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本当の思惑
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「そ、それは…」
「私の説明が納得のいく、あなたの能力の答えなのです」
「っ」
「ああ、ヨルレアン王女の説明が一番、納得が出来る」
今日はダズベルトはヨルレアンを、第一王女として扱うことになっていた。
ダズベルトは解読について説明するのかと思っていたが、ここにいる者は大半は分からない者であるために、説明するのにも時間も掛かり、理解が得られないと判断したのだろうと思った。
だが、翻訳の点であれば、王家にも観覧席の者も分かる者も多いだろう。
関係者席のラリオも、外交大臣も、グルダイヤ侯爵も、不味い状況なのは分かっていたが、ヨルレアンとサリージュの登場に、口を挟むことも出来なかった。
サリージュは素晴らしい姉でございましょうという顔をしているが、ふざけた展開になれば一瞬にして豹変するだろう。
「記憶が出来るという点では、評価は出来ると思いますよ。前世でとても徳を積んだのかもしれませんね」
「なら、これから」
「ええ、ルスデン王国でもお励みください」
ヨルレアンは当たり前のことを言ったのだが、アリナは酷くショックを受けたような表情を浮かべた。
「そんなはず…そんなこと…」
「一つ聞きたいのですが、あなたは解読をしているという実感があったのですか?」
「ありました」
何を持ってかと聞きたいところだが、記憶することが解読だと思っているアリナに、聞いてもおそらく答えられないだろうと、ヨルレアンは判断した。
「本来なら解読というのは、地道な作業で、このような場で披露するようなものではないのです」
「っな、じゃあ」
「ですが、あなたはこの場で古代語の解読が出来ることを見せると認め、出来なかった。国王陛下に嘘は申しませんでしょう?」
「っっっ」
さすがにアリナも覚えており、言っていないとは言えなかった。
「じゃあ、王子様との結婚はどうなるの!」
アリナは観覧席を背にしていたので、すっかり目の前のヨルレアンと王家にしか目に入っていなかった。ゆえに、甲高い嘆くような声を上げた。
「そのような予定があるのか?」
ダズベルトは婚約者はいないと聞いていたことから、内々で何か決まっていたのかと、不思議に思い問い掛けた。
「えっ、だって!王太子妃様と、王子妃様に言われたんです」
「何を?」
「どちらかの王子様と結婚するのよと」
「それは国に帰って、王家と話し合いなさい」
ルスデン王国も年は違うが、来ているラリオとミソオがおり、娶るつもりだったのか、だがこの様子で娶って貰えるのかと考えていた。
「違います!コーランド王国の王子様たちです!」
「なに?」
王太子妃様も王子妃様もまだいない、コーランド王国のことではないとは思っていたが、我が国の名前が出て、ダズベルトは低い声が出た。
「言われたんです!」
「ハッソ嬢!何を言っている」
外交大臣が、慌てて止めに入ったが、既に遅い。
「王太子妃と王子妃に、我が国の王子と結婚するのだと言われたのだな?」
「そうです!解読を認められて、結婚するのだと」
「王子たちに婚約者がいるのにも関わらずということだな」
ローレルは表情を変えないが、エルドールは眉間に皺を寄せており、メイランは拳を握り締めていた。そして、オーバンは既に持っていた扇子を破壊し、侍女が回収して、新しい扇子が渡されていた。
サリージュは、侍女に一言一句メモを取るように指示した。
「だからです!婚約で結婚していないから、私と結婚したいと」
「アリナ嬢!黙りなさい!」
ラリオ王太子殿下も叫んだが、アリナの耳には届いていなかった。
「君と王子のどちらも結婚するなどということは、絶対にない」
「え?だって、私そのつもりで」
「そのつもりでいたのか?」
エルドールに近付くこともなかったと聞いており、そんなことを考えていたのかと、顔を顰めた。
「私の説明が納得のいく、あなたの能力の答えなのです」
「っ」
「ああ、ヨルレアン王女の説明が一番、納得が出来る」
今日はダズベルトはヨルレアンを、第一王女として扱うことになっていた。
ダズベルトは解読について説明するのかと思っていたが、ここにいる者は大半は分からない者であるために、説明するのにも時間も掛かり、理解が得られないと判断したのだろうと思った。
だが、翻訳の点であれば、王家にも観覧席の者も分かる者も多いだろう。
関係者席のラリオも、外交大臣も、グルダイヤ侯爵も、不味い状況なのは分かっていたが、ヨルレアンとサリージュの登場に、口を挟むことも出来なかった。
サリージュは素晴らしい姉でございましょうという顔をしているが、ふざけた展開になれば一瞬にして豹変するだろう。
「記憶が出来るという点では、評価は出来ると思いますよ。前世でとても徳を積んだのかもしれませんね」
「なら、これから」
「ええ、ルスデン王国でもお励みください」
ヨルレアンは当たり前のことを言ったのだが、アリナは酷くショックを受けたような表情を浮かべた。
「そんなはず…そんなこと…」
「一つ聞きたいのですが、あなたは解読をしているという実感があったのですか?」
「ありました」
何を持ってかと聞きたいところだが、記憶することが解読だと思っているアリナに、聞いてもおそらく答えられないだろうと、ヨルレアンは判断した。
「本来なら解読というのは、地道な作業で、このような場で披露するようなものではないのです」
「っな、じゃあ」
「ですが、あなたはこの場で古代語の解読が出来ることを見せると認め、出来なかった。国王陛下に嘘は申しませんでしょう?」
「っっっ」
さすがにアリナも覚えており、言っていないとは言えなかった。
「じゃあ、王子様との結婚はどうなるの!」
アリナは観覧席を背にしていたので、すっかり目の前のヨルレアンと王家にしか目に入っていなかった。ゆえに、甲高い嘆くような声を上げた。
「そのような予定があるのか?」
ダズベルトは婚約者はいないと聞いていたことから、内々で何か決まっていたのかと、不思議に思い問い掛けた。
「えっ、だって!王太子妃様と、王子妃様に言われたんです」
「何を?」
「どちらかの王子様と結婚するのよと」
「それは国に帰って、王家と話し合いなさい」
ルスデン王国も年は違うが、来ているラリオとミソオがおり、娶るつもりだったのか、だがこの様子で娶って貰えるのかと考えていた。
「違います!コーランド王国の王子様たちです!」
「なに?」
王太子妃様も王子妃様もまだいない、コーランド王国のことではないとは思っていたが、我が国の名前が出て、ダズベルトは低い声が出た。
「言われたんです!」
「ハッソ嬢!何を言っている」
外交大臣が、慌てて止めに入ったが、既に遅い。
「王太子妃と王子妃に、我が国の王子と結婚するのだと言われたのだな?」
「そうです!解読を認められて、結婚するのだと」
「王子たちに婚約者がいるのにも関わらずということだな」
ローレルは表情を変えないが、エルドールは眉間に皺を寄せており、メイランは拳を握り締めていた。そして、オーバンは既に持っていた扇子を破壊し、侍女が回収して、新しい扇子が渡されていた。
サリージュは、侍女に一言一句メモを取るように指示した。
「だからです!婚約で結婚していないから、私と結婚したいと」
「アリナ嬢!黙りなさい!」
ラリオ王太子殿下も叫んだが、アリナの耳には届いていなかった。
「君と王子のどちらも結婚するなどということは、絶対にない」
「え?だって、私そのつもりで」
「そのつもりでいたのか?」
エルドールに近付くこともなかったと聞いており、そんなことを考えていたのかと、顔を顰めた。
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