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◆最後の最後でやらかしました
諸々の用事を済ませ、工房に戻るとアンジェさんからこんな要望が出てきた。
「ねえ、ケイン君。私でも簡単に移動出来る乗り物って作れないかしら。」
「どこか具合が悪いんですか?」
「そういう訳じゃないんだけどね、最近ね色々と相談されることも多くて、あちこちと出歩くことが多くなったのね。それでママチャリでもと思ったんだけど…」
「けど?」
「私の体じゃ小さすぎて上手く乗れないのよ。それでケイン君に相談してみたんだけど、どうかしら。」
「(お年寄り向けの移動手段ならアレかな。それなら…)アンジェさん、別に速さは求めないですよね?」
「それはそうね、別に速くなくても構わないわよ。」
「なら、荷物を乗せたりとかは?」
「バッグくらいの手荷物が乗せられれば十分よ。」
「分かりました。ちょっとガンツさんをお借りしますね。さ、行こうかガンツさん。」
「お、おう何かよく分からんが、アンジェに作ってやるんだな?」
「そうだよ。だからガンツさんが中心になってね。」
「そ、そうか。ワシからの贈り物になるってことか。気使わせてすまんな、ケイン。」
「いいから、いいから。」
工作室にガンツさんと篭り作る物、それは『セニアカー』だ。
前世では俺は使わなかったが、実は少し欲しいと思ってた。
だけど、手に入れたら悪い方向にチューンしてたよな、絶対に。
とりあえず今は前世の思いを振り払い、モノ作りに専念しよう。
ガンツさんに基本構想を話すと「ほう、それは面白い乗り物だな。」と意外と乗り気だ。
「え?速くないよ?格好良くもないけど、いいの?」
「まあな、そこは残念とは思うが、お年寄り向けの乗り物だろ?世の中、ワシみたいな元気なお年寄りばかりじゃないからの。さあ何から取り掛かる?」
「まずはアンジェさんの体に合わせて本体の大きさを決めようか。」
「そうなると、ワシより少し小さいくらいだから、こんな感じか。」
紙に決まったことを書き込んでいく。
「なあタイヤ自体はどうするんだ?本体に比べてタイヤが大きすぎるぞ?」
「ああ、それは本体に合わせて小さいのを用意するから。はい、これ。」
ガンツさんにタイヤを渡すと「小さいな…」と呟く。
「一人乗りだし、荷物も載せないし、速さも求めないからこの大きさで十分なんだよ。」
「そんなもんか。まあ作ってみれば分かるか。」
そうやってガンツさんと話しながら、あれこれ決めていく。
「だいたい、こんなもんだね。」
「じゃあ、早速作るか。」
そうやって作りだし出来たのはソファとして座るような椅子にハンドルとタイヤを付けただけの少し不恰好な物が出来た。
「ケイン、これはこのままアンジェに送る訳にはいかん。こんな不細工な物をワシが作ったと思われるのは心外じゃ。」
「うん、俺もそう思う。まあ、これは試作品と割り切って、まずは試してもらおうよ。ね?」
「…まあ、試してもらわんことには進まんか、よし。アンジェ、ちょっといいか?」
「あら、もう出来たの?」
「ああ、試作品だがちょっと乗って確かめてくれ。」
「ふふふ、貴方、ケイン君、ありがとうね。今は試作品でも嬉しいわ。じゃあ乗ってみるわね。」
「どうぞ。」
アンジェさんが試作品のシートに座る。
「えっと…座ったけど、どうやって動かせばいいのかしら?」
「まずは、スイッチですね。このボタンを押して下さい。ってガンツさんが説明しなよ。何、照れてんの?」
「ば、ばか違うわ!アンジェ、スイッチは押したか?」
「ええ、これね。『ポチッ』よしっと。押したわよ。次は?」
「次は左手でブレーキレバーを握りながら、このレバーを下げてブレーキを解除するんじゃ。いいか、左手は握ったままじゃぞ!」
