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第3章 魔導帝国ハビリオン編

これぞテンプレ…嫌だァ!!

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ドーン…ドーン…と色んな所から音が聞こえる…だがそれに構っている暇は今の俺には無い


ひぃぃ!!撃ってこいとは言ったけど多すぎ!!

俺は飛んできた土の塊を水の玉で撃ち落とす…さっきから同じようなことの繰り返しだ

魔石がこの塔にあることがわかっているようで城壁の上から魔法が絶えず飛んでくる…幸いにも惑わしの霧が城の中に漂っているので階段から誰かが来る気配はない

魔力はまだ底をつかないがこの状況がいつ変化するかわからない

《【水魔法レベル5】が【水魔法レベル6】になりました》

また頭に声が響く…水魔法のレベルがさっきからめちゃくちゃ上がってる…だけど能力を確かめる暇がない!時間を!時間をくれ!

俺がそう焦っていると城壁の上にいた生徒に向かって火の玉が飛ぶ…目を向けるとそこには守り側の生徒が数人別の塔から城壁に攻撃している…城の中の敵は少なくなったということだろう…今だ!

賢者先生!水魔法の説明!

《水魔法で現在使用可能な能力は以下の通りです
水の玉ウォーター
小さな水流シャワー
水の壁ウォーターウォール
水の刃ウォータースラッシュ
水纏みずまとい
水の槍ウォーターランス】》

おお!めっちゃ増えとる!水の壁とか使えそうだ!よし!

「【水の壁ウォーターウォール】」

俺がそう言うと手から水が噴き出して窓から外に放たれる…そしてその水は俺がいる部屋を守るように塔を囲っていく

おお!かっこいい!これぞ魔法!…今までも魔法使ってたけど

水が塔を囲っているため外がとても見えにくくなったが土や火の玉が水の壁にぶつかり消えていくのがわかった…水の壁最強ですねはい!!

そんな事を思っていると再び大きな音が響き俺がいる塔が揺れた…今度はなんだ!?

さっき攻撃されたよりも大きな揺れで咄嗟に壁に手をつく…もしかしてこの塔壊れるんじゃね?

俺の頭に圧死という言葉が浮かぶ…その時

《警告…強力な力を感知しました》

賢者先生の警告が頭に響くのと化け物の咆哮が響いたのは同時だった

「グガアァァァァア!!!」

城全体…いや…訓練棟全体を震わせる程の咆哮…耳を塞ぎたくなるような不快な声…

「なんだ!?」

俺は水の壁を解いて窓から顔を出して周りを見渡す…生徒達も攻撃をやめて動いていない…つまり…想定外の事が起きているということか…

「試合中止だ!!すぐに避難しろ!!」

おじいちゃん先生の焦った声がこっちまで届くと俺の視界にいる生徒達は一斉に攻め側の方の陣地へと向かう…悲鳴をあげながら…

俺も急いで塔を降りようとするが

「ぎゃっ!」

再び塔が大きく揺れ俺はすっ転んでしまった…ひぃぃ!こんな時に!

近くの壁に手をついて立ち上がろうとするが塔が揺れ続けているせいで動けない…ひぃ!立て!立つんだユウトォー!

俺だって逃げたいのに…!と思いながらも揺れで壁から離れられない体を動かそうとした時

「ッ!ヤバイッ!」

塔が本当に崩れ始め斜めになっていくのが感覚的にわかる…冗談で言ってたのに!と思いながら俺はすぐにさっき覚えたばかりの水魔法を使う…圧死は嫌だ!!!

「【水の壁ウォーターウォール】&【水纏みずまとい】! 」

俺の周りと体全体が水に包まれる感覚があり…そのすぐあとに俺のいた塔は崩壊した


「…うぅ…」

水の中にいるような…だけども冷たくも熱くもない不思議な感覚の中俺は目を開ける

すぐに魔法を解除して周りを見ると砂埃が舞うその中に大きな影が見えた

すでに形を失っている城の中から現れたのは巨大な怪物だった…トラックよりも遥かに大きいサイのような体は黒く染まっていて見ただけで自分よりも…そしてアルバよりも強いと理解する

俺はすぐに隠密をかけてその怪物を視界に捉えながらゆっくりと後ろに下がる

…やばいやばい…スライムやゴブリンなんか比べ物にならないよ…とりあえず鑑定!!


