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第2部 プラチナ帝国公爵領編
第6話
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お初にお目にかかりますな。
内務省長官をつとめているタンジェリン・マゼンタと申す。いわゆる”赤”の公爵家の当主じゃな。
我が家は代々、内政を担当する人材を輩出しており、おなじく”茶”のビスター家とならんで帝国の統治運営を代々任されてきた家である。
具体的には予算作成とその執行、徴税、建築土木、ギルドとの交渉にはじまり、内務省はじめ各省庁の人事権、他に教会との折衝に関することも私の担当になる。
仕事しすぎだな、わし。
治安維持いわゆる警察関係はもうひとつの”茶”のビスター家に担当してもらっている。
アプリコットの”橙”と”茶”の3家と皇帝陛下はこの協定の賛成派だ。
内政を担当する我が家は帝国と傘下の王国の国力を把握しており、それぞれの経済力、軍事力を計算して帝国の運営をしている。
それらを総合的にあわせた結果、戦争はできないと断じた。
最大の理由は大魔導士イオニーア様がいないという1点である。
この事実を隠しつつシルバー王国と協定を結ばなければいけない。
この事実を知るものは帝国内でも限られている。なんだったら公爵ですら知らないものもいる。
そして、その者たちがこの協定に牙をむいている。
気持ちはわからなくもないが。
そしてどのような形で協定をつぶす行動を起こすのか探らせていたが、つい先日、アプリコット家の諜報員たちがその具体的な中身をつかんだそうだ。
さすがアプリコット家は優秀なものを取り揃えておるわ。
あとつぎのクリムソン殿も大変優秀であられるし、次の代もアプリコット家は安泰であるな。羨ましい。
話がそれたが、反対派はどうやら、協定の日、多くの国内の要人とシルバー王国の代表があつまる皇帝宮に何かを仕掛けるようだ。
また、計画の一部には国境の砦が襲撃されるそうだ。
しかし、砦を襲撃するにしても一体どこの軍が担当するのであろう。
シルバー王国軍ぐらいしか相手にできないぐらい我が国の砦は強固だぞ。
砦のことはともかく皇帝宮自体に何かを仕掛けるというのは、妨害をするには間違ったやり方ではないと言える。
しかし、協定の当日は厳重な警備になるぞ。
我がプラチナ帝国が誇る魔法騎士団のうち、皇帝宮警護の任をもつ第2軍はもとより帝都防衛の任をもつ第3軍を皇帝宮の警備に加えることが決まった。
また最強の実力をもつ第1軍も協定の場で警護をすることになり、魔法騎士団の総力をあげた戦力を整えた。
ここまでしたからには生半可な戦力では協定の場にすらたどり着けないだろう。
しかし、そのようなことは反対派の公爵たちはわかっているはずだ。
それがなんとも不気味である。
反対派はそれらを突破できるだけの戦力を用意したというのだろうか?
しかし魔法騎士団に対抗できる戦力といえばシルバー王国の王国軍ぐらいだろう。
それもジングートらの将軍が率いるシルバー王国軍こそがわが帝国の魔法騎士団とと互角に戦うことができる軍なのだ。
話がそれた。
えーと、あー協定についてだったな。
協定をむすぶための下準備はとどこおりなく進んでいると言っていい。
いくつか協定を結ぶにあたっての条件が残っておりそれらを確定すれば協定調印の式を段取りすることができるところまで進んでいるのだ。
あと1つ2つで終わるのだが、相手のジングート・サンライズ公爵どのはさすがやり手であるな。
「第一将ジングート」という名前のほうがわれわれには馴染みがある。
もともと智将として認識していたので頭の切れる男だと思っていた。
しかし戦争と外交では使う頭は違うものだと考えていたがそうではなかった。
戦争の達人は外交の達人でもあったのだ。
なかなかどうして。言葉は簡潔にして性格は質実剛健。なんなら誠実さすら感じる。
これは交渉相手として手強いがいったん同盟を結べば、これほど心強いものはいないだろう。
もう2、3日もすれば協定が結ばれ、シルバー王国とプラチナ帝国、その傘下の国が争いをすることは無くなる。
願わくば末永く付き合いたいものだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
あれから、数日かけて僕は3人の従者兼メイドとともにエボニーの町にたどり着いた。
「ふぅ、ここがエボニーの町でいいのかな」
町の看板を確認しようとすると、町の門を警備する警備隊に声をかけられた。
「お疲れ様、旅の方。ここはエボニーの町で間違いありませんよ」
「国境警備の砦がちかくにありますが兵士の方とその家族がいるので人口は多くここら辺一帯では一番大きな町になります」
「宿も充実していますのでぜひ宿で旅の疲れをとってくださいね」
と笑顔で説明をしてくれた。
僕は礼を言って町の中へ入り宿をとって部屋にはいった。
部屋に入ると、メイドの1人であるリューシェが
「英明なるご主人様、長旅お疲れ様でございました。この部屋のかべに異空間の出入口をおつくりいたしました」
「そこに夕食の準備を整えています。さらに入浴の用意と寝室にベッドもご用意いたしました。どうぞ中でおくつろぎくださいませ」