「もう心配性ね。レバーっとこれね。『カチャン』よし!」
「次は右手のレバーの先の棒を少し下げながら、左手のブレーキレバーを緩めると進み出すからな。じゃ、いいな、ゆっくりだぞ。ゆっくりな。」
「もう分かったから、じゃあ行きますね。」
アンジェさんがアクセルレバーを少し下げるとゆっくりと動き出す。
「あら、意外と簡単ね。これなら私でも大丈夫そうね。うふふ。」
「なあケイン、ちょっとゆっくりすぎないか?」
「ぷっ、あんなに心配しといて。最高速度を設定出来る様にしたのを忘れた?今は室内だから一番低速だし歩くより遅いくらいだよ。何かあってもすぐ対処出来るようにね。」
「そ、そうだったな。ア、アンジェよ、何か不満はないか?」
「そうね、少し思ってたより遅いくらいだけど、それは室内だから今はしょうがないのよね。椅子もあまり固くないし、ちょうどいいわ。後はそうね…」
「あ、後は?」
「ちょっと可愛くないかしら?」
「…へ?」
「いえ、文句じゃないのよ。試作品だと言うことも分かっているわよ。でもね、何て言えばいいのかしらね。ちょっと可愛くないのよ。分かる?」
「ケイン、分かるか?ワシには理解出来ん。」
「まあ、アンジェさんの言わんとしていることは何となく分かるような気はするけど、ちゃんと分かるのは感性的に難しいかな。」
「そうよね、女性目線としての感性と言われるとそうなのかもね。」
「試作品としてはこれで完成だから、もう少し外観も変えてから渡すね。」
「ええ、分かったわ。ありがとうね。」
「アンジェ、必ず気に入る物にするからな。待っててくれ。」
「うふふ、貴方楽しみにしているわ。」
「じゃ、ガンツさんもう一踏ん張りだね。」
「ああ、やるか。」
工作室に戻り、ガンツさんと『可愛い』について話し合う。
「まずは色じゃないかな。」
「色か、確かにこのままじゃ『金属感』ありありだもんな。それは男子にはウケるが、女子にはダメってことか。」
「ガンツさんの真逆に持っていけばイケそうな気がしてきた。」
「ケイン、それはあんまりじゃ…」
「まあまあ、なら色は変えるとして、形はどう?」
「全体的に角張ってて格好イイ!」
「じゃ、全体的に丸めていこうか。」
「…そうか。」
そうやって、形を整え色を変えて、何とか完成した。
「じゃ、これをブレスレット対応に変えるね。」
「おお、それでアンジェ専用になるんじゃな。」
「そう、先に登録してもらう?」
「いや、これを見せてからにする!」
「ふふふ、褒めてもらえるといいね。」
「ば、ばかなこと言うとらんで、ほら仕上げじゃ。」
ガンツさんが車体をチェックしているのを見て朗らかな気持ちになるが、このままじゃちょっと勿体無いなと思い何か一つ足したいが、その何かが分からない。
「何が足りないんだろ。あ、そうか。ガンツさん!」
「何じゃケイン、もう完成じゃろ?」
「ねえ、ガンツさん絵は得意?」
「まあ、それなりには描けると思うが?」
「じゃあさ…」とガンツさんに内容を伝える。
「ケイン、大概のことは受け入れるが、それはちょっと…勘弁してくれんか。」
「ええ、だって何年も放っておいたんでしょ。なら少しガンツさんが恥ずかしい思いをしてアンジェさんが気に入るのならやるべきだって。それにイヤって言われたら消せばいいじゃん。ね?」
「『イヤ』って言われるの前提でするのか。」
「アンジェさんは言わないよ。多分…」
「それでも『多分』何じゃな。ふぅ、まあワシが悪かったってのを謝りつつアンジェに感謝の意を表するのは悪くはないな。全部が納得出来た訳じゃないが、やる意味はあるか。分かったよ、ケイン。それで何を描かせるんじゃ?」
「え?それを俺に聞くの?」
「何ってお前が言い出したんじゃろうが。」
「もう、じゃあさアンジェさんの好きな花なんてどう?」