《レッサーベヒモス(召喚)

レベル――

状態 暴走

固有スキル

大地の怒り
恐怖の眼光
底知れぬ食欲

パッシブスキル

超打撃
怪力
万能感覚
痛覚無効
物理攻撃激減
魔法攻撃軽減
状態異常無効

アクティブスキル

無し


称号

山の主
大地の怪物
召喚されし者


称号からの追加補正
基本的に生殖行為をすることは無いが生殖行為時には暴力的な力で相手を壊してしまうことがあるので注意が必要》


…うん勝てません!逃げよう!

なんなの!?なんでこんな怪物が現れてんの!?冒険序盤で出てくる敵じゃないだろ!しかも暴走してるし!…あれ?レベルが表示されてない?

《召喚された者は召喚されている間はレベルの概念が無くなります》

ふむふむ…そうなのか…ていうか召喚って誰がしたの!

「ガアァァァァア!!!」

再び怪物の咆哮が訓練棟に響き渡る…耳がビリビリする!………ん?

俺の気配感知がレッサーベヒモスの近くに誰かがいるのを発見した

おぃぃ!!大丈夫なの!?生徒だよね?助けなきゃ…でもどうやって!?時間が無いよ!あー!どうにかしなきゃ!先生に任せようか?どうしよう!

先生はどこに…と生徒達が避難した方を見るノルス先生がものすごい速さでこちらに向かって来ているのがわかった…おじいちゃん先生は俺の視界の中にはいない…生徒達を避難させようとしているのだろう

「怪物!!こっちだ!!」

ノルス先生がそう叫びながらレッサーベヒモスの意識を自分に向けようとしている

レッサーベヒモスはノルス先生の方に視線を向けて動き出す…今のうちだ!

相手は万能感覚を持っている…つまり派手に動けば気付かれる可能性が高い…なのでゆっくりと立ち上がってから離れようと後退するが…

…さっきからレッサーベヒモスの近くにいた気配が動かない…もしかして気絶してる?それか動けない状態?

すぐにそっちに視線を向けるが城の残骸が多すぎてよくわからない…このままではいつレッサーベヒモスに潰されるかわからない…

俺は後退するのをやめて怪物の動きを見ながらゆっくり気配がある方向へ向かう…抜き足差し足忍び足っと…

《スキル【消音】を獲得しました》

ひぃぃ!びっくりするわ!気付かれたらどうすんの!少し助かったけど!

俺はさっそく消音を使ってみた…すると自分から発せられる音が少なくなったのがわかった…おお!よしこのままゆっくりと進むぞ…

「ウォォォッ!!」

ノルス先生が雄叫びをあげながらレッサーベヒモスと交戦する…土が地面が砕ける音が響き渡る

そんな音を聞きながらやっと気配の近くまで来る事が出来た…ん?この感じは…2人?

気配が重なっていたのか近付くまでわからなかったが気配は…2つある

気配を感じる方を見回すと倒れている生徒2人を見つけ出来るだけ急いで近くに寄る

「…あ」

生徒2人の内1人は最初に挨拶を交わしたあの少年だった…慌てて体を見るが大きな怪我は負わずに気絶しているだけだった…よかった

もう1人の生徒も無事でなんとか2人を運ぼうとするが…どうしよう…1人ならなんとか出来るけど2人となると…

そう俺が考えている時

「グハッ!」

そんな声が聞こえてバッと顔を向けるとノルス先生が吹き飛ばされてこっちの方に飛んできているところだった…って

え?

「うわっ!【水の壁ウォーターウォール】!」

慌てて水の壁をクッション代わりにする…ノルス先生は水の壁にぶつかり…そして地面に倒れてしまった…ひぃぃ!

正面に目を向けるとレッサーベヒモスがこちらを向いていた…あ…これやばいやつやん…

俺の近くには動けない3人…戦えるのは俺1人…





や…やるしかないの?





――――――――――――――――――――――――――――――

お久しぶりのアオネコさんです

体調が良くなったのでこれからまた定期更新に戻します!
皆様にご心配をおかけしまして申し訳ありませんでしたm(*_ _)m
皆様も体調にはお気をつけください∠(゚Д゚)/

これからも作者は頑張っていきたいと思いますので【こんな異世界望んでません!】をよろしくお願いします






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