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第二章 企業戦士

会社組織

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 週が明けた月曜日、土曜日と日曜日の疲れが抜けきれず、通勤電車に揺られていた。通勤電車に揺られながら、和也は週末を振り返る。

 「茂君のおかげで嫁と久しぶりに普通に話が出来た・・・」

 「嫁が言っていた・・・茂君は無理している?どうなんだろう・・・でも、俺の前では可愛いく甘えてくるから大丈夫だろう・・・」

 「しかし、あのインド秘伝のスパイスは凄かった・・・あんなに興奮したのは初めてかもしれない・・・」

 「そうそう、久しぶりの茂君もエロくて凄かった・・・」
 
 和也は土曜日の出来事を思い出すと、股間が熱くなり電車の中にも関わらず勃起してしまった。

 「あぁっ!ヤバいっ!早く鎮めないと・・・」必死に違うことを考える和也だった。

 「そう言えば今日は朝から会議だった・・・売り上げ報告、あぁ気が重い・・・」

 「あっ、そうそう桜木さんからプレゼン資料を見てくれって言われていたんだっけ、今日見てあげないとな・・・」

 「でも、あいつが作る資料はわかりやすくて、俺が作る資料よりも上手く作るんだよな・・・まあ俺が見るまでもなくしっかりと出来ているだろう・・・」

 今日の予定、仕事のことを考えていると、自然に和也の股間は鎮まっていた。

 和也は仕事モードに切り替わり、オフィスビルに入り、エレベーターに乗る。フロアーに到着し、会社オフィスの扉を開けると、「おはようございます」と、声があちらこちらから飛んできた。

 和也の会社は「株式会社旭ワールドヘルスケア」と言う名前の会社である。主には医療機器を扱う卸売メーカーで、コンサルタントも手掛けている。取引先は役所関連から病院、クリニック、介護施設と多岐に渡る。