「花か…確かアンジェの好きな花は…よし。」
ガンツさんが描き終わるの待って、ペイントが落ちないようにちゃんと乾いたのを確認してアンジェさんにお披露目だ。
工作室を出るとアンジェさんだけでなくリーサさんご家族が揃っていた。
「あれリーサさん、どうしたの?今日は休みにしたのに。」
「…ケイン、淋しいこと言ってくれるな。泣くぞ?」
「「「ええ、あのリーサが?」」」
「ケイン君、意外に強い?」
「僕も泣く?」
「うふふ、ケイン君。リーサさんは今日のお礼と報告に来たのよ。まあそれだけじゃないみたいだけどね。うふふ。」
「そうなんだ、まあ今はいいや。アンジェさん、お待たせしました。ガンツさん、いいよ。」
「ケイン…」リーサさんが呟いているけどメインはここからだから、気にしないことにする。
「ふふふ、アンジェよ。お前の希望に応えるべく可愛いをワシらなりに考えてみた。さあ見てくれ!」
ガンツさんがセニアカーに掛けている布の端をアンジェさんに持たせると「さあ引いてくれ。」とアンジェさんに促す。
「じゃ、引くわね。それ!」
アンジェさんが布を引くと薄いピンク色のセニアカーが姿を現す。
「まあ、可愛い!色もいいわね。あら何か描かれているわね。何かしら?あらこれは『かすみ草』ね。」
「ガンツさんが描いたんだけど、どう?」
「…あの人が、そう。ガンツ、貴方は覚えてくれていたのね。もう何年も放っておかれたから、忘れているとばかり思っていたけど、そう。覚えていたのね。ありがとう、貴方。」
「…忘れはせん。忘れるはずもなかろうて。アンジェ、今まで放ったらかしですまんかった。」
ガンツさんが頭を下げアンジェさんに謝罪する。
「もう貴方、顔を上げてみんな見ているわ。改めてありがとう。今までの人生で一番、嬉しい誕生日プレゼントよ。」
「…誕生日?」
「「「「(これはヤバい!)」」」」
「ガンツ!そこに正座!」
「ねえ、ケイン君。私でも簡単に移動出来る乗り物って作れないかしら。」
「どこか具合が悪いんですか?」
「そういう訳じゃないんだけどね、最近ね色々と相談されることも多くて、あちこちと出歩くことが多くなったのね。それでママチャリでもと思ったんだけど…」
「けど?」
「私の体じゃ小さすぎて上手く乗れないのよ。それでケイン君に相談してみたんだけど、どうかしら。」
「(お年寄り向けの移動手段ならアレかな。それなら…)アンジェさん、別に速さは求めないですよね?」
「それはそうね、別に速くなくても構わないわよ。」
「なら、荷物を乗せたりとかは?」
「バッグくらいの手荷物が乗せられれば十分よ。」
「分かりました。ちょっとガンツさんをお借りしますね。さ、行こうかガンツさん。」
「お、おう何かよく分からんが、アンジェに作ってやるんだな?」
「そうだよ。だからガンツさんが中心になってね。」
「そ、そうか。ワシからの贈り物になるってことか。気使わせてすまんな、ケイン。」
「いいから、いいから。」
工作室にガンツさんと篭り作る物、それは『セニアカー』だ。
前世では俺は使わなかったが、実は少し欲しいと思ってた。
だけど、手に入れたら悪い方向にチューンしてたよな、絶対に。
とりあえず今は前世の思いを振り払い、モノ作りに専念しよう。
ガンツさんに基本構想を話すと「ほう、それは面白い乗り物だな。」と意外と乗り気だ。
「え?速くないよ?格好良くもないけど、いいの?」
「まあな、そこは残念とは思うが、お年寄り向けの乗り物だろ?世の中、ワシみたいな元気なお年寄りばかりじゃないからの。さあ何から取り掛かる?」
「まずはアンジェさんの体に合わせて本体の大きさを決めようか。」
「そうなると、ワシより少し小さいくらいだから、こんな感じか。」
紙に決まったことを書き込んでいく。
「なあタイヤ自体はどうするんだ?本体に比べてタイヤが大きすぎるぞ?」
