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第1章 転生したら属性至上主義の異世界でした

第5話 疑似魔力視を発動させてみよう

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 俺がアルトに転生してから2年半が経ち、俺も後少しでステータス検査を受けれる3歳となる。
 この2年である程度の魔力操作を身につけた。

 昔はほんの少し動かすだけで魔力切れに陥っていたが、成長と共に魔力量は劇的に増え、当初の10倍程まで上昇し、今では頑張れば10分ほど持続させる事ができるようになっている。
 まぁ元々そこまで魔力が多くなかったので、10倍といっても高々知れているのだが。

 それに相変わらず魔力切れによる症状には一向に慣れる気配がない。
 それどころか魔力が増えるにつれて、魔力切れになる少し前から前兆の様に辛くなってきた。
 多分魔力切れに陥りすぎて、俺の体が拒否反応を起すようになったんじゃないかと俺は考えている。

 これまでに100回以上魔力切れを起こしたことが原因かなぁ……。
 でも、ギリギリで止めるのは昔と変わらずまだ俺にはできないし、そもそもそれだと魔力の増加量が減っちゃうしなぁ。

 いや改めて考えるとえげつない回数だな。
 自分のことなのに気持ち悪く感じる。
 俺……がんばったな。

 俺は自分を褒める。
 こうでもしないと続けられなくなるからだ。
 主にメンタル面で。

 だがこれは全て友達と可愛い彼女を作るためだ。
 流石に今世もボッチとか俺のメンタルが粉々に砕けてしまう。
 そうしたら俺はきっと立ち直れない。

 まぁそんなことはそのうち考えるとして……今回1つ挑戦したいことがあるんだ。
 これは1年前くらいから考えていたことなのだが、この世界には無属性魔法に【魔力視】と言うラノベでも定番の魔法があるらしい。
 文字通り自分の体内にある魔力だけでなく、体外にある魔力まで目視できるようになると言う、現在この世界で確認されている無属性で、最も価値のある魔法なんだとか。

 まぁ確かにこの魔法は色々と役に立ちそうである。
 是非とも俺も習得してみたいが、無属性魔法が使えるようにあるかはまだ分からない。
 よって魔力を目に流す事によって、擬似的な魔力視を発動させようと言うわけだ。

 俺は最近ではあまりしていなかった深呼吸をする方法を採用し、体内に流れ込む魔力をしっかりと感知する。
 そして魔力溜まりに溜まっているを魔力を魔力回路を通して慎重に移動させていく。
 慎重にする理由としては、あまり速度を上げると制御が完璧でない俺は魔力が無駄に消費してしまうからだ。

 もっと上手くなればビュンビュン移動させることが出来るようになると思うんだがな。
 残念な事に流石に2年程度じゃ無理なようだ。
 後シンプルに時間が足りない。

 赤ちゃんは寝る時間が多いので1日に10時間とか練習できるわけじゃない。
 それに魔力切れで気絶するから更に短くなるのだ。

 そんな事を考えながらも操作する事を止めない。
 どんどん魔力が目に近づいてくるのが分かる。
 そしてやっと目に届いたと思ったら――

ばぶっいやっあうあうめっちゃキモ!! ―――あうああ気持ち悪い……」

 俺が動揺したことにより魔力の制御が解け、一気に魔力が枯渇した。
 魔力切れによる症状が一気に俺に襲いかかる。
 
 まさか目に魔力を流した瞬間にドロッとした何かが視界を覆うとは誰も想像できないだろうが……。
 ラノベではそんな事書いていなかったぞ……!

 俺は全身の不快感や痛みに顔を歪ませながら文句を垂れる。
 だが文句を垂れるのはしょうがないと俺は思う。

 いきなり視界がドロッとしたスライムか何かに覆われると思ってくれ。
 身構えてなかったら誰でも驚くと思うのよ俺は。

 だがこの程度で諦めるわけには行かない。
 俺は凡人だからこうしてフライングしてないと直ぐに天才共には追いつかれてしまうのだ。
 折角この世界に転生できたのだから、何かを本気で取り組んでみたいとも思っているし。

 俺は何とか朦朧とする意識を繋ぎ、深呼吸をして体に魔力を取り込んでいった。




<><><>




 初めて疑似魔力視を発動させようとして3時間が過ぎた。
 結局まだ1回しか練習できていない。
 あれから頑張って意識を保とうとしたのだが、あまりの気持ち悪さに抗えず気絶してしまっていた。
 なのでこれからもう1度挑戦しようと思う。

 いや、さっきは初見だったからさ。
 今度こそは大丈夫なはずだ。

 俺は自分にそう言い聞かせて再び魔力を操作していく。
 先程の失敗は決して無駄ではなく、前回よりもスムーズに操作できた。

 そして遂に肝の目への魔力流しだ。
 今回はしっかりと覚悟を決めてから、先程よりも更にゆっくり目に流していく。
 視界の端の方から少しずつ半透明の魔力が視界を侵食し始めた。
 
 だが一度見たと言うこともあり、意外と平気だった。
 そして視界が覆われていくと同時に俺は感嘆の声を上げる。

「おお……あうあぁすげぇ……あうあまるでばぶばぶああ雪が太陽にあうあうあうあう照らされているようだ……」

 俺の視界全てがキラキラと光り輝く粒で満ちており、前世では一生見ることのできないと思わされるほどの光景だった。

 ……まさかあんな気持ち悪いものの後にこんなきれいな光景が見れるとは。
 リトライしてみるもんだなぁ……。

 俺がこの光景に見惚れていると、廊下から何やら足音が聞こえてきた。
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