転生したから思いっきりモノ作りしたいしたい!

ももがぶ

文字の大きさ
84 / 468
連載

◆盗み聞きがバレました

しおりを挟む
父さんの店へと潜り、まずは母さんを探す。
「母さん、約束のミシンだけど、ここでもいい?」
「いいけど、もうすぐ私はお休みになるから…」
「その時はちゃんと家まで運ぶからさ。」
「なら、いいけど。どうしたの?」
「まあ、それは後からで。はい、これ!」
「あっ『ファスナー』じゃない!もう出来たの。」
「うん、ガンツさんが張り切ってくれてね。もう生産用の機械も設置したから、何にも問題がなければ、約束の明後日には卸せるから。」
「そう、ありがとうね。なら、ここでも作業出来る人を探した方がいいわね。ちょっと父さんに頼んでみようかしら。」
「それは俺の用事の後でいい?」
「あら、ごめんなさいね。で、何かしら?」
簡単なデザイン画と俺とリーサさんのサイズ表を渡す。

「あら、これは?へ~ふ~ん、面白い形ね。ああ!真ん中に長いファスナーを使うのね。いいわ、作ってあげる!」
「ありがとう、そんなに急がないから。無理しない程度にね。」
「ふふふ、ありがとうね。それでね、これが完成した後なんだけど。同じ物をこの店でも売っていい?ダメ?」
「まずは俺達のを作ってからにしてね、頼むよ。それと使う布は多少厚めの丈夫なヤツでお願いね。」
「ええ、いいわ。でも私がお休みしたら作れないわね。チラッ」
「…三台くらいでいい?」
「あら、分かる?お願いね。」
「じゃ、取ってくるからリーサさんはここで待っててね。」
ゲートを工房に繋ぎ、ミシンの担当者を探す。

残されたリーサさんは作業机の前に座る母さんと向き合う。
「リーサさん、あの子は無茶を言ったりしていない?」
「マギー、それはない。ケインは私には優しく接してくれる。たまにキツイことも言われたりはするが、その時は私が暴走したりとか、私に非がある時だけだしな。」
「そうなのね。ケインはヘタレなのにムッツリなところがあるから大変よね。」
「まあ、そういうのが態度や表情から分かると暴走しがちになるのだが、今は大丈夫だ。」
「うふふ、リーサさん。私は応援しているからね。義母からの助言としてはあまり我慢しなくてもいいわよ。うふふ。本当は親としては言っちゃいけないんでしょうけどね。内緒ね?」
「ああ、すまない。」
「あら、そこは『ありがとう、義母様おかあさま』じゃないの?」
「…あまり揶揄わないでくれ。ケインももうすぐ戻るだろうから。」

『はい、戻って来ています。開けようとした扉の前で聞こえていました。もう何てことを言うんでしょうね。母として息子の貞操には興味ないんでしょうか。まさか肉親が階段を下から押し上げようとしているんて…』
とりあえず、今このまま扉を開けるのはマズイので一旦工房に戻って、部屋の中に繋ぎ直そう。
その前に赤くなっている顔をどうにかしないと。
『そうだ、ガンツさんの顔でも見るか。』

「ケイン、どうした。顔が赤いぞ?」
「ううん何でもない。忘れ物だから、すぐに戻るね。ああ、これこれ。じゃ。」
適当に物を掴むと店に戻る。

「あら、ケイン。遅かったわね。」
「ちょっとね、向こうで色々話し込んじゃって。」
「そう。(盗み聞きは関心しないわね、貸し一つね。)」
「(な、何のことかな?)じゃ、ミシンはここでいいの?」
「(ま、別にいいわ。目の前の階段は上るなり現状維持なり好きにしなさい。どっちでもいいから。)そうねその辺に置いといて。」
「(親が言うセリフか?)分かった。ここだね。」
「(あら?ムスコの成長は嬉しいものよ。)ありがとう。」
「は~マジかよ。」

「ケイン、どうした?疲れている様だが、大丈夫か?」
「(疲れたのはこの部屋に来てからだけどね。)大丈夫。さあ、次の営業先に行こうか。あ!そうだ、母さんも縫製事業に手を出すのなら、アリー様と提携した方がいいかもよ。あっちでも色々展開予定みたいだから。」
「あらそう、ならちょっと話してみようかしら。」
「なら、今から行く先で少し話してみるよ。母さんはあまり出歩かない方がいいよね。」
「ありがとう。じゃ、お任せするわ。」
「うん、じゃあ行ってくる。」
「はい、行ってらっしゃい。リーサさんも色々頑張ってね。」
「あ、ああ、頑張ってみる。」
「ふふふ、それでいいわ。今はね。」