「ああ、それは本体に合わせて小さいのを用意するから。はい、これ。」
ガンツさんにタイヤを渡すと「小さいな…」と呟く。
「一人乗りだし、荷物も載せないし、速さも求めないからこの大きさで十分なんだよ。」
「そんなもんか。まあ作ってみれば分かるか。」
そうやってガンツさんと話しながら、あれこれ決めていく。
「だいたい、こんなもんだね。」
「じゃあ、早速作るか。」
そうやって作りだし出来たのはソファとして座るような椅子にハンドルとタイヤを付けただけの少し不恰好な物が出来た。
「ケイン、これはこのままアンジェに送る訳にはいかん。こんな不細工な物をワシが作ったと思われるのは心外じゃ。」
「うん、俺もそう思う。まあ、これは試作品と割り切って、まずは試してもらおうよ。ね?」
「…まあ、試してもらわんことには進まんか、よし。アンジェ、ちょっといいか?」
「あら、もう出来たの?」
「ああ、試作品だがちょっと乗って確かめてくれ。」
「ふふふ、貴方、ケイン君、ありがとうね。今は試作品でも嬉しいわ。じゃあ乗ってみるわね。」
「どうぞ。」
アンジェさんが試作品のシートに座る。
「えっと…座ったけど、どうやって動かせばいいのかしら?」
「まずは、スイッチですね。このボタンを押して下さい。ってガンツさんが説明しなよ。何、照れてんの?」
「ば、ばか違うわ!アンジェ、スイッチは押したか?」
「ええ、これね。『ポチッ』よしっと。押したわよ。次は?」
「次は左手でブレーキレバーを握りながら、このレバーを下げてブレーキを解除するんじゃ。いいか、左手は握ったままじゃぞ!」
「もう心配性ね。レバーっとこれね。『カチャン』よし!」
「次は右手のレバーの先の棒を少し下げながら、左手のブレーキレバーを緩めると進み出すからな。じゃ、いいな、ゆっくりだぞ。ゆっくりな。」
「もう分かったから、じゃあ行きますね。」
アンジェさんがアクセルレバーを少し下げるとゆっくりと動き出す。
「あら、意外と簡単ね。これなら私でも大丈夫そうね。うふふ。」
「なあケイン、ちょっとゆっくりすぎないか?」
「ぷっ、あんなに心配しといて。最高速度を設定出来る様にしたのを忘れた?今は室内だから一番低速だし歩くより遅いくらいだよ。何かあってもすぐ対処出来るようにね。」
「そ、そうだったな。ア、アンジェよ、何か不満はないか?」
「そうね、少し思ってたより遅いくらいだけど、それは室内だから今はしょうがないのよね。椅子もあまり固くないし、ちょうどいいわ。後はそうね…」
「あ、後は?」
「ちょっと可愛くないかしら?」
「…へ?」
「いえ、文句じゃないのよ。試作品だと言うことも分かっているわよ。でもね、何て言えばいいのかしらね。ちょっと可愛くないのよ。分かる?」
「ケイン、分かるか?ワシには理解出来ん。」
「まあ、アンジェさんの言わんとしていることは何となく分かるような気はするけど、ちゃんと分かるのは感性的に難しいかな。」
「そうよね、女性目線としての感性と言われるとそうなのかもね。」
「試作品としてはこれで完成だから、もう少し外観も変えてから渡すね。」
「ええ、分かったわ。ありがとうね。」
「アンジェ、必ず気に入る物にするからな。待っててくれ。」
「うふふ、貴方楽しみにしているわ。」
「じゃ、ガンツさんもう一踏ん張りだね。」
「ああ、やるか。」
工作室に戻り、ガンツさんと『可愛い』について話し合う。
「まずは色じゃないかな。」
「色か、確かにこのままじゃ『金属感』ありありだもんな。それは男子にはウケるが、女子にはダメってことか。」
「ガンツさんの真逆に持っていけばイケそうな気がしてきた。」
「ケイン、それはあんまりじゃ…」
「まあまあ、なら色は変えるとして、形はどう?」
「全体的に角張ってて格好イイ!」