とにこやかな笑顔で言ってくれた。
僕はその言葉に従い体を休めることにした。
馬での移動は本来すごく疲れるのだが、この道中、僕はメイドたちが用意する異空間の中で快適にすごしてきたのであまり疲れていない。
もちろんリューシェたちメイドがとても甲斐甲斐しく世話をしてくれたことも理由にある。
体を休めて気持ちを落ち着くと、クリムソン様から受け取った小袋の中をみた。
中には指示書とアプリコット家の証となる紋章が入っていた。
指示書にはエボニー砦の守将と連携し、協定日の前後で砦が襲撃される可能性があるので臨戦体制でいるようにということが書いてあった。
その際、砦の守将に紋章を見せることで、僕が公爵の指示を受けたものであるということを見せるようにということまで指示されていた。
よしこれで次にすることがわかったぞ。
エボニーの砦の守将に会うべくエボニー砦に向かうとしよう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
エボニー砦に着いた僕は、公爵の火急の要件で取り急ぎ守将に会いたいと紋章を見せながら、砦に入っていった。
砦の兵士は、最初は警戒していたが公爵家の紋章を見せただけで姿勢を正して僕を丁寧に案内してくれた。
紋章の効果はてきめんだな。
さて、守将はどんな方だろう。優しい方だといいな。
僕はそう考えながら指令室に入り、守将に紋章をみせて用件を伝えた。
守将の名は、フロスティ・ジャスパー騎士爵と言うらしい。隣にいるイオニアがこっそり教えてくれた。
一目見た時の印象は良くない。鼻を鳴らしこちらを値踏みするような目で見てくるのだ。
イオニアが言うには、平民から一代で手柄をあげ騎士爵をもらい、砦の守将にまでなったらしいが、本性は最低で部下の手柄を横取りし自分の手柄として認めさせる技術が超一流らしい。
だから僕にも気を付けてくださいねと付け加えられた。
横取りの技術が超一流って、笑えない。
イオニアもよくそんなことまで知ってるなあ。
ともあれ、僕はアプリコット家の家臣として動いている。
ならばしばらく砦に駐留させてもらい、何かあれば報告をしに戻ればいいだろう。
守将のフロスティ騎士爵さまも別に害をなすわけではないので、適度に距離をとって対応すれば問題ないと僕は判断した。
ちなみに、フロスティ騎士爵さまは紋章をみせるまでは居丈高で不機嫌な様子を隠そうとしなかったのに、紋章を見せ僕がアプリコット公爵家に繋がっていると分かったとたんに態度を一変させた。
ここまで態度を変える人は経験上、トラブルをおこしやすい。
砦の兵士もきっと苦労しているだろうなあと気の毒に感じた。
内務省長官をつとめているタンジェリン・マゼンタと申す。いわゆる”赤”の公爵家の当主じゃな。
我が家は代々、内政を担当する人材を輩出しており、おなじく”茶”のビスター家とならんで帝国の統治運営を代々任されてきた家である。
具体的には予算作成とその執行、徴税、建築土木、ギルドとの交渉にはじまり、内務省はじめ各省庁の人事権、他に教会との折衝に関することも私の担当になる。
仕事しすぎだな、わし。
治安維持いわゆる警察関係はもうひとつの”茶”のビスター家に担当してもらっている。
アプリコットの”橙”と”茶”の3家と皇帝陛下はこの協定の賛成派だ。
内政を担当する我が家は帝国と傘下の王国の国力を把握しており、それぞれの経済力、軍事力を計算して帝国の運営をしている。
それらを総合的にあわせた結果、戦争はできないと断じた。
最大の理由は大魔導士イオニーア様がいないという1点である。
この事実を隠しつつシルバー王国と協定を結ばなければいけない。
この事実を知るものは帝国内でも限られている。なんだったら公爵ですら知らないものもいる。
そして、その者たちがこの協定に牙をむいている。
気持ちはわからなくもないが。
そしてどのような形で協定をつぶす行動を起こすのか探らせていたが、つい先日、アプリコット家の諜報員たちがその具体的な中身をつかんだそうだ。
さすがアプリコット家は優秀なものを取り揃えておるわ。
あとつぎのクリムソン殿も大変優秀であられるし、次の代もアプリコット家は安泰であるな。羨ましい。
話がそれたが、反対派はどうやら、協定の日、多くの国内の要人とシルバー王国の代表があつまる皇帝宮に何かを仕掛けるようだ。
また、計画の一部には国境の砦が襲撃されるそうだ。
しかし、砦を襲撃するにしても一体どこの軍が担当するのであろう。
シルバー王国軍ぐらいしか相手にできないぐらい我が国の砦は強固だぞ。
砦のことはともかく皇帝宮自体に何かを仕掛けるというのは、妨害をするには間違ったやり方ではないと言える。
しかし、協定の当日は厳重な警備になるぞ。
我がプラチナ帝国が誇る魔法騎士団のうち、皇帝宮警護の任をもつ第2軍はもとより帝都防衛の任をもつ第3軍を皇帝宮の警備に加えることが決まった。
また最強の実力をもつ第1軍も協定の場で警護をすることになり、魔法騎士団の総力をあげた戦力を整えた。
ここまでしたからには生半可な戦力では協定の場にすらたどり着けないだろう。
しかし、そのようなことは反対派の公爵たちはわかっているはずだ。
それがなんとも不気味である。
反対派はそれらを突破できるだけの戦力を用意したというのだろうか?
