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◆愚痴ってました
翌朝、格納庫に直接向かうとガンツさんが既にいた。そして…「遅い!」と。
「ガンツさんが早すぎるんだって。」
「そんなことはない!」
「だってまだ九時前だよ。いつもより早いくらいじゃない。」
「あれ?」
「何?もう始まっちゃった?」
「違~う!ワシを年寄り扱いするんじゃない!」
「でも、早いのは早いよね。」
「…すまん。」
「いいよ、予測出来ていたことだし。だから、少し早めに来たんだけどね。まさか、その予測を超えてくるとはね。」
「しょうがないじゃろ。せっかくワシらで作ろうとしていたのを下のヤツらに分捕られた形になってしまったんじゃからの。」
「まあ、気持ちは分からなくもないけどね。」
「じゃろ!なら、ほら、さっさと作ろうじゃないか。どら、まずは模型を見せるんじゃ。」
「もう、しょうがないな。ほら、これがそうだよ。」
「ん?何で二つあるんじゃ?」
「こっちがデューク様に渡す方で、こっちが父さんに渡す予定の物。」
「大して形は変わらないように見えるが?」
「まあね、パッと見は好みの問題だと思うよ。後は内装なんだけどデューク様のシートは革張りで、父さんのは汚されること前提で、スライム樹脂をコーティングしたシートにする予定なんだ。」
「ほう、内装でうるさい貴族と差を付けるって訳か。あの領主なら、あまりうるさいことは言わんだろうが、普通なら『平民と一緒だと!馬鹿にするな!』ってことになりかねんからな。」
「あ~やっぱり?」
「そうじゃ、まあしばらくは領主以外との付き合いはないじゃろうが、これで王都に行くとなると周りの貴族は放っとかんじゃろうな。」
「じゃあ、その時は後ろ盾に頑張ってもらわないとね。何ならしばらくは、あの無人島にこもってみたりとか?」
「ああ、秘密基地もすっかり忘れとったな。これが終わったら行くぞ。」
「行けるかな~」
「どっちみち騒ぎになるだろうから、その時は籠っていた方がいいかもしれん。何なら工員達も一緒に連れて行くのもいいかもしれんな。」
「保護と考えれば、それしかないね。」
「まあ、その時に考えればいいか。ほら、作るぞ。」
「はいはい。」
車体フレームを作り終え、エンジンを載せ動力部を繋いでいく。
「下回りは、こんなもんか?」
「そうだね。だいたい出来たね。」
「しっかし、あいつらは本当にコレを理解して作ってんだろうな。」
ガンツさんがコレを指差して言うコレとは、ディファレンシャルギアやセンターデフなどの四駆の中核と言ってもいい部分だ。
このギアが上手く動作しないと四駆どころかまともに走ってくれない。
「そこは自分の弟子達を信用しないと。」
「そこが難しいところでな。自分の目の届く元でなら安心して見ていられるんだが、今回みたいに一からあいつらに任せるのはなかったからな。どうも心配でな~」
「誰にでも最初はあるんだから、そこは信用してあげないとダメじゃん。単なる親バカになっちゃうから。」
「親バカか。確かにな、ワシの息子も関わっているし。そう考えるとな~」
「へ~息子さんがね~そりゃ、信用す…って、何?今、『息子』って言った?」
「ああ、言ったぞ。言ってなかったか?」
「聞いてないし!紹介もされてない!ええ、いつの間に?」
「アイツが里帰りした時に移住後じゃったから、ワシらはいなかったが、草刈りに行った奴らに会って一緒に来たらしい。」
「らしいって、アンジェさんは知ってるの?」
「知ってるも何も今一緒に暮らしとるが?」
「何で俺に言ってくれないの!」
「何でお前に?」
「『何で』って、そう言われると困るけど…俺って相棒じゃなかったの?」
「まあ、正直言うのを忘れとったからな。いつか言えばいいかとそのままじゃったわ。そんなところじゃ、まあ許せ。」
「いい加減だな~」
「アンジェにも叱られたしの~『ケイン君にはちゃんと言っとかないと』ってな。」
「ほら~やっぱりアンジェさんは分かってるよね。」
「まるでワシがしっかりしていないみたいじゃないか。」
「そう言ってるつもりなんだけど?」
