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◆まけてもらいました
朝になり、朝食を食べようとレストランまで来ると期待満面の女将さんがそこにいた。
「ねえ、悪いけど朝食セットを二つこのテーブルに用意して貰えるかしら。私にはお茶をお願いね。で、どうだったの?」
「『どうだった』って女将さんがそんなゲスいことを聞くの?」
「何言ってんの。久々に現れたのよ。こんなご馳走を目の前にして何もしないで帰せと言うの。それこそ客商売に対する冒涜よ!」
「何が冒涜に値するのか、商売を生業とする俺には理解することは出来ませんが?」
「あら、あなたは商人なの?へ~」
「正確には、父が商人で小さな店を営んでいます。俺は工房で物を作ってるだけですけどね。」
「そう、それでなのね。昨日はウェイターが妙な物を渡されたと困惑していたけど、シェフである夫に渡したら、びっくりしていたわ。遅くなったけど私からもお礼を言わせてね。ありがとう。それに揚げ物のレシピまで頂いて、夫が興奮して大変だったのよ。うふふ。久しぶりよ、あんなはしゃいだ夫を見るのは。他でも同じくらいはしゃいでくれたらいいのにね…さて、私の話はおしまい。あなた達、特にあなたの昨夜のお話を聞かせて。さあ、早く!」
「寝た。」
「それは分かっているわ。だから、その前後のことを詳細に私にお話してと言ってるのよ。さあ!」
「だから、詳細も何もそのままの意味だ。ベッドで寝た。それだけだ。」
「…え?嘘、何言ってるの?そうか、まだ午前中だものね。こんな明るいうちは恥ずかしいか。ごめんなさいね。気が早って、また午後にでも改めて聞かせて貰えるかしら。」
「改めようが、どうしようが内容は変わらないぞ。」
「そんな…嘘でしょ。」
「嘘も何も俺はまだ出来ない体でね。」
「だって、ベッドは一つしか使ってないって…」
「…まだチェックアウトもしてないってのに。」
くだらないやりとりをしていると朝食を手に近寄って来たシェフがテーブルの上に並べていく。
「昨夜頂いた魔道具だが、あれは素晴らしいものだ。料理の手間が省けるどころか、新しいレシピが次から次へと溢れてくる。本当にありがとう。それと、あの揚げ物のレシピも素晴らしい。きっとこの店の名物になるだろう。いや、私があれ以上の物を作ってみせるさ。今度、この店に来た時には、もらったレシピ以上の物をご馳走するよ。楽しみにしといてくれ。それで、コレはもういいのかい?」
女将さんをコレ呼ばわりすると言うことはこのシェフがご主人と言うことで間違いないのだろう。
「いいも何もこちらから話すべきことも、女将さんが聞きたいことも全て話したので、もう俺達には用はありませんが。」
「そうか、ではこちらで引き取ろう。遅くなったが朝食を楽しんでくれ。」
「「ありがとう。」」
シェフのご主人が女将さんを立たせ一緒に歩くが「嘘よ」「何で」とかまだ呟いている。
「ふぅ」と軽く嘆息し遅くなった朝食を済ませる。
朝食を終え、部屋に戻りこれからの予定を軽く話す。
まあ予定と言っても買い出しツアーで回る順序を決めるくらいだが。
部屋を出て、チェックアウトのためにカウンターへと寄ると「お支払いは結構です。」と告げられた。
理由を聞くと女将さんの失礼に対するお詫びと伺っていますと返された。
「まあ、得したと言えるのかな?」
「微妙なとこだな。だが、私は楽しかったぞ。今度来た時には、今以上の礼を返せばいいんじゃないのか。」
「それはそうだろうけど、何かお礼を互いにくりかえすことになりそうだね。」
「ははは、それはそれで楽しそうだけどな。」
宿を出て、頼まれてもいないお土産の買い出しツアーへと出掛ける。
一軒目は、重くて嵩張るお酒だ。
宿を出る際にお勧めの酒屋を聞いておいた。
目的とする酒屋は苦もなく見つけることが出来たので、あとは買うことが出来る量が問題だ。
酒屋に入り、店主と思われる男性を見つけ話しかける。
「要するにウチで出せるだけの酒を港の倉庫に運んで欲しいと、そう言う訳か。」
「そう、お願い出来る?」
「それはいいが、結構な金額になるぞ。」
「ちなみにどれくらいか聞いても?」
「ああ、概算でこれくらい…だな。」
店主が算盤を弾いてこちらに見せる。
「算盤がもう、こんなところにまで。」
「お、坊主はこれを知っているのか?すごく便利だろ。もう俺はコイツを離せなくてな。あんな面倒な筆算に戻ろうなんて思えねえよ。で、どうだ?払えそうか。」
「ギルドからの引き落としでもいいの?」
「ああ、大金になるだろうからな。構わねえぞ。」
「じゃあ、それではい。」とカードを渡す。
