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◆不器用は遺伝でした
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リーサさんのお母さんのリディアさんに言い包められそうになってしまった。
「話を戻しますが、ドワーフタウンに移りたいと言うのならば、何が出来るかをこちらで審査させてもらいます。これは町長と決めたことなので違えることは出来ません。例えリーサさんの身内でもそこは、譲ることはありませんので。」
「そうなのね。分かりました。とりあえずクレイグが本採用になるまでは大人しくしているわ。」
「(短っ!)何でそこまでここから、出たいんですか?」
「前にも言ったでしょ。もう何十年も変わり映えしないのよ。何も変わらないの。ただでさえ長命なのに、もう暇で暇でしょうがないの。ほら、貴方からも言ってよ。」
「なあ、ケイン君。僕もクレイグのことを言えたもんじゃないくらいに不器用でね。それでも何とか子供を育ててきた。でもね、この歳で下に入ってくる若い連中に顎で使われてまで、この里に居たいとは思えないんだ。それに幸いにも僕には人に教える才能があると思うんだ。クレイグもリーサも僕が教えたんだから、リーサも分かってくれるだろ。」
「確かに。認めるのは少し癪だが、教え方は上手いと思える。」
「それは俺も思った。」
「へえ、そうなんだ。ならこれから作る予定の学校にはいいかもね。じゃあ、カーティスさんは『仮押さえ』で。もし向こうで必要とするならば、お迎えに来ますね。」
「やった!リディア聞いたか?僕が『仮押さえ』だってさ。向こうに行けるかもしれないよ。」
「あら、そう。よかったわね。ケイン君、その場合には家族も一緒でいいの?」
「さあ?」
「『さあ?』ってどう言うことなの?はっきりしないわね。そんなんじゃリーサはあげられないわよ。」
「まあ、リーサさんのことは横に置いといて。」
「横に置かれた…」
「クレイグさんの採用は俺の範疇ですが、教育者として雇う場合は俺じゃなく行政の範疇なので賃金や住居に対しては、はっきりしたことが俺からは言えません。なので、仮採用とする前の面接でその辺りは交渉して下さいね。」
「あれ?僕はクレイグやリーサとは違う雇い主の元に行くのかい?」
「ええ、そうなりますね。」
「そうか、ならこの際単身赴任でもいいか。」
「貴方!何一人で行こうとしてるの。いやよ!絶対に一人でなんか行かせないから!」
「では、リディアさんは何が出来るか教えてもらえますか?」
「私?ねえ貴方、私って何が出来たかしら?。」
「クレイグ、母は何が出来る?」
「………」
「クレイグさんは思い付かないみたいだね。」
「そんなことないわよ。ねえリーサ何かあるはずよ!ねえ。」
「すまない、私も今は何も思い付かない。」
「もしかしてクレイグさんの不器用ってリディアさん譲り?」
「「「コクコク」」」
「うわぁ、もしかして家の中のほとんどはリディアさんではなく、カーティスさんが回していたということなの?」
「だな。少なくとも私が家出する時まではそうだった。」
「リーサ、それは今でもそうだから。だから、母さんは父さんが単身赴任で向こうに行くことが羨ましいというのもあるけど、家の中が回らなくなることが一番嫌なのさ。妹も弟もまだ、ちゃんと出来ないしね。」
「全部世話してもらっていたクレイグがそれを言うのか。」
「…俺はこれから変わる予定だから、いいんだ。」
「リーサさん、カーティスさんを呼んだ場合は、定期的にこっちの様子を見に来た方がいいね。そうでないと家の中がすごいことになりそうだよ。」
「そうだな。その辺はその時に考えてみよう。」
「それにしてもまさか、『孫の世話は任せて』なんて言っていた人がまさかの不器用だったなんてね。ひどいオチだよ。」
「キーッ!」
「うわぁリアルで『キーッ』って言う人を初めて見た気がする。」
「あまり母を揶揄わないでくれ。アレでも一応私の母なんだから。」
「ごめん、悪かったよ。」
「ふふふ、まあいいさ。じゃクレイグ余分な荷物は下ろしたら、行こうか。」
「ああ、分かったよ。」
リディアさんを宥め、カーティスさんには『仮押さえ』が決まったら連絡することを伝えて、改めてお別れの挨拶を済ませ、転送ゲートのある倉庫の扉をクレイグさんが開こうと扉に手を掛けると。
「アバババ…」