「は~まあええわ。そろそろ昼にするか。」
「今日もアンジェさん特製?」
「そうじゃ、アンジェに感謝しろよ。ふふふ。」
「もちろん、アンジェさんには感謝してるよ。」
「何じゃワシにはナシか?」
「お弁当を運んでくれる人ってくらいには感謝してるから。」
「何じゃそりゃ。」
「そう言えばさ、そろそろ母さんが出産準備に入るからって昨夜言われてね。自分のことは自分でしてくれとも言われてさ。」
「ああ、もうすぐか。で、何が大変なんだ。母親がキツイんだから、そのくらいは当然じゃろ。」
「ああ、俺とクリス兄さんはいいんだけどね。」
「サムか!」
「そう、分かる?サム兄さんは、ほぼ家の中のことなんてしたことないだろうし。どうしたものかと思ってね。」
「なら、サムだけ独身寮にでも放り込めばいいんじゃないか?アイツなら、モニカと一緒に住めるとか勘違いして喜びそうだけどな。」
「おお!確かに。それはいいかも。今日帰ったら父さんに言ってみようかな。」
「ふふふ、長男だけが差別されているようにも見えるの。」
「父さんは差別じゃなくて、区別だって言ってるけどね。」
「区別か。」
「そう。」
「じゃが、本人は納得してないんじゃろ。」
「そこが問題なんだよね。」
「まあ、サムのことはそっちで解決してくれ。ほれ、続きをやってしまうぞ。」
「は~い、ごちそう様でした。」
下回りを完成させ、インパネ周りやライトなどの付属品を付けていく。
「だいたい出来たな。後はシートじゃな、しかしこのシートのせいで余分に長くしたんじゃろ。」
「だってさ、最初は二、三、三のシート配列を考えていたんだけど、流石にお貴族様を三人掛けに座らせるのは窮屈かなと思うと、シングルソファの二、二、二、二に変更するしかないじゃない。」
「まあ、それは分かるがな。しっかし肘掛けや背面にテーブルまで付ける必要があるのか?」
「だって、お貴族様はお茶を嗜むんでしょ?」
「ケイン、さっきから『お貴族様』って軽くディスっておるぞ。気を付けろよ。」
「あ、言ってた?」
「しっかりとな。」
「ガンツさんが早すぎるんだって。」
「そんなことはない!」
「だってまだ九時前だよ。いつもより早いくらいじゃない。」
「あれ?」
「何?もう始まっちゃった?」
「違~う!ワシを年寄り扱いするんじゃない!」
「でも、早いのは早いよね。」
「…すまん。」
「いいよ、予測出来ていたことだし。だから、少し早めに来たんだけどね。まさか、その予測を超えてくるとはね。」
「しょうがないじゃろ。せっかくワシらで作ろうとしていたのを下のヤツらに分捕られた形になってしまったんじゃからの。」
「まあ、気持ちは分からなくもないけどね。」
「じゃろ!なら、ほら、さっさと作ろうじゃないか。どら、まずは模型を見せるんじゃ。」
「もう、しょうがないな。ほら、これがそうだよ。」
「ん?何で二つあるんじゃ?」
「こっちがデューク様に渡す方で、こっちが父さんに渡す予定の物。」
「大して形は変わらないように見えるが?」
「まあね、パッと見は好みの問題だと思うよ。後は内装なんだけどデューク様のシートは革張りで、父さんのは汚されること前提で、スライム樹脂をコーティングしたシートにする予定なんだ。」
「ほう、内装でうるさい貴族と差を付けるって訳か。あの領主なら、あまりうるさいことは言わんだろうが、普通なら『平民と一緒だと!馬鹿にするな!』ってことになりかねんからな。」
「あ~やっぱり?」
「そうじゃ、まあしばらくは領主以外との付き合いはないじゃろうが、これで王都に行くとなると周りの貴族は放っとかんじゃろうな。」
「じゃあ、その時は後ろ盾に頑張ってもらわないとね。何ならしばらくは、あの無人島にこもってみたりとか?」
「ああ、秘密基地もすっかり忘れとったな。これが終わったら行くぞ。」
「行けるかな~」
「どっちみち騒ぎになるだろうから、その時は籠っていた方がいいかもしれん。何なら工員達も一緒に連れて行くのもいいかもしれんな。」
「保護と考えれば、それしかないね。」
「まあ、その時に考えればいいか。ほら、作るぞ。」
「はいはい。」
車体フレームを作り終え、エンジンを載せ動力部を繋いでいく。
