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◆シビれました
「ちょっと早まったかな~」
さっきの思わずやらかしたことを考えていると、リーサさんが涙を拭きながらこっちをじ~っと見ていたと思ったら、上着の裾を掴んで脱ごうとするのを慌てて止める。
「な、何やってんですか!リーサさん!」
「何って『ナニ』だろ。あ、そうか!」
小走りで窓に近付くとカーテンを閉じる。
「誰も見ていないと思うけど、恥ずかしいか。それとも見られる方が好みか?」
「だから、違うから!」
「あ、そうか灯りも消さないとな。」
灯りを小さくして『常夜灯』くらいまで落とす。
「全く見えなくなると困るからな。ケインのこともよく見たいから、本当は明るくしたいが。」
「違う!全然違うから。」
「あ、そうか。ここじゃダメだな。」
俺の腕を掴み、寝室へと誘うのでハリセンで頭を叩く。
「イッタ~もう何だケイン、もう『階段』登るんだろ?」
「だ~か~ら~まだそういうことは出来ないから。ちゃんと聞いてる?」
「…すまない、嬉しくてつい。」
「まあいいよ。お昼も食べたし、そろそろ戻るよ。」
独身寮の食堂へと向かうが、歩きづらい。
それは何故か、リーサさんが後ろから抱きつくように覆いかぶさっているからだ。
「リーサさん、歩きづらい。離れて!」
「断る。もう少しこのままでいたい。」
「もう着くから、離れて………ガンツさん?」
こっちをジーっと見つめるガンツさんと目が合う。
「ケインよ、その密着具合からすると、まさかそのババアと…」
『スパーン』と後ろからアンジェさんに頭を叩かれ、悶絶するガンツさん。
そしてアンジェさんが俺に追い討ちをかける。
「例え、そうでもそう言うことを人前で口にしない!」
「もうアンジェさんまで。違うから、ねえリーサさんも何か言ってよ。」
「ああ、ケインから初めてしてくれたんでな。まだ体の一部が「な、何言ってんの!違うから、ほら皆んなが見てるから!聞いてるから!」…そうか、聞きたいのだな、なら聞かせてやろう。実はな…」
「「「「「「「ゴクリ…」」」」」」」『スパーン』
ハリセンでリーサさんを黙らせた後、ガンツさん達に向き直り、告げる。
「全くの誤解です。皆さんが想像しているようなやましいことは何一つありませんから。」
「なんじゃつまらん。」「まあヘタレだからの。」「またガンツの早とちりじゃ。」
好き勝手に言われるが、ここで反論すると泥沼になるので、我慢するしかない。
後でまた一騒ぎあるよな~そんなイヤな予感を感じつつ食堂へと入る。
「あ~まだ痛いわ。」
ガンツさんが後頭部をさすりながら、ブウたれる。
「ケインよ、さっきはスマンかったな。あれからアンジェと話し合ってな。互いに意地を張り過ぎと嗜められたよ。」
「俺も言い過ぎました。ごめんなさい。」
「ああいい、いいさ。謝罪よりたっぷりと手伝ってもらうからの。(ニヤリ)」
「ガンツさん…いいですよ。ヤリ過ぎって言われるくらい手伝いますから。(ニヤリ)」
「それは勘弁じゃ…」
「またケインはジジイとイチャイチャして!」
「リーサさん、あまり男同士の間には入り込まない方がいいわよ。ああいうのは『またバカやっている』くらいで遠くから見ているのがちょうどいいの。」
「ええ、でも、あんな仲がいいのはちょっと羨ましいというか…」
「そういうのは後で二人っきりになった時に返して貰えばいいのよ。ガンツもね…「「おい、そこ!」」…あら、この話はまた今度ね。リーサさん。」
「はい、絶対に!」
「ったく油断ならねぇババアどもだな。」『スパパーン』
アンジェさんリーサさんが二人で綺麗にガンツさんの後頭部にハリセンをお見舞いする。
「あら、これいいわね。ケイン君、これもらっていいかしら?」
黙って頷くと大事そうに抱えて、ガンツさんに向き直る。
「『ババア』言わない!」