「あ、忘れてた…」
クレイグさんに認証ブレスレットを渡すのを忘れてた。
けれど、いいパフォーマンスになったみたいで「ああ、なるんだ。」と周りにいた里の人にはいい警告になったのは幸いだ。
「ごめんね。クレイグさん、これを渡すの忘れていたよ。はい、これをつけて魔力を軽く流してね。」
クレイグさんの魔力が登録されたのを確認したので、また倉庫の扉を開けるように促す。
が、腰が引けてなかなか開こうとしないので、俺とリーサさんが先に開け中に入ると鍵を掛けてから、クレイグさんに開けて入ってくるようにと言う。
「何でだ、何で入れてくれないんだ!」
「自分で開けて入って来て下さい。」
「嫌だ!また、『ビリビリ』ってなるんだろ?」
「クレイグよ、私とケインは何も仕掛けが邪魔することなく開いただろ?目の前で起きたことを信じられないのか?」
「見たよ、見たけど、それはお前達だったからなんだろ。俺が触ったらまた仕掛けが動くんだろ?」
「クレイグさん、さっき渡すのを忘れてたのはすみません。でも今はそのブレスレットがあるから、大丈夫だと話しましたよね?ここまで言って信じて貰えないのなら、雇用の話はなかったと言うことで、ここでお別れしましょう。もちろん『仮採用』はここで解消させてもらいます。では、クレイグさんのこれからのご活躍をお祈りいたします…」
「待て、待ってくれ!何を祈るんだ。何を祈られたって、俺の不器用がなくなることも器用になることもないんだ。だから、祈られても困る。」
「でも、その扉を開けないとこっちに来ることは出来ませんので、『仮採用』所の話ではありません。なので、クレイグさんのこれからのご活躍を「待て、待ってくれ!開けるから!今開けるから。」…分かりました。ならば少しだけお待ちしましょう。」
「(リーサさん、開けると思う?)」
「(五分五分だな。)」
「(え~そうなの?少しだけ期待しちゃったじゃん。)」
「(すまん。)」
「すぅ~はぁ~すぅ~はぁ~」と扉の向こうで深呼吸しているようだ。
「そろそろ、決めたかな?」
『バタン』と扉が開かれ…「あれ入って来ないね?」
「本当だな。」
クレイグさんに近付くと、立ったままの状態で気絶していた。
「そこまでなの?」
「我が兄とは言え、不器用以前の問題だな。」
気絶したクレイグさんを荷台に乗せリヤカーを引いて倉庫に入り扉を閉める。
「開けた!開けたぞ!ケイン君、見たか?ってアレ?ここは、どこ?」
「気が付きました?」
「おう、ケイン君。お…私は倉庫の扉を開けたぞ、見てくれたか?」
「ええ、見ましたよ。その後に立ったまま気絶したところも。」
「そうか、そうか、、見てくれたか。気絶したところまで見てくれたのか。うんうん、ん?気絶した?」
「ええ、立派に立ったままの状態で気絶していたんで、俺とリーサさんでリヤカーの荷台に乗せてここまで連れて来たんですよ。」
「そうだぞ、クレイグ。威張って言う話じゃないぞ。」
「…すまない。」
「まあ、気が付いたのなら、ご自分でリヤカーは引いて下さいね。」
「ああ、分かった。それでお…私はどこに行けばいいんだ?」
「クレイグさん、言葉は無理に直さなくてもいいですよ。俺もその内に遠慮はなくなると思うんで。」
「分かった。で、俺はどこに行けばいい?」
「まずは建物の外に出ますね。じゃあ、こっちのエレベーターに乗って。」
「ああ。」
一階に下りると忘れないうちにクレイグさんのブレスレットもタワーに登録し今後も利用出来る様にする。
外に出ると隣の独身寮に案内し部屋を用意してもらう。
「これがクレイグさんが寝起きする独身寮です。え~と今空いている部屋は…あ、アーロンさんちょうどよかった。今日からこの独身寮で暮らすクレイグさんで、一応リーサさんのお兄さんです。これからよろしくお願いします。ほら、クレイグさんも挨拶を。」
「クレイグです。よろしくお願いします。」
「アーロンだ。一応この寮のメシを担当しているが、カミさんが洗濯を請け負ったりしているから、分からないことがあったら遠慮無く聞いてくれ。」
「ああ、分かった。洗濯は是非とも頼みたいからな。」
「おう。毎度あり。」
「それでアーロンさん、空き部屋とか分かる?」
「ああ、空き部屋はあるはずだぞ。ちょっと待ってろ。」
数分もしない内にアーロンさんが戻ってきて部屋番号を伝えてもらった。
「じゃ、クレイグさん。明日は十時にここに迎えに来るから、そこの食堂で待っててね。」
