星の誓い〜異国の姫はアイスブルーの騎士に溺愛される〜

すなぎ もりこ

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5.美貌の騎士-2

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大木の枝に並んで腰かける異国の姫と大国の騎士などそうそう拝める光景ではないだろうなぁ。

と思いながら、改めて隣の男を観察した。

良い歳をして落ち着きなく足をぶらぶらさせている。


「先ほどは酷いことをしてしまってごめんなさい。そのスカーフ弁償するわ」


男はカリーナに顔を向けた。


「気にしないで。貴女の方がドレスもベールも汚れてしまったのだし。僕が無理にマリカの実を勧めたせいで…」


まあ、色々追及したいことはあるけど、カリーナも大人げなかったのだ。


「その制服は、王国の騎士団の方だとお見受けしますけど、合ってますかしら?」


男は右手を胸に当てて頭を下げた。


「王国騎士団副団長を務めておりますアルフレッド=ドガ=バイオレットです。お見知りおき下さい、姫君」


枝に腰掛けながら失礼します、とアルフレッドは照れ臭そうに笑った。


「私はカリーナ=オザ=ジスペインです。よろしくバイオレット様。お若いのにあの有名なガルシア騎士団の副団長だなんて優秀なんですのね」

「いえ…僕の場合、直系ではないのですが、王族の血縁なので実力で任命された訳ではないんです」


ああ、だから国王に似てると思ったのか。

しかし、ガルシア王国の騎士団の強さは各国周知の事実だ。

同盟国になり、ガルシアの後ろ楯を得れば他国の侵略に怯えることはない。

魔道師と屈強な騎士で構成された騎士団が派遣されれば、瞬く間に敵国を退けられるからだ。

いくら王族の血縁者だからとはいえ、精鋭揃いの騎士団において実力の無い人物を要職に据える訳がない。


「貴方が謙虚な方だということはわかりましたわ」


カリーナが微笑むと、アルフレッドは困ったように頭を掻いた。


アルフレッドは思った通り役職に似合わず飾らない男だった。

知識も豊富で話題に事欠かない上に聞き上手で、カリーナはすっかり警戒心を解いて話し込んでしまった。
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