「悪かった。でもよ、そこのバ「あ~ん?」…そこのリーサもワシをジジイ呼ばわりするんだぞ。アイツもそれで矯正しろよ!」
「それもそうね、ねえリーサさん、あなたも今までのこともあるから色々思うことはあるでしょうけど、将来の旦那様の相棒でもあるこのガンツをジジイ呼ばわりするのは対外的にもマズイと思うの。どうかしら、『ガンツさん』とまでは言わないけど、せめて『ガンツ』とこのジジイを呼んでもらえるかしら。この通り頼みます。」
アンジェさんがリーサさんに頭を下げるのでリーサさんも慌ててアンジェさんに寄り顔を上げさせる。
「アンジェさん、私の方こそ申し訳ありませんでした。これからはお互いのだ…だ…うん、落ち着け落ち着けリーサ~、ファイトォ!リーサ!やれば出来る子なんだから、よし!…お互いの旦那様の為に共に支えていきましょう。ああ言えた~きゃっ『旦那様』だって。」
「(リーサさん、全部聞こえているから。)」
「(ケインよ、詰んだな。まあ頑張れよ。アンジェと近い匂いがするが。まあワシも通ってきた道じゃ。いつでも相談にはのるぞ。)」
「あなた!」「ケイン!」「「コソコソしない!」」
食堂でそんな小芝居をすれば、どうしても人目には着くもの。
ふと周りを見渡せば温~くこちらを見られていた。
気を取り直して、奥で待つ頬杖をつき呆れ顔でこちらを見ていたガンボさんの元へと歩く。
「や~っと来たか、食堂に入る前も一騒ぎあったようだが、食堂に入ってからもあんな小芝居を見せられるとはな。まあ面白かったからいいが。」
「そう言うてくれるなガンボよ、これからケインは茨の道を歩くことが決まったんじゃ。のうケイン。」
バシッと背中を叩いてくるが、『茨の道』が頭から離れない。
本当にそうなのかな、前世の婆さんとの若い頃のあれこれを思い出そうとするが、昔過ぎてボヤ~ッとしか思い出せない。
もうなるようにしかならないか。
「じゃ話を始めましょうか。」
ドワーフタウンと河向こうの模型を出して就職希望者に説明する。
ある程度の説明が終わったところで、質問タイムへと移る。
「あの鉄道って、何?」「車とは何だ?」「重機ってどういうの?」
「まあそうなるよね。じゃガンツさん、この人達を魔導列車に乗せてツアーよろしく。」
「まあそれが早いか。じゃそこの駅まで引っ張って来るから、この場を繋いどいてくれ。」
「分かった、頼むね。」
「おう、じゃあな。」
ガンツさんが食堂を出て行くのを見ながら、リーサさんが「羨ましい」と呟く。
「ふふっああいう男同士に入るのは難しいでしょ。でもその内慣れるわよ。がんばってね。」
「アンジェさん、ガンツさんに里の防犯が心配だと聞いたので、こんな物を用意しました。」
アンジェさんにタブレットを渡し、スイッチを入れる。
「あら、これはもしかして…」「これって、俺らの里じゃね?」「おうそうだ。里が映っている。あれ!俺の家だ。」「あ、私のも!」
「ケイン君、これは?」
「ドワーフの里を上から映したものです。」
「「「「「上から?」」」」」
「例えば、ここならこういう感じで。」
大きめのモニターを出し、ドワーフタウンを上空から映した映像が流れる。
「ああちょうど、ガンツさんが車から降りて魔導列車に乗り込むところですね。」
見ると魔導列車の車庫にガンツさんが向かっているところだった。
「「「「「…」」」」」
「いいですか?説明を続けますよ~」
「あら、ごめんなさいね。続きをお願いね。」
「じゃ、誰か里に行って貰えますか?」
「「「「「へ?何でまた戻るの?どうやって?」」」」」
質問に応えずにドワーフの里へとゲートを繋ぎ「そこの男性、ちょっと行ってきてください。」とドワーフの里の門の前に送り出す。
「なあどうすんだ?」
「門の所にボタンあるのが分かりますか?」
「ボタン?…あ、ああこれか。あったぞ。ん?何か書いてあるな。『御用の方はこのボタンを押して下さい。係の者が対応します。』って、どういうことだ?」