「ああ、分かった。ありがとうな。」
「じゃ、グレイグしっかりな。」
「おう、リーサもありがとう。」
「話を戻しますが、ドワーフタウンに移りたいと言うのならば、何が出来るかをこちらで審査させてもらいます。これは町長と決めたことなので違えることは出来ません。例えリーサさんの身内でもそこは、譲ることはありませんので。」
「そうなのね。分かりました。とりあえずクレイグが本採用になるまでは大人しくしているわ。」
「(短っ!)何でそこまでここから、出たいんですか?」
「前にも言ったでしょ。もう何十年も変わり映えしないのよ。何も変わらないの。ただでさえ長命なのに、もう暇で暇でしょうがないの。ほら、貴方からも言ってよ。」
「なあ、ケイン君。僕もクレイグのことを言えたもんじゃないくらいに不器用でね。それでも何とか子供を育ててきた。でもね、この歳で下に入ってくる若い連中に顎で使われてまで、この里に居たいとは思えないんだ。それに幸いにも僕には人に教える才能があると思うんだ。クレイグもリーサも僕が教えたんだから、リーサも分かってくれるだろ。」
「確かに。認めるのは少し癪だが、教え方は上手いと思える。」
「それは俺も思った。」
「へえ、そうなんだ。ならこれから作る予定の学校にはいいかもね。じゃあ、カーティスさんは『仮押さえ』で。もし向こうで必要とするならば、お迎えに来ますね。」
「やった!リディア聞いたか?僕が『仮押さえ』だってさ。向こうに行けるかもしれないよ。」
「あら、そう。よかったわね。ケイン君、その場合には家族も一緒でいいの?」
「さあ?」
「『さあ?』ってどう言うことなの?はっきりしないわね。そんなんじゃリーサはあげられないわよ。」
「まあ、リーサさんのことは横に置いといて。」
「横に置かれた…」
「クレイグさんの採用は俺の範疇ですが、教育者として雇う場合は俺じゃなく行政の範疇なので賃金や住居に対しては、はっきりしたことが俺からは言えません。なので、仮採用とする前の面接でその辺りは交渉して下さいね。」
「あれ?僕はクレイグやリーサとは違う雇い主の元に行くのかい?」
「ええ、そうなりますね。」
「そうか、ならこの際単身赴任でもいいか。」
「貴方!何一人で行こうとしてるの。いやよ!絶対に一人でなんか行かせないから!」
「では、リディアさんは何が出来るか教えてもらえますか?」
「私?ねえ貴方、私って何が出来たかしら?。」
「クレイグ、母は何が出来る?」
「………」
「クレイグさんは思い付かないみたいだね。」
「そんなことないわよ。ねえリーサ何かあるはずよ!ねえ。」
「すまない、私も今は何も思い付かない。」
「もしかしてクレイグさんの不器用ってリディアさん譲り?」
「「「コクコク」」」
「うわぁ、もしかして家の中のほとんどはリディアさんではなく、カーティスさんが回していたということなの?」
「だな。少なくとも私が家出する時まではそうだった。」
「リーサ、それは今でもそうだから。だから、母さんは父さんが単身赴任で向こうに行くことが羨ましいというのもあるけど、家の中が回らなくなることが一番嫌なのさ。妹も弟もまだ、ちゃんと出来ないしね。」
「全部世話してもらっていたクレイグがそれを言うのか。」
「…俺はこれから変わる予定だから、いいんだ。」
「リーサさん、カーティスさんを呼んだ場合は、定期的にこっちの様子を見に来た方がいいね。そうでないと家の中がすごいことになりそうだよ。」
「そうだな。その辺はその時に考えてみよう。」
「それにしてもまさか、『孫の世話は任せて』なんて言っていた人がまさかの不器用だったなんてね。ひどいオチだよ。」
「キーッ!」
「うわぁリアルで『キーッ』って言う人を初めて見た気がする。」
「あまり母を揶揄わないでくれ。アレでも一応私の母なんだから。」
「ごめん、悪かったよ。」
「ふふふ、まあいいさ。じゃクレイグ余分な荷物は下ろしたら、行こうか。」
「ああ、分かったよ。」
リディアさんを宥め、カーティスさんには『仮押さえ』が決まったら連絡することを伝えて、改めてお別れの挨拶を済ませ、転送ゲートのある倉庫の扉をクレイグさんが開こうと扉に手を掛けると。
「アバババ…」
「あ、忘れてた…」
クレイグさんに認証ブレスレットを渡すのを忘れてた。
けれど、いいパフォーマンスになったみたいで「ああ、なるんだ。」と周りにいた里の人にはいい警告になったのは幸いだ。