 和也はオフィスに入り、席に着くと桜木が近付いてきた。

 「相模課長、おはようございます。課長、土曜日凄く具合悪そうだったんで心配でした・・・あの後は大丈夫だったんですか?」

 桜木の言動に、和也はドキッとした・・・

 「まさか、桜木さんを見て欲情していたなんて、言えないよな・・・ましてやあの後のインド料理店での出来事なんて、絶対に言えない・・・」和也は心の中で思った。

 「あぁ、大丈夫だったよ・・・桜木さん、心配かけてすまなかったな」

 「いえいえ、良かったです、相模課長が具合が悪いと、私も心配で心配で気が気じゃなかったですっ!」桜木はやや興奮気味だった。

 「おいおい、桜木さん、大丈夫だから!とにかくありがとうな、心配してくれて」

 「はい、ところで課長、例のプレゼン資料、確認していただけるお時間は今日はありますか?」

 「あぁ、そのつもりだったよ、桜木さん、まずは会議に行ってくるから、その後にでも見せてもらうよ」

 「課長、お忙しいところありがとうございます」桜木は頭を下げて自席に戻っていった。

 さっそうと去って行く桜木の後ろ姿を見つめる和也。肩幅は広く、スーツははち切れんばかりにピチピチ、ケツもムチムチとプリケツである・・・

 「やっぱり桜木さんはカッコいい・・・」和也は呟いた・・・

 「おっと会議に行かないと・・・」和也は慌てて会議室に行くのだった。

 和也は会議室のドアを開けると営業三課の課長、矢部がいるだけだった。

 矢部は和也とは同期だったが、年齢は一つ上である。ガッツのある矢部は営業成績も良く、課長に昇進したのは矢部の方が早かった。

 矢部は学生時代はレスリング部に所属していた。脂が乗り体型的には和也に似ているが、身長が低くガッちびで芋っぽい顔だちである。

 「どことなく、智成に雰囲気が似ている・・・」和也は最近は矢部のことをそのように見ていた。

 和也と矢部は入社した頃はお互いが切磋琢磨せっさたくまし仲が良かった。

 プライベートでも酒を飲んだりといつしか距離は遠のいていた。

 「矢部さん、早いですね」和也は先に下座に座っている矢部に声を掛けた。

 「相模さんこそ、まだ会議が始まるまでまだ10分もあるのに、どうしたんですか?」

 「あらら、10分もあったのか・・・桜木さんの事を考えていて、なんとなく会議室に来ちゃったなぁ・・・」和也は心の中で思った。

 「いやぁ、矢部さん、何となく落ち着かなくて・・・また売り上げが伸びないってチクチク言われるのかと思うとね・・・」和也は矢部に返答した。

 「相模さん同感ですなぁ、嫌な時間ですよ、本当・・・」

 ドアが開き、営業部長の王子と、営業一課の課長、片倉が入ってきた。

 部長の王子は58歳、学生時代から現在まで剣道をしていて、かなり締まった身体をしている。とにかく容姿は凛々しく、常に冷静で器のデカさを感じさせる。

 片倉は51歳、学生時代は水泳をやっていた。もっとも現在は水泳は趣味程度にやっていて、比較的体型は保っている。王子部長の片腕で、次の部長となる一番近い立ち位置にいる。

 和也の所属する品川支店は営業部門は営業部長の王子を筆頭に、営業一課は課長の片倉、二課の和也、三課の矢部で構成されていた。

 一課、ニ課、三課はの営業課は取引先の業種ごとに分けられていた。

 一課は官公庁、ニ課は医療機関、三課は福祉関連企業や法人を主に取引をしていた。

 官公庁との取引は常に安定していて、現在、成長目覚ましいのは三課の福祉関連企業との取引であった。ニ課の医療機関は競合他社が多く営業成績は伸び悩みを見せていた。

 王子部長から、先月の売り上げ報告を一課、三課と、片倉と矢部は順番に求められて、報告をした。両課とも売り上げは悪くない。事に三課は、高齢化社会の波に乗り売り上げは好調だった。

 「次は二課の相模課長、売り上げ報告をしてください・・・」和也の番になった。

 本来なら、一、ニ、三の順番で報告したら良いのだろうが、それがこの会社の厳しく容赦のない方針で、売り上げの悪い課を一番最後にもってくるのである。

 和也は、先月の売り上げ、先々月との比較、今月の目標を述べた。

 「それで、先月も目標は未達で今月は何か勝算はあるのですか?」部長の王子は和也にピシャリと述べた・・・

 「あ、あの・・・血圧計を3台購入していただけた、新規取引の医療法人上白会都乃岡病院(かみしろかいつのおかびょういん)と言うところで、研修講座をサービスすることになっておりまして、担当は主任の桜木に頑張ってもらっている最中です・・・地味ではありますが少しづつ取引が発展出来たら良いと考えています!」

 「相模君、都乃岡病院はどのくらい規模なんだね?」

 「はい、王子部長、医療法人上白会都乃岡病院の規模は66床で職員数はパート従業員を含む70名程度です・・・」和也は答えた。

 「相模課長、血圧計をたった3台で研修講座をサービスって・・・経費で赤字じゃないですか?相模課長!」矢部が口を挟む。

 「矢部課長・・・一台9,800円、税込10,800円の血圧計3台、3台で値引きして、30,000円にしておりましす。確かに研修をサービスすると利益にはなりませんが、新規取引なので今後の更なる取引が期待出来ると考えています!」和也は矢部に反論した。

 「矢部課長、私は、相模君の地味な営業活動は営業マンの基本でいいと思うけどな・・・」一課の片倉課長が助け船を出してくれた。

 「そうだな、まだどちらとも言えない状況だな・・・上手く取引が出来て、コンサルタント契約まで持っていけるかもしれないし!期待しとるよ!相模君・・・」王子部長は和也に声を掛けた。

 「よし、今日の会議はここまでにしましょう!お疲れさん!」王子部長は課長たち皆に伝え、先に会議室を後にし、その後に片倉課長が続いて退室した。

 「せいぜい、安い売り上げで頑張ってな・・・」矢部がボソッと捨て台詞を吐き、会議室を退室して行った・・・

 退室する矢部の後ろ姿は背こそ低いが肩幅があり、腰回り、ケツもデカくプリッとしていていた。

 「へぇーあいつ、あんなにイイケツしてたんだな・・・今まで気がつかなかった・・・」和也は無意識に矢部のケツに視線を注いでいた。

 「しかし、矢部はあんなに可愛いのに、本当感じ悪い!」和也は矢部のことを意識しながらも、矢部の振る舞いにイライラするのだった。

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