「まずはボタンを押して下さい。」
「分かった。じゃ押すぞ。」『ポチッ』
するとアンジェさんの持つモニターから『ピンポ~ン』と鳴り男性の顔が映される。
「あら、これは…あの子なの?」
「モニターに話しかけてみて下さい。」
「分かったわ。『何か御用ですか?』」
門から『何か御用ですか?』と声が聞こえる。
「あれ、アンジェさん?」
モニターから『あれ、アンジェさん?』と同じように聞こえてきた。
「あら、これなら誰かが訪ねて来ても大丈夫ね。」
「はい、簡単な対応ならこのモニターで出来ます。更にですね…すみませんが、門を乗り越えようとしてもらっていいですか?」
男性に声を掛けると頷いて、門に手を掛ける。
すると『ビービービー警告!警告!アナタハキョカナクサトニハイロウトシテイマス。スグニハナレテクダサイ。』と警告音とメッセージが流される。
男性がこちらをジーッと見ているので、GOサインを出す。
警告を無視して門を乗り越えようとしたところに『がシャンガチャン』と音と共に機銃が展開される。
『ビービービー警告!警告!スグニモンカラハナレナサイ。サモナクバハッポウシマス。』
泣きそうな目で男性がこちらを見るが、構わずGOサインを出す。
男性はヤケになりながらも門を乗り越えようとすると、『シュパッ』と音と共に門から落ちる。
「「「「「あ~殺っちゃった!」」」」」
「ジョージ~何で何で!わ~アババババ…」
男性の元に走り寄り泣いて縋る女性が気絶する。
皆んなの目が一斉に俺を見る。
「ケイン君、お願いしたとはいえ、いくら防犯の為としてもコレはやりすぎです。あなた達、悪いけど彼らのご遺体をここに運んでちょうだい。」
「「「「…はい。」」」」
「ちょ、ちょっと待って下さい。「あなたはそこにいてなさい!コレは許されないことですよ。分かっているのですか!」…はい。」
「(ケインよ、あれはちょっと悪ノリが過ぎると思うぞ。)」
「(いや~実際に体験してもらった方が早いと思ってね。)」
「(それでもアレはないじゃろ。)」
「(ガンツさん、見ていたのなら止めてよ。)」
「(まあワシもこの後が楽しみでの。くくっアンジェが慌てとる。くくっ)」
二人のご遺体(仮)が運ばれて来る。
「ケイン君、何か言うことはありますか?」
怒りの篭った目で俺に問いかけるアンジェさん。
後ろにいるガンツさんには気付いてないらしい。
ガンツさんもお腹を抱えて苦しそうだ。
「あ、そろそろ起きますよ。」
「はあ、あなたはこの後に及んで何言ってるんですか!」
「ふあ~あ、アレ俺はドワーフの里で門を登って…ってエミリー?何でここで寝てるんだ。俺たちの仲はまだ秘密だったろう。早く起きないと、ほら…って、アレ?何で皆んなこっちを見ているのかな?」
「ん~ん、ジョージどうしたの?まだ起きるのは早くない?もうちょっと、ね?ウフッ」
「…エ、エミリー、エミリーそう言うこと言っている場合じゃないって、ほら早く起きないと!ほら!」
「もう、そんなにうるさいとパパにバレるじゃん………え?何?コレ?どういうこと?そうだ!確かジョージが撃たれたと思って、思わず走って縋りついて…そこから記憶がない。」
「ぶっははは、アンジェよ。ケインにしてやられたな。こいつはそういう男だ。まあじきに慣れるだろう。さあケイン、ちゃんと説明してやれ。」
「驚かせてすみません。あとジョージさん?でいいですよね。」
「はい」
「危険な役をさせてしまい申し訳ありませんでした。防犯装置の効果を見てもらうには実際に体験してもらった方が早いと思い、続けてもらいました。本当にすみませんでした。」
「ああもう、分かったわ。分かりました。で、ガンツ!あなたは分かっていたの?」
「全部じゃないが、こいつが殺傷効果が高いのをここの連中に撃つわけがないってことだけは知っている。」