しかし魔法騎士団に対抗できる戦力といえばシルバー王国の王国軍ぐらいだろう。
それもジングートらの将軍が率いるシルバー王国軍こそがわが帝国の魔法騎士団とと互角に戦うことができる軍なのだ。
話がそれた。
えーと、あー協定についてだったな。
協定をむすぶための下準備はとどこおりなく進んでいると言っていい。
いくつか協定を結ぶにあたっての条件が残っておりそれらを確定すれば協定調印の式を段取りすることができるところまで進んでいるのだ。
あと1つ2つで終わるのだが、相手のジングート・サンライズ公爵どのはさすがやり手であるな。
「第一将ジングート」という名前のほうがわれわれには馴染みがある。
もともと智将として認識していたので頭の切れる男だと思っていた。
しかし戦争と外交では使う頭は違うものだと考えていたがそうではなかった。
戦争の達人は外交の達人でもあったのだ。
なかなかどうして。言葉は簡潔にして性格は質実剛健。なんなら誠実さすら感じる。
これは交渉相手として手強いがいったん同盟を結べば、これほど心強いものはいないだろう。
もう2、3日もすれば協定が結ばれ、シルバー王国とプラチナ帝国、その傘下の国が争いをすることは無くなる。
願わくば末永く付き合いたいものだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
あれから、数日かけて僕は3人の従者兼メイドとともにエボニーの町にたどり着いた。
「ふぅ、ここがエボニーの町でいいのかな」
町の看板を確認しようとすると、町の門を警備する警備隊に声をかけられた。
「お疲れ様、旅の方。ここはエボニーの町で間違いありませんよ」
「国境警備の砦がちかくにありますが兵士の方とその家族がいるので人口は多くここら辺一帯では一番大きな町になります」
「宿も充実していますのでぜひ宿で旅の疲れをとってくださいね」
と笑顔で説明をしてくれた。
僕は礼を言って町の中へ入り宿をとって部屋にはいった。
部屋に入ると、メイドの1人であるリューシェが
「英明なるご主人様、長旅お疲れ様でございました。この部屋のかべに異空間の出入口をおつくりいたしました」
「そこに夕食の準備を整えています。さらに入浴の用意と寝室にベッドもご用意いたしました。どうぞ中でおくつろぎくださいませ」
とにこやかな笑顔で言ってくれた。
僕はその言葉に従い体を休めることにした。
馬での移動は本来すごく疲れるのだが、この道中、僕はメイドたちが用意する異空間の中で快適にすごしてきたのであまり疲れていない。
もちろんリューシェたちメイドがとても甲斐甲斐しく世話をしてくれたことも理由にある。
体を休めて気持ちを落ち着くと、クリムソン様から受け取った小袋の中をみた。
中には指示書とアプリコット家の証となる紋章が入っていた。
指示書にはエボニー砦の守将と連携し、協定日の前後で砦が襲撃される可能性があるので臨戦体制でいるようにということが書いてあった。
その際、砦の守将に紋章を見せることで、僕が公爵の指示を受けたものであるということを見せるようにということまで指示されていた。
よしこれで次にすることがわかったぞ。
エボニーの砦の守将に会うべくエボニー砦に向かうとしよう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
エボニー砦に着いた僕は、公爵の火急の要件で取り急ぎ守将に会いたいと紋章を見せながら、砦に入っていった。
砦の兵士は、最初は警戒していたが公爵家の紋章を見せただけで姿勢を正して僕を丁寧に案内してくれた。
紋章の効果はてきめんだな。
さて、守将はどんな方だろう。優しい方だといいな。
僕はそう考えながら指令室に入り、守将に紋章をみせて用件を伝えた。
守将の名は、フロスティ・ジャスパー騎士爵と言うらしい。隣にいるイオニアがこっそり教えてくれた。
一目見た時の印象は良くない。鼻を鳴らしこちらを値踏みするような目で見てくるのだ。
イオニアが言うには、平民から一代で手柄をあげ騎士爵をもらい、砦の守将にまでなったらしいが、本性は最低で部下の手柄を横取りし自分の手柄として認めさせる技術が超一流らしい。
だから僕にも気を付けてくださいねと付け加えられた。
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イオニアもよくそんなことまで知ってるなあ。
ともあれ、僕はアプリコット家の家臣として動いている。
ならばしばらく砦に駐留させてもらい、何かあれば報告をしに戻ればいいだろう。
守将のフロスティ騎士爵さまも別に害をなすわけではないので、適度に距離をとって対応すれば問題ないと僕は判断した。
ちなみに、フロスティ騎士爵さまは紋章をみせるまでは居丈高で不機嫌な様子を隠そうとしなかったのに、紋章を見せ僕がアプリコット公爵家に繋がっていると分かったとたんに態度を一変させた。
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