。私の持てるすべてを駆使してアナタたちを倒してやる。
「ざまぁ」で「プギャア」となるのは、この二人のほうよ。
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