「じゃ、全体的に丸めていこうか。」
「…そうか。」
そうやって、形を整え色を変えて、何とか完成した。
「じゃ、これをブレスレット対応に変えるね。」
「おお、それでアンジェ専用になるんじゃな。」
「そう、先に登録してもらう?」
「いや、これを見せてからにする!」
「ふふふ、褒めてもらえるといいね。」
「ば、ばかなこと言うとらんで、ほら仕上げじゃ。」
ガンツさんが車体をチェックしているのを見て朗らかな気持ちになるが、このままじゃちょっと勿体無いなと思い何か一つ足したいが、その何かが分からない。
「何が足りないんだろ。あ、そうか。ガンツさん!」
「何じゃケイン、もう完成じゃろ?」
「ねえ、ガンツさん絵は得意?」
「まあ、それなりには描けると思うが?」
「じゃあさ…」とガンツさんに内容を伝える。
「ケイン、大概のことは受け入れるが、それはちょっと…勘弁してくれんか。」
「ええ、だって何年も放っておいたんでしょ。なら少しガンツさんが恥ずかしい思いをしてアンジェさんが気に入るのならやるべきだって。それにイヤって言われたら消せばいいじゃん。ね?」
「『イヤ』って言われるの前提でするのか。」
「アンジェさんは言わないよ。多分…」
「それでも『多分』何じゃな。ふぅ、まあワシが悪かったってのを謝りつつアンジェに感謝の意を表するのは悪くはないな。全部が納得出来た訳じゃないが、やる意味はあるか。分かったよ、ケイン。それで何を描かせるんじゃ?」
「え?それを俺に聞くの?」
「何ってお前が言い出したんじゃろうが。」
「もう、じゃあさアンジェさんの好きな花なんてどう?」
「花か…確かアンジェの好きな花は…よし。」
ガンツさんが描き終わるの待って、ペイントが落ちないようにちゃんと乾いたのを確認してアンジェさんにお披露目だ。
工作室を出るとアンジェさんだけでなくリーサさんご家族が揃っていた。
「あれリーサさん、どうしたの?今日は休みにしたのに。」
「…ケイン、淋しいこと言ってくれるな。泣くぞ?」
「「「ええ、あのリーサが?」」」
「ケイン君、意外に強い?」
「僕も泣く?」
「うふふ、ケイン君。リーサさんは今日のお礼と報告に来たのよ。まあそれだけじゃないみたいだけどね。うふふ。」
「そうなんだ、まあ今はいいや。アンジェさん、お待たせしました。ガンツさん、いいよ。」
「ケイン…」リーサさんが呟いているけどメインはここからだから、気にしないことにする。
「ふふふ、アンジェよ。お前の希望に応えるべく可愛いをワシらなりに考えてみた。さあ見てくれ!」
ガンツさんがセニアカーに掛けている布の端をアンジェさんに持たせると「さあ引いてくれ。」とアンジェさんに促す。
「じゃ、引くわね。それ!」
アンジェさんが布を引くと薄いピンク色のセニアカーが姿を現す。
「まあ、可愛い!色もいいわね。あら何か描かれているわね。何かしら?あらこれは『かすみ草』ね。」
「ガンツさんが描いたんだけど、どう?」
「…あの人が、そう。ガンツ、貴方は覚えてくれていたのね。もう何年も放っておかれたから、忘れているとばかり思っていたけど、そう。覚えていたのね。ありがとう、貴方。」
「…忘れはせん。忘れるはずもなかろうて。アンジェ、今まで放ったらかしですまんかった。」
ガンツさんが頭を下げアンジェさんに謝罪する。
「もう貴方、顔を上げてみんな見ているわ。改めてありがとう。今までの人生で一番、嬉しい誕生日プレゼントよ。」
「…誕生日?」
「「「「(これはヤバい!)」」」」
「ガンツ!そこに正座!」
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しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。