「そう、そこまで信頼しているのね。(もう私まで嫉妬するじゃない。リーサさんのことは言えないわね。)それで、実物を見せてもらえるかしら。」
「はい、コレは小さいですが、似たような効果があります。」
アンジェさんに小さ目のテーザー銃を渡す。
「ふ~んコレがね。ねえコレはどうやって撃つの?」
「それはですね、ここを持って、ここで狙いを付けて引き金を引くだけです。」
「そう、これね。えいっ!」
アンジェさんが年の割には可愛い声で引き金を引くとガンツさんに命中する。
「アバババババ…」
「ガンツさん…」
「は~すっとした。ねえこれも貰える?」
「ダメです!返して下さい。もう何てことするんですか。ホントに。」
「ふふっケイン君にも少しは意趣返しできたかしら、ほらガンツ行くわよ「あ、アンジェさん待って!」アババババババ…」
パタリとガンツさんに折り重なるように倒れる。
「だから、『待って』って言ったのに」
「私もあんな風に…」
「ああ、そうだな。」
「…パパ?」
「ああ、お前のパパだ。ジョージ後で話がある。逃げるなよ…いいな。」
「は、はいお父さん。「俺はお前の『お父さん』じゃない!二度とそれを口にするな!」…分かりました。パパ」
「パパ言うな!」
「じゃ父上?」
「父上言うな!」
「じゃあ何と呼べば?パパリン?」
「ああしつこい!ガイン様と呼べ!」
「ガインパパで」
「パパはいらん!」
さっきの思わずやらかしたことを考えていると、リーサさんが涙を拭きながらこっちをじ~っと見ていたと思ったら、上着の裾を掴んで脱ごうとするのを慌てて止める。
「な、何やってんですか!リーサさん!」
「何って『ナニ』だろ。あ、そうか!」
小走りで窓に近付くとカーテンを閉じる。
「誰も見ていないと思うけど、恥ずかしいか。それとも見られる方が好みか?」
「だから、違うから!」
「あ、そうか灯りも消さないとな。」
灯りを小さくして『常夜灯』くらいまで落とす。
「全く見えなくなると困るからな。ケインのこともよく見たいから、本当は明るくしたいが。」
「違う!全然違うから。」
「あ、そうか。ここじゃダメだな。」
俺の腕を掴み、寝室へと誘うのでハリセンで頭を叩く。
「イッタ~もう何だケイン、もう『階段』登るんだろ?」
「だ~か~ら~まだそういうことは出来ないから。ちゃんと聞いてる?」
「…すまない、嬉しくてつい。」
「まあいいよ。お昼も食べたし、そろそろ戻るよ。」
独身寮の食堂へと向かうが、歩きづらい。
それは何故か、リーサさんが後ろから抱きつくように覆いかぶさっているからだ。
「リーサさん、歩きづらい。離れて!」
「断る。もう少しこのままでいたい。」
「もう着くから、離れて………ガンツさん?」
こっちをジーっと見つめるガンツさんと目が合う。
「ケインよ、その密着具合からすると、まさかそのババアと…」
『スパーン』と後ろからアンジェさんに頭を叩かれ、悶絶するガンツさん。
そしてアンジェさんが俺に追い討ちをかける。
「例え、そうでもそう言うことを人前で口にしない!」
「もうアンジェさんまで。違うから、ねえリーサさんも何か言ってよ。」
「ああ、ケインから初めてしてくれたんでな。まだ体の一部が「な、何言ってんの!違うから、ほら皆んなが見てるから!聞いてるから!」…そうか、聞きたいのだな、なら聞かせてやろう。実はな…」
「「「「「「「ゴクリ…」」」」」」」『スパーン』
ハリセンでリーサさんを黙らせた後、ガンツさん達に向き直り、告げる。
「全くの誤解です。皆さんが想像しているようなやましいことは何一つありませんから。」
「なんじゃつまらん。」「まあヘタレだからの。」「またガンツの早とちりじゃ。」
好き勝手に言われるが、ここで反論すると泥沼になるので、我慢するしかない。
後でまた一騒ぎあるよな~そんなイヤな予感を感じつつ食堂へと入る。
「あ~まだ痛いわ。」
