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本編 絶倫男爵に取り憑かれた王子と見鬼の私
微妙な関係
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“本日から一週間ほどお会いできません”
ハンナはメッセージを送信すると、鞄からカイロを取り出して包装を破る。テープを剥がして下着の上から腰に貼ると、カーディガンを羽織った。
生理痛は殆んど無いが、腰は重くなる。冷房もきつく感じるので、カイロと防寒具は必需なのだ。
「ハンナ、例の飲み会さ、来月の二週目で良い?」
ユカがこそっと話しかけてきた。
「うん。何曜日?」
「金曜日かな」
金曜日は此原のマンションにお泊まりするのが定番だが……1日くらい良いよね。
「わかった、ありがとね」
ハンナはユカを笑顔で見送った。
着信音が鳴り、ハンナは机の上に置かれたスマホを手に取る。
此原からの返信だ。
“夕飯だけでも食べにおいで”
ハンナは頭を抱えた。
必要以上に仲良くなるべきでは無いと思うのに、此原は屈託無くハンナとの距離を詰めてくる。
「百回達成が目的だとしても、僕は義務的に広瀬さんを抱くのは嫌だ。心が通ったセックスがしたい」
もう少し効率良く淡々と回数を稼ぐべきでは、というハンナの提案に、此原は憮然とした表情でそう返した。
「僕をそんな利己的な男にしないで欲しい。モンスターに取り憑かれていようが、他人を尊重する心は失いたくない」
ぐうの音も出ないハンナは、此原のやり方に従うしかなかった。
まるで、恋人のように振る舞う此原に戸惑いつつも、決して自惚れないように、自らのお尻をつねり続けた。
此原さんが好き……でも、正直言って最近は一緒にいるのが苦しい。
順調に行為の回数を重ねて先が見えてきた今、同時にこの関係が終わる日の事が頻繁に頭をよぎるようになった。
思い悩んだ挙げ句、ハンナは返信した。
“今日は体調が良くないので止めておきます”
「広瀬さん、ちょっと良い?」
それから数日後、ハンナの部署に此原が現れた。
普段接点の無い此原の来訪に、周囲の女子社員は色めき立ち、男性社員は訝しげな視線を向けている。
ハンナは内心冷や汗をかいていた。
しかし、此原は全く動じる様子はなく、普段通りの穏やかな笑顔を浮かべている。
「何でしょう」
「お願いしたいことがあるんだ」
ハンナは諦めて席を立った。
後で皆に詰問されること決定だ。
言い訳を考えなければ……
此原の背中を恨めしそうに見ながらハンナは後についていく。
しかし、公衆の面前で秘密の関係であるハンナに声をかけるなど、此原はいったいどういうつもりなのか。
渡り廊下にさしかかり、ハンナは確信した。
此原は旧社屋に向かっている。
何のために?
ハンナは眉をひそめた。
「資料室に用事があってね、チャンスだと思って広瀬さんを誘ったんだ。ここでならゆっくり話せるでしょ」
此原はいつぞやのように扉を閉めて鍵を掛けた。
「話とは」
此原は無言でハンナに向かって来た。
ハンナは後退る。
笑顔を浮かべているのに、物騒な威圧感を感じる。
どんっ、ハンナの背中が壁にぶつかった。
どんっ、続けて此原が左手を壁についた。
「わあ、壁ドン……初めてぇ」
ハンナは顔の側にある腕を見ながら呟く。
「広瀬さん」
「は、は、はいっ」
「もしかして、僕の事を避けてる?」
「め、滅相もございません」
「昨日も一昨日もその前も、僕んちに来なかったね」
「そ、それはそのう、女子の事情で」
ハンナは此原の胸を見ながら答えた。
とても視線は合わせられない。
「それについては僕も解ってる。無理やりするとでも思ってるの」
「此原さんはそんな事はされません。体調が良くなかっただけです」
「ふうん、じゃあ、今夜は来れる?」
ハンナは頷いた。
ここで機嫌を損ねては不味い。
最低限の友好な関係は維持しなければ。
しんどくても、最後までやり遂げる覚悟はある。
「ここ最近二人分の食事を想定して買い物をしているからね、食材が余って困るんだよ」
「すいません、でも、結構ですよ、毎日のようにご馳走になって申し訳ないです」
「僕が好きでやってることだよ。それでなくとも広瀬さんには無理をして貰ってるのに」
此原は棚を調べ始めた。その背後をそろそろとすり抜ける。
「広瀬さん」
ハンナは立ち止まった。
「土曜日だけど、映画を見に行かない?たまには出掛けるのも良いでしょ」
「何を言ってるんですか?!二人で出掛けるなんて誰かに見られたらどうするんですか!今だって部署まで呼びに来て……言い訳に困りますよ!」
驚き戦慄くハンナに対し、此原は平然とした表情を浮かべている。棚からファイルを取り出しながら、驚くべきことを告げた。
「じゃあ、付き合ってることにすれば良いよ」
ハンナは唖然として此原を見上げた。
「何を……」
「その方がやり易いよ、こそこそする必要がなくなって」
あと数ヵ月で解消する関係なのに、公認の恋人のふりをするなんて。
ハンナは両手を握りしめた。
別れた後の事を想像できないのか?
