英雄テイマーの後継者~無能と罵られて追放されたテイマー、伝説の勇者と同じスキルを覚醒させて巨悪に立ち向かっていく。本物のテイムを見せてやる~

友理潤

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第85話 これぞ因果応報ってやつだな

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◇◇

 長年封印されてきたガルーにとって、完全体で復活するためには人間のレベルが必要だったんだそうだ。
 同じことは魔王アルゼオンにも言えたらしいが、彼の場合は勝手に襲ってきた冒険者たちを殺してレベルを奪ったみたい。

 あ、ちなみにガルーを生き返らせたのはソフィだ。
 寿命や病気で命を落とした場合を除き、体の一部でもあれば魔法で復活させることができるらしい。
 恐るべし聖女(自称)。
 
 ――おまえが俺様を倒したのか。いいだろう。ならば俺様はおまえを主人として認めよう。

 こうしてあっさりと仲間に加わってくれたガルーのことはいいとして、問題はイライザだ。

「う……そ……」

 今でもモンスターハウスに眠らされた状態で放置されたのは軽いトラウマになっているが、灰になってしまったかのようにガクリと肩を落としたまま動こうとしない彼女を前にして、「ざまぁみろ!」と罵るのはさすがに気が引ける。
 だからつとめて優しく告げた。

「ということで、イライザ。明日、俺がダンジョンの外に出してやるからもう二度とダンジョンに入らないでくれ」

 イライザは口を半開きにしたままギョロっとした目をこちらに向けた。
 幽霊を思わせるようにやつれた顔だ。ゾクッと背筋に悪寒が走る。

「ほ、ほらおまえの父親も心配してると思うんだよ。だ、だから、ひとまず実家に帰って――」
「………………わよ」

 イライザがぼそりとつぶやいたが、よく聞こえない。

「ん? なんか言ったか?」と耳を近づけると、イライザはそれまでの真っ白な顔を赤くして叫んだ。

「なめんじゃないわよ!! 誰があんたの言う通りなんかにするもんか!!」

 おいおい。駄々っ子かよ……。
 自暴自棄になったのかあてもなく草原を駆け出すイライザ。

「ピートさん。どうしましょう?」

 サンが心配そうに問いかけてきたが、どうしましょうもクソもないよな。
 相変わらず足だけはめっちゃ速いし。

「放っておけばいいよ。急にレベルがリセットされれば冒険者なら誰でもパニックになるさ。特にイライザの場合は過剰なくらいに自信家だったからな。ショックも人の倍以上だろうよ。」

「え? でも……」

「だから心配いらないって。時間が経てば落ち着くはずだ。今は一人にさせてあげよう」

 ここまで言ってもサンの顔色が優れない。
 いくら心配性だとしても、そんなにイライザのことが気になるのか?

「ピートさん。あのですね……一人になるのは無理だと思うの」

「は? どういう意味だ?」

 眉をひそめたサンがイライザが走り去っていった方向を指さす。
 その方向に目をやった瞬間に、ギクッと顔が引きつり、ニックが襲ってくる前のグリンと交わした会話が頭をよぎった。

 ――ご主人。俺たちにも何か手伝わせてくれ! 頼む!

 ――そこまで言うなら仕方ない。モンスター・オートメーションのシナリオをセットしておく。名付けて『最後の悪あがきシナリオ』だ。

 ――ふむ。それはいったいどういうシナリオなんだ?

 ――『もし第54層に人間が侵入してきたら、取り囲んで進路をふさぐ』だ。無駄に戦っても勝ち目はない。だが守りを固めて取り囲めば時間は稼げる。その間にもしかしたら逆転の秘策ができるかもしれないからな。

 ――なるほど! 進路を妨害することに専念するというわけですな!

 まずい……。彼女が駆けて行ったのはまさに第54層の方だ。

『最後の悪あがきシナリオの発動条件を満たしました』

 あーあ、こうなったらもう止められない。
 今ごろ彼女は屈強なモンスターたちに囲まれて身動きが取れなくなり、絶望のどん底に突き落とされてるかもしれない。かつて俺がそうだったように――。
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