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スピンオフ:【マルコの初恋】柔らかな感触と劣情(18R)

絡めとる企み

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ぐったりしたリズデの着衣を整え、自分に凭れさせた。

「信じられない…職場でこんな…」

リズデは力なく呟いた。
マルコはリズデの髪を撫でる。自分でも信じられない。
しかし、禁じられた環境の中での行為に思いのほか興奮したのも否めない。
リズデは嫌がるかもしれないが、機会があればまたやりたいと企む。

「もう少し休んだら出よう。泊まっていくだろ?」

リズデはちょっと思案した後、頷いた。

「でも、先日のように長居は出来ません」

先週末は結局翌々日の午後までリズデを引き留めたのだ。

「明日の晩に人と会う約束があるので」
「遅くなるなら迎えに行く」

マルコが被せ気味に言えば、リズデはそれは大丈夫だ、と答えた。
送ってもらえるという意味なら会うのは男だということだ。
マルコは、焦って問いかけた。

「誰と会うんだ?やっぱり迎えにいく」

リズデは、困ったように笑う。

「心配し過ぎです。大丈夫です。会うのは身内ですから」
「ドライガルの父上か?こちらに来ておられるのか」

リズデは少し逡巡してから、思いきったように顔を上げてマルコを見た。

「いえ、会うのは実の兄です。メルビン家の。実は、兄は公職についておりまして…」
「そうなのか。今までお会いしたことはないな」

まあ、公職員は数百人はいるからさすがのマルコも全員把握はしていないのだが、人事部門にいたこともあるため、かなり詳しいと自負している。
しかし、メルビンの名前は聞いたことがない。

「あの…これは、重要機密事項なので、口外はしないとお約束していただきたいのですが…実は、兄は諜報部門で勤務してまして」

マルコは固まった。

「え?まさか、いわゆる隠密なのか?」

リズデは、はあ…、と頷いた。

「先日の夜の犯人は、兄なんです。隠密の癖で、突然暗闇から現れて路地に引っ張りこむもんだから、私もびっくりしてしまって。逃げたのは正体を明かせないからで…すみません…」

なるほど、だからルビーにも言えなかった訳か。
諜報部門で勤務する者は、本当に近しい身内以外には勤務先を明かさないことになっている。

「任務中は、精巧な変装技術で全くの別人になっているそうで、身内でもわからないんですよ、それなのに声を掛けるから…あんなんで務まっているんでしょうか、確かに身体能力は昔から高かったけど」

リズデは、マルコに凭れてため息をついた。

「よっぽど妹が心配なんだろう?そりゃこんなに可愛いければな」

マルコはそういってリズデの額にキスをした。

「それはそうと、ガルシアに行った後は、プール国に寄って、そこからドライガルに行こうかと思っているんだが」
「ドライガルに?」
「まあ、順番としてはそちらが先だろう?いずれは近い内にメルビンにも行かないとな」

リズデは、身体を起こしてマルコをまじまじと見た。

「は?何故です?」
「そうであれば、やっぱり明日の晩は迎えに行くよ、兄上にも挨拶をしておきたい」

リズデは、眉を寄せて上目遣いでマルコを訝しげに見ている。

「そろそろ行こうか。食事は部屋に届けさせよう。美味しい果実酒を用意したんだ」

マルコはウインクすると、リズデの腕を取った。
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