モテ男の此原にとってはたいしたことではないのかもしれない。
しかし、ハンナは違う。
間違いなく失恋のダメージを受ける上に、周りからも色々言われては堪らない。
此原だってきっとあることないこと噂される。
高ぶる感情に震えそうになる身体を抑え、声を絞り出す。
「……嫌です」
此原は動きを止めた。
「映画も行きません。このまま、内密に進めてください」
「嫌なの」
「はい」
ファイルを戻してこちらに身体を向けた此原は、腕を組み、ハンナを見下ろす。
「きっかけもやってることも普通じゃないけど、広瀬さんを巻き込んだ以上は、僕は責任はきちんと取ろうと思っている」
その言葉に、ハンナの心が一瞬で冷えた。
「責任なんてそんなもの此原さんが感じる必要はありません」
顔を上げて此原を睨む。
「責任というなら見鬼の力がある私にこそあります。見えてしまった以上、見て見ぬふりは出来ません。絶倫男爵から必ず此原さんを解放して見せます!」
此原は目を見開いた。
ハンナはくるりと背を向けて出口へ向かう。
「やっぱり今夜は遠慮します。お会いできるようになったら連絡しますので」
「広瀬さん!」
呼び掛けた声には答えず、ハンナは資料室を後にした。
……解っていた。
此原がハンナに罪悪感を抱いていることなど。
だけど、責任などと言う言葉は聞きたくなかった。
此原を救うことはハンナが決めたこと。
無理やり身体を奪われた訳じゃない。
この機会に恋人の座に収まろうなどという打算もない。
好きでもないくせに義務感で恋人になろうとするくらいなら、割り切って身体を重ねる関係に徹してくれた方がマシだ。
悶々としながら部署に戻ったハンナに、予想通りの好奇の目が集まった。
「何の用だったの?王子」
ユカが訊ね、他の女子社員も興味津々という態度を隠さず寄ってきた。
「うん、私が前に担当したお蔵入りになった商品の詳細が知りたかったみたい。資料室まで案内してファイルを渡してきた」
「何だって今更そんなもの」
「知らない、訊いてない」
ユカが呆れたように言う。
「王子と話せるせっかくの機会なのに、バカねぇ」
「緊張しちゃって。やっぱりイケメンは遠くで眺めてるのが性にあってるわ」
ハンナは、てへっと笑ってみせた。
とりあえず、皆もハンナの嘘を信じ、納得したようである。付け焼き刃としては上出来だろう。
「それにしてもあんな優良物件が独り身なんて勿体なさすぎる」
「優しい物腰のフェミニストだけど、誰の誘いにも乗らない難攻不落の城」
「私生活が想像出来ないわよね」
ハンナは皆の声を背中で聞きながら、キーボードを叩いた。
料理好きで意外に強引な人だよ。
泣き虫だし。
誰より此原を知っていることに、優越感が湧き上がる。それは、とても甘く、ハンナの胸を擽った。
でも、誰にも明かさない。此原さんへの想いは、ずっと心に秘めていく。
改めて決意するハンナは、ふと思いつく。
そうか、これが報酬だ。
憧れの王子とのあり得ない日々。
村娘Aが賜るひと時の甘い記憶。
きっと一生忘れない。
……いずれ、苦い想いと共に思い出すことになっても。
ハンナは両手を上に背伸びをすると、パソコンの画面に向かった。
あと二ヶ月余り、立派に役目を果たして見せる。
くよくよ悩むのは止めよう。
次に此原に会う時は、押し倒すくらいの勢いでいったる!