「下回りは、こんなもんか?」
「そうだね。だいたい出来たね。」
「しっかし、あいつらは本当にコレを理解して作ってんだろうな。」
ガンツさんがコレを指差して言うコレとは、ディファレンシャルギアやセンターデフなどの四駆の中核と言ってもいい部分だ。
このギアが上手く動作しないと四駆どころかまともに走ってくれない。
「そこは自分の弟子達を信用しないと。」
「そこが難しいところでな。自分の目の届く元でなら安心して見ていられるんだが、今回みたいに一からあいつらに任せるのはなかったからな。どうも心配でな~」
「誰にでも最初はあるんだから、そこは信用してあげないとダメじゃん。単なる親バカになっちゃうから。」
「親バカか。確かにな、ワシの息子も関わっているし。そう考えるとな~」
「へ~息子さんがね~そりゃ、信用す…って、何?今、『息子』って言った?」
「ああ、言ったぞ。言ってなかったか?」
「聞いてないし!紹介もされてない!ええ、いつの間に?」
「アイツが里帰りした時に移住後じゃったから、ワシらはいなかったが、草刈りに行った奴らに会って一緒に来たらしい。」
「らしいって、アンジェさんは知ってるの?」
「知ってるも何も今一緒に暮らしとるが?」
「何で俺に言ってくれないの!」
「何でお前に?」
「『何で』って、そう言われると困るけど…俺って相棒じゃなかったの?」
「まあ、正直言うのを忘れとったからな。いつか言えばいいかとそのままじゃったわ。そんなところじゃ、まあ許せ。」
「いい加減だな~」
「アンジェにも叱られたしの~『ケイン君にはちゃんと言っとかないと』ってな。」
「ほら~やっぱりアンジェさんは分かってるよね。」
「まるでワシがしっかりしていないみたいじゃないか。」
「そう言ってるつもりなんだけど?」
「は~まあええわ。そろそろ昼にするか。」
「今日もアンジェさん特製?」
「そうじゃ、アンジェに感謝しろよ。ふふふ。」
「もちろん、アンジェさんには感謝してるよ。」
「何じゃワシにはナシか?」
「お弁当を運んでくれる人ってくらいには感謝してるから。」
「何じゃそりゃ。」
「そう言えばさ、そろそろ母さんが出産準備に入るからって昨夜言われてね。自分のことは自分でしてくれとも言われてさ。」
「ああ、もうすぐか。で、何が大変なんだ。母親がキツイんだから、そのくらいは当然じゃろ。」
「ああ、俺とクリス兄さんはいいんだけどね。」
「サムか!」
「そう、分かる?サム兄さんは、ほぼ家の中のことなんてしたことないだろうし。どうしたものかと思ってね。」
「なら、サムだけ独身寮にでも放り込めばいいんじゃないか?アイツなら、モニカと一緒に住めるとか勘違いして喜びそうだけどな。」
「おお!確かに。それはいいかも。今日帰ったら父さんに言ってみようかな。」
「ふふふ、長男だけが差別されているようにも見えるの。」
「父さんは差別じゃなくて、区別だって言ってるけどね。」
「区別か。」
「そう。」
「じゃが、本人は納得してないんじゃろ。」
「そこが問題なんだよね。」
「まあ、サムのことはそっちで解決してくれ。ほれ、続きをやってしまうぞ。」
「は~い、ごちそう様でした。」
下回りを完成させ、インパネ周りやライトなどの付属品を付けていく。
「だいたい出来たな。後はシートじゃな、しかしこのシートのせいで余分に長くしたんじゃろ。」
「だってさ、最初は二、三、三のシート配列を考えていたんだけど、流石にお貴族様を三人掛けに座らせるのは窮屈かなと思うと、シングルソファの二、二、二、二に変更するしかないじゃない。」
「まあ、それは分かるがな。しっかし肘掛けや背面にテーブルまで付ける必要があるのか?」
「だって、お貴族様はお茶を嗜むんでしょ?」
「ケイン、さっきから『お貴族様』って軽くディスっておるぞ。気を付けろよ。」
「あ、言ってた?」
「しっかりとな。」
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※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。