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4.マリカの実-4
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「どうぞ、お召し上がり下さい」
男はニッコリ笑った。
しまった、うっかり見とれてしまった。
どことなく国王に似ているような…つまり、かなりの美貌だ。
ガルシアは美人が多いのかしら。
カリーナはドギマギしながら掌の上の果実に手を伸ばそうとして、はた、と考えた。
このままで食べろと?
マリカの実には小指の先ほどの尖った種が2、3個入っている。
この種が物凄く苦いのだ。
カリーナは隠れ里に来て直ぐにこの種の洗礼を受けた。
その後、側にいた村長に食べ方を教わった。
初心者にはまず失敗させるのが村の習わしだった。 当然のごとくカリーナもミルトに対してそうしたわけだが…
へんな汗が出てきた。
いや、ここは何も知らないふりをして食べて見せるべきなんだろう。
だけど…あの苦さを再び味わうのは御免だ。
カリーナは再び目の前の男を見上げた。
男は輝くばかりの笑みを浮かべてカリーナを見つめている。
邪気のない笑顔に見えるだけに、知っていてやっているなら相当腹黒い男だと言える。
カリーナは覚悟を決めた。
そして、マリカの実を摘まむとぐっと指に力を入れて捻り潰した。
果汁を撒き散らして弾けとんだ種は3つ。
2つは地面に落ちたが、その内の1つが男の頬に命中した。
赤い果汁が男の白いチーフを汚した。
男の驚いた表情を確認してから、カリーナは掌の上でひしゃげた赤い実を舐めとった。
「とても美味しいですわ」
カリーナは挑戦的に笑って見せた。
カリーナのベールにも赤い果汁の染みが点々とついていた。今日の淡い水色のドレスも当然汚れただろう。
これで園遊会を退出する理由が出来たというものだ。
「ご馳走さまでした。それでは、私はこれで失礼いたします」
カリーナは一礼すると再び男に背を向けた。
その時、いきなり突風が吹いた。
カリーナのベールが花の飾りの止めピンごと上空に舞い上がった。
ベールはそのまましばらく漂っていたが、翻りながら下降し、先ほど男が登っていた木の枝の上にひっかかった。
カリーナは唖然としてベールを見上げた。
辺りはしんと静まりかえっている。
先ほどと同じように木々の葉ひとつ揺れておらず、穏やかな日差しが邪魔されることなく降り注いでいる。
視線を感じて、カリーナは恐る恐るそちらに顔を向けた。
男がネイビーブルーの瞳を見開いてこちらを凝視していた。
男はニッコリ笑った。
しまった、うっかり見とれてしまった。
どことなく国王に似ているような…つまり、かなりの美貌だ。
ガルシアは美人が多いのかしら。
カリーナはドギマギしながら掌の上の果実に手を伸ばそうとして、はた、と考えた。
このままで食べろと?
マリカの実には小指の先ほどの尖った種が2、3個入っている。
この種が物凄く苦いのだ。
カリーナは隠れ里に来て直ぐにこの種の洗礼を受けた。
その後、側にいた村長に食べ方を教わった。
初心者にはまず失敗させるのが村の習わしだった。 当然のごとくカリーナもミルトに対してそうしたわけだが…
へんな汗が出てきた。
いや、ここは何も知らないふりをして食べて見せるべきなんだろう。
だけど…あの苦さを再び味わうのは御免だ。
カリーナは再び目の前の男を見上げた。
男は輝くばかりの笑みを浮かべてカリーナを見つめている。
邪気のない笑顔に見えるだけに、知っていてやっているなら相当腹黒い男だと言える。
カリーナは覚悟を決めた。
そして、マリカの実を摘まむとぐっと指に力を入れて捻り潰した。
果汁を撒き散らして弾けとんだ種は3つ。
2つは地面に落ちたが、その内の1つが男の頬に命中した。
赤い果汁が男の白いチーフを汚した。
男の驚いた表情を確認してから、カリーナは掌の上でひしゃげた赤い実を舐めとった。
「とても美味しいですわ」
カリーナは挑戦的に笑って見せた。
カリーナのベールにも赤い果汁の染みが点々とついていた。今日の淡い水色のドレスも当然汚れただろう。
これで園遊会を退出する理由が出来たというものだ。
「ご馳走さまでした。それでは、私はこれで失礼いたします」
カリーナは一礼すると再び男に背を向けた。
その時、いきなり突風が吹いた。
カリーナのベールが花の飾りの止めピンごと上空に舞い上がった。
ベールはそのまましばらく漂っていたが、翻りながら下降し、先ほど男が登っていた木の枝の上にひっかかった。
カリーナは唖然としてベールを見上げた。
辺りはしんと静まりかえっている。
先ほどと同じように木々の葉ひとつ揺れておらず、穏やかな日差しが邪魔されることなく降り注いでいる。
視線を感じて、カリーナは恐る恐るそちらに顔を向けた。
男がネイビーブルーの瞳を見開いてこちらを凝視していた。
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