リーサさんと店の外に出る。
途中で父さんに会って、冷やかされるが軽く流しておく。

「じゃ、リーサさん案内頼むね。そのお店は遠いの?」
「いや、そこまで遠くはなかったと思う。」
「そう、ならこのまま行こうか。」
「ああ。」と言い右手を出してくるので、その手を握り歩き出す。

周りの人が「あら」「まあ」「久々だな」と口にするが気にしてはいけない。
他愛もない話をしながら、キャシーさんの店に着く。

パッと見の外見は婦人服専門店だが、通りに面したショーケースには下着も飾られている。
なるほど、シャルさんとの共同経営なのかな。

男が店に入るには少々度胸がいるな。
ヘタレを返上するには足らないかもしれないが、このドアを開け中に入らないと話が出来ない。
この店を指定したキャシーさんに悪意を感じてしまう。

ここでヘタレていても話にならないので、心を落ち着かせていざ!ドアに手を掛けようとすると。
「ケイン、いつまでそこにいるんだ?さあ早く中に入ってくれ。」
「…リーサさん。ここまでの俺の決意は、どこへ?」
「ん?いいから早く入ろう。」
「…はい。」

店の中に入ると、入って右が洋服類で左が下着類と分けて展示されていた。
「どうせなら、下着類を奥にすればいいのにね。」
「あら、それはどうも。貴重な意見として聞いておくわ。」
「キャシーさん。お久しぶりです。」
「ケイン君たら、お店に入るなりそんなに下着を凝視して!リーサさんが困ってるわよ。相変わらずのムッツリなのね。」
「だったら、さっき言ったように奥に置いてくださいよ。」
「それは出来ない相談だ。なあキャシー。」
「私も最初は奥にした方がいいって言ったのよ。でもシャルが引かなくてね、本当にもう。」
「下着なんてみられてナンボだろ?それなのに隠すなんてダメだ。」
「シャルさん。まあ、いいです。どこか落ち着いて話せる場所はありますか?」
「ええ、何か見せたい物があるのよね。じゃこちらへ。」
「今日は何を持って来たんだ?」

奥の部屋へと案内され、キャシーさんとシャルさんが座った対面に俺とリーサさんが座る。
「さあ、見せてちょうだい。」
「ああ、早く見せろよ。」
「お見せしたかったのは、コレです。」
ファスナーの試作品をテーブルに出す。

「あら、不思議な形ね。」
「何だ?よくわかんないな。なあ説明してくれよ。」

ファスナーのスライダーを摘み、上げ下げしてみる。
「へ~面白いわね。それでこれがどうなるの?」
「そうだな、これだけじゃ分からないぞ。」

「お二人の今着ている服は後ろが開いてますよね。」
「まあ、開いていると言うか紐を通して結んでいるな。」
「それをこれで代用するとどうなります?」
「…そういうことね」
「…そうか」
「別に前でもいいんですけどね。例えばこの先寒くなると手袋とか嵌めたままだと、上着を脱ぐときにボタンが外せなかったりとかもどかしくないですか?」
「そうね。そういう時もあるわね。」
「だな。」
「その上着のボタンもこれに代えたら?」
「「ケイン(君)!」」
二人がガシッと音がするくらいに俺の手を掴むから、リーサさんが怖い顔で剥がしにかかる。

「落ち着いて下さい。いいですか?」
「「はい。」」

近日中にガンツさんの工房から父さんの店に優先的に卸す予定があることを伝える。
それ以降はガンツさんの工房へ試作品の提供やサイズ、形状、色などの細かい注文をしてもらえれば、卸すことは可能だと伝える。
それと母も安価な縫製品を作る予定だが、キャシーさん達で扱っている縫製工場の一部を母用に借りることが出来ないかを相談する。

「なるほどねえ、縫製事業として提携出来る部分は互いに協力していこうって訳ね。うん、分かった。一度、アリー様やお母様と相談してみるわね。」
「頼みます。」

キャシーさん達との話も終わったので、また店へと戻り母に交渉がうまくいったことと、もしかしたら縫製業の提携が出来るかどうか、一度母さんと相談したいと言っていたことを話す。

「分かったわ、ありがとうね。ケイン。」
「それでね、もう少し頼みたいことがあってね。今履いているズボンもそうだけど、これのさ、この部分をファスナーにしたのが欲しいんだけど?お願いできるかな。」
「ああ、そうよね。男の人はそこだけで用が足りるものね。いいわ、それはすごくいいことよ。早速、変更しなきゃね。うふふ。」
「頼んだよ、母さん。」

でも、あれは慣れないとナニを挟み込んじゃうからな~
この世界に弁護士がいるなら雇っておかないと。
しおりを挟む
感想 254

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。