ガンツさんが後頭部をさすりながら、ブウたれる。
「ケインよ、さっきはスマンかったな。あれからアンジェと話し合ってな。互いに意地を張り過ぎと嗜められたよ。」
「俺も言い過ぎました。ごめんなさい。」
「ああいい、いいさ。謝罪よりたっぷりと手伝ってもらうからの。(ニヤリ)」
「ガンツさん…いいですよ。ヤリ過ぎって言われるくらい手伝いますから。(ニヤリ)」
「それは勘弁じゃ…」
「またケインはジジイとイチャイチャして!」
「リーサさん、あまり男同士の間には入り込まない方がいいわよ。ああいうのは『またバカやっている』くらいで遠くから見ているのがちょうどいいの。」
「ええ、でも、あんな仲がいいのはちょっと羨ましいというか…」
「そういうのは後で二人っきりになった時に返して貰えばいいのよ。ガンツもね…「「おい、そこ!」」…あら、この話はまた今度ね。リーサさん。」
「はい、絶対に!」
「ったく油断ならねぇババアどもだな。」『スパパーン』
アンジェさんリーサさんが二人で綺麗にガンツさんの後頭部にハリセンをお見舞いする。
「あら、これいいわね。ケイン君、これもらっていいかしら?」
黙って頷くと大事そうに抱えて、ガンツさんに向き直る。
「『ババア』言わない!」
「悪かった。でもよ、そこのバ「あ~ん?」…そこのリーサもワシをジジイ呼ばわりするんだぞ。アイツもそれで矯正しろよ!」
「それもそうね、ねえリーサさん、あなたも今までのこともあるから色々思うことはあるでしょうけど、将来の旦那様の相棒でもあるこのガンツをジジイ呼ばわりするのは対外的にもマズイと思うの。どうかしら、『ガンツさん』とまでは言わないけど、せめて『ガンツ』とこのジジイを呼んでもらえるかしら。この通り頼みます。」
アンジェさんがリーサさんに頭を下げるのでリーサさんも慌ててアンジェさんに寄り顔を上げさせる。
「アンジェさん、私の方こそ申し訳ありませんでした。これからはお互いのだ…だ…うん、落ち着け落ち着けリーサ~、ファイトォ!リーサ!やれば出来る子なんだから、よし!…お互いの旦那様の為に共に支えていきましょう。ああ言えた~きゃっ『旦那様』だって。」
「(リーサさん、全部聞こえているから。)」
「(ケインよ、詰んだな。まあ頑張れよ。アンジェと近い匂いがするが。まあワシも通ってきた道じゃ。いつでも相談にはのるぞ。)」
「あなた!」「ケイン!」「「コソコソしない!」」
食堂でそんな小芝居をすれば、どうしても人目には着くもの。
ふと周りを見渡せば温~くこちらを見られていた。
気を取り直して、奥で待つ頬杖をつき呆れ顔でこちらを見ていたガンボさんの元へと歩く。
「や~っと来たか、食堂に入る前も一騒ぎあったようだが、食堂に入ってからもあんな小芝居を見せられるとはな。まあ面白かったからいいが。」
「そう言うてくれるなガンボよ、これからケインは茨の道を歩くことが決まったんじゃ。のうケイン。」
バシッと背中を叩いてくるが、『茨の道』が頭から離れない。
本当にそうなのかな、前世の婆さんとの若い頃のあれこれを思い出そうとするが、昔過ぎてボヤ~ッとしか思い出せない。
もうなるようにしかならないか。
「じゃ話を始めましょうか。」
ドワーフタウンと河向こうの模型を出して就職希望者に説明する。
ある程度の説明が終わったところで、質問タイムへと移る。
「あの鉄道って、何?」「車とは何だ?」「重機ってどういうの?」
「まあそうなるよね。じゃガンツさん、この人達を魔導列車に乗せてツアーよろしく。」
「まあそれが早いか。じゃそこの駅まで引っ張って来るから、この場を繋いどいてくれ。」
「分かった、頼むね。」
「おう、じゃあな。」
ガンツさんが食堂を出て行くのを見ながら、リーサさんが「羨ましい」と呟く。
「ふふっああいう男同士に入るのは難しいでしょ。でもその内慣れるわよ。がんばってね。」