ハンナは奮起した。
ハンナはメッセージを送信すると、鞄からカイロを取り出して包装を破る。テープを剥がして下着の上から腰に貼ると、カーディガンを羽織った。
生理痛は殆んど無いが、腰は重くなる。冷房もきつく感じるので、カイロと防寒具は必需なのだ。
「ハンナ、例の飲み会さ、来月の二週目で良い?」
ユカがこそっと話しかけてきた。
「うん。何曜日?」
「金曜日かな」
金曜日は此原のマンションにお泊まりするのが定番だが……1日くらい良いよね。
「わかった、ありがとね」
ハンナはユカを笑顔で見送った。
着信音が鳴り、ハンナは机の上に置かれたスマホを手に取る。
此原からの返信だ。
“夕飯だけでも食べにおいで”
ハンナは頭を抱えた。
必要以上に仲良くなるべきでは無いと思うのに、此原は屈託無くハンナとの距離を詰めてくる。
「百回達成が目的だとしても、僕は義務的に広瀬さんを抱くのは嫌だ。心が通ったセックスがしたい」
もう少し効率良く淡々と回数を稼ぐべきでは、というハンナの提案に、此原は憮然とした表情でそう返した。
「僕をそんな利己的な男にしないで欲しい。モンスターに取り憑かれていようが、他人を尊重する心は失いたくない」
ぐうの音も出ないハンナは、此原のやり方に従うしかなかった。
まるで、恋人のように振る舞う此原に戸惑いつつも、決して自惚れないように、自らのお尻をつねり続けた。
此原さんが好き……でも、正直言って最近は一緒にいるのが苦しい。
順調に行為の回数を重ねて先が見えてきた今、同時にこの関係が終わる日の事が頻繁に頭をよぎるようになった。
思い悩んだ挙げ句、ハンナは返信した。
“今日は体調が良くないので止めておきます”
「広瀬さん、ちょっと良い?」
それから数日後、ハンナの部署に此原が現れた。
普段接点の無い此原の来訪に、周囲の女子社員は色めき立ち、男性社員は訝しげな視線を向けている。
ハンナは内心冷や汗をかいていた。
しかし、此原は全く動じる様子はなく、普段通りの穏やかな笑顔を浮かべている。
「何でしょう」
「お願いしたいことがあるんだ」
ハンナは諦めて席を立った。
後で皆に詰問されること決定だ。
言い訳を考えなければ……
此原の背中を恨めしそうに見ながらハンナは後についていく。
しかし、公衆の面前で秘密の関係であるハンナに声をかけるなど、此原はいったいどういうつもりなのか。
渡り廊下にさしかかり、ハンナは確信した。
此原は旧社屋に向かっている。
何のために?
ハンナは眉をひそめた。
「資料室に用事があってね、チャンスだと思って広瀬さんを誘ったんだ。ここでならゆっくり話せるでしょ」
此原はいつぞやのように扉を閉めて鍵を掛けた。
「話とは」
此原は無言でハンナに向かって来た。
ハンナは後退る。
笑顔を浮かべているのに、物騒な威圧感を感じる。
どんっ、ハンナの背中が壁にぶつかった。
どんっ、続けて此原が左手を壁についた。
「わあ、壁ドン……初めてぇ」
ハンナは顔の側にある腕を見ながら呟く。
「広瀬さん」
「は、は、はいっ」
「もしかして、僕の事を避けてる?」
「め、滅相もございません」
「昨日も一昨日もその前も、僕んちに来なかったね」
「そ、それはそのう、女子の事情で」
ハンナは此原の胸を見ながら答えた。
とても視線は合わせられない。
「それについては僕も解ってる。無理やりするとでも思ってるの」
「此原さんはそんな事はされません。体調が良くなかっただけです」
「ふうん、じゃあ、今夜は来れる?」
ハンナは頷いた。
ここで機嫌を損ねては不味い。
最低限の友好な関係は維持しなければ。
しんどくても、最後までやり遂げる覚悟はある。
「ここ最近二人分の食事を想定して買い物をしているからね、食材が余って困るんだよ」
「すいません、でも、結構ですよ、毎日のようにご馳走になって申し訳ないです」
「僕が好きでやってることだよ。それでなくとも広瀬さんには無理をして貰ってるのに」
此原は棚を調べ始めた。その背後をそろそろとすり抜ける。
「広瀬さん」
ハンナは立ち止まった。
「土曜日だけど、映画を見に行かない?たまには出掛けるのも良いでしょ」
「何を言ってるんですか?!二人で出掛けるなんて誰かに見られたらどうするんですか!今だって部署まで呼びに来て……言い訳に困りますよ!」
驚き戦慄くハンナに対し、此原は平然とした表情を浮かべている。棚からファイルを取り出しながら、驚くべきことを告げた。
「じゃあ、付き合ってることにすれば良いよ」
ハンナは唖然として此原を見上げた。
「何を……」
「その方がやり易いよ、こそこそする必要がなくなって」
あと数ヵ月で解消する関係なのに、公認の恋人のふりをするなんて。
ハンナは両手を握りしめた。
別れた後の事を想像できないのか?