「ごめんね。クレイグさん、これを渡すの忘れていたよ。はい、これをつけて魔力を軽く流してね。」
クレイグさんの魔力が登録されたのを確認したので、また倉庫の扉を開けるように促す。
が、腰が引けてなかなか開こうとしないので、俺とリーサさんが先に開け中に入ると鍵を掛けてから、クレイグさんに開けて入ってくるようにと言う。
「何でだ、何で入れてくれないんだ!」
「自分で開けて入って来て下さい。」
「嫌だ!また、『ビリビリ』ってなるんだろ?」
「クレイグよ、私とケインは何も仕掛けが邪魔することなく開いただろ?目の前で起きたことを信じられないのか?」
「見たよ、見たけど、それはお前達だったからなんだろ。俺が触ったらまた仕掛けが動くんだろ?」
「クレイグさん、さっき渡すのを忘れてたのはすみません。でも今はそのブレスレットがあるから、大丈夫だと話しましたよね?ここまで言って信じて貰えないのなら、雇用の話はなかったと言うことで、ここでお別れしましょう。もちろん『仮採用』はここで解消させてもらいます。では、クレイグさんのこれからのご活躍をお祈りいたします…」
「待て、待ってくれ!何を祈るんだ。何を祈られたって、俺の不器用がなくなることも器用になることもないんだ。だから、祈られても困る。」
「でも、その扉を開けないとこっちに来ることは出来ませんので、『仮採用』所の話ではありません。なので、クレイグさんのこれからのご活躍を「待て、待ってくれ!開けるから!今開けるから。」…分かりました。ならば少しだけお待ちしましょう。」
「(リーサさん、開けると思う?)」
「(五分五分だな。)」
「(え~そうなの?少しだけ期待しちゃったじゃん。)」
「(すまん。)」
「すぅ~はぁ~すぅ~はぁ~」と扉の向こうで深呼吸しているようだ。
「そろそろ、決めたかな?」
『バタン』と扉が開かれ…「あれ入って来ないね?」
「本当だな。」
クレイグさんに近付くと、立ったままの状態で気絶していた。
「そこまでなの?」
「我が兄とは言え、不器用以前の問題だな。」
気絶したクレイグさんを荷台に乗せリヤカーを引いて倉庫に入り扉を閉める。
「開けた!開けたぞ!ケイン君、見たか?ってアレ?ここは、どこ?」
「気が付きました?」
「おう、ケイン君。お…私は倉庫の扉を開けたぞ、見てくれたか?」
「ええ、見ましたよ。その後に立ったまま気絶したところも。」
「そうか、そうか、、見てくれたか。気絶したところまで見てくれたのか。うんうん、ん?気絶した?」
「ええ、立派に立ったままの状態で気絶していたんで、俺とリーサさんでリヤカーの荷台に乗せてここまで連れて来たんですよ。」
「そうだぞ、クレイグ。威張って言う話じゃないぞ。」
「…すまない。」
「まあ、気が付いたのなら、ご自分でリヤカーは引いて下さいね。」
「ああ、分かった。それでお…私はどこに行けばいいんだ?」
「クレイグさん、言葉は無理に直さなくてもいいですよ。俺もその内に遠慮はなくなると思うんで。」
「分かった。で、俺はどこに行けばいい?」
「まずは建物の外に出ますね。じゃあ、こっちのエレベーターに乗って。」
「ああ。」
一階に下りると忘れないうちにクレイグさんのブレスレットもタワーに登録し今後も利用出来る様にする。
外に出ると隣の独身寮に案内し部屋を用意してもらう。
「これがクレイグさんが寝起きする独身寮です。え~と今空いている部屋は…あ、アーロンさんちょうどよかった。今日からこの独身寮で暮らすクレイグさんで、一応リーサさんのお兄さんです。これからよろしくお願いします。ほら、クレイグさんも挨拶を。」
「クレイグです。よろしくお願いします。」
「アーロンだ。一応この寮のメシを担当しているが、カミさんが洗濯を請け負ったりしているから、分からないことがあったら遠慮無く聞いてくれ。」
「ああ、分かった。洗濯は是非とも頼みたいからな。」
「おう。毎度あり。」
「それでアーロンさん、空き部屋とか分かる?」
「ああ、空き部屋はあるはずだぞ。ちょっと待ってろ。」
数分もしない内にアーロンさんが戻ってきて部屋番号を伝えてもらった。
「じゃ、クレイグさん。明日は十時にここに迎えに来るから、そこの食堂で待っててね。」
「ああ、分かった。ありがとうな。」
「じゃ、グレイグしっかりな。」
「おう、リーサもありがとう。」
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