「…よし、これで成立だな。ほいよ。」とカードを返される。
「ねえ、算盤以上のものがあったら、使いたい?」
「ん?そんなもんあるわけねえよ。あったら、今のはタダにしてやるぞ、ははは。」
「じゃあ、これ。」
魔導計算機をテーブルの上に出す。
「何だこれは?数字が書かれているボタンに演算子…まさか、まさかだよな…嘘だろ?」
「嘘も何も目の前にあるでしょ?使って見て。ほら!」
「…ま、まあな肝心の計算が出来るとは限らないしな。どれ…マジかよ。揺すってもブレない。算盤はそこだけが不満だったんだが、これは…よし!俺も男だ。さっきのはタダにしてやろう。くっ」
「全部をタダとは言わないから、半額でお願いね。」
「男が一度言ったことを引っ込める訳にはいかねえ。いいから、タダにすると言ってんだ。そこは喜ぶべきだろうが。」
「でもこれだけの金額をタダにされて、『はい、そうですか』で帰ったら俺が怒られるよ。」
「そうか、それもそうだな。じゃ、さっき言ってた半額でいいぞ。」
「(逃げ道を用意したら、すぐに乗ってきた。いい人っぽいが大丈夫か。)ありがとうね。じゃ、倉庫の場所はここだから、三時に届くようにお願いね。」
「ああ、分かった任せろ。」
「あ、そうだ半額のお礼にこれも付けてあげる。感想はまた来た時にでも聞かせてね。」
蒸留酒を取り出し、テーブルに置く。
「ほう、こいつは…」
「試飲するのは倉庫に届けてからにしてね。」
「あ、ああ分かったよ。チッ」
それから別の酒屋に食料品に布を買い付け倉庫に届けてもらう様にお願いする。
「はあ、後は洋服類だな。こればかりは俺は役に立たないから、リーサさんにお願いしてもいいかな?」
「私に任せられても自信はないが…頑張ってみる。」
「お願いします。」
服に関してはウィンドウショッピングで、彷徨きながらよさそうな店を見つけたら入ることにして、ついでにお昼を食べられるところも探す。
「あ!あれ美味しそうじゃない?寄ってみようか。」
「ケイン、さっきから買い食いで、お昼どころかお腹いっぱいなんだが…」
「ごめん。」
「それに目的の服も見つけていないし。」
「もう、服は今度にしようか。キャシーさん達に聞くなり案内してもらった方が早いし。」
「それもそうだな。」
「じゃ少し早いけど、倉庫で待ってようか。」
「ああ。」
「ねえ、悪いけど朝食セットを二つこのテーブルに用意して貰えるかしら。私にはお茶をお願いね。で、どうだったの?」
「『どうだった』って女将さんがそんなゲスいことを聞くの?」
「何言ってんの。久々に現れたのよ。こんなご馳走を目の前にして何もしないで帰せと言うの。それこそ客商売に対する冒涜よ!」
「何が冒涜に値するのか、商売を生業とする俺には理解することは出来ませんが?」
「あら、あなたは商人なの?へ~」
「正確には、父が商人で小さな店を営んでいます。俺は工房で物を作ってるだけですけどね。」
「そう、それでなのね。昨日はウェイターが妙な物を渡されたと困惑していたけど、シェフである夫に渡したら、びっくりしていたわ。遅くなったけど私からもお礼を言わせてね。ありがとう。それに揚げ物のレシピまで頂いて、夫が興奮して大変だったのよ。うふふ。久しぶりよ、あんなはしゃいだ夫を見るのは。他でも同じくらいはしゃいでくれたらいいのにね…さて、私の話はおしまい。あなた達、特にあなたの昨夜のお話を聞かせて。さあ、早く!」
「寝た。」
「それは分かっているわ。だから、その前後のことを詳細に私にお話してと言ってるのよ。さあ!」
「だから、詳細も何もそのままの意味だ。ベッドで寝た。それだけだ。」
「…え?嘘、何言ってるの?そうか、まだ午前中だものね。こんな明るいうちは恥ずかしいか。ごめんなさいね。気が早って、また午後にでも改めて聞かせて貰えるかしら。」
「改めようが、どうしようが内容は変わらないぞ。」
「そんな…嘘でしょ。」
「嘘も何も俺はまだ出来ない体でね。」
「だって、ベッドは一つしか使ってないって…」
「…まだチェックアウトもしてないってのに。」
くだらないやりとりをしていると朝食を手に近寄って来たシェフがテーブルの上に並べていく。
「昨夜頂いた魔道具だが、あれは素晴らしいものだ。料理の手間が省けるどころか、新しいレシピが次から次へと溢れてくる。本当にありがとう。それと、あの揚げ物のレシピも素晴らしい。きっとこの店の名物になるだろう。いや、私があれ以上の物を作ってみせるさ。今度、この店に来た時には、もらったレシピ以上の物をご馳走するよ。楽しみにしといてくれ。それで、コレはもういいのかい?」
女将さんをコレ呼ばわりすると言うことはこのシェフがご主人と言うことで間違いないのだろう。