モテ男の此原にとってはたいしたことではないのかもしれない。
しかし、ハンナは違う。
間違いなく失恋のダメージを受ける上に、周りからも色々言われては堪らない。
此原だってきっとあることないこと噂される。
高ぶる感情に震えそうになる身体を抑え、声を絞り出す。
「……嫌です」
此原は動きを止めた。
「映画も行きません。このまま、内密に進めてください」
「嫌なの」
「はい」
ファイルを戻してこちらに身体を向けた此原は、腕を組み、ハンナを見下ろす。
「きっかけもやってることも普通じゃないけど、広瀬さんを巻き込んだ以上は、僕は責任はきちんと取ろうと思っている」
その言葉に、ハンナの心が一瞬で冷えた。
「責任なんてそんなもの此原さんが感じる必要はありません」
顔を上げて此原を睨む。
「責任というなら見鬼の力がある私にこそあります。見えてしまった以上、見て見ぬふりは出来ません。絶倫男爵から必ず此原さんを解放して見せます!」
此原は目を見開いた。
ハンナはくるりと背を向けて出口へ向かう。
「やっぱり今夜は遠慮します。お会いできるようになったら連絡しますので」
「広瀬さん!」
呼び掛けた声には答えず、ハンナは資料室を後にした。
……解っていた。
此原がハンナに罪悪感を抱いていることなど。
だけど、責任などと言う言葉は聞きたくなかった。
此原を救うことはハンナが決めたこと。
無理やり身体を奪われた訳じゃない。
この機会に恋人の座に収まろうなどという打算もない。
好きでもないくせに義務感で恋人になろうとするくらいなら、割り切って身体を重ねる関係に徹してくれた方がマシだ。
悶々としながら部署に戻ったハンナに、予想通りの好奇の目が集まった。
「何の用だったの?王子」
ユカが訊ね、他の女子社員も興味津々という態度を隠さず寄ってきた。
「うん、私が前に担当したお蔵入りになった商品の詳細が知りたかったみたい。資料室まで案内してファイルを渡してきた」
「何だって今更そんなもの」
「知らない、訊いてない」
ユカが呆れたように言う。
「王子と話せるせっかくの機会なのに、バカねぇ」
「緊張しちゃって。やっぱりイケメンは遠くで眺めてるのが性にあってるわ」
ハンナは、てへっと笑ってみせた。
とりあえず、皆もハンナの嘘を信じ、納得したようである。付け焼き刃としては上出来だろう。
「それにしてもあんな優良物件が独り身なんて勿体なさすぎる」
「優しい物腰のフェミニストだけど、誰の誘いにも乗らない難攻不落の城」
「私生活が想像出来ないわよね」
ハンナは皆の声を背中で聞きながら、キーボードを叩いた。
料理好きで意外に強引な人だよ。
泣き虫だし。
誰より此原を知っていることに、優越感が湧き上がる。それは、とても甘く、ハンナの胸を擽った。
でも、誰にも明かさない。此原さんへの想いは、ずっと心に秘めていく。
改めて決意するハンナは、ふと思いつく。
そうか、これが報酬だ。
憧れの王子とのあり得ない日々。
村娘Aが賜るひと時の甘い記憶。
きっと一生忘れない。
……いずれ、苦い想いと共に思い出すことになっても。
ハンナは両手を上に背伸びをすると、パソコンの画面に向かった。
あと二ヶ月余り、立派に役目を果たして見せる。
くよくよ悩むのは止めよう。
次に此原に会う時は、押し倒すくらいの勢いでいったる!
ハンナは奮起した。
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