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第六章 いざ、王都へ

第6話 そんなに臭いのか

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まずは捕縛した野盗達を街の衛兵に引き渡す為にゴルドさんと一緒に野盗を連れて街に転移する。

「じゃあ、そっちが終わったら連絡くれ。場所を空けとくからよ」
「うん、分かったよ」

ゴルドさんと分かれ、エリス達の待つところへ転移する。

「お疲れ様。じゃあ、こっちも行きましょうか」
「ああ」
「それで結局レイも連れて行くのね?」
「まあな。一度は現実を見て貰った方がいいだろ」
「そうね。ちょっと酷だけどコレばっかりはね」
「なんかあったらフォローよろしく」
「はいはい。じゃあ、行きましょ」
「「「は~い!」」」
「じゃあ、留守番よろしくね」
「約束忘れるなよ!」
「分かってるって。じゃあね」
「お土産よろしく!」
「お土産って……まあ、そう言われると一種のお土産になるのかな?」

領主代行の馬車から離れ、野盗達のアジトを目指す。

「ルー、場所は分かる?」
『はい。地図に出しますね』
「サンキュー。それほど離れてはいないけど、藪だからな」

ルーが表示してくれたアジトの場所は街道からそれほど離れてはいないように見えるがそこまでの道がないから、藪を切り開いて行くしかない。なるべく直線で行くつもりだが、まだ残党もいるから見付からないように注意する必要があるんだが、何故だから張り切っているコスモとショコラがバッサバッサと藪を切り払う。

「コスモ、ショコラ、もう少し静かにしなさいよ!」
「え~そんなのムリだよ」
「そうだぜ。大体静かにするってどういうことだよ」
「もう、そりゃそうだろうけど、そこはどうにかしなさいよ」
「どうにかって言われても……」
「そうだぞ。そんなの俺とショコラにはムリな話だ」
「ちょっと、ソルト。どうするの?」
「いいさ。俺も監視しているから、野盗達より早く対応するからさ。今は好きにさせなよ。せっかく張り切ってやってくれているんだからさ」
「まあ、ソルトがいいって言うんならいいけど。ちゃんと見といてよ」
「ああ、分かった分かった」

鼻歌まじりで藪を切り払うコスモとショコラにエリスが苦言を呈するが、久しぶりのお出掛けに大人しくなんて出来ないと言われてしまう。それならソルトから注意してもらおうと言ってはみたが、逆にソルトからは自由にさせてやれと言われてしまう。

「コスモ、ショコラ、止まって! もう、アジトが近いから」
「「は~い」」

そこからはソルトが先頭に立ち、大きな音や動きが見えないように慎重に藪を切り払い進んで行く。

「アレッぽいな」
「「「どれどれ?」」」

ソルトが指差した先には少しだけ開けた場所があり、いかにもな感じの風体の男二人が見張りとして立っていた。その男達の後ろには崖があり、人が通れるくらいの穴がぽっかりと開いていた。

「で、どうするの?」
「どうするって、こう……かな」
『はい、お任せを!』

エリスの質問にソルトはルーにお願いして見張りの二人を昏倒させる。

「やっぱりチートは便利ね」
「まあな。でもエリスならすぐに出来ると思うぞ」
「それはどうも。じゃあ、コスモ、ショコラ。二人に猿轡と両手両足をちゃんと縛ってね」
「「は~い」」
「じゃあ、中に入る……んだよね」
「レイ、ムリはしなくてもいいんだぞ」
「ううん、行くよ。行く気はあるんだけどさ……ここって野盗の巣なんでしょ。だとすればおじさんばかりだよね? ってことはよ。この中はおじさんの男臭さと加齢臭が凝縮された空間ってことなんだよね。大丈夫かな?」
「……」
「なによ!」
「いや。てっきり道徳的なことでイヤなのかと思ったんだけどさ」
「そうかな。でも臭いってイヤなことでしょ。間違ったことは言ってないよね?」

レイはエリス達女性陣に同意を求め、エリスもリリスもカスミもうんうんと黙って頷いている。

「ねえ、どうにか出来ないの?」
「「「お願い!」」」
「……」

女性陣にお願いされたソルトはオジサンの臭いが不快だと言われ、多少傷付いた感じはするが、まあ気持ちは分からないでもないので手段をなんとか考える。

「まあ、これなら大丈夫かな」

ソルトはブレスレットに『障壁』『消臭』『空気清浄』を組み込んだ魔石を嵌め込むとレイ達に渡す。

「使ってみて」
「うん、ありがとう……わっ凄い!」

レイは渡されたブレスレットを早速使ってみると、自分の周りの空気の流れが違ったことに驚愕する。

「うん、大丈夫。これなら行けそう」
「ホントに? あ! ホントだ!」

レイの様子を見てエリス達も使って見て違いを実感する。

「よし、じゃあ行くぞ」
「僕も欲しい!」
「俺もだ!」
「……」

ショコラとコスモにも消臭ブレスレットをねだられたので渡す。ソルトも最初は使う気はなかったが、オジサン達の臭いが移ったら嫌われるのかなと思い、ソルトも消臭ブレスレットを起動する。

「じゃあ、今度こそ行くぞ」
「「「は~い」」」

ソルトを先頭に野盗のアジトらしき穴に入っていく。穴の中は薄暗いが見えない程ではない。それに奥の方は火が焚かれているのか灯りが揺らいでいるのが分かる。それに何やら下卑た笑い声が聞こえてくる。どうやら、昼間っから呑んでいるようだ。そしてその聞こえてくる笑い声の中に時折悲鳴のような声も混じっているのが分かる。

「ソルト……」
「ああ、人質だろうな。レイ、いいのか?」
「……うん」
「じゃあ、行くぞ」
『お任せを……えい!』
「「「グエッ……」」」
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