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5.美貌の騎士-1
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「不躾に見ないでいただけるかしら」
カリーナは開き直って腰に両手をあてて、真っ向から男の視線を受け止めた。
男ははっとして片手で口を覆うと視線を逸らした。
カリーナの本当の髪色はミルクティブラウンだ。
瞳は琥珀色。
ちなみに隠れ里では髪は黒く染め、瞳も魔道具でブラウンに変えていた。
不思議なことにそれだけのことでかなり印象が変わる。
「そのまま、そちらに10歩進んだところで向こうを向いていただけるかしら。しばらくそのままで、決してこちらを見ないで下さいね」
男は黙ってカリーナの言葉に従った。
存外素直な性格のようだ。
紺色のロングジャケットはガルシア騎士団の高位の制服であったはずだ。
長身の背中はがっちりとしているし、先ほどの身のこなしをみても中々の腕前であるのだろう。
カリーナは男の背中を横目で見ながらドレスをたくしあげると、大木の下枝に足をかけた。
(木登りなんて久しぶり。でも、思った通りなかなかの枝ぶり。登りやすい)
カリーナは太い枝の上で立ち上がると頭上の枝に引っ掛っていたベールを回収した。
ふと下を見ると律儀に向こうを向いて立っている男のつむじが見えた。
無防備だなぁ。怪しい女の言うことに易々と従うなんて、騎士としてどうなんだろう?というか、やり過ぎたよね、私、完全に。
カリーナはこの後どうしよう、と我にかえって考え始めたが、我慢しきれずに振り返った男の視線に捉えられ、思考は中断された。
男は目を見開いてこちらを見ている。
(そりゃそうよね。驚くわよね。妙齢の令嬢がすることじゃないわよね。しかも私ってば王女だし)
しかし、カリーナは妙にこの男に親近感を感じていた。
胡散臭いところはあるが、どこか心根の素直さが透けて見える。
高い位にありながら、園遊会をサボって木登りしていたくらいだから気が合いそうだ。
「貴方もこちらにお座りにならない?」
男はカリーナの誘いに一瞬ポカンとしたあと、嬉しそうに笑った。
その笑顔がとても可愛らしかったのでカリーナも釣られて笑ってしまった。
カリーナは開き直って腰に両手をあてて、真っ向から男の視線を受け止めた。
男ははっとして片手で口を覆うと視線を逸らした。
カリーナの本当の髪色はミルクティブラウンだ。
瞳は琥珀色。
ちなみに隠れ里では髪は黒く染め、瞳も魔道具でブラウンに変えていた。
不思議なことにそれだけのことでかなり印象が変わる。
「そのまま、そちらに10歩進んだところで向こうを向いていただけるかしら。しばらくそのままで、決してこちらを見ないで下さいね」
男は黙ってカリーナの言葉に従った。
存外素直な性格のようだ。
紺色のロングジャケットはガルシア騎士団の高位の制服であったはずだ。
長身の背中はがっちりとしているし、先ほどの身のこなしをみても中々の腕前であるのだろう。
カリーナは男の背中を横目で見ながらドレスをたくしあげると、大木の下枝に足をかけた。
(木登りなんて久しぶり。でも、思った通りなかなかの枝ぶり。登りやすい)
カリーナは太い枝の上で立ち上がると頭上の枝に引っ掛っていたベールを回収した。
ふと下を見ると律儀に向こうを向いて立っている男のつむじが見えた。
無防備だなぁ。怪しい女の言うことに易々と従うなんて、騎士としてどうなんだろう?というか、やり過ぎたよね、私、完全に。
カリーナはこの後どうしよう、と我にかえって考え始めたが、我慢しきれずに振り返った男の視線に捉えられ、思考は中断された。
男は目を見開いてこちらを見ている。
(そりゃそうよね。驚くわよね。妙齢の令嬢がすることじゃないわよね。しかも私ってば王女だし)
しかし、カリーナは妙にこの男に親近感を感じていた。
胡散臭いところはあるが、どこか心根の素直さが透けて見える。
高い位にありながら、園遊会をサボって木登りしていたくらいだから気が合いそうだ。
「貴方もこちらにお座りにならない?」
男はカリーナの誘いに一瞬ポカンとしたあと、嬉しそうに笑った。
その笑顔がとても可愛らしかったのでカリーナも釣られて笑ってしまった。
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