「アンジェさん、ガンツさんに里の防犯が心配だと聞いたので、こんな物を用意しました。」
アンジェさんにタブレットを渡し、スイッチを入れる。
「あら、これはもしかして…」「これって、俺らの里じゃね?」「おうそうだ。里が映っている。あれ!俺の家だ。」「あ、私のも!」
「ケイン君、これは?」
「ドワーフの里を上から映したものです。」
「「「「「上から?」」」」」
「例えば、ここならこういう感じで。」
大きめのモニターを出し、ドワーフタウンを上空から映した映像が流れる。
「ああちょうど、ガンツさんが車から降りて魔導列車に乗り込むところですね。」
見ると魔導列車の車庫にガンツさんが向かっているところだった。
「「「「「…」」」」」
「いいですか?説明を続けますよ~」
「あら、ごめんなさいね。続きをお願いね。」
「じゃ、誰か里に行って貰えますか?」
「「「「「へ?何でまた戻るの?どうやって?」」」」」
質問に応えずにドワーフの里へとゲートを繋ぎ「そこの男性、ちょっと行ってきてください。」とドワーフの里の門の前に送り出す。
「なあどうすんだ?」
「門の所にボタンあるのが分かりますか?」
「ボタン?…あ、ああこれか。あったぞ。ん?何か書いてあるな。『御用の方はこのボタンを押して下さい。係の者が対応します。』って、どういうことだ?」
「まずはボタンを押して下さい。」
「分かった。じゃ押すぞ。」『ポチッ』
するとアンジェさんの持つモニターから『ピンポ~ン』と鳴り男性の顔が映される。
「あら、これは…あの子なの?」
「モニターに話しかけてみて下さい。」
「分かったわ。『何か御用ですか?』」
門から『何か御用ですか?』と声が聞こえる。
「あれ、アンジェさん?」
モニターから『あれ、アンジェさん?』と同じように聞こえてきた。
「あら、これなら誰かが訪ねて来ても大丈夫ね。」
「はい、簡単な対応ならこのモニターで出来ます。更にですね…すみませんが、門を乗り越えようとしてもらっていいですか?」
男性に声を掛けると頷いて、門に手を掛ける。
すると『ビービービー警告!警告!アナタハキョカナクサトニハイロウトシテイマス。スグニハナレテクダサイ。』と警告音とメッセージが流される。
男性がこちらをジーッと見ているので、GOサインを出す。
警告を無視して門を乗り越えようとしたところに『がシャンガチャン』と音と共に機銃が展開される。
『ビービービー警告!警告!スグニモンカラハナレナサイ。サモナクバハッポウシマス。』
泣きそうな目で男性がこちらを見るが、構わずGOサインを出す。
男性はヤケになりながらも門を乗り越えようとすると、『シュパッ』と音と共に門から落ちる。
「「「「「あ~殺っちゃった!」」」」」
「ジョージ~何で何で!わ~アババババ…」
男性の元に走り寄り泣いて縋る女性が気絶する。
皆んなの目が一斉に俺を見る。
「ケイン君、お願いしたとはいえ、いくら防犯の為としてもコレはやりすぎです。あなた達、悪いけど彼らのご遺体をここに運んでちょうだい。」
「「「「…はい。」」」」
「ちょ、ちょっと待って下さい。「あなたはそこにいてなさい!コレは許されないことですよ。分かっているのですか!」…はい。」
「(ケインよ、あれはちょっと悪ノリが過ぎると思うぞ。)」
「(いや~実際に体験してもらった方が早いと思ってね。)」
「(それでもアレはないじゃろ。)」
「(ガンツさん、見ていたのなら止めてよ。)」
「(まあワシもこの後が楽しみでの。くくっアンジェが慌てとる。くくっ)」
二人のご遺体(仮)が運ばれて来る。
「ケイン君、何か言うことはありますか?」
怒りの篭った目で俺に問いかけるアンジェさん。
後ろにいるガンツさんには気付いてないらしい。
ガンツさんもお腹を抱えて苦しそうだ。
「あ、そろそろ起きますよ。」
「はあ、あなたはこの後に及んで何言ってるんですか!」