「いいも何もこちらから話すべきことも、女将さんが聞きたいことも全て話したので、もう俺達には用はありませんが。」
「そうか、ではこちらで引き取ろう。遅くなったが朝食を楽しんでくれ。」
「「ありがとう。」」
シェフのご主人が女将さんを立たせ一緒に歩くが「嘘よ」「何で」とかまだ呟いている。
「ふぅ」と軽く嘆息し遅くなった朝食を済ませる。
朝食を終え、部屋に戻りこれからの予定を軽く話す。
まあ予定と言っても買い出しツアーで回る順序を決めるくらいだが。
部屋を出て、チェックアウトのためにカウンターへと寄ると「お支払いは結構です。」と告げられた。
理由を聞くと女将さんの失礼に対するお詫びと伺っていますと返された。
「まあ、得したと言えるのかな?」
「微妙なとこだな。だが、私は楽しかったぞ。今度来た時には、今以上の礼を返せばいいんじゃないのか。」
「それはそうだろうけど、何かお礼を互いにくりかえすことになりそうだね。」
「ははは、それはそれで楽しそうだけどな。」
宿を出て、頼まれてもいないお土産の買い出しツアーへと出掛ける。
一軒目は、重くて嵩張るお酒だ。
宿を出る際にお勧めの酒屋を聞いておいた。
目的とする酒屋は苦もなく見つけることが出来たので、あとは買うことが出来る量が問題だ。
酒屋に入り、店主と思われる男性を見つけ話しかける。
「要するにウチで出せるだけの酒を港の倉庫に運んで欲しいと、そう言う訳か。」
「そう、お願い出来る?」
「それはいいが、結構な金額になるぞ。」
「ちなみにどれくらいか聞いても?」
「ああ、概算でこれくらい…だな。」
店主が算盤を弾いてこちらに見せる。
「算盤がもう、こんなところにまで。」
「お、坊主はこれを知っているのか?すごく便利だろ。もう俺はコイツを離せなくてな。あんな面倒な筆算に戻ろうなんて思えねえよ。で、どうだ?払えそうか。」
「ギルドからの引き落としでもいいの?」
「ああ、大金になるだろうからな。構わねえぞ。」
「じゃあ、それではい。」とカードを渡す。
「…よし、これで成立だな。ほいよ。」とカードを返される。
「ねえ、算盤以上のものがあったら、使いたい?」
「ん?そんなもんあるわけねえよ。あったら、今のはタダにしてやるぞ、ははは。」
「じゃあ、これ。」
魔導計算機をテーブルの上に出す。
「何だこれは?数字が書かれているボタンに演算子…まさか、まさかだよな…嘘だろ?」
「嘘も何も目の前にあるでしょ?使って見て。ほら!」
「…ま、まあな肝心の計算が出来るとは限らないしな。どれ…マジかよ。揺すってもブレない。算盤はそこだけが不満だったんだが、これは…よし!俺も男だ。さっきのはタダにしてやろう。くっ」
「全部をタダとは言わないから、半額でお願いね。」
「男が一度言ったことを引っ込める訳にはいかねえ。いいから、タダにすると言ってんだ。そこは喜ぶべきだろうが。」
「でもこれだけの金額をタダにされて、『はい、そうですか』で帰ったら俺が怒られるよ。」
「そうか、それもそうだな。じゃ、さっき言ってた半額でいいぞ。」
「(逃げ道を用意したら、すぐに乗ってきた。いい人っぽいが大丈夫か。)ありがとうね。じゃ、倉庫の場所はここだから、三時に届くようにお願いね。」
「ああ、分かった任せろ。」
「あ、そうだ半額のお礼にこれも付けてあげる。感想はまた来た時にでも聞かせてね。」
蒸留酒を取り出し、テーブルに置く。
「ほう、こいつは…」
「試飲するのは倉庫に届けてからにしてね。」
「あ、ああ分かったよ。チッ」
それから別の酒屋に食料品に布を買い付け倉庫に届けてもらう様にお願いする。
「はあ、後は洋服類だな。こればかりは俺は役に立たないから、リーサさんにお願いしてもいいかな?」
「私に任せられても自信はないが…頑張ってみる。」
「お願いします。」
服に関してはウィンドウショッピングで、彷徨きながらよさそうな店を見つけたら入ることにして、ついでにお昼を食べられるところも探す。
「あ!あれ美味しそうじゃない?寄ってみようか。」
「ケイン、さっきから買い食いで、お昼どころかお腹いっぱいなんだが…」
「ごめん。」
「それに目的の服も見つけていないし。」
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「じゃ少し早いけど、倉庫で待ってようか。」
「ああ。」
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※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。