(完結)異世界から召喚したアンドロイドに婚約者を取られたけれど、言い寄ってくる魔導師が可愛い

コーヒーブレイク

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魔力封印

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「う、うう……」

 ミゲルは地面に突っ伏したまま、うめき声を上げている。
 ジュリアはシャルルの制止を無視して、ミゲルを助け起こそうとした。

「ミゲル、しっかりして」

「うう……、ジュリア様、僕は、大丈夫です、心配しないで……」

 ミゲルはうつ伏せになったまま、唇だけを動かし、何かをしきりに唱えていた。

(何かしら……呪文……?)

 背中を何かに撃たれたように見えたけれど、外傷は見当たらない。ただ、ひどく苦しみ、起き上がれないようだ。

 影が落ちて、はっと顔を上げると、すぐ傍にシャルル第二王子が立っていた。幼い顔に似合わず、厳しい表情をしている。
 そして、驚くべきことを言った。

「そこをどいてもらえますか、ジュリア伯爵令嬢。お二人の会話を中断して申し訳ないが、この者は、私の兄、ジルベールを惑わせた罪で捕えさせていただきます」

「ジルベール様を惑わせた?」

「ええ、そうですよ。この魔導師は、異世界からアンドロイドという女を召還し、我が兄、未来の国王を腑抜けにした……。重罪です」

 シャルルは冷ややかにミゲルを見下ろした。

「ま、待って、シャルル殿下、ミゲルを連れて行かないで、話を聞いて下さい」

 ジュリアはミゲルに覆いかぶさろうとしたが、シャルルの護衛に無理矢理立たされ、自由を奪われた。

「手荒な真似をして申し訳ない、ジュリア伯爵令嬢。ちゃんと屋敷に送り届けさせますから」

 シャルルは厳しい顔を崩さなかった。そのまま屈んで、うつ伏せに倒れるミゲルの状態を調べた。護衛の一人が声をかける。

「殿下、危ないですよ」

「大丈夫だ。私も魔法が多少使えるしな。それに、魔力封印銃はうまく命中したようだ。どうだ、ミゲルとやら、魔力が放出できないだろう?」

 シャルルは手荒くミゲルの頭を掴んだ。ミゲルはなおもなにか呪文を口にしていた。

「なんだ、往生際が悪いな」

 シャルルは片頬を引きつらせると、

「この魔導師を王宮へ連れて行け! 色々と聞きたいことがあるからな! みんな吐かせてやる」

 取り囲む護衛に命じた。

「ミゲル! ミゲル!」

 ジュリアは必死にミゲルの名を呼んだが、ミゲルは答えず体を弛緩させたまま、護衛たちに引きずられるように、連れて行かれる。

 と、湖の前を通りすぎるとき、彼は突然、湖に向かって、大きな声で叫んだ。

「――、――、――!!」

 ジュリアには聞き取れない、魔法の呪文のようだった。

「無駄だ、お前の魔力は封印銃によって封じてある。魔法は使えない。無駄な抵抗はよせ」

 シャルルが興ざめしたように吐き捨てた。そして、

「雇われ魔導師の分際で、兄上を惑わせたことを後悔させてやるからな。覚悟しろよ」

 冷酷な笑みを浮かべた。 
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