「ふあ~あ、アレ俺はドワーフの里で門を登って…ってエミリー?何でここで寝てるんだ。俺たちの仲はまだ秘密だったろう。早く起きないと、ほら…って、アレ?何で皆んなこっちを見ているのかな?」
「ん~ん、ジョージどうしたの?まだ起きるのは早くない?もうちょっと、ね?ウフッ」
「…エ、エミリー、エミリーそう言うこと言っている場合じゃないって、ほら早く起きないと!ほら!」
「もう、そんなにうるさいとパパにバレるじゃん………え?何?コレ?どういうこと?そうだ!確かジョージが撃たれたと思って、思わず走って縋りついて…そこから記憶がない。」
「ぶっははは、アンジェよ。ケインにしてやられたな。こいつはそういう男だ。まあじきに慣れるだろう。さあケイン、ちゃんと説明してやれ。」
「驚かせてすみません。あとジョージさん?でいいですよね。」
「はい」
「危険な役をさせてしまい申し訳ありませんでした。防犯装置の効果を見てもらうには実際に体験してもらった方が早いと思い、続けてもらいました。本当にすみませんでした。」
「ああもう、分かったわ。分かりました。で、ガンツ!あなたは分かっていたの?」
「全部じゃないが、こいつが殺傷効果が高いのをここの連中に撃つわけがないってことだけは知っている。」
「そう、そこまで信頼しているのね。(もう私まで嫉妬するじゃない。リーサさんのことは言えないわね。)それで、実物を見せてもらえるかしら。」
「はい、コレは小さいですが、似たような効果があります。」
アンジェさんに小さ目のテーザー銃を渡す。
「ふ~んコレがね。ねえコレはどうやって撃つの?」
「それはですね、ここを持って、ここで狙いを付けて引き金を引くだけです。」
「そう、これね。えいっ!」
アンジェさんが年の割には可愛い声で引き金を引くとガンツさんに命中する。
「アバババババ…」
「ガンツさん…」
「は~すっとした。ねえこれも貰える?」
「ダメです!返して下さい。もう何てことするんですか。ホントに。」
「ふふっケイン君にも少しは意趣返しできたかしら、ほらガンツ行くわよ「あ、アンジェさん待って!」アババババババ…」
パタリとガンツさんに折り重なるように倒れる。
「だから、『待って』って言ったのに」
「私もあんな風に…」
「ああ、そうだな。」
「…パパ?」
「ああ、お前のパパだ。ジョージ後で話がある。逃げるなよ…いいな。」
「は、はいお父さん。「俺はお前の『お父さん』じゃない!二度とそれを口にするな!」…分かりました。パパ」
「パパ言うな!」
「じゃ父上?」
「父上言うな!」
「じゃあ何と呼べば?パパリン?」
「ああしつこい!ガイン様と呼べ!」
「ガインパパで」
「パパはいらん!」
感想 254
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周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっている。
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大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
ロール転生 ~異世界行ったらのんびりする
華翔誠異世界転生、それは人に役割を求める。
勇者だったり聖女だったり。
若者や異世界転生に夢を求める者は、役割を求めるだろう。
しかし社会に疲れた大人たちは、そうでもない。
何事もなくのんびり過ごしたいと思う者もいる。
これは社会の歯車になり若干女性に苦手意識を持っていた中年男性が異世界転生をする物語。
※第6回次世代ファンタジーカップ終了までお読みいただきありがとうございました。
続きは別コンテスト等での展